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海外日本語教師経験談

イギリス ロンドン 日本語学校(2024年) やりがいと報酬が得られる

👩 Harunaさん・ 33歳

総評

  • イギリス ロンドン 日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間:1年 (2023~2024年) *退職
  • 月収:20万円 (1,000£) *それだけでは生活は難しい
  • 勤務時間:1日1コマ・週5日勤務   *残業:残業なし

もともと、国語科の教員として勤めていましたが、2022年に留学のためにイギリスへ渡航しました。日本語教師を志したのは、国語の教員としてのバックグラウンドを活かせるということが理由です。また、日本にいた間にも、日本語を教える仕事をしていた経験があったので、スムーズに始められると考えました。

イギリスのロンドンを勤務地として選んだのは、単純にその周辺の大学に留学したためです。大学での勉強の合間に働きたいと考えました。幸い、ロンドンにはいくつか日本語学校があるので、仕事を探すのは難しくありませんでした。

日本では、中国人の学生を対象に教えていましたが、イギリスでは、欧米人の社会人が多かったです。イギリス人に限らず、いろんな国の生徒がクラスにはいました。それだけに、レベルを合わせるのが難しかったです。

というのも、中華系のバックグラウンドを持つ生徒は、初学者でも漢字を覚えるのが早いので、簡単に授業について来れてしまいます。一方で、欧米系の生徒にとっては、ひらがなを覚えるだけでも一苦労という様子でした。会話を中心としたレッスンだったとはいえ、授業のスライドやプリントが読めないとなかなか取り組めないので、苦戦している生徒もいました。

よく喋れる生徒でも、意外と学習内容をちゃんとは覚えていないため、復習が重要だと感じます。授業を進めていくうちに、生徒間のレベル差も出てくるようになりますが、下のレベルの生徒もついて来られるように、毎回の授業で復習は入念に行いました。

私が勤めていた学校では、日本語を初めて学ぶ生徒のグループレッスンが主な業務内容でした。グループレッスンなので、発言する生徒が偏らないように、ゲームやアクティビティを用いました。

勤務形態としては、1年間非常勤講師として勤めました。HPで日本語学校の求人を検索してヒットしたうちの、一番待遇の良さそうなところを選びました。学業の傍らに働いていたので、非常勤講師の働き方がちょうどよかったです。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

苦労したことは、宿題をやってこなかったり、授業に来なかったりする生徒が一定数居るということです。
その分、自分で復習してきてくれるならいいのですが、そうでもないため、どんどんクラスで差が広がっていきます。

ペアワークなどで、全く授業を理解できていない生徒と組ませて放置するわけにもいかず、こういう生徒は手がかかりました。

レベルの遅れが生じている生徒については、「人に教えるのが好き」というタイプの生徒と組ませるようにしました。が、正直なところ、クラスにいる生徒のタイプによるところが大きいです。出来ない生徒に目が行きがちですが、真面目にやっている生徒が損しないようにすることに最も気を配りました。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

もともと、イギリス留学中の期間限定で働いていたので、留学が終わるタイミングで退職しました。
日本語の教師としての経験はある程度積むことができたので、現在はそれを活かした別の職種に就いています。
別の業種を選んだのは、仕事の将来性を考慮したことが主な理由です。

給与

月収:20万円 (1,000£)
それだけでは生活は難しい

そもそも、留学生活の空き時間に非常勤講師として勤務していたので、生活費全般を賄う意図はありませんでした。

この仕事だけで生活していくのは難しいと感じます。
というのも、社会人向けのレッスンだと、平日の夜か週末しか開講できないため、そもそも働ける時間数が限られているためです。

さらに、欧米人の傾向かもしれませんが、ホリディはみんな休むという前提があるため、授業自体が開講されません。そうすると、その期間の収入は無いということになります。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:20万円

月収の内訳

  • 1コマ90分:11,695円

待遇

  • なし

雇用形態

  • 非常勤講師

勤務時間

  • 1日1コマ・週5日勤務   *残業 残業なし

長期休暇中の給与保証

  • 給与保証がない

仕事のかけもち状況

  • かけもちしている

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

先述の通り、レッスン教材は全て学校側が用意していたので、準備が間に合わないということは全く起こりませんでした。
学校とは別で、個人的にプライベートレッスンで教えている生徒もいたため、予定が重複しないように、ということはよく気をつけました。

また、レッスン後に宿題のメールを送る業務があったのですが、送り忘れに気をつけていました。
メール自体はテンプレートがあったので簡単なのですが、レッスンが終わった安心感で、いつも忘れそうになっていました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス7人
  • プライベートレッスン
  • 企業研修

学習者層

  • 大学生
  • 社会人

イギリスで日本語を教える前に準備すべきだったことは?

