元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

台湾の日本語学校 経験談

親切であたたかい学生たち

公開:2015/12/19
luckytaiwan(女性・29歳) 
資格・課程
台湾の民間日本語学校での
経験詳細
  • 地域:桃園
  • 月収:78,000円(約26,000台湾元)
    現地で生活をするのに十分
  • 常勤講師(非正規雇用・フルタイムで勤務)
  • 2年10ヶ月
    (2011年4月~2012年12月)(常勤)
    (2013年10月~2014年12月)(非常勤)
    *現在は退職

ずっと海外で働きたいと思っていたのですが、できれば日本から近い国がいいなと考えていました。

養成課程での研修旅行で初めて台湾を訪れ、現地の人たちの優しさに触れて「ここなら生活できるかな」と思い、台湾で日本語教師になることを決めました。

研修旅行で1度訪れたことがあると言っても、就職先は台湾の地方都市だったので台北とはまた違うし、中国語もほとんどできなかったので、最初は戸惑いました。

しかし同僚の先生はもちろんのこと、台湾人の学生さんにもたくさんの場面で助けてもらいました。特に台湾に来て3ヶ月くらいの頃に、台湾に来る前に新調したパソコンが壊れてしまったのですが、その修理の為に奔走してくれたのも学生さんでした。

その学生さんたちの日本語は初級レベルではありましたが、簡単な日本語で説明したり、漢字を書いたりして(中国語と日本語の漢字が全て同じわけではありませんが、「こんな感じかな」とイメージはしやすいようです)、懸命にパソコンの状況を理解しようとしてくれました。

最後には私の代わりにパソコンを修理に出し、持ってきてくれて、本当に感謝の気持ちでいっぱいでした。

また、日本で生活している時は毎月のように祝祭日がありましたが、台湾ではとても少なく、日曜日に祝祭日がかぶったりしても基本的に振替休日はありませんでした。

週休1日で、更に祝祭日が少ないのは思った以上にきつかったです。特に新人の頃は週に1度勉強会(他の先生たちの前で模擬授業をする)があったのですが、授業の準備と勉強会の準備を同時に進めていくのは大変で、休みはあってないようなものでした。

学生さんの年齢層はかなり幅広く、私は4歳から50代ぐらいの方を教えてきました。

成人している学生さんは皆熱心でしたが、子どもは自分の意志でなく親に勉強させられている子もいて、そういう子はなかなか単語を覚えてくれなかったり、授業が思うように進まなかったりして大変でした。

上記の通り学生さんたちは親切な人がとても多く、特に台湾人は教師という立場をとても尊重しており、私よりずっと年上の学生さんでも「先生、先生」と親しみを込めて呼んでくれました。

いっしょに食事に行くこともよくあり、とても楽しい時間を過ごしました。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

私が勤務していた学校では、校内の初級クラスの授業は基本的に台湾人教師・日本人教師各1回ずつの週2回となっていました。

日本人教師の授業は直接法でしたが、まだ五十音を始めたばかりの学生さんたちにオール日本語の授業はやはり難しく、始めのうちは中国語もほとんどできなかったため、指示の仕方や何か質問された時にとても苦労しました。

もし日本語での回答がその学生さんにとって難しすぎる、でも中国語でも何て言ったらいいかわからない、という時はペアの台湾人の先生に回答をお願いしたり、中国語で何と言うのか聞いたりしました。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

今後のこと(子どもができた時など)を考えて、在宅でできる仕事をしたいと思うようになりました。

もともと翻訳の仕事にも興味があったため、今は翻訳に関係する仕事を探しながら、オンラインで日本語を教えています。

給与・待遇

月収 月収:78,000円
月収内訳
  • 基本給:48,000円
  • 住居手当:9,000円
    外部派遣手当:300円×時間分
  • 授業50時間を超過で、時給1050円で授業
現地の月収事情
  • 市民の平均月収
    84,000円(28,000台湾元)
  • 最低限必要な月収
    75,000円(25,000台湾元)
基本労働時間 1日5~6時間 週5日勤務
残業(時間外労働) 1ヶ月合計50~60時間
授業の準備/事務作業
待遇
  • 残業代
  • 保険(台湾の健康保険)
  • 健康診断
  • 現地語学レッスン受講
教育機関が
用意してくれたもの
  • ビザ申請費用
  • 住居費用一部負担
クラスの長期休暇 長期休暇はない

