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海外日本語教師経験談
オーストラリア 日本語学校(2012年) 自分の世界が変わりました
👩 いちりってさん・ 34歳
総評
- オーストラリア 日本語学校
- 雇用形態:非常勤講師
- 期間:1.4年 (2011~2012年) *退職
- 月収:6万円 (600AUD) *それだけでは生活は難しい
- 日本語教師養成講座420時間修了 JALC
日本語教師になってから自分の世界が変わりました。もっと理論的に物事を考えるようになったと言うことです。
日本語教師の仕事とは多方面から物事を熟視することが普段から必要不可欠です。さらにそれをエキスパンドさせ、どうしてそうなるのか裏づけを取る作業を日常的に行っています。
日本語はどうしてどのようにして生まれたのか?欧米はABCのアルファベット文字なのに、なぜ日本語にはひらがな・カタカナ・漢字の3つも存在するのか?等から始まり、こういったものの考え方を日常に起こっているトピックで行うのです。
更に、外国人に教えると言うことになると、(抽象的な表現になりますが)今まで日本の中に居た自分を外に出し、第三者目線で日本を見なければなりません。そうすると、日本の文化や歴史を改めて学ぶことが出来、良い意味でも悪い意味でも日本と言う国を見直せるのです。
ここまでくると、今まで日本人としてなんとなく生きていた方たちにとって、日本が新鮮かつ魅力的に見えてくると思います。そういった意味で、私自身の日本語教師経験は自分の世界を見る目を変えさせてくれました。
日本が本来持っている文化とは別に、この第三者目線で日本を見たときに、今までの生活では気づかなかった新しい日本の面や価値観が、世界レベルで新たに見えてきます。サブカルチャーを知るのもその一つです。
日本語を学んでくれる外国人は、日本に興味を持ってくれている人たちです。こういった人たちに夢や希望を与えられるような職業に就けたことを誇りに思います。
また、インターネットなどで世界はどんどん広がっていますが、日本もどんどん外へ出て誇るべきものを見直し、発信していく時代です。微力ですが日本語教師としてこのお手伝いができてよかったと思っております。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
学習者の出席率を保つのに少々苦戦いたしました。オーストラリア人の性格が全体的にのんびりとしている民族性であるため、授業開始の時間厳守を日本人ほど真剣にしません。もちろん全員がそうではありませんが。
私は民間の日本語学習塾で小学生から社会人まで担当させておりましたが、小学生で遅刻欠席の理由で実際にあったのは、「自転車の空気を入れていたら上のお兄ちゃんが来て先に使わせてあげている間テレビを観ていたら遅くなっちゃった。」「(自転車で通っていた学習者が)途中信号が青に変わらなかった」など。
高校生になると、「夜は危ないから彼女を家まで送っていたら遅くなった。(またはそのまま欠席になる)」社会人は「勤務を終え学校に来る途中でお腹が空いたからサンドイッチ屋を探していたら遅くなった。今日はおいしいサンドイッチを食べたかった気分だったから仕方がない。」など様々で、本当かジョークなのか見極めるのが出来ない程でした。
しかし、学習者が出席しないということは逆を返せば自分の授業がつまらない等の評価を受けたということになります。改善点は自分で見直さなければなりませんし、改善しなければ出席率は上がりません。この部分に付いて深く考えさせられました。
これとは別に学習者の学習意欲をあげる点で小学校レベルの子たちには出席シールカードを作り、遅刻しないできちんと来れた場合、人気アニメのシールを出席カードに貼ってあげて、それを集めると小テストの時の得点(5点)に変えられるとの対策をしました。
高校生や社会人には次の授業の振り替えが1回分出来なくなるなどの対策をしました。
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給与
- 月収:6万円
雇用形態
- 非常勤講師
オーストラリアで日本語を教える前に準備すべきだったことは?
日本のサブカルチャーの勉強をもっとしておくべきだと思いました。現地では(外国では)日本国内ではさほど目にしないサブカルチャーが大変人気で、場所によっては一人歩きしています。私個人的にはアニメや漫画にとても疎く、現地の外国人日本語学習者の方の知識の豊富さにびっくりしました。
彼らは、私たち日本人を見るとこういった分野に関する質問をしてきます。当然答えられないわけですが、そうなると、彼らにとって教師としての魅力がなくなってしまい、日本語に対する興味も大きくしてあげることが出来なくなってしまうことを懸念しました。
インターネットを使って基本的情報は収集できますが、日本での人気度がどうかとか、日本人で○○と言う漫画のファンは他にどんな漫画に興味があるかとか、そういった日本国内に居ないと分からないような情報にもっとアンテナを張っておくべきでした。
就職活動
この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?
