元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

スリランカの青年海外協力隊 経験談

日本語が大好きな学生たちに出会えます

公開:2018/08/22

こでらゆか(女性・32歳) 
日本語教師歴 5年 (2008年~2010年/2015年~2018年)
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程
スリランカの青年海外協力隊
経験詳細
  • 地域:コロンボ
  • 月収:3万6000円(約300ドル)
    現地で生活をするのに十分
  • 巡回日本語教師
  • 2年(2015年~2017年)
    *現在は退職

スリランカは現地語であるシンハラ語で「光り輝く島」という意味の小さな島国です。私はこの国に青年海外協力隊・日本語教育隊員として首都コロンボに派遣されました。

私の主な仕事はスリランカのシンハラ語圏(スリランカではシンハラ語・タミル語と2つの公用語があります)の公立中学校・高校での日本語巡回授業です。

シンハラ語圏には約130校、高校・大学受験科目の外国語選択授業で日本語を勉強できる学校がありますが、それまで日本人教師が授業に入ったことは一度もありませんでした。

そこで私は2年間で約30校の学校へ行き、授業を通して現地教師への授業アドバイスや日本文化、行事のお手伝いといった活動を行いました。

はじめは学校へのツテもなく、見ず知らずの外国人を手放しで受け入れてくれる学校は少なかったのですが、授業をしていくうちに現地の先生が他の学校の先生に私を紹介してくれたり、SNSにアップしてくれたりして「私の学校にも来てください!」と直接依頼をもらえるようになりました。

そしてコロンボ以外にも泊りがけで地方の学校へ行くこともありました。現地ではインフラがまだ安定せず、停電・断水の他にコピー機などの設備や教室すらなく、校庭で生徒が立ったまま授業をしている学校も少なくありません。そのため、少ない設備でも楽しく生徒が学べるアクティビティを盛り込んだ授業を実施し、私がいないときも現地の先生が真似しやすいような授業の工夫をしました。

また、夏休みなどの長期休みなどは全国の日本語の先生を集めて教え方セミナーを開催したりもしました。中にはガタガタのバスで片道9時間かけて来てくれる先生もいました。スリランカの先生たちは日本語への情熱は人一倍あり、私をいつも助けてくれました。

もちろん仕事だけではありません。休みの日は生徒や生徒の家族と海へ行ったり家で日本食パーティーをしたりスリランカの民族舞踊を習ったり、毎日毎日が刺激と楽しい思い出がいっぱいです。スリランカで暮らした2年間は私の宝物です。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

南国ということもあり、スリランカ人は大らかであまり細かいことは気にしません。そのためか時間にルーズで約束の時間に平気で遅れてきたり、ドタキャンしたりします。

それまで時間で動くTHE・日本人だった私ははじめはイライラしたり「どうして時間通りに来ないの?」と不満でした。しかし、「郷に入っては郷に従え」。不満を漏らすのではなく受け入れると決めてからはそんないい加減な人たちもかわいらしく見えるようになりました(笑)

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

青年海外協力隊の任期は2年間なので、任期を満了して帰国しました。

本当は期間を延長したいくらいでしたが、良い意味で私がいなくても現地の先生が自立してより良い授業を作っていくのが一番いい形だと思います。今でもメールなどで授業の相談にのるときはあります。

給与・待遇

月収 月収:3万6000
月収内訳 基本給:3万6000円
基本労働時間 1日6時間 週5日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇
  • 健康診断
  • 現地語学レッスン受講
教育機関が
用意してくれたもの
  • 住居費用負担
  • 家具、電化製品
  • ビザ申請費用
  • 日本との往復航空券
クラスの長期休暇
  • 夏休み:30日
  • 正月休み:14日
クラスの長期休暇中の
給与保証
仕事はないが、給料は支給される

給与については生活するのには全く困らない程度はもらっていました。しかし、それは現地の人と同じレベルで生活していればという話です。

外国人観光客のように毎日レストランで食事をしてタクシーで移動していればあっという間に底をついてしまいますが、ローカルバスで移動し、近所の食堂でカレーを食べていれば(スリランカでは毎食ほぼカレーを食べます)問題なく生活できます。そうやって毎月少しづつ余ったお金を貯めて国内旅行をするのが当時の楽しみでした。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

他の機関も私とだいたい同じくらいの待遇だと思います。しかし、公立の学校には国の機関からの派遣でないと入れないため、ほとんどが民間の日本語学校の求人を探して応募することがほとんだと思います。

民間の学校は経営者がスリランカ人か、日本の学校と提携しているかなどで待遇が少し違ってくるので応募の際によく内容を確認する必要があります。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス15人
学習者の年代
  • 中学生
  • 高校生
1日の時間割 月曜日
  • 7:30~13:30  
    中学生クラス1コマ 高校生クラス2コマ 現地教師とミーティング
火曜日
  • 7:30~13:30  
    中学生クラス1コマ 高校生クラス2コマ 現地教師とミーティング
水曜日
  • 7:30~13:30  
    中学生クラス1コマ 高校生クラス2コマ 現地教師とミーティング
木曜日
  • 地方の学校へ巡回のため移動(バスで3時間))、明日の授業準備
金曜日
  • 7:30~13:30  
    地方巡回授業 高校生クラス2コマ・終了後帰宅(バスで3時間)
休日
  • 土:1日休めていました
  • 日・祝:月に1回の日本語教師会参加、運営メンバーとしてミーティングに参加

