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海外日本語教師経験談

フィリピン セブ市 日本語学校(2020年) お金は稼げないが、自分で考える力が身についた

🧑 4403さん・ 33歳

総評

  • フィリピン セブ市 日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間:2年 (2018~2020年) *現在も勤務中
  • 月収:6万円 (3万フィリピンペソ) *なんとか生活できる
  • 勤務時間:1日8時間 週5日勤務   *残業:残業なし

まず私が日本語講師になった経緯からお話しします。

オーストラリアに2年間ワーキングホリデーで滞在し、英語を勉強しているうちに語学そのものに興味を持つようになりました。日本に帰国する前に、フィリピンのセブで観光がてら3週間ほど英語学校に通い、そこで知り合った先生にすすめられ、日本語講師の仕事を現地で探すことにしました。

Facebookからセブの日本語学校を調べると、かなりの数の学校があることがわかり、片っ端からレジュメを添付したメッセージを送りました。

レジュメを送った学校のひとつから連絡があり、2018年10月ごろから3,4回のトライアルレッスンを経て日本語講師兼翻訳者として採用されました。これらに加えて、日本からの来客対応や社内通訳も業務に含まれています。

出勤日は月曜日から土曜日で、現地資本の学校のため、給与はかなり低く、生活は切り詰めています。仕事が好きではないと続けられないし、日本並みの生活を求めるなら日本資本の学校に行くべきだと思います。

私は日本語講師としてのバックボーンがなかったため、関連書籍を購入し全て独学で授業を組み立てていたのですが、我流での限界を感じたため、語学の指導資格を取得することにしました。

しかし、フィリピンには日本語講師養成スクールがなかったので、TESOL(英語を第二外国語として学ぶ人を対象にした指導資格)を取得しました。英語と日本語は全く別の言語ですが、効果的なアクティビティの運用や教材の準備の仕方、生徒の注意の引きつけ方など日本語の指導に活かせるところがたくさんありました。

考案したアクティビティが実際の授業でハマり、生徒が楽しそうに取り組んでくれる時にはとてもやりがいを感じることができます。また生徒の多くは医療、介護関係の仕事をしていて、日本で働くためにJLPT(日本語能力試験)の合格を目指しています。生徒たちが試験に合格して喜んでいる時もやりがいが感じられる瞬間の一つだと思います。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

フィリピンの生徒たちはみんな陽気で、授業に積極的に参加してくれます。歌を歌ったり体を動かすアクティビティに関しては問題ないのですが、漢字の書取りや作文のような机に向かって作業するタイプの学習が苦手な生徒が多いです。

生徒たちの集中力がとぎれないように、お互いが競いあえるような漢字パズルを作ったり、できるだけ楽しく学べるように工夫をしています。また、初回の授業で生徒の趣味や好きな学習スタイルをアンケートで調査して、適切な指導方法を考えるようにしています。

給与

月収:6万円 (3万フィリピンペソ)
なんとか生活できる

生活ができるかどうかは人それぞれの置かれた立場や状況によって違います。例えば、治安のいいエリアできれいなコンドミニアムで暮らしたい、毎日日本食を食べて暮らしたい、というような希望がある方はやめておいた方がいいと思います。

またセブ島には日本と比べて娯楽が少なく、休日はいろいろなところに出かけて楽しみたいという人もおすすめできません。休日を自分の趣味にあてたり、勉強する時間に使えるような人は問題ないと思います。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:6万円

待遇

  • なし
  • 賞与(年間6~8万円)

雇用形態

  • 専任講師 *正規雇用

勤務時間

  • 1日8時間 週5日勤務   *残業 残業なし

長期休暇中の給与保証

  • 長期休暇がない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

赴任当初、一回の授業時間が3時間でした。途中で休憩をはさむのですが、どうしても授業時間が長いので生徒も疲れてしまって後半の授業がダレてしまうことが多かったです。また一日の授業進捗が早すぎてついていけない生徒も出てきてしまいました。

そこで1回の授業時間を半分の1時間半に減らすことを提案しました。授業の進みは遅くなったものの、脱落する生徒が減り、講師としても密度の濃い授業を展開することができるようになりました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス10人

学習者層

  • 社会人

スケジュール

月~金曜日
  • 1コマ1.5時間のクラスを2コマ。 授業時間以外は授業準備、翻訳などの業務
土曜日
  • 授業なし。翌週の小テスト作成、授業準備、その他業務
休日 日曜日:一日中休めます

フィリピンで日本語を教える前に準備すべきだったことは?

