元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

ドイツの大学 経験談

生活でも職場でも求められる「対応力」

公開:2018/11/21

Umineko1848(男性・30歳) 
日本語教師歴 3.8年 (2014年~2018年)
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程
ドイツの大学
経験詳細
  • 地域:西部
  • 月収:20万円(1,600ユーロ)
    それだけでは生活は難しい
  • 専任講師(正規雇用)
  • 3年(2015年~2018年)
    *現在も就労中

私はドイツで日本語教師になってもうすぐ3年になります。ドイツで日本語教師になろうと思った時点で最初にぶつかった壁は、まず求人の少なさです。日本からの求人応募で、高等教育機関のフルタイム・契約期限なしのポジションを得ることは、まず不可能と言っていいでしょう。そのため、初めは有期契約しかなく住むところや収入も不安定です。

ドイツですから税金も多く取られます。一方、場所によりますが、少なくとも私の職場では有給や休日がしっかりもらえます。契約書に書かれていない雑務は全くありません。

また、私がドイツに来たときは、ビザの問題に頭を抱えました。そのときはちょうど難民の受け入れがピークに達していたころだったので、大学の契約書や後ろ盾があったのにもかかわらず、ビザや労働許可がなかなか降りず、外国人局で膨大な時間と労力を費やしました。

とにかくスタートから次から次へと湧いてくる問題に自ら対応し、片付けていかなければなりませんでした。

職務に関してですが、長く勤めている同僚曰く、ここ数年は大学に入る前に日本留学やワーキングホリデーを経験してきた者が増えたと聞きます。実際に私も、入学時点で既習者と全くの未習者の差が大きいと感じます。

また、自律的に日本語学習に取り組める者やギムナジウムでしっかり勉強の仕方や習慣を身に付けた者の中には、在学中にN1を取得する学生もいます。そうでない者は速い授業進行について行けず、途中で日本語をやめてしまいます。いろいろなバックグラウンドを持った学生が毎年入学してくるので、状況に合わせた対応をしなければならない難しさがあります。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

日本ではあらゆる面で謙遜が美徳とされるところがありますが、ドイツでは自分に自信を持っていることが重要です。話し方や授業外の相談においても、堂々とふるまう必要があります。

また、授業の練習やアクティビティに学生が意義を見出していないと、ついてきてくれません。なので、いかに意味のある活動であるかも前もって説明しておかなければなりません。

給与・待遇

月収 月収:20万円 (50%契約の場合)
※50%契約とは、通常の専任(100%)と比べて、受け持つ授業数が半分ですが、その代わり給与も半分といういものです。
月収内訳 基本給:20万円
基本労働時間 1日8時間 週3~4日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇
  • 有給休暇
  • 賞与
  • 保険(社会保険)
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇
  • 夏休み:約40日
  • 春休み:約40日
  • クリスマス休み:約10日
クラスの長期休暇中の
給与保証
  • 給与が発生する仕事がある
  • 長期休暇中は別の仕事をしている

一人で暮らしていくぶんには特に問題はありませんが、扶養する家族がいる場合は経済的に余裕がありません。健康保険や年金、失業保険、介護保険などは給料から自動的に天引きされます。このような社会保障は日本と比べて相当高いですが、その代わり、医療費は無料です。

また年に一回、日本でいうところの確定申告があり、収入が少ない場合は、申請後にすでに支払った税金からある程度還付されます。日本とドイツで年金に関する協定があるので、ドイツで収めた年金は追って日本の年金として(あるいはその逆も)受け取れるので、無駄にはなりません。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

大学での雇用となるため、多少州によっての差はありますが、州内であれば給与や待遇に関しては一律です。また、公務員に準ずる立場なので、一般の語学学校よりかは待遇はいいと思いますが、そのようなところに勤めたことがないので、詳しいことはわかりません。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス20人
学習者の年代 大学生
1日の時間割 月曜日
  • 9:00~10:00  
    授業準備、雑務
  • 10:00~12:00  
    初級後半クラスを1コマ
  • 12:00~16:00  
    昼食、授業準備
  • 16:00~18:00  
    初級前半クラスを1コマ
火曜日
  • 9:00~14:00  
    昼食、授業準備
  • 14:00~16:00  
    初級前半クラスを1コマ
  • 16:00~18:00  
    授業準備、雑務
水曜日
  • 9:00~14:00  
    昼食、授業準備
  • 14:00~16:00  
    初級前半クラスを1コマ
  • 16:00~18:00  
    授業準備、雑務
木曜日
  • 9:00~10:00  
    授業準備、雑務
  • 10:00~12:00  
    初級後半クラスを1コマ
  • 12:00~16:00  
    昼食、授業準備
  • 16:00~18:00  
    初級前半クラスを1コマ
金曜日
  • 授業なし
休日 土日
  • 土曜日:残った授業準備を終わらせる、急を要する業務を処理する
  • 日曜日:基本的に休み

