日本語教師になるための勉強とは?
「日本語が母国語なんだから、日本語なら教えられる。わざわざ勉強をする必要があるの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
実際に「日本人なら、教えられるでしょう?」という質問を受けることが度々ありましたが、やはり日本語を教えるための知識は必要だと、日本語教師経験があるからこそいえます。
その理由をイメージしやすいように、日本語学習者から受ける質問や誤った日本語の使い方を見てください。
質問例
「私は田中です」と「私が田中です」は何が違いますか?
質問例
「スーパーに行ったら、田中さんがいました」
「スーパーに行くと、田中さんがいました」
「たら」「と」は何が違いますか?
みなさん、この違いを説明できるでしょうか?
このようなニュアンスや意味の違いを説明するのは、とても難しいという事が分かると思います。
また学習者が、以下のように間違った日本語を話した際は、正しい日本語に訂正するだけではなく、なぜ間違っているのか文法的なルールを説明しなければなりません。
誤った日本語の使用例
大きいの本を買いました。
「の」は名詞と名詞を繋ぐ助詞です。形容詞と名詞を繋ぐ時は、間に「の」は入れません。
形容詞と名詞が並んだ時、且つ形容詞の最後が「い」の時は「大きい本」と、そのまま言葉を繋ぎます。これは、初級クラスの始めに勉強する内容です。
するとその後、学習者はこんな日本語を使うことがあります。
誤った日本語の使用例
きれい花を買いました。
本来は「きれいな花」が正しい日本語ですが、形容詞の最後が「い」で、名刺と並んだときはそのまま言葉を繋ぐ、と習った学習者は、このような間違った日本語を話すことがあります。
学習者からすれば、なぜ間違っているのか理解ができません。
別の例を見てみましょう。こちらも形容詞に関連するよくある例です。
誤った日本語の使用例
「川がきれいだと思う。」
「日本語は難しいだと思う。」
上の「い」+「だと思う」は間違っていないのに、下の「い」+「だと思う」はなぜ間違っているのでしょうか?
このように、間違いを訂正することは出来るかもしれませんが、なぜ間違っているのか、どのようなルールで文章が成り立っているのか、という事まで説明できれなければ、学習者の日本語を上達させることはできません。
日本語が母国語なのに、日本語を分かりやすく教えることが出来ないのは「日本語を外国語として見ることが出来ない」という、ネイティブならではの弱みを持っているからです。
そのネイティブとしての弱みをカバーする為に、日本語教師の養成講座では「どこが違うのか?」「なぜ間違っているのか?」「文法のルールはどうなっているのか?」「それをどう教えるのか?」を学ぶことになります。
もちろん、養成講座に通ったことがなく、経験もない方が、ひょんなことから日本語を教えるようになったという体験談を見聞きすることはあります。
ですがほとんどの場合、日本語教師の求人で「420時間養成講座修了」や「日本語教育能力検定試験の合格」が採用条件とされるのは、上記の理由からです。
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