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海外日本語教師経験談

オーストラリア ニューサウスウェールズ州 日本語学校(2020年) 楽しい授業作りを心掛けています

👩 Oliviaさん・ 33歳

総評

  • オーストラリア ニューサウスウェールズ州 日本語学校
  • 雇用形態:専任講師 *正規雇用
  • 期間:1.3年 (2018~2020年) *現在も勤務中
  • 月収:3万7,500円 (503ドル) *それだけでは生活は難しい
  • 勤務時間:1日3時間 週1日勤務   *残業:1ヶ月合計2時間
  • 日本語教師養成講座420時間修了  WJLC

私はオーストラリアで日本のバックグラウンドを持つ子どもたちに日本語を教えています。

オーストラリアで仕事をするならば、オーストラリアと日本の架け橋となる仕事がしたいと思っていたのと、元々教師という職業に興味があったので、オーストラリアに来たのをきっかけに日本語教師の養成講座を受講しました。

自分が海外に住むことになり、英語が分からず不安な毎日を過ごした経験を活かしながら、「実際の生活で使える日本語」を教えています。

例えば、平仮名カタカナ漢字はもちろん。日本のお金、医療制度、歴史、地理、道案内、レストランに行った時の会話などです。

私の勤める学校は、毎週土曜日のみ開講される、日本語の補習校です。

生徒のほとんどは、平日は公立校で過ごしています。

そのため、どうしても日本語力よりも英語力の方が強くなるので、週末は日本語を勉強しています。

生徒たちはとても学校を楽しんでいますが、私の受け持つ生徒たちは勉強をしに来ているというよりはお友達に会いに来ている感覚の子が多く、授業に集中させるのが大変な時もあります。

私の勤める学校は、「継承日本語教育」をしており、「国語」の教科書は使用していないため、自分で教材を用意する必要があります。

授業案を考えたり教材の準備をすることに時間がかかるので、それが苦労する点です。

給与は月に日本円で37500円いただいています。

土曜日のみの日本語教師の仕事では生活はできません。

1回の授業は9:25〜12:15です。

授業に必要な教材を購入した場合や、配布物の印刷代などは給与とは別にいただいています。

人と接すること、人に役立つことが好きで、また、日本に関わっていられる仕事である日本語教師の仕事に、私は魅力を感じています。

子どもたちが楽しんで授業に取り組む様子を見たり、日本一時帰国の時に授業でやったことが役立った話を聞くと「教師をやっていて良かったな」と感じます。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

日本語が苦手な子どもたちが多いので、子どもたちが分かるような日本語で説明することに、難しさを感じたことがあります。

時には英語で説明しなければならないこともあるので、英語が得意でない私は、その点が苦労しました。

しかし、そのような時は、日本語の得意な生徒が間に入って通訳をしてくれます。

その通訳してくれた生徒の英語を聞いて、私が理解出来る時もあれば、聞き取れず理解出来ないこともあるので、本当に私が伝えたいことが、子どもたちに伝わっているのかは分かりません。

このような理由から、英語力はある程度あった方が良いと思います。

また、オーストラリアにはたくさんの日本語学校があり、その多くの学校では、実際に日本に住む子どもたちが国語の授業で使用している教科書で「国語」を教えています。

しかし、私の勤める学校では、「国語」ではなく、「継承日本語」を子どもたちに教えています。

それは、両親とも日本人、あるいは、両親のどちらかが日本人の子どもの「使える日本語」を育てていく教育です。

教科書は使用できないため、授業を一から自分で考えなくてはならないので、独自の授業を作る面白さはありますが、準備に時間がかかるので大変です。

クラスは学年によって分けられているのですが、クラスの中で日本語のレベルに差があるため、授業で扱う内容以外にも、教え方を考えるのも苦労しました。

そのような時は、周りの先生たちに相談して、アドバイスをいただきました。

日本語が苦手な生徒でも授業に参加できるように、ゲームやクイズ形式にして教えることが多いです。

特に人気のゲームはビンゴやかるたです。神経衰弱をしたり、カード合わせゲームも評判が良いので、よく使用します。

給与

月収:3万7,500円 (503ドル)
それだけでは生活は難しい

土曜日の日本語学校の給与はシドニーの平均給与と比べると低いです。

土曜日の日本語学校だけの収入では、生活はしていけません。

また、授業の準備は土曜日以外に行いますが、準備の時間給などは払われない為、時間的に余裕のある方しか教師は出来ないと思います。

私の勤める学校で担任としてクラスを持っている教師は、専業主婦かパートタイムで働いていらっしゃる方が多いです。

平日フルタイムで働いていらっしゃる方や、ワーキングホリデービザや学生ビザでオーストラリアに来られている方は、アシスタント教師として担任の補佐をしてくださっています。

アシスタント教師は自分で授業を準備する必要がなく、担任教師が準備した授業の手助けをしてくださいます。

そのため、心身の負担は少ないですが、お給料は教師の5分の1ほどになります。

待遇は特にありません。

年に一度行われる校内研修の時のみ、1000円支払われます。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:3万7,500円

