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海外日本語教師経験談

韓国 ソウル 大学(2017年) 担任を持ち、生活面でも学生を指導

👩 poysianさん・ 38歳

総評

  • 韓国 ソウル 大学
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間:2.5年 (2015~2017年) *退職
  • 月収:16万円 (160万ウォン) *現地で生活をするのに十分
  • 勤務時間:1日2~4コマ 週5日勤務   *残業:1ヶ月合計40時間

私は大学の付属期間にて、約3年間名目上は担任教師として平日のフルタイム勤務をしていました。

仕事内容は、日本の国立大学に奨学生として行く学生への日本語指導及び生活指導です。この学生達は日本へ行く前の1年間を予備学習期間として、私の所属していた機関にて日本語及び他の科目を学び、日本へと旅出って行きます。

学習期間内は、月曜日~金曜日まで毎日朝9時から16時まで授業が行われ、さながら学校のようでした。担当したクラスは17名学生がいました。授業内容は多岐に渡り、会話・聴解・文法・読み取り・漢字・日本語能力試験対策などがあり、さらに毎日の小テスト、毎週金曜日はその週に習った学習内容を確認するテストが行われました。

教材は韓国で発行された日本語教育のためのものを使用していました。また、日本語以外にも運動会や山登り、日本人との交流会や日本語でのカラオケ大会、修学旅行などのプログラムがありました。カリキュラムはすべて私たちを管轄する上司によって決められ、それに従う形でした。

学生たちはあらかじめ内申と試験で選定された学生でしたので、比較的素直な学生が多かったように思います。しかし、高校を卒業したばかりの学生でしたので、遊びたい部分が多く、宿題をやってこなかったり、テストの点が悪かったりすることがあり、苦労しました。

また、奨学生として日本へ行くので現地での態度が悪かったりすると減点され、韓国へ帰国することになります。そのため、日本の常識や礼節なども教えなければならず、また男子学生が多かったので必然的に厳しめの指導をしていました。

収入面ですが、月給ではなく、1コマいくらで契約し、月に行った授業数分をまとめて1ヶ月単位で振り込みという形でした。加えて上で述べた課外授業などがあると、その分は手当として振り込まれました。

3カ月に1度学生面談をしなければならず、また指導がはいった学生の親御さんには電話をして報告をしたり、その日の小テストの点数が悪かった生徒は居残りをさせて見ていなければなりませんでしたが、その部分に関する手当はなく、そこは改善してほしいと思っていました。

1コマの値段は韓国ではまあまあ高い方だったので、1ヶ月の収入で生活ができる程度だったと思います。祝日および土日は完全に休みでしたが、金曜日にテストがあるので、採点をするために休日も時間をとっていたと思います。

韓国の学生は授業中にも積極的に発言をすることがあたり前なので、とても賑やかな授業でしたし、何か質問を投げかけると必ず帰って来たり、質問が多かったりして、授業は楽しかったです。日本に関心がある生徒も多く、私が知らないことは私の宿題にしてまた次回教えることもしました。

クラスはレベル別に分かれていましたが、レベルの差が激しく、担当クラスでない授業の場合は、同じ教材でも内容をかなり変えなければならず大変でした。

またやはり海外にいますので、日本の最新事情にはどうしても疎くなってしまいますので、インターネットの記事をチェックしたり、NHKのニュースは毎日かならず見たりして、日本の様子を学生に伝えるようにしていました。

私はおよそ10年前にも韓国で日本語教師をした経験がありますが、その時はインターネットもあまり普及しておらず、教材を探すのにも本当に苦労しました。

現在はどこでもインターネットがつながり教材も豊富に出ていますので、その点はとてもよくなったなと思います。それでも日本から持ち帰った新聞やちらし、写真など生きた教材にはやはり日本を感じ、学生の意欲をかきたてるものがあるなと感じます。

いろんな教材を使い、生徒を楽しませながら、日本語を教えられるといいと思います。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

毎週テストがありましたが、そこはやはり高校を卒業したばかりの学生のことです。遊んでしまって勉強をしてこなかったという学生がいました。

そうした場合、ばれないと思っているのか、テスト時間にカンニングをする学生が学期が進むにつれ、すこしづつ出てくるようになりました。

対策として、カンニングした場合には親御さんに報告する、テスト前に携帯電話回収、机の上にはえんぴつ消しゴム以外は乗せない、消しゴムのカバーははずす、あやしいそぶりを見せた学生は皆から離れた席に座らせてやらせる、教科書などはすべてカバンに入れてジッパーは閉めさせる、などをしました。

前から見ているよりも後ろから見ていた方が効果があったように思います。カンニングをしそうにない子がしたり、携帯が2つあり1つを隠し持っていたりして、毎回苦労させられました。

なぜこの大学を退職しましたか?

