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海外日本語教師経験談

中国 福建省 日本語学校(2020年) 生徒と共に成長していくことができます

🧑 しょうさん・ 41歳

総評

  • 中国 福建省 日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間:3年 (2017~2020年) *現在も勤務中
  • 月収:5万円 (3千元) *なんとか生活できる
  • 勤務時間:1日2コマ 週3日勤務   *残業:なし

日本語教師はとてもやりがいがある仕事だと思います。私が特に魅力を感じるのは、生徒がだんだん日本語を話せるようになって行く過程を見られるという点です。

最初は、「あいうえお」から学び始めた生徒が、いろいろな言葉や文法を覚えていき、やがて、その生徒と日本語だけで会話ができるようになるのは、教師としてとても嬉しいことです。これまで教えた何人かの生徒と今でも連絡を取り合っていますが、それぞれの最初の授業の様子を思い出すととても感慨深く感じます。

また、授業を通じて自分自身が学べることもたくさんあります。例えば、生徒にこれまで自分が考えてもみなかったような質問をされることがよくあります。「先生、『アリ』と『ありんこ』の違いを教えてください」とか、「『が』と『は』の違いは何ですか」といったような質問です。

すぐに答えられないことも多いので、そういう時はインターネットを使って調べます。見つけた答えにとても納得させられたり、日本語の深みを再認識させられることが多々あります。

このように、生徒の成長を見届けられると共に自分も成長していけるというのが、この仕事の醍醐味ではないかと感じています。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

中国の学校教育では多くの場合、暗記することに重点が置かれており、生徒たちもそれに慣れています。

ですから生徒の大部分は、教科書の内容を読んだり覚えたりするのは得意ですが、応用や会話が苦手な傾向があります。そのような生徒には、さまざまな例文を作ってみたり、単語を置き換える練習を取り入れたりして、生徒と話す機会を増やすようにします。

そうすることで生徒に自信を持たせると同時に、話したことが相手に伝わる喜びを感じてもらうようにしています。

給与

月収:5万円 (3千元)
なんとか生活できる

時間当たりの給料単価は、現地の他の仕事に比べてかなり高い部類に入ると思います。しかし、コマ単位での給与体系であれば、生徒数と授業数が直接収入に影響します。それで、いかに評判が良く、常に一定数の生徒がいる学校で勤務できるかが重要な要素になると思います。

最初の1年くらいは準備にかなりの時間がとられますが、慣れてくると資料を使いまわせたり、予習にそれほど時間をかけなくても授業を行えるようになったりしますので、効率よく収入を得られると思います。

そうなることで、空いた時間を、趣味や自身の学習に充てたりすることが可能になり、収入はそれほど多くなくても充実した生活を楽しむことができています。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:5万円

月収の内訳

  • 1コマ50分:2,000円

待遇

  • なし

雇用形態

  • 非常勤講師

勤務時間

  • 1日2コマ 週3日勤務   *残業 なし

学校が定める学生の長期休暇の有無

  • なし

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

わたしは主にマンツーマンレッスンを担当しているので、たまに生徒の都合が悪くなって突然授業がキャンセルになるということが生じます。以前はその場合の給与補償制度がなかったので、学校側と相談して当日キャンセルの場合は1コマ当たり給与の50%を保証してもらえるようになりました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • プライベートレッスン

学習者層

  • 大学生

スケジュール

  • 月・水・土:19:00~20:50 マンツーマンレッスンを2コマ
  • 固定の休日はなし:基本的に生徒の都合に合わせることになります。

中国で日本語を教える前に準備すべきだったことは?