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

巡回授業は毎日行く学校が変わります。そのため曜日や授業時間の調整や生徒の授業頻度を現地の先生に前もって確認しなければなりませんが、前日まで時間が分からなかったり、学校へ行ってみると行事で授業が潰れていたり、空いている教室がなく、他の教科で使っている教室の半分を貸してもらったり、何もトラブルがない日が珍しいくらい毎日いろいろなことが起きます。

しかし、「AパターンがダメだったらBパターンにしよう!」といくつか自分の中で解決パターンを持っていくとトラブルすら楽しめるようになりました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
みんなの教材サイト
登録制ですがいろいろな授業に役立つ教材やゲーム、アクティビティなどが掲載されているのでよく利用していました。先生たちへの教え方セミナーでもこのサイトとを紹介したところ好評でした。今でもよく使用しています。
参考になる書籍
おたすけタスク初級日本語クラスのための文型別タスク集    
対象者:初級
初級文法の授業のときのゲーム・アクティビティ用にいつも参考にしています。中学生・高校生は集中力が短いので1コマの授業に飽きないように「楽しい且つ学習もできる」ようなアクティビティを盛り込みました。普段講義形式の授業に慣れきっている生徒たちもはじめは戸惑っていましたが、楽しんで積極的に授業に参加できる環境を作れるよう努めました。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

荷物にならないように渡航時は教材をすべてスキャンしデータで持っていったのですが、現地にはどこにでもプリンターがあるわけではなくお店に行ってプリントしてもらわなくてはいけないということを行ってから知りました。お店では大量にプリントできないし、年期の入った古い機械しかないので故障すると半日待ってくれと言われたり、なかなか思い通りにいかず、こんなことなら少し荷物になっても原本を持って来ればよかったと思いました。

また、日本文化の体験授業(浴衣、書道道具、けん玉など)はとても好評でしたので持っていった方がいいと思います。

就職活動

国選びで重視した点
  • 気候
  • 日本との距離
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
学習者が学生
応募時に
必要とされた資格
選考方法
  • 書類
  • 面接
  • WEB記述試験
面接地 日本国内:東京

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

スリランカは親日国で、日本語も人気があります。日本語を習いたいという人も多く、地方都市でも日本語を話せる人を何人か見かけます。しかし、首都コロンボでも日系企業は少なく現地で日本語を使った仕事はあまりなく、日本語自体は人気でもその後の就職の足掛かりになることはあまりないのが現状です。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

スリランカを希望した理由や、「もし外国人に日本文化を教えることになったらどんなことをするか」などの質問でした。また、日本語学習者の誤用をどうやって訂正するかなどの質問もありました。面接官は3人くらいいたように思います。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

日本語教師としての資格はもちろん、現地教師への授業アドバイスもしなくてはならないため一定の経験が求められます。また、日本文化セミナーのお手伝いも頼まれることが多く折り紙のレパートリー、浴衣の着付けはとてもよくやりました。

スリランカの公用語はシンハラ語とタミル語ですが首都は多言語社会なので英語を話す人が多いです。日常会話ができれば問題ありません。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
  • 日本村
    特別掲載としてJICAや国際交流基金の求人が載っている海外求人は国に偏りなく掲載されているケースが多い。
  • そうがく社
    待遇や選考方法などが詳しい。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

一番の決め手は前任者がいない新規案件だったことです。活動をしていくうえで、どうしても前任者と比べられてしまったり、同じ方向性で進めなければならない状況が嫌でした。決められた道で活動するより自分で道を作るところから始めたかったので、どちらかといえば国ではなく自分が1代目として働きたいという思いで選びました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

元々英語や国語が得意で中学生のときから日本語教師になりたいと思い、大学も日本語教育が主専攻で学べる学科があるところを選びました。海外で日本語を教えたいと思ったきっかけは大学時代に留学生の友人が多く、彼らの影響で異文化の中に自分の身をおいて生活してみたいと感じたからです。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

一生懸命勉強する生徒たちと日々接する中で「日本語大好き!」と言ってもらえる時です。

また、生徒の保護者からも「あなたが来てから楽しそうに宿題をしている」と教えてもらったときや、生徒が教えた文法を使って会話やメールができるようになったときはとてもうれしくなります。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
まず日本語教育の知識をしっかり頭に入れ、チャンスがあれば日本語ボランティアなどに参加してイメージをつかむ。日本語教育能力試験の勉強をできれば尚良い。(社会人になると勉強する時間がほとんど作れないため。)

【社会人の方へ】
仕事は辞めない方がいいと思います。仕事を続けながら資格を取るか、夜間や土日で通える420時間コースを受講する。休日に日本語ボランティアに参加するなどしてイメージをつかむ。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

旅行だけでは味わえない刺激的で充実した日々が過ごせること間違いなしです。

生まれた環境も文化も違う人々と関わることは大変ですが、あいうえおすら書けなかった生徒が少しずつ成長し、日本語で手紙をくれたときの感動や、一生懸命日本語で会話しようとしている姿を見ることは何にも代えがたい自分の財産になると思います。

チャンスがあるなら迷わす飛び込んでみてください!

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