第2子を妊娠したためです。また、この日本語教育プログラムは20年に渡り続けられてきましたが、昨年でプログラム自体が完全に終わってしまったため、再度契約することができません。

給与

月収:16万円 (160万ウォン)
現地で生活をするのに十分

韓国でフルタイムで日本語教師をした場合、生活はしていけると思いますが、貯蓄はかなり難しいです。

正直にいいますと、韓国は日本と比べて労働者の立場がまだまだ弱く、また学歴社会です。もちろん、塾などで正規社員として働いたら、最低でも健康保険には加入してくれますが、ボーナスなどはあまり聞いたことはありません。

ですので大学院を卒業し、大学などで教える場合は割りと待遇は良いと思いますが、塾などですと、いる人員でできるだけのことをやらせようとする傾向(テストや教材作り・広告など)がありますので、なかなか大変だと思います。事前に話をしてあっても、なかったことにされたりしますので注意が必要です。

また、都市部では日本語教師の応募が多く、条件もあまりよくありませんが、地方は来てくれる人がすくないため、塾で寮などを持っているところもあります。

個人的には普通に日本の会社に勤めるのに比べて、待遇はあまり良くないと思います。

もちろんやりがいは存分にありまして、塾ですと生徒は明確な目的で来てますのでやる気があり、質問もたくさん受けます。また、積極的に発言をしたり、新しく覚えた言葉を話したくてたまらないという様子も見受けられます。地方に行くと、生徒は素朴で素直でいい方が多いように思いました。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:16万円

月収の内訳

  • 1コマ80分:5,000円
  • 引率手当:1回10,000円

待遇

  • なし

雇用形態

  • 非常勤講師

勤務時間

  • 1日2~4コマ 週5日勤務   *残業 1ヶ月合計40時間

長期休暇中の給与保証

  • 長期休暇がない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

テストの採点の時間をとることが大変でした。毎週と2カ月に1回大きなテストがありましたので、様式や基本問題がありましたが、それをレベルに合わせて、毎回つくることも大変ですし、マークシートではないので、採点も大変でした。

また新しい教材が来ると、あたり前ですが、それに合わせて授業を組み立て、プリントを用意したりして、授業以外の時間の方が多く、授業をしているときは楽しいのですが、それ以外が苦痛だったりもしました。

あまり問題ひとつを突き詰めて考えると時間がすぐにすぎてしまうので、とにかく過去問だったり、インターネットや教材だったり使えるものはすべて使うようにしていました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス16~17人

学習者層

  • 高校生
  • 大学生

スケジュール

  • 13:10~16:00  
    文法授業2コマ
火曜日
  • 13:10~14:30  
    会話授業1コマ
  • 14:40~16:00  
    文法授業1コマ
水曜日
  • 13:10~16:00  
    文法授業2コマ
木曜日
  • 13:10~16:00  
    文法授業2コマ
金曜日
  • 9:00~10:20  
    聴解授業
  • 10:30~11:50  
    テスト監督
  • 13:10~16:00  
    月2回課外授業
休日:土日・韓国の祝日
完全休日です。時々携帯のカカオトークグループに学生から連絡は来ていましたが、勤務外なので答えたり答えなかったりです。

韓国で日本語を教える前に準備すべきだったことは?

とにかくたくさんの教材と、文型ごとに使える例文やプリント、例文ごとに使える活動集、日本語の新聞や雑誌(バイト情報誌や不動産情報誌なども)、季節のイベントや冠婚葬祭ものの実物(日本のお金、お年玉の袋、ご祝儀袋など)、自分の家族の写真や学生時代の写真をウェブドライブなどにあらかじめ保存しておき、準備するべきでした。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • いらすとや
    初級で絵を見せてなにかを提示したり、動詞や形容詞を提示したり、例文をつくるときに参考にした。絵が豊富で新しい言葉のイラストも随時追加されているので便利。
  • 【虹色日本語教室】
    スパイス効いたゲーム・教材・活動集 インドで日本語教師をされていた方のブログで実際に活動に使った教材が豊富。すぐに使えるので大変助かっていました。活動はいくらあっても足りません。
  • 日本語教師の教案
    文型ごとに導入ー練習―定着ー活動 がのっており、とても助かるサイトです。みんなの日本語教科書ベースなので、知りたい文型がない場合もあります。

教案作りで参考にしている書籍は?

就職活動

この大学で働くきっかけ・決め手は?