私はオーストラリア、シドニーにある学校で、日本語教師養成講座420時間を修了しました。その後、まだビザが残っていたのですぐに帰国せず、少し経験を積んでから帰国しようと考えました。
シドニーは日本語教育がとても盛んな町で、現地の高校生が一斉に受ける高校卒業課程テストでは選択科目にフランス語やドイツ語と並んで日本語がある程です。当然、現地には学習予備校があり、日本語も学べる民間の学習塾もあります。
私は現地学校のインターネットサイトや求人サイトで日本語教師の求人が無いか探していた折、今回お世話になった学校に出会いました。
現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?
前記述と少し重なりますが、オーストラリア、シドニーはオーストラリアの他都市と比べても郡を抜いて日本語学習率が高い町です。(オーストラリア全体で日本語を勉強されている方は、あるいは日本語を選択する生徒は全体の10%ほどになります。多言語と比べると低いですが、他国と比べると欧米諸国の中では多いほうだと思います。)
従って、シドニーには日本語を勉強するための民間の学習塾がいくつもあります。現地の子達は高校生になるとHSC(Higher School Certificate)と呼ばれる高校卒業課程テストを一斉に行います。このテストは日本で言うところの全国大学センター試験で、みんな将来のために真剣に取り組みます。
日本語もこのテストの選択科目の中にあります。中学年の生徒たちは言語学習に対する時間数(100時間)が義務付けられています。(高校生になると言語学習から離れてしまう子達も中には居ます。)
こういった事情も考慮したうえで、シドニーの日本語学習の現状は高校前の教育課程で興味を持った方、アニメや漫画などのサブカルチャーを通して日本語に興味を持った、高校を卒業して大学、そして社会人になってからも趣味で学習を続けている方。大体このような感じで分類され、こういった方たちが民間語学学校やプライベートレッスン(家庭教師含む)などで学習されています。
ビジネスで日本語が必須であるということはさほどありません。将来を見据えて小学生のうちから日本語を学ぶ子達も居ますが、学習者の多くは高校生から大学卒業後10年未満の若い人たちといえるでしょう。
シドニーにおける日本語教師の職業は、職業としては古いと思いますが、需要が極めて高いというわけではないので、日本語教師の職についてもそれだけで食べていけるほどの稼ぎは期待できません。また、シドニーは2000年のオリンピック以降、物価がとても高くなっています。
東京で住むのと変わらないもしくはそれ以上といえるでしょう。シドニーで一人暮らしをしている日本人を見たことがありません。日本語教師をしていなくてもこの町で生計を立てていくのが容易ではないと言うことです。新米日本語教師の皆さんはセカンドジョブを持っています。
この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
教える教育機関によって様々だと思います。オーストラリアの言語教育は、国で方針や義務付けを決定するほど真剣に取り組まれています。たとえば大学で日本語を勉強するコースがありますが、そこで教壇に立つには最低限、言語学の修士課程を卒業されていることは必須でしょう。
雇用の資格条件は日本と違いとても平等に設定されていますので、年齢や性別は全く関係ありません。日本語教育者としてきちんと教養や経験があり、コミュニケーションスキルが高く、それを平等に取れる方が求められるでしょう。
民間の学習塾ではこのレベルが少し下がります。わたくしがさせて頂いたように養成講座修了後、飛び込みで教えさせて頂き、経験を積むこともできます。日本語教師養成講座420時間は現地のオーストラリア人日本語教師の方々にも知名度がありますので、こういった養成講座を受講したことを伝えると面接やデモ授業をした後に採用してもらえます。
日本語教師全般に関する質問
オーストラリアで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。
オーストラリアは海外で日本人教師として働きたい方には他の国と比べて意外と容易に可能な国だと思います。
また、日本語教師養成講座からインターンシップ、ボランティア、民間の語学学校等での教壇経験を積むことも一貫して出来る土地だと思います。
ビザもワーキングホリデーが有効な国ですから30歳までなら誰でも、最低でも1年間の滞在が可能です。日本語教師養成から経験を積んで帰国するまであわただしいとは思いますが、とても有意義な経験が積めるはずです。英語圏なので日常会話程度の英語力は必要です。
オーストラリア人もとても親日家で、日本語にもサブカルチャーなどを通して興味を持たれている方がたくさんいらっしゃいます。きっとあなたを暖かく受け入れてくれるでしょう。
ただ、様々な形のインターンシップやボランティアの方法が混在していますので、注意が必要です。自分に合ったワーキングスタイルを持つことはどの国へ行っても大切なことです。
もっと言えば、外国人と対等に仕事をしていく上で、自分がどうしたいのか、何がしたいのかを伝えられること、更には、どんな日本語教師でありたいのかなど分析して常に心の中に持っておくことが大切になってきます。
そうすることで、働きたい国やスタイルが見えてくるはずです。オーストラリアは広大で人も文化も暖かい国ですから、行ってみて楽しいことばかりになりますが、一つ、上記のような”芯の部分”を日本で熟考して行かれてください。
ご健闘をお祈りします!
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