元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

カナダの日本語学校 経験談

日本語文化へ理解を促すことも役割のひとつ

公開:2017/08/09

chocoemasan(女性・33歳) 
日本語教師歴 2年 (2011年~2017年)
*ブランクあり
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程 日本語教師養成講座420時間(NAFL日本語教師養成講座)
カナダの日本語学校
経験詳細
  • 地域:サスカチュワン
  • 月収:8,600円(100ドル)
    それだけでは生活は難しい
  • 常勤講師(非正規雇用・フルタイム)
  • 2年(2015年~2017年)
    *現在も就労中

日本語教師として活動することとなったきっかけは、最初にワーキングホリデーで渡航した街で直接、日本語学校の校長先生とお会いする機会があり、その人柄にひかれたこと、また日本語学校でアシスタント教師を募集していたこと知ったからです。その後、別の街にて日本語学校の教師をする機会を得て今に至ります。

通う生徒は、主に日本語を継承語として学びたい子ども達です。彼らは日常を英語もしくはフランス語の義務教育下にいるため、どうしても日本語を学ぶ機会が家庭中心になりがち、また学年があがるにつれて英語、フランス語の割合が高くなりがちです。そのため、生徒の日本語を学ぶモチベーションを高め、興味を引き出すと同時に、日本語の文化への理解を促すことも教師の役割の一つだと考えています。


文化活動のひとつとして神輿をかつぎました

とは言え、生活をこれだけで成り立たせることは不可能で、それ以外の仕事なり収入を得ることは必須です。実際、授業の開講日は週末が中心なので、他に仕事を持つことは難しくありません。

授業の用意に関しては、手に入る教材が限られているため、オリジナル教材を用意したり、また一つのクラスでの能力にばらつきがあるため複数の教材の用意が求められるので、その苦労は少なからずあります。


ひらがなに親しむために作ったオリジナル教材

給与よりも、教師としての経験や、やりがいに価値を見出せる人には向いているかと思います。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

日本語教師として苦労したことは、まず教材が手に入りにくいということです。日本語を継承語として学ぶ生徒を対象としているので、彼ら向きの教科書を探すのは容易ではありません。

日本の書店から取り寄せたり、日本語の教科書から適切なものを探して使用したりしています。

また、無料でインターネットから印刷できるものもありますが、ほとんどは日本に住んでいることを前提に作成されているため、日本の季節、文化などのバックグラウンドがない子ども達にそのまま応用することは難しく、手作りの教材作りに時間がどうしてもかかってしまいます。

給与・待遇

月収 月収:8,600円
月収内訳 基本給:8,600円
現地の月収事情
  • 市民の平均月収258,000円(3,000ドル)
  • 最低限必要な月収
    172,000円(2,000ドル)
基本労働時間 1日2時間 週1日勤務
残業(時間外労働) 1ヶ月合計6時間
授業の準備
待遇 継承語学校講師向けのセミナー 年数回
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇 公立教育機関に準ずる  
クラスの長期休暇中の
給与保証
長期休暇中は仕事をしていない 

非営利団体という位置づけなので、給与や待遇を求めて働くというより継承語として日本語を次の世代に伝えたいと思いながら活動しています。

また、カナダならではなのですが、多くの継承語学校が存在し、それを支える組織があります。その組織を通じて、様々な継承語学校で活躍する講師と情報交換や外部からの講師を招いて教授法を学んだりしています。

給与や待遇を求めるならば、大学などの高等教育機関での講師になる方が需要は少ないですがよいかと思います。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

給与、待遇面で言えば、大学などの高等教育機関で講師として働く方が安定した給与が保証されるでしょう。その分、仕事に求められる部分は高くなると思いますが、経験値としてもそちらの方が高く評価されるのではないでしょうか。ただし、そこで働くには、言語学などの特定の分野で修士以上が必須になるかと思います。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス10人
学習者の年代 小学生
1日の時間割 土曜日
9:40~11:45  
総合2コマ
休日 日~金
土曜日のみ開校です。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

一週間での授業時間が少なく、限られているため、授業で取り組む課題の取捨選択が大変です。また、詰め込みすぎの授業になると、生徒達は圧迫感を覚え楽しんで通えなくなってしまうことが懸念されます。そのため、文化継承の時間には、工作を取り入れたりしています。宿題についても、平日の学校生活に影響しない程度に様子を見ながら出しています。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
参考になる書籍