ありきたりですが、知り合いの紹介です。以前語学を勉強していたところに併設されていた施設で、人でが足りていないのでどうかといわれ、面接を受け、採用となりました。

その求人情報は、韓国の大学院卒業以上の人の人材募集サイト、「HIBRAIN:www.hibrain.net」にも掲載されており、それ経由で来た方もいました。

私は大学院卒ではないのですが、他の方は皆大学院を卒業されていたので、私はツテということで免除されたのだと思います。運がよかったと思います。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

1日どのくらいの時間働くことができるか、また生徒を居残りさせるため放課後にその時間がとれるのか、生徒がよくないことをしたときにしっかり叱ることができるか、韓国人生徒の親に電話をすることがあるがその程度の韓国語が可能かどうか、などを聞かれました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

韓国ではもともと近い国として、貿易相手国として、また文化的な作品の人気から日本語を学ぼうとする人が多く、約20年前は日本語人気がもっとも高く、日本人留学生の割りのいいバイトとして日本語教師がとても人気があり、そのころはお金もよかったと聞いています。

ここ10年は中国語の人気が高くなってきており、常時人気の英語にも押されつつあります。

しかし、日本のアニメやドラマの人気はいまだ高く、その影響で日本語を学びたいという学習者はいつも一定的にいますし、商売相手として隣国日本はいつも近い存在ですので、日本語を学ぼうという社会人も常に存在していますので、需要は一定数あるといっていいと思います。

教師のなかには企業専属の方もいますし、募集はよく見かけます。なによりコネクションも重要ですので、そうしたツテを持っていることも強味になります。

この大学で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

日本語教師資格、大学での専攻、大学院卒業、日本の漢字検定、日本語教師の経験、実際働く場所ではたいてい上司が日本語を使えると思うので、現地言語は必須ではありませんが、現地の言葉に精通していると、何かをごまかされることが少なく安全です。

また、日本での社会人経験があるとビジネスマナーなども合わせて教えられるので、企業や塾のビジネスコースでは強味となります。また、やはり人前にたつ職業ですので、男女ともに身なりを小ぎれいにする必要があります。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

国選びで重視した点

  • 治安
  • 渡航経験があった
  • その国の母国語が得意

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 人気があり、一定数の学校で求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学習者数
  • 給与・待遇
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教育能力検定試験合格
  • 大学卒業

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

面接方法

  • 現地にて実施

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

もともと海外で仕事をしてみたく、留学時代に韓国人の友人ができたこともあり、日本語教師に挑戦しました。

韓国という国や人にも関心がありましたので、日本語を韓国人に教えるという仕事はとても魅力があると思い、日本語教師養成講座を受講しインターンをしました。

おもったよりも厳しい環境で一回はあきらめましたが、また機会があり、自身で資格を取った後、再度挑戦しました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

やはり、生徒さんにありがとうと言われた瞬間や、生徒のわかった!という顔を直にみられることでしょうか。

また、苦労して準備した教材を使って楽しく日本語を学んでいる姿や、先生の授業は楽しい、と言われると本当にうれしいです。

また、日本語を通してその国の人々と話し、その国を知ることができるのも醍醐味でしょうか。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

なんどもあります。理由は授業外の仕事が多すぎることです。

授業は80分なのに、準備に1時間、宿題をみるのに1時間、さらにテストの採点に1時間と、予想以上に時間を取られ、そこに手当はありません。

また海外ですのである資料も古く、教材が豊富というわけでもなく、教えをこう先輩がいるわけでもありませんでしたので、授業は楽しかったのですが、お金をかせぐ手段としては大変効率が悪いなと思っておりました。

そして、日本語の世界は広く深く、いくら勉強してをしても足りないな、と感じ、生徒に質問されるたびに自分の知識のなさにがっかりする部分もありました。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

まずは大学で日本語を専攻しできれば大学院まで進んでおくとよいです。

それが一番良いですが、とりあえず大学卒まではしておき、社会人経験を少しでも積むとよいです。

渡航前にその国がどんな雰囲気なのか、住環境や、どんな人たちが暮らしているのか、などを見ることをおすすめします。教えることは日本語のみならず多岐に渡るため、普段から何にごとにも関心をもつことが大事だと思います。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

学歴社会なので、ネット大学などで大学院を卒業しておくと有利です。

いきなり行くのではなく、韓国語をある程度勉強しておいたり、事前に韓国人の知り合いを作っておくなどするとよいです。

日本の感覚で行くと雇用などに関してとまどうことが多いので、経験談を読んだり、聞かせてもらうことをおすすめし、この仕事でやっていくという気持ちよりも、経験を積み、日本で生かすといった方向で、逃げ道を用意しておくことをおすすめします。

韓国で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

これまでもお話した通り、日本語熱は覚めてきてはいますが、依然、人気のある言語として一定数の需要はあります。

学生はやる気がある場合が多く、積極的で、インターネットなどで知識が多いので、教師の方が情報が遅いことがあり、驚かされます。

給与面で不安は多いですが、1回採用されると多くの授業数をこなさなくてはならないため、経験は積めます。何か韓国が好きな理由があると厳しい環境でもモチベーションになるのでよいと思います。

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