月収の内訳

  • 基本給:37,500円
  • 教材費・印刷費:4,500円

待遇

  • 賞与(年間23,000円)
  • 校内研修費(年間1,000円)

雇用形態

  • 専任講師 *正規雇用

勤務時間

  • 1日3時間 週1日勤務   *残業 1ヶ月合計2時間

学校が定める学生の長期休暇の有無

  • スクールホリデー term1:2週間 ・ term2:2週間 ・ term3:2週間 ・ term4 :1ヶ月半

長期休暇中の給与保証

  • 給与保証がない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

準備した授業が子どもたちにとって難しそうに見えたり、あまり反応が良くなかった場合は、準備していた教材を作成し直したり、時には授業内容をガラッと変更することがあります。

そのような時、他にもやらなければならないことを調整して作業をしなければならず、睡眠時間も少なくなるので大変でした。

授業内容を変更する際に行き詰まった時は、周りの先生に相談し、アドバイスをいただいたりして、乗り越えました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス15人

学習者層

  • 小学生

スケジュール

土曜日
  • 9:00~9:25  朝礼(役員と教師のみ)や授業の準備(プロジェクターやパソコンの設置)
  • 9:25~10:15  1時間目
  • 10:25~11:10  2時間目
  • 11:30~12:15  3時間目
  • 帰宅後に保護者にニュースレターを送信
  • 授業の準備
休日:日~金
休日に取り組んだ仕事:授業の準備

オーストラリアで日本語を教える前に準備すべきだったことは?

準備すべきだったものの1つ目は英語です。

子どもたちは日本語よりも英語の方が強いので、日本語で説明しても分からないことがあります。

そのような時にもっと英語を勉強しておけば、より質の良い授業が出来たかもしれないと思うことが多々あります。

2つ目は教材に関してです。

漢字のドリルがあったら良かったと思いました。
一時帰国の時に写真に載せてある「うんこかん字ドリル」を購入し、現在役立てています。
楽しく学習出来る点が人気です。

準備していて良かったものは、かるたや百人一首です。

ゲームが大好きなので、盛り上がります。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • ちびむす
    これまでに教えたことの復習で宿題として出すことが多いです。授業が早く終わった時の隙間時間や、テストが早く終わった生徒が待っている間にやるプリントとして出すこともあります。
  • すきるまドリル
    これまでに教えたことの復習で宿題として出すことが多いです。授業が早く終わった時の隙間時間や、テストが早く終わった生徒が待っている間にやるプリントとして出すこともあります。
  • ぷりんときっず
    これまでに教えたことの復習で宿題として出すことが多いです。授業が早く終わった時の隙間時間や、テストが早く終わった生徒が待っている間にやるプリントとして出すこともあります。
  • NHK for School
    授業によく使用しました。子どもたちは映像を見ることが好きなので、授業の導入として映像を見せることが多いです。
  • NEWS 日本語教育コンテンツ 共有システム
    授業内容を考える時に参考にしています。学習者や学習目的、学習内容など、分類別に分かれていて、細かく検索出来る点が魅力的です。
  • 学研 キッズネット
    授業内容を考える時に参考にしています。こどもたちの「なぜ?」をくわしく説明してあります。クイズをつくる時に役立てています。
  • 学習プリント.com
    これまでに教えたことの復習で宿題として出すことが多いです。授業が早く終わった時の隙間時間や、テストが早く終わった生徒が待っている間にやるプリントとして出すこともあります。
  • NPO法人 スマイル・プラネット
    漢字の授業に役立てています。学習者の得意不得意の部分に合わせてプリントが作られているので、生徒によって配るプリントを変えたりしています。
  • かわいいフリー素材集 いらすとや
    授業に使う教材を作る時に役立てています。私はgoogleスライドを用いた授業を行っているので、このサイトの素材をよく活用しています。写真に載っているプリントはいらすとやの素材を使って作った、私のオリジナル教材です。
  • Microsoft Office テンプレート
    授業に使う教材を作る時に役立てています。私はgoogleスライドを用いた授業を行っているので、このサイトのテンプレートをよく活用しています。

教案作りで参考にしている書籍は?

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

娘の日本語学校を探していた時に現在勤めている学校に出会いました。

いくつかの学校の見学に行ったのですが、学校の方針が自分の考えに合っていたことと、学校の雰囲気が温かかったことが決め手です。

平日は育児をしなければならないので働くことが難しく専業主婦ですが、娘が授業をしている間だったら働けると思いましたので、応募したところ採用していただくことが出来ました。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

「なぜ教師になりたいと思ったのか」「いつから教師になりたいと思っていたのか」という志望動機について詳しく聞かれました。

「どうしてこの学校を選んだのか」「実際にどういった授業を行いたいか」また、私自身の長所や短所も聞かれました。

学校の方針に同意してもらえるかも聞かれたので、面接を受ける前に自分と学校の考えが一致しているか、確認しておいた方が良いと思います。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