日本人が観光で台湾に行くと「物価が安い!」という印象を持つかもしれませんが、実際に現地の給与で生活してみると決して安くはありません。

外食文化が盛んなため、一人暮らし用のワンルームなどではキッチンすらない部屋もあり、1日3食外で食べるということも普通で、外食は日本と比べて安いです。ただ、私は台湾料理は苦手な物が多く、健康面も考えてできるだけ自炊していました。

自炊していた分、食費は一般の一人暮らしの台湾人より高くついていたかもしれませんが、わずかながら貯金もできましたし、月に1、2回は台北に行って日本の味を楽しんだりもしました。

他の学校ではどうかわかりませんが、私のところでは夏休みの時期(7、8月)に授業が多くなり、春節前後(1、2月)は授業が少なくなる(特に個人レッスンのキャンセル)傾向がありました。授業が少なくなれば給与も減るので、春節前後は1ヶ月20000元以下ということもありました。

私が勤務していた学校では、常勤教師(日本人)は基本的に学校があるビル内の一室に部屋を借りて住んでいたので、学校までの交通費などはかかりませんでしたが、台湾の会社では一般的に交通費は支給されないそうです。

非常勤の台湾人の先生たちは学校までの交通費は自己負担でした。(派遣先に行く時は別途支給されました)

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

有給がありませんでした。(家族や友人が台湾に来るなどという時、休みがもらえないことはないですが無給です。)

唯一の長期休みである春節休みもカレンダー通り(赤文字のみ)の5日間と、他の学校と比べても短かったと思います。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態
  • クラス授業:1クラス約7人
  • プライベートレッスン
  • 派遣授業(企業、高校など)
学習者の年代 一番下で4歳から50代ぐらいの方に教えました
1日の時間割
  • 10:00~12:00  
    授業準備
  • 13:00~14:30  
    個人レッスン
  • 18:00~20:00  
    個人レッスン
  • 20:10~21:30  
    初級クラス
  • 22:00~23:30  
    テストの採点、授業準備など
休日 日曜日と祭日

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

授業は午後や夕方から夜までということが多く、午前中は準備をしたりできたのですが、土曜日は学生さんが多く、朝8時から夜まで授業ということもあって、昼食を食べる時間さえなかったりしました。

土曜日の授業の準備を平日に少しずつ進めていくのがちょっと大変でした。

台湾の日本語学校のほとんどが休みは日曜日のみ、というところが多いと思います。また、日本と違って祝祭日もとても少ないです。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
日本語教師の教案   
対象者:初級 
教案や授業の流れを参考に見る
日本語教師のN2et   
対象者:初級
教案や授業の流れを参考に見る
日本語教材図書館   
対象者:初級・中級
活用方法:例文や教材などの検索
参考になる書籍
初級を教える人のための日本語文法ハンドブック:スリーエーネットワーク   
対象者:初級
文型の分析、教え方の注意点などを考える
日本語文型辞典:くろしお出版   
対象者:全レベル
例文を挙げる時や、文型説明の時の参考に
おたすけタスク初級日本語クラスのための文型別タスク集:くろしお出版   
対象者:初級
練習方法の参考に

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

ここでお話するのもお恥ずかしいのですが、お金です。

日本語関連の教材や教科書などのことばかり頭にあって、一人暮らしで住み始める時に部屋の契約などいろいろとお金がかかることについてあまりよく考えていなくて、焦りました。

準備してよかったものは、やはり日本語関連の書籍です。現地でも購入は可能ですが、かなり割高だし、日本ほど種類が豊富ではありません。

就職活動

国選びで重視した点
  • 治安
  • 親日国
  • 渡航経験があった
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 必須資格
  • 使用されている教授法
選考方法 メールでの書類選考

