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海外日本語教師経験談
ケニア ナイロビ 外国語学校(2013年) 生徒との積極的な交流とタフな精神が必須
👩 しまうまさん・ 31歳
総評
- ケニア ナイロビ 外国語学校
- 雇用形態:常勤講師 *非正規雇用・フルタイム
- 期間:4年 (2009~2013年) *退職
- 月収:6万円 (5万ケニアシリング) *なんとか生活できる
- 勤務時間:1日5コマ+60分 週5日勤務 *残業:1ヶ月合計20時間 授業の準備
- 日本語教師養成講座420時間修了 WJLC
私が日本語教師という仕事を始めたきっかけは、「ケニアに住みたい」という思いからでした。アフリカ専攻だった大学時代に、ボランティアで訪れたケニア。ぜひまた戻ってきて、今度はここで生活をすることで、この国の人たちのことをもっと理解したい。そう思っていたところに、日本語教師を探しているというお話を頂いたのです。
ケニアの生徒たちは、基本的には単に「日本に興味がある」というのではなく、日本語を学ぶことで将来良い職に就きたいと願う高校卒業後の子達が主でした。学ぶ姿勢は積極的で、習ったばかりの日本語を使ってみるのもためらわないので、教えがいがありました。
しかし、日常生活では、彼らに日本人と関わったり日本語を試すような機会はほとんどなく、私が唯一知っている日本人、日本語を試せる相手。そんな中、私が一番に努めていた事は、彼らの「友人」となり、少しでも多く日本語での会話を楽しんでもらうことでした。休日に家に招いて日本食パーティーをしたこと数知れず。他の日本人と交流しつつ日本文化を学んでもらう、よい機会になったと思います。
大変だったのは、教えることよりも就労ビザや給与の面でした。経営者は、プッシュしないと自分に不都合なことは後回しという性格。
ケニアではとても高額な外国人就労ビザの取得にまず時間がかかりましたし、毎月の給与が遅れることも多々あり、少しのことでは驚かない、何度でもめげずにプッシュする、そんなタフな精神が養われました。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
学習環境で驚いたことは、ケニアの専門学校などでは、教科書をまるまるコピーして生徒に渡しているということでした。そもそもオリジナルの教科書が輸入されていないので、改めて考えるとやむをえないことだと思いますが、最初はかなり抵抗がありました。
職場の環境としては、給与支払いの遅延が多々あり、少し離れたオフィスにいる経営者に毎回会いに行ったり、電話やメールで交渉したりと、本来しなくてもよいはずのことに労力を奪われるのはストレスでした。
なぜこの外国語学校を退職しましたか?
生徒は一定数いて軌道に乗っている頃でしたが、給与の支払いなどの面での不満がありましたし、ビザの更新がまた大変だろうという思いがありました。ちょうどその更新時期に結婚が決まって引っ越すことになったので、退職することを選びました。
給与
なんとか生活できる
私がもらっていた給与は、ケニア人の一般的な給与からしたら良い額ではありますが、外国人がそれだけでケニアで暮らすには少し厳しい額でした。
その理由は、貯金する余裕がないことです。外国人がある程度セキュリティーを確保できるようなアパートは家賃が高く、私はシェアして借りていました。それでも生活費として残るのは半分ほどです。外食は最低限に抑え、普段は自炊して節約していました。
生活はそれでも私には十分でしたが、貯金ができなくて困るのは、なかなか一時帰国できないことです。学校は日本との往復航空券等も保障していないので、一時帰国では完全に日本の貯金に頼ることになり、この学校で長く続けることはできないと感じていました。
給与の詳細を読む...
給与
- 月収:6万円
月収の内訳
- 基本給:6万円
待遇
- なし
雇用形態
- 常勤講師 *非正規雇用・フルタイム
勤務時間
- 1日5コマ+60分 週5日勤務 *残業 1ヶ月合計20時間 授業の準備
学校が定める学生の長期休暇の有無
- クリスマス:2週間
長期休暇中の給与保証
- 給与保証がない
- 長期休暇中は仕事をしていない
授業形態・勤務スケジュール
スケジュール管理で大変だったことは?
しっかりとした学期制はなく、希望者がいればいつでも入れる学校だったので、ほぼ毎月クラスが増えることになってしまって、タイムテーブルを組むのが大変でした。
授業形態やスケジュールの詳細を読む...
主なクラスの授業形態
- クラス授業 1クラス4人
学習者層
- 大学生
- 社会人
スケジュール
- 9:00~10:30 初級クラスを1コマ
- 10:30~12:00 初級クラスを1コマ
- 13:00~14:30 初級クラスを1コマ
- 14:30~16:00 初級クラスを1コマ
- 16:00~17:30 初級クラスを1コマ
- 8:30~10:30 中級クラスを1コマ
- 10:30~12:00 初級クラスを1コマ
- 13:00~15:00 中級クラスを1コマ
- 15:00~17:00 中級クラスを1コマ
- 17:30~19:00 初級クラスを1コマ
一日休めていました
ケニアで日本語を教える前に準備すべきだったことは?