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

日本の文化継承を目的として、日本各地の文化的な写真、日常の写真、祝日・祭日の様子、学校の様子などを複数用意しておけば良かったと思いました。

インターネットからも見ることはできますが、自分の経験も含めて説明する際の材料としてオリジナルの写真は有効です。

また日本の100円均一で購入したひらがなカード、地図、五十音表などは小学生の授業ではゲームに使えたり、板書に張っておいたりと大変役に立ちました。

就職活動

国選びで重視した点
  • 治安
  • 渡航経験があった
現地における
日本語教師の需要
ほとんど求められていない
教育機関選びで
重視した点
  • 学校の規模
  • 通勤時間
応募時に
必要とされた資格
なし
選考方法 面接
面接地 海外(現地)

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

継承教育として、一定の需要はありますがある程度の規模の都市にならないと日本語学校として成り立たないため、日本語教師として働くのは難しく感じます。日本語を使う企業への就職を視野に入れての日本語教育の需要は、継承教育に比べるとさらに低くなるでしょう。

アニメやマンガなどを通して、日本語への興味を持ち大学などの高等教育機関で学ぶ人が多いようですが、地理的に近いスペイン語圏の影響もあってスペイン語を学ぶ人に比較するとかなりの差があるのではないでしょうか。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

これまでに似たような経験があったかと、以前の日本語学校での勤務について聞かれました。また、待遇や勤務形態についての確認、日本語学校としての役割、成り立ち、教える生徒の日本語のレベルや使用状況などの話がありました。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

継承語として教える際、生徒はすでに何らかの言語を学び、日常的に使っています。私の場合は英語、フランス語を学ぶ生徒でしたが、年齢が上がるにつれ英語などで理解していきたいと思うようです。そのため、現地の言語がある程度話せ、説明できるレベルだと教える生徒によってはとても役立つと思います。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報
紹介:現地の教師を通じて

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

教師が生徒数に対して、圧倒的に少なく、募集をしていることを知りました。以前いた街での日本語教師としての経験を活かしたいと感じていたこと、教師として、穏やかに子どもの目線で対話ができることが求められていたこともあり、自分に向いていると感じました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

海外で働きたいと以前から考えていたのですが、自分のこれまでのスキル以外にも、何か役立つスキルが欲しいと思っていました。

学生時代に塾の講師をしていたこともあり、教えることに対してはとても興味があり、やりがいを感じていました。偶然、日本語教師育成講座の存在を知り、その学費が適当であったこと、学習時間の確保ができることからまずは養成講座で学ぶことから決めました。

日本語を語学として学ぶことは大変面白く、それを人に教えることは大変ですが楽しいのではないかと段々その思いが強くなり、現在の仕事に結びつきました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

生徒とのコミュニケーションで、「あ、わかった」と嬉しそうな顔をした瞬間、生き生きと学んでいる様子を見る瞬間にやりがいを感じます。

また、生徒はカナダの文化、日本の文化の二つを肌で感じながら育っているので、会話の間にその違いを発見し、日本の習慣や文化、日本の良さを改めて発見したり、別の視点を得ることに楽しみを感じています。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
もし大学などで資格が取れるのならば、ぜひその授業を受けるべきだと思います。社会人になってから養成講座もありですが、圧倒的に時間が確保でき、就職までの猶予期間があるのでじっくり将来について考えられるからです。大学での日本語教師を視野に入れる場合も、カナダでの日本語教師の需要が少ないこともあり、修士資格以上が就職に有利になるでしょう。

【社会人の方へ】
カナダでは、日本語教師の需要は極めて低いです。そのため、教師以外の生活の糧をまず確保することが大切になってきます。養成講座などで準備をするとともに、現地で就職できるスキルを得ること、現地語を学ぶこと、貯金をすることが大切だと思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

一定の需要があるものの、なかなか教師としての生活は成り立ちにくいのが現状です。自分の生活をまずは安定させた上で、日本語学校などへ直接問い合わせること、ボランティア、アシスタント講師からスタートできないかぜひ交渉してみてください。

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