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海外日本語教師経験談

アメリカ ワシントン州シアトル 日本語学校(2020年) 体験型日本語クラスで楽しく日本語を身につけててもらいたい

👩 Café Time Chocoさん・ 35歳

総評

  • アメリカ ワシントン州シアトル 日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間:7年 (2012~2020年) *退職
  • 月収:4万円 (450ドル) *それだけでは生活は難しい
  • 勤務時間:1日4時間 週1日勤務   *残業:残業なし

アメリカのシアトルエリアには、気候や豊かな自然など日本に似た環境が多くあり、戦前から多くの日本人が移り住んでいました。大手のIT企業などの影響もあり、今でも多くの日本人が暮らしています。また、日本人との関りが多いこともあるのか、日本に興味のある方もたくさんいます。生徒には、アメリカ人もいましたが、日本人と外国人とのハーフの子が多かったです。

私の息子もその一人ですが、日本語を習得し、大人になるまで日本への興味が続いてほしいと思い、日本語教師として働きはじめました。

”生活に密着した日本語を楽しく学ぶ”というスタイルが特徴的で、漢字を詰め込んで覚えるのではなく、カードゲーム、ジェスチャーゲームなどを取り入れて印象的にすることで、自然に覚えられるように工夫しました。

また、日本のイベントや食文化を特に大切にしていました。例えば、節分では、恵方巻をつくりましたが、活動の中で、様々な動詞・名詞・形容詞などに出会えるように事前にキーワードを提示したり、言葉の練習をしてから取り組みました。

レベルはある程度同じ生徒同士でクラス分けされていましたが、年齢が多少異なるため、生徒の興味に合わせててトピックを選ぶときは、苦労しました。教科書などは、使用せずに授業を行ったので、資料作り、教材作りには時間がかかりました。

毎週土曜日の午前中だけのクラスだったので、このお仕事一本では生活は出来ず、平日はフルタイムで別の仕事に就いていました。毎日、忙しくしていましたが、生徒の顔を思い浮かべながら、どんなことなら意欲的に取り組んでくれるかな、楽しんでくれるかな、覚えやすいかな、と考えながら楽しみながらできました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

教材作りが一番苦労しました。私が働いていた学校は、授業も特徴的なので、教科書など堅苦しいものは使用できず、週のトピックに合わせてプリントや視覚教材を作りました。

また、感覚的に話す日本語の文法のルールや違いを説明する際に、自分自身が理解していないと、きちんと説明ができないので、仕事が始まってからも自身の学習を続ける必要がありました。

学校の教育方針を保護者に理解していただく苦労もありました。シアトルエリアには、他にもたくさんの日本語教育機関がありますが、アカデミックな内容を教える学校が多く、私が働いていた学校へ教育方針を理解して入学しているはずですが、「もっとやらせたい」と言う方もいらっしゃり、その都度、教育方針の説明をして、実際のクラスの様子を話して理解していただきました。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

2020年2月から始まったコロナの影響で、授業を行う事が難しくなりました。そのため、生徒の数が激減してしまい、学校自体が現在運営不可能となり、廃校になってしまったため。

給与

月収:4万円 (450ドル)
それだけでは生活は難しい

学校の規模としては小さく、福利厚生は全くないです。授業を行わなければ、お給料は支払われませんでした。ただしワシントン州の州法で、風邪をひいて休み必要がある場合や、病気の家族を看護する必要がある場合は、それ以前に働いていた時間数によって、休んだ分のお給料が支給されることになっていました。

週に一度のクラスなので、日本語教師の仕事だけでは生活ができませんでした。平日はフルタイムで別の仕事をしていました。日本語教師の仕事は、生活のためもありましたが、毎週、生徒に会えるのが楽しみで続ける事ができました。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:4万円