日本語教師養成講座について、通信で学ぶのは非常に便利でしたが、通学していたらもっと自信が持てていただろうと思います。友人たちと一緒に教案を練る経験、模擬授業の経験、それらがなかった私は、現地でその重要性を痛感しました。
唯一の救いは、自分自身が外国語大学で外国語を専門に勉強していたため、生徒の立場になって考えることができたことでした。
教案作りで参考にしているサイトは?
- 『みんなの教材サイト 』
教室活動案、イラスト、読解用素材まで何でもあるので、困ったときはいつもこのサイトを参考にしていました。
教案作りで参考にしている書籍は?
- 『初級日本語 ドリルとしてのゲーム教材50(アルクの日本語テキスト) 』
対象:
初級・中級
ユニークなゲームがたくさんあって、とても重宝しました。
就職活動
この外国語学校で働くきっかけ・決め手は?
大学時代、ケニアにボランティアで訪れていた際に、日本語教師を探している人がいると、学校の経営者を紹介してもらいました。
卒業したら戻ってくると話したものの、初めは口約束だったので、日本に帰ってからも定期的にメールを送ってアピールを続け、最終的に経営者から国際電話で改めてオファーをもらいました。
現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?
学生には3パターンいて、一番多いのが、これから日本への留学や日本関連企業への就職を夢見て学ぶ大学生。次に、キャリアアップのために日本語を習得したい観光ガイド。最後に、家族や友人が日本にいたり、アニメ等の日本文化に興味があったりする大学生もしくは社会人でした。
近年では、中国企業の進出により中国語を学んで仕事に活かしたいという人が増えていますが、「日本」のブランド的イメージはまだまだ強く、募集すれば必ず学生は集まるでしょう。
この外国語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
就労ビザの審査が厳しいので、日本語教師としての資格を証明する書類が必ず必要になります。私の場合は日本語教師養成講座の修了証でした。
私は入学希望者との面接も自分でしていたので、英語、もしくは現地語(スワヒリ語)が日常会話程度は話せないと大変だったと思います。
就職活動で有効な手段は?
-
『紹介』
実際に現地に赴くか、現地に住む日本人などに直接あたってみる。
国選びで重視した点
- 渡航経験があった
- その国の母国語が得意
現地における日本語教師の需要・将来性
- 一部に人気があり、数は少ないが求められている
就職 教育機関選びで特に重視した点
応募時に必要とされた資格
- 日本語教師としての資格を証明するもの
就職 選考方法
- 紹介のため試験なし
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
初めは日本語教師という職に絞っていたわけではありませんでしたが、ケニアで日本語教師を探しているというお話を頂いたので、そこから日本語教師養成講座を通信で学び始めました。
もともと外国語大学で、日本語専攻の友人や日本語教育能力検定を受ける友人などもいたので、日本語教師という職自体はすんなり受け入れられました。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
私がケニア人と接する中で気づかされて、一番ショックだったことは、自分が日本のことを何も知らない、ということでした。
ケニア人はたいていみんな愛国心が強く、子どもの頃から政治について詳しく知っていますし、各部族の特徴や伝統なんかも一通り言えます。
それに対し、ケニア人に日本について質問されても答えられないことが多かった私。いろいろと調べて答えていくうちに、自分自身が日本についての理解を深めることとなり、それが日本語教師時代で一番の収穫だったと思います。
学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。
大学の日本語専攻に入れば、日本語教育についてはもちろん、日本についての予備知識がたくさん得られるでしょうから、それが一番の道かもしれません。そうでなければ、日本語教師養成講座を受講するのが良いでしょう。
社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。
まずは、夜間通学できる養成講座や大学の日本語専攻などを探してみるのはどうでしょうか。もしくは、通信で勉強して、その後インターンというかたちで、実際に授業を受け持ちながら学べるシステムがある学校もあります。実践的に学べるものを選ばれることをお勧めします。
ケニアで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。
日本人の中にアフリカは一つの国と思っている人がいるように、ケニア人の中には日本や中国、韓国を混同している人がたくさんいます。お互いの情報が知れ渡っていない、それくらい距離が離れている国で、日本語、そして日本文化について、あなたが情報源となって発信していくというのはとても価値のあることですよね。
治安や生活面の不安はあるでしょうが、助け合い精神の強いケニアでは、たくさんの人があなたの味方となってくれるでしょう。ぜひあなたもケニアでしかできない経験をしに行ってみてください。
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