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

テレビで日本の番組やアニメを放送していることもあり、日本に興味を持っている人がとても多いです。

また、私が住んでいた桃園では日系企業は台北ほどではありませんが、日本企業と取引がある台湾企業が多く、その関係で日本語を学びたい(学ばなければいけない)という人も多く、特にビジネス日本語もできる教師の需要は多いのではないかと思います。

ただ、一時期と比べると学校内の授業は減っているし、韓流ブームの影響で韓国語に興味を持つ人も増えている、という話を耳にしたことがあります。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

個人的に日本での社会人経験はあった方がいいと思いました。

ビジネス日本語や日本の会社での習慣などを教えて欲しいという学生さんもよくいたのですが、私自身は会社での社会人経験はなかったため、インターネットで調べたうわべだけの情報を伝えるだけになってしまって、「社会人経験があったら」と思うことがありました。

中国語のレベルは私が勤務していた学校では問われませんでしたが、やはり多少はできた方がまずは生活する上で安心ですし、教える時にも注意するべき点に気付けたりするかと思います。

例えば「風が強いです」という時に中国語では「風很大」と言うのですが、そのまま訳して「風が大きいです」と言ってしまう学生さんがいます。そういう違いも知っていれば、「風」という単語を教える時にいっしょに教えたりできるのではないでしょうか。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

もともとはインターネットで自分で求人情報を見つけてその学校に応募したのですが、後から同じ養成科出身の方がその学校に勤めていることがわかりました。

その先生から学校の雰囲気などをお聞きすることができ、先輩もいるなら安心、とその学校に決めました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

もともと語学にとても興味があり、語学に関する仕事がしたいと考えていました。

大学時代に留学先で日本語の授業に参加させていただいたのですが、その時に学生さんたちが一生懸命日本語を話そうとしていたり、漢字を熱心に練習していたりする姿を見て、「私もこういう学生さんたちの手伝いができれば」と思ったのがきっかけです。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

「やっていてよかった!」と一番思ったのは、学生さんが日本語能力試験に合格して、学校に報告しに来てくれた時です。

学生さんの努力があってこその合格なのですが、「先生のおかげで合格できました!」と言ってくれると、「少しは自分も力になれたんだ」と嬉しくなりました。

誕生日や最後の授業の時に日本語で書いたメッセージカードをくれたりしたこともとても嬉しかったです。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

辞めたい、と思うほどではありませんでしたが、他の先生が体調を崩して代講をたてなければならない、ということがあって、たまたまその時間が空いていた私にかなりの数の代講が回ってきた時は精神的にも肉体的にもきつかったです。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
まずは近くのボランティア日本語教室などに行ってみることをおすすめします。私も養成講座に通っていた頃に地元の日本語教室に何回か参加させていただきましたが、日本語のどういうところが難しいのかなど学習者と話したり、教え方をいろいろ考えるようになったり、とてもいい機会をもらいました。

【社会人の方へ】
学生の方と同じく、近くのボランティア日本語教室などに行ってみることをおすすめします。

「今から始めても遅いかな……」なんて、思っていますか?そんなことはありません!ビジネス日本語や日本のビジネス習慣を勉強したいという学生さんも特にアジアでは多いと思います。

私自身はアルバイト以外の社会経験がなく、インターネットで調べた情報くらいしか教えることができず、「社会人経験があれば」と思ったこともありました。

社会人経験は日本語教師になっても十分生かせます。むしろ、是非その経験を生かしてください!

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

台湾は日系デパートがあり日本食材も(高いですが)手に入り、日本から進出してきた飲食店も多く、何より台湾人は日本好きな人が多いので、日本人には比較的暮らしやすいのではないかなと思います。

台湾での日本語教師の仕事は休みが少なかったり、夜も遅かったりと楽ではないですが、学生さんとのふれあいは本当に楽しいです。

学生さんからよく「そんなの知らない!」ということを聞かれたりするので、日々日本に関する情報にアンテナを張り、「日本」に敏感になってください!

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