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

日本語教師である以上、どこで教えていても、長い準備時間から解放されることはないと思います。ただし、教案作りを目的化せず、常に授業をイメージしながら組み立てるだけで、余計なことに費やす時間は大幅に減ります。

また、語彙カードを学生に作らせたり、事前に似顔絵を描かせてゲームに使うなど、準備の段階から学生を巻き込むことによって、準備時間が短縮でき、学生の当事者意識も強くなるように思われます。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
参考になる書籍

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

大学は、カルチャーセンターや趣味で日本文化を体験する場ではありませんから、ただ折り紙や風呂敷を学習者に配れば学生にウケるというようなことはあり得ません。

一番必要なのは、日本語教師としての技術や知識、そして経験です。私自身、これらを日本でもっと集めておくべきだったと思っています。ドイツにいると、日本語教育に関する情報を得る場や気軽に相談できる人的リソースが必然的に限られてしまうので、生活が安定しているであろう日本国内でできるだけしっかり準備しておいた方がいいと思います。

就職活動

国選びで重視した点
  • その国の母国語が得意
  • もともとドイツに行きたいがために日本語教師になりました
現地における
日本語教師の需要
一部に人気があり、数は少ないが求められている
教育機関選びで
重視した点
求人があったから
応募時に
必要とされた資格
  • 修士号
  • ドイツ語能力
  • 英語能力
  • 教授歴
選考方法
  • 書類
  • 面接
面接地 スカイプによる遠隔面接

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

国際ビジネスの世界では英語が最重要言語ですし、ヨーロッパで中国のプレゼンスが高いことはもはや明白ですが、ドイツにおいてはビジネス日本語の需要は根強くあります。ほかにも趣味・教養としての日本語学習は、幅広い年齢層で人気です。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

志望動機や経歴、日本で日本語教師をしていた時の担当していた科目やレベルなどについて聞かれました。また、スカイプ上で模擬授業をしたので、それが終わったのち、練習や活動の狙いや目標に関しての質疑に答えました。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

大学の専任講師になるためには、修士号が絶対条件です。一般的に日本語教師としての経験は最低2-3年必要だろうと思います。

文法説明や授業外での業務でドイツ語を使わなければならないのでドイツ語はもちろんのこと、私の職場では英語を使う場面も多いため、これらの能力を証明する検定試験をお持ちだと有利です。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
indeed
ごくまれにですが、日本語教師の求人が出ます。
その他求人情報
紹介:ドイツで開かれるシンポジウムや学会に参加して情報を集める

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

専任であること、そして契約期限がないことが理由です。どうしても現在の勤務先でなければならない理由は正直に言うとなかったのですが、そもそも日本語教師の求人が少ない国なので、いくつか応募した中から拾ってもらったという感じです。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

子どものころから外国や外国語に興味がありました。通っていた学校の関係でたまたまドイツ語を学ぶ機会があり、それからドイツに住みたいと思いました。

ドイツにできるだけ長く滞在するにはどうすればいいのだろうと考えている過程で、日本語教師という仕事を知り、学部のときから検定試験の講座に通ったり、個人で本を集めたりして勉強していました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

自分の計画した授業が、狙い通りにはまって、学生たちが楽しそうに日本語を学んでいる姿を見るととてもやりがいを感じます。

他にも、授業で教えた文法や語彙を使って、学生たちが自身の思想や感情を表現しようとしているところを見ると、応援したくなり、そのためにもっと積極的にかかわっていきたいという気持ちが湧いてきます。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
養成講座や大学院に進む前に、まずはご自身が通う大学の留学生日本語センターの先生にコンタクトを取って一度授業見学をさせてもらうといいでしょう。きっと無碍に断る教師はいないと思います。見学をしているうちに、日本語教師の具体的なイメージがつかめ、自分が何をしたいのか、あるいはすべきかが自然に見えてくるはずです。

教師になるために容易に大学院を選択したがる人もいますが、注意してください。大学院は研究の場です。すぐに使えるワザ、小手先のノウハウが習えるのだと思っていると、数年損します。

【社会人の方へ】
社会人から日本語教師を目指すということは、すでに何かしらの積み重ねがあってのことだと思います。どんな経験でも教室で生かすことができますから、これから教授法や日本語学をしっかり身につけて、それとご自身の経験とブレンドすれば、将来深みのある授業ができると思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

安定したポジションに就くまで長い道のりを行かなければなりません。現在日本にいる場合はコネクションを作ることも難しいですし、ドイツに住んでいるだけですぐ日本語教師になれるというわけでもありません。

まずは覚悟を決め、教歴や資格を得るために実現可能なところから始めて、さらには常にアンテナを張り、情報収集に努めるようにしてください。

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