月収の内訳

  • 時給:3,750円

待遇

  • なし

雇用形態

  • 非常勤講師

勤務時間

  • 1日4時間 週1日勤務   *残業 残業なし

学校が定める学生の長期休暇の有無

  • 夏休み:75日・冬休み:10日

長期休暇中の給与保証

  • 給与保証がない
  • 長期休暇中は別の仕事をしている
  • 長期休暇中は別の仕事をしている

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

一番大変だったのは、やはり、教材作りです。ある程度のカリキュラムはありますが、深い活動内容は自分で考える必要があったので、まずは一つ一つの活動案を考えます。

それと同時に、プリント学習にするのか、ゲーム形式にするのか、デモンストレーション形式にするのか、視覚教材をしようするのか、を考えます。

生徒のことを良く知ることで、活動案や内容を考えやすくなったので、生徒一人一人の個性も大切にしながら乗り越えました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス7人

学習者層

  • 小学生

スケジュール

土曜日 9:30~12:30 小学1年生レベルのクラスを3コマ 休日 平日:フルタイムの仕事、子育ての合間に授業案を考えていました。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • ちびむすドリル
    授業内容に偏りがないか、確認するために活用。
  • NHK for schol
    ビデオを鑑賞して、質問などに答える対話型の授業を行う際に活用。
  • Teaching English
    もともとは英語を教えるためのサイトですが、トピックや内容を日本語に直して活用していました。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

教育方針が、通常の教科書に沿って教える、というものではなく、子どもの興味に沿って計画して教える、だったことと、対象年齢が低かったことが決め手になりました。知人から、教員ポジションに空きがあると聞き、履歴書をメールで送って採用となりました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

日本語教育の需要は、年々高まってきていると言えます。現地の高校でも、外国語の選択授業で日本語を取り入れる学校が多くなってきていますし、大手企業で働く日本人も多くいますので、お子さんへの日本語教育での需要が大きいです。

日本人学生が中心になって、春の祭りなどを開催している大学がありますが、日本人ではない学生が日本に興味をもって、主催者側で参加していて、日本語をしゃべりたい!という気持ちが、強く伝わってきました。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

生徒の年齢層で変わってくると思いますが、対象年齢の方との交流がより多くあった方が、授業に活かしやすいと思います。幼児、小学生、中学生、高校生は特に、年齢で対応の仕方が大きく変わりますので、就職前にまったくの接点がないと苦労すると思います。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • ジャングルシティ
    ローカルの日本人コミュニティーにむけの求人
  • YOUMAGA
    ローカルの日本人コミュニティーにむけの求人

国選びで重視した点

  • その国にもともと住んでいた

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 一部に人気があり、数は少ないが求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学校の規模
  • 学習者数
  • 使用されている教授法

応募時に必要とされた資格

  • なし

就職 選考方法

  • 紹介のため試験なし

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

もともと人とかかわること特に子どもとの関りが好きだったので、それを活かした仕事に就きたいと思っていました。息子が産まれて、大きくなるにつれて、外国で日本語を大切にしていける環境を作ってあげたいと思い、日本語教師になりました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

子どもの素直でやわらかい思考に笑わされたり、驚かされたり、一緒に楽しんだりできるので、日本語教師をやっていて良かったな!と思います。例えば、ポケモンの日本名を紹介しているときに、コイキングのコイは鯉のコイだ!って発見して大喜びした生徒の笑顔が忘れられません。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

資格をとるのは、いつでもできると思いますが、経験というのはすぐにはできるものではありません。

様々な国や文化の違いに触れて、日本の素晴らしいところに自ら気づける環境に身を置いたらいいと思います。ここで経験したことは、教師となった時にリアルな声として生徒に伝えることができます。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

オンラインでとれる講座などもあるようなので、今の仕事をつづけながら夢を追うこともできると思います。

私は、資格なしでも働ける学校へ就職しました。そういう学校もあります。ただ、何も知らずには働けないと思いますので、学校見学等から始めて夢への一歩を踏み出してはいかがでしょうか。

アメリカで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

アメリカは、発展している国ですので、生活上困ることはほとんどないと思います。むしろ、色々な初体験が待っているかもしれません。また、シアトルは親日家の人が多く、アジア人への差別も比較的少ないので、プライベートの時間も充実していると思います。

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