テキストや道具類は、かなり学校側が揃えていてくれていたので、不足は感じませんでした。
アニメ好きの生徒が多かったので、日本のポップカルチャーについての知識が私にもっとあったら、盛り上がったかもしれません。
イギリスで観られる日本のアニメは結構限られています。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • みんなの教案 Langoal
    教案や語彙などが項目別に掲載されています。 イラストが多いので、授業でそれを見せながら会話練習をしました。 すでに授業の流れのイメージができている人が、必要な箇所だけ取り上げて使うのに便利なサイトです。
  • みんなの教材サイト
    日本語教育に関する、幅広い情報が掲載されています。 練習問題や教案なども豊富にあり、授業のアイデアを得たい時に見ていました。 すでにある程度教師経験がある人が、授業を工夫したいときにおすすめです。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • みんなの日本語初級Ⅰ第2版 教え方の手引き 対象: 初級・中級
    「みんなの日本語」を用いた授業を行う際の、授業の進め方が書いてあります。 昔、「みんなの日本語」を使用する学校に勤めていた時に購入しましたが、それ以後も授業の進め方を考えるのに使っています。 会話の練習の基本的な進め方がわかるので、初めて授業をするような先生にもおすすめです。
  • GENKI: An Integrated Course in Elementary Japanese I [Third Edition] 初級日本語げんき[第3版] 対象: 全レベル
    本来は学習者向けの参考書ですが、教師にとっても便利です。 「みんなの日本語」と違って、英語で説明が書かれているので、英語圏で授業をするのに役立ちました。 複雑な文法について英語で教えたい場合におすすめです。

就職活動

どのように就職活動を行いましたか?

LinkedInやMixBなどの求人サイトを使ったり、Google Mapで日本語学校を探したりして応募しました。
今回はGoogle Map上でたまたま見つけた学校です。
二社応募して、待遇のいい方を選びました。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

今までの職歴について聞かれました。
面接は全て英語で行われたため、基本的な質問の回答は英語で準備しておきました。
私は日本語教師の資格は持っていないので、国語の教員免許がいかに活用できるかということを力説しました。

模擬授業ではどのような課題が与えられましたか?

課題は、出身地と国を教える(20分)というものでした。
会話中心のレッスンと聞いていたので、生徒が喋るターンが多くなるように構成しました。
ハキハキ喋っているところ、内容が難しすぎないところ、がよかったと後で面接官からコメントをもらいました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

需要自体はあると思います。今は日本へ旅行へ行きたい欧米人が多いので、旅行の前に簡単な会話を勉強したいという生徒が多かったです。

ただ、YMSビザの給付率が上がったため、職を得ることの競争率は高くなりそうです。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • MixB
    日本語教師に限らず、日本人向けの求人が紹介されているサイトです。ロンドン在住の人はみんな使っていると思います。
  • LinkedIn
    正社員を目指すような人におすすめのサイトです。職歴を公開するので、関連する経歴が無いと厳しいと思います。
  • 日本語教師の集い
    日本語教師の求人を探している人は大抵使っているサイトだと思います。海外の求人情報も載っていますが、ヨーロッパの求人は少なめです。

就職活動で有効な手段は?

  • 『大学の求人メール』
    イギリスの大学に通っていたので、大学からのオフィシャルなメールに求人情報が掲載されていることがありました。
  • 『大学のJapan Societyからの紹介』
    大学のSocietyというのはサークルのようなものです。大きな大学だと、日本人サークルがあることが多いので、そういうところで紹介してもらえる可能性があります。(が、無給ボランティアが大半かと思います。)

国選びで重視した点

  • たまたま条件に合う求人があった
  • 留学

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 人気があり、一定数の学校で求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 給与・待遇
  • 通勤時間
  • 利便性の高い場所

応募時に必要とされた資格

  • 英語能力
  • 社会人経験

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業

面接方法

  • 現地にて対面で実施

日本語教師全般に関する質問

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

生徒が日本語や日本文化に興味を持って、熱心に取り組んでくれた時です。日本で中華系の生徒を教えていた時は、日本の大学受験を目的とした学習でした。しかし、イギリスで日本語を学んでいる人の多くは、純粋な日本文化への興味関心がモチベーションです。それを向上させられた際には、達成感を得られました。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

正直なところ、あまりそういった経験はありません。以前、日本の学校で教員として勤務していたことがありますが、その際は生徒のモチベーションを引き上げるのが難しかったです。一方、社会人であえて日本語を学ぼうとしている人は、最初から自分の中で学習意欲や目的を確立している人が多いので、私も教えながらポジティブな気持ちになれました。

イギリスで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

日本語教師の需要に対して、供給が余っているということが最大の注意事項だと思います。
まず、イギリスでフルタイムの日本語教師の仕事を探すのはかなり厳しいと思います。
YMSビザの広がりもあり、日本語を教えられる人材は増えている一方で、日本語自体に需要はそこまで無いと思います。

民間の日本語学校だけでなく、現地校のAレベルの日本語や、日本語補習校の教師も視野に入れて求人を探した方が良いと思います。
ただし、こういった求人は、職歴が無いと採用されにくいと思います。そして、どんなタイプの学校であれ、フルタイムの求人はほとんどありません。フルタイムでなければ、ホリデーシーズンは給与が発生しませんので、日本語教師一本で生計を立てるのは難しいと思います。

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