日本語講師養成講座など日本語教育の基礎を学んでおくとよかったかもしれません。できれば通信講座ではなく、通いで実習アリのものがいいと思います。事前に本番を経験して知識をつけておくに越したことはありません。

日本語講師になるために準備しておいたわけではありませんが、英語は学んでおいてよかったです。英語がちゃんと運用できればこなせる業務の幅が広いですし、現地の先生とは英語でコミュニケーションをとれるので便利です。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • 日本語NET
    N4レベルまでの生徒は「げんき」シリーズがメイン教材なので、サイトの例文などを参考にさせてもらっています。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 日本語教師の7つ道具シリーズ2 漢字授業の作り方編 対象: 全レベル
    退屈になりがちな漢字の学習を楽しくしてくれるアクティビティをたくさん紹介されています。また巻末付録に漢字の部首と絵を組み合わせたカードがあり重宝しています。
  • 日本語教師のためのテスト作成マニュアル 対象: 全レベル
    テストの問題はJLPTの内容を参考にオリジナルで作っていたのですが、この本には文法、読解、聴解、会話などさまざまな分野のテストの作り方が載っていて、幅広い分野のテストをつくるのに役立ちました。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

私はもともと日本語講師だけでなく、幅広い業務を担当したいと思っていました。面接の時に英語での顧客対応や翻訳の仕事も業務内容であるとマネージャーから聞き、多様な経験ができると思い、働くことに決めました。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

一般的な就職面接とさほど違いがありません。学歴や職歴について聞かれ、待遇についての説明をされました。給与が高くないことについてその場で念を押されてフィリピンでの生活全般に耐えられるかどうかの確認をされました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

日本で働こうと考えているフィリピン人は多いので、需要はあると思います。

また私の勤める学校では、優秀な生徒を日本に呼びたいと考えている日本の語学学校の職員や企業の方が来て奨学金を捻出していただくこともあります。そのようなプロジェクトに参加する生徒も多く、日本とフィリピン双方に需要があるのではないでしょうか。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

フィリピン人は陽気で明るい人が多いですが、その反面、日本人から見るとすこし子供っぽい性格の人が多いように思います。

おしゃべり好きで授業中にも自国語で友達と話そうとする生徒がいたりしますので、上手に嗜めなければいけません。プライドが高い人も多いので、決して人前では小言を言わずに一対一のときを見計って指導するようにしています。

日本のスタイルを押し付けずに国民性を理解して柔軟な対応ができることも大切な資質の一つだと思います。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • indeed
    私はもともと日本語講師だけでなく、幅広い業務を担当したいと思っていました。面接の時に英語での顧客対応や翻訳の仕事も業務内容であるとマネージャーから聞き、多様な経験ができると思い、働くことに決めました。

国選びで重視した点

  • たまたま条件に合う求人があった

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 一部に人気があり、数は少ないが求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 特になし

応募時に必要とされた資格

  • なし

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業
  • トライアルレッスン

面接方法

  • 現地にて対面で実施

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

オーストラリアに2年間ワーキングホリデーで滞在し、英語を勉強しているうちに語学の指導に興味を持つようになりました。

当初は英語の講師を目指すつもりでしたが、日本に帰国する前にフィリピンのセブで観光がてら3週間ほど英語学校に通い、そこで知り合った先生にすすめられ、日本語講師の仕事を現地で探すことにしました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

自分で苦労して考えたアクテビティやイベントが授業で好評だと、時間をかけた甲斐があったとうれしく感じます。

特に自作のカルタやすごろく等、日本の文化に根ざしたアクティビティは評判が良く、生徒たちが競うように参加してくれる時は日本語講師をやっててよかったと思います。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

日本資本の教育機関で日本語講師になるためには、養成講座や日本語教育能力試験が必須である学校が多いので、時間のあるうちに取得しておいた方がいいと思います。

日本語講師という仕事に興味があるけれど、資格取得しようか迷っている人はまずは地域のボランティアでもいいので、実際に現場に出て雰囲気を掴んでみてはいかがでしょうか。

フィリピンで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

フィリピンの日本語講師の給料はとても安いです。しかもやらなければいけない業務は講師だけではないことも多いと思いです。それでも私はやりたいことをやれているので今とても幸せです。

自分のやりたいことをしっかり考えて、それにマッチするようであればチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

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