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海外日本語教師経験談
中国 大学(2013年) 教師が教えた分だけ着実に知識を覚えてくる
🧑 Junioさん・ 27歳
総評
- 中国 大学
- 期間:2年 (2011~2013年) *退職
- 月収:9万円 (5,000~6,500元) *現地で生活をするのに十分
- 勤務時間:週18コマ/土日祝日休み
- 日本語教師養成講座420時間修了
養成講座での模擬授業は最大でも10人程度。それがいきなり30~40人のクラスに教えることになり、最初の授業はあがりっぱなしでした。しどろもどろになりながら話して、学生が心配そうな顔をみせていたのを今でも思い返します。
中国の学生は正直です。楽しい授業には積極的に参加してくれるのですが、つまらない授業では欠伸をし、居眠りをし、やがて授業に来なくなります。ですから、どのようにして学生を引き付けるかは最大の課題でした。
なるべく学生の身近な例文で導入したり、SNSを利用したり、授業外でもなるべく交流を持つようにしたりした結果、徐々に信頼関係が築けていったと思います。
2年間の中国での生活において、もっとも印象にのこったのはやはり学生の素朴さや人懐っこさです。私がインスタントラーメンばかり食べていると知ると、ある学生は毎週お弁当を作ってきてくれました。
先生の日や私の誕生日にはたくさんのプレゼント。授業中のふれあい。嫌なことももちろんありましたが、本当に良い経験ができたと思いました。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
私がいたのは本当に田舎でしたので、日用必需品をそろえるのが大変でした。食べ物に関しても、食堂や安いお店があるのですが、ずっと同じ物を食べているとだんだん飽きてしまい、カップラーメンやポテトチップスで夕飯をすませることもありました。
なんども家の隣にコンビニやマクドナルドがあれば良いのに!と思いましたが、逆を言えばそういった物がなかったおかげで、ある程度貯金をして帰ることができたので、それはそれで良かったかなとは思います。
授業形態やスケジュールの詳細を読む...
主なクラスの授業形態
- クラス授業 1クラス30~60人ぐらい
中国で日本語を教える前に準備すべきだったことは?
渡航前にもっと準備すべきだったことはたくさんあります。授業で使えるかと思い、旅行のパンフレットや写真等は持っていったのですが、年賀状や料理のメニューなど、もっといろいろな物を持っていけば良かったと後悔しています。
反対に、持っていってよかったと思ったのはタブレット端末です。現地には本屋がなかったので、電子書籍で本を読むことができました。
また、日本語関係の本も事前にスキャンしておいたので、身軽に渡航することができました。
現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?
中国では大学、高校、中学、そして私立の日本語学校で働き口があります。私が言ったのは大学の日本語学科でしたが、授業数は比較的少なく、拘束時間も授業のときだけでした。
給料に関してはどこもだいたい同程度だと思いますが、日本語学校は種類が多く、場所によっては生活していくのがギリギリになってしまう可能性もあると思います。
高校、中学ではあまりモチベーションの高い学生は多くないと聞きましたが、大学や日本語学校では高い目標や興味をもって日本語を勉強しにくる学生が多いような感じがしました。
この大学で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
大学に関してしかお答えできませんが、現地では日本語能力試験N2、N1合格をしなければ就職が難しくなるため、試験合格のため必死に勉強します。授業などでも試験対策の内容ができるような先生が求められているような感じでした。
中国語は話せても話せなくてもあまり問題はないと思います。なるべく授業外でも学生とコミュニケーションをとり、会話能力を上達させてあげられるような、人懐っこい教師のほうが学生も喜んで授業を受けていたように私は感じました。
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
もともと中学生の頃くらいから言語に興味を持っていて、高校で進路を決める際も自然に外国語大学を選びました。大学での勉強は面白かったのですが、次第に言語への興味が言語学習への興味へと変わっていったのです。
そのため、大学院では言語習得プロセスを中心に研究したのですが、毎日理論ばかりでそれは大変つまらない物でした。
そんなとき、日本語教師養成講座ならすぐに言語学習の実践を学べるということを知り、すぐに教壇に立ちたいという願いもあったので、近くの養成講座へ入学しました。そこで日本語教師の面白さに取り付かれ、今に至ります。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
なにより学生とのコミュニケーションが楽しいです。自分が教えている学生の日本語がどんどん上達し、コミュニケーションが自然になっていくときにやりがいを感じますし、言語学習の面白さを実感します。
私は中国で教えていたのですが、日本へ帰国することが決まったときは送別会で学生みんなから感謝の言葉をもらい、みんな泣きながらパーティーをしました。
「先生のおかげで日本語が上手になりました。ありがとうございました。」と言われたときは本当に感無量でした。
日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?
給料の面で日本語教師は決して恵まれているとは言えません。逆に、普通に生活していくことすら難しい場合も多いです。私は中国の田舎の大学で日本語教師として働いていましたが、あちらでは物価も安く、よっぽど贅沢をしなければ十分に生活していけました。
しかし、現在日本へ帰ってきて日本語学校などで非常勤をしていますが、授業をいくら受け持ってもいただけるお給料は最低限以下です。
日本語教師の仕事は大変面白いのですが、現状を考えると転職も考えざるを得ません。
中国で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。
中国と日本の関係はあまり良くありませんが、実際に行ってみると渡航前に抱いていたイメージと違う所もあり、本当に良い経験になりました。
中国の学生は人懐っこく、素朴で、本当にかわいいです。また、漢字教育をする必要がないため速いスピードで上級レベルまで到達し、コミュニケーションもほぼ支障なくとれるようになります。
ほとんどの学生が高いモチベーションを持っており、教師が教えた分だけ着実に知識を覚えてくるのでやりがいもあります。
「中国は危ないかも…」と心配している方もいらっしゃると思いますが、普通に生活していればそんなに危ないことはありません。是非日本語教師としての第一歩を中国で踏み出してほしいと思います。
今後どのような日本語教師になりたいですか?
日本語教師養成講座時代からの課題ですが、文法もしっかり導入でき、なおかつ学生から発話を多く促せるようになりたいです。
しっかり教えようと思うと説明が多くなりがちで、どんどん退屈になっていき、最終的に学生は寝始めてしまいます。一度退屈な授業をしてしまうと学生は授業を休みがちになり、そうなると取り返しがつかなくなります。
なんとか学生と多くコミュニケーションをとりつつ、そのなかで文法に気づかせ、日本語が上達できるよう授業を工夫していきたいです。
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