日本語教育の需要はある方だと思います。

土曜日の日本語学校だけでなく、多くの公立校や私立校で日本語の授業を設けていますし、コミュニティーセンターなどでも日本語のクラスがあります。

日本語ネイティブを求めている企業も多く、よく求人サイトで募集を見かけます。

他の国の方で日本が好きな方も多いので、個人で日本語を教えている日本語教師も多いです。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

日本語教師養成講座420時間はもちろんですが、中学校教諭一種免許状(国語)と高等学校教諭一種免許状(国語)の資格を持っていたことも強みになりました。

お子様を預けられている保護者様からすると、教員免許を持っているというだけで安心出来るようです。

求められる日本語教師としての資質は、教えるのが好きだということ。また、授業の内容を考えたり、教材準備が苦にならないことだと思います。

持っていた方が良い資格は日本語教師養成講座420時間です。

語学レベルは日常会話程度の英語が理解出来ることです。

生徒と会話する時に英語が必要なことがあります。

また、両親のどちらかが日本人ではない場合が多いので、保護者の方と話す時にも英語が必要になることがあります。

外部からの案内も基本英語になるので、読解力も必要です。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 日豪プレス
    オーストラリア生活情報サイト 日本人教師の求人が掲載されています。
  • JAMS.TV
    オーストラリア生活情報サイト 日本人教師の求人が掲載されています。
  • チアーズ
    オーストラリア生活情報サイト 日本人教師の求人が掲載されています。

就職活動で有効な手段は?

  • 『facebook(シドニー日本人ママ会)』
    時々、各学校の入学案内や行事案内が出ることがあり、その際に求人について触れていることがあります。

国選びで重視した点

  • 治安
  • 親日国
  • 気候

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 人気があり、一定数の学校で求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学校や先生の雰囲気
  • 使用されている教授法
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

面接方法

  • 現地にて実施

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

私は主人の仕事の関係でオーストラリアに来ました。

オーストラリアに行くことが決まり、情報収集のために日豪プレスやJAMS.TV等の生活情報ウェブサイトを見ている時に、日本語教師になるための養成講座があることを知りました。

元々教師という職業に興味があり、大学も教育学部で、学生当時は家庭教師のアルバイトもしていました。

大学卒業後は、日本で一般企業に就職しましたが、そこでも新人教育を任されて指導している時に、やはり私は人に何かを教えてその人の成長を見ることが好きだなと感じていました。

そのような理由から、養成講座のことを知った時に、すぐに申し込み、通い始めました。

日本のバックグラウンドを持つ子どもたちが親や親戚、友達と自然に会話出来るように。また、将来日本に住むという選択が出来る等、日本語が出来ることによって将来の可能性を広げるお手伝いが出来たらと思い、日本語教師を目指しました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

子どもたちが授業を楽しんでいる姿を見ると、日本語教師をやってよかったと思います。

自分が考えた授業に対して「面白かった」「よく分かった」と言って貰えることも、とても嬉しいです。

また、子どもたちの成長を見ることが出来ることもやり甲斐を感じます。

自分の教え方によって、平仮名が書けなかった子が書けるようになったり、漢字が嫌いだった子が好きになったり、消極的だった子が積極的になったりと、子どもたちそれぞれの成長を見ることが出来るとにやり甲斐を感じます。

準備をしたり、授業をしたり、大変なことも多い仕事ですが、苦労した分喜びも大きいです。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

日本語の正しい言葉遣いを、しっかりと身に着けておくことが大切です。

教師として、間違った日本語を教えてはいけないからです。

また、英語を勉強しておくことも大切です。

英語がある程度出来ないと、生徒の伝えたいことが理解出来ないことがあります。

日本語が苦手な生徒は、よく英語で質問をしてきます。

資格の面では、日本語教師の資格を取得しておくと良いと思います。

教師を手助けするアシスタントとしての採用でしたら資格がなくても大丈夫ですが、教師として授業を行いたいなら資格がないと採用は難しいです。

アシスタント採用でも資格があるとお給料があがることがあります。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

私は大学卒業後は一般企業に就職し、5年間社会人経験をしてから教師になりました。

その5年間の経験が今の仕事にも活かせていると思います。

授業を行うにあたり、教材作成をしなくてはいけません。

それにはword、excel、power pointなどの知識が必要不可欠になります。

それ以外にgoogle driveも使いこなせるようになっておくと良いです。

資格の面では、日本語教師の資格を取得しておくと良いと思います。

教師を手助けするアシスタントとしての採用でしたら資格がなくても大丈夫ですが、教師として授業を行いたいなら資格がないと採用は難しいです。

アシスタント採用でも資格があるとお給料があがることがあります。

オーストラリアで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

オーストラリアで日本語教師になるためには、日本語教師の経験があるか、あるいは日本語教師関連の資格を持っているかが問われます。

日本語教師養成講座420時間は知名度の高い講座なので、取得しておくと良いと思います。

通学と通信講座があるので、仕事をしている方だったら通信講座で学ぶことが出来ます。

人と接することが好きで、人に教えることが好きな方だったら、楽しく仕事出来ると思います。

生徒の成長を見るのはとても楽しいです。

是非チャレンジしていただきたいと思います。

オセアニアの国・地域別 経験談

当サイト人気スクール 420時間養成講座