準備すべきだったと感じるのは日本語教師になるための勉強です。わたしは現地で通っていた大学の事務局からの紹介で日本語を教え始めたので、日本語教師の専門教育を受けたことがなく、資格も持っていません。

そのため最初の頃は、教科書に書いてあることを話すだけのつまらない授業を行っていました。そうすると生徒の反応も悪くなりますし、双方にとってストレスになりました。あの時は日本語についてもう少し勉強しておけばよかったと思いました。

自分にとって役に立ったと感じたのは、自分も生徒として学校で現地の言語を学んだことです。自分も授業を受けることで、生徒の気持ちが分かったり、教師の教え方を分析することができたり、とても助けになったと感じています。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • 中国語翻訳作法―文の理解から訳出のプロセスまで 対象: 全レベル
    翻訳を目指している生徒の授業を行う時によく使う本です。日本語の仕組みや、日本人の表現の仕方を的確に分析している本なので、翻訳の際に陥りがちな間違いについて指摘するのにも役だっています。
  • 蓝宝书大全集:新日本语能力考试N1-N5文法详解 対象: 全レベル
    基本の文法を例文を用いて説明するのに使っています。文法の使い方や注意点まで丁寧に説明されているので、初級から上級までの幅広く用いることができます。
  • 新版 中日交流標準日本語 初級 上下 対象: 初級・中級
    添付した写真に写っている本です。初級、中級の内容を総合的に網羅しているので、主に0から始める人の授業ではこの資料を使うことが多いです。

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

当時勤めていた学校が経営不振に陥っていた際、隣のビルに新しく開校した日本語学校の関係者から連絡がありました。以前わたしが教えていた生徒が、連絡を下さった方の友達だったそうです。

その前の学校は、契約や管理の面でかなりいい加減だったのですが、今勤務している学校はとても管理がしっかりなされている印象を受けたのと、校長の誠実そうな人柄が決め手になりました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

こちらには日本語が好きな学生が比較的たくさんいるので、日本語教師の需要は高いです。大学生は日本への留学を目標としている生徒が多く、社会人では日系企業で勤務している、もしくは日系企業に転職することを希望している方が多いように思います。最

近では、日本企業との業務提携を視野にいれている会社からの企業案件があり、社長とのマンツーマンレッスンを行う機会が有りました。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

日本語教育能力検定試験など、認定されている資格があれば当然面接の際には有利になると思います。

しかし、仕事として続けていくためには、資格や職歴よりもいかに活き活きとした授業を行い、生徒のやる気を起こさせるかが大切だと思います。授業を通して新たなことが学べた、これまで言えなかったことが言えるようになったといった実感を持てるように助けてあげることが、生徒のやる気につながると思います。

現地の言語の語学レベルに関しては、生徒以外に学校の事務員などと話す機会がありますので、最低限のコミュニケーションが取れる程度のレベルは必要だと思います。

しかし、教師があまりに流暢に現地の言葉を話せると、生徒の側に甘えが生じて、日本語を使わなくなると言う状況にもなり得ます。逆に現地の言語があまり話せない教師の方が、生徒は必死になって日本語を使うようになって、より早く進歩するかもしれません。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • カモメ中国転職
    営業、管理職等の求人が多いですが、日本語教師の求人も掲載されています。

国選びで重視した点

  • 友人がいた
  • その国の母国語が得意

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 人気があり、一定数の学校で求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 学生の学習意欲の高さ
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師としてのスキルと経験

就職 選考方法

  • 模擬授業

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

もともと、わたしは日本語教師を目指していたわけではありません。始めは現地の言語を学ぶために大学に通っていました。

その学校の選択科目に日本語があり日本人の講師がいましたが、急遽帰国することになってしまい、学校側が外国人教師を探していました。

最初に頼まれた時は断りましたが、経験も資格もなくていいから、なんとか授業をやってほしいと泣きつかれてしょうがなく、恐る恐る始めたのがきっかけでした。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

やはり、この仕事を通じてたくさんの人と知り合えたことがとても嬉しいです。以前の生徒の中には今日本に留学していたり、日系企業で働いていたり、日本で会社を興して社長になっている人もいます。

少しでも、生徒が目標をとらえる助けになれることが嬉しいですし、生徒たちの努力から自分もたくさんの刺激やエネルギーをもらっています。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

以前勤めていた学校の経営者が数か月分の職員の給与を未払いのまま、行方をくらませてそのまま学校がなくなってしまったことがありました。その時には、勤務先をよく選ばなければ行けないと思いましたが、日本語教師の仕事自体が嫌になったことや辞めたいと思ったことはありません。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

今通っている学校の先生の教え方を観察するといいと思います。好きな先生がいたら、「どうしてこの先生は好かれるのか?」とか「なぜこの先生の教え方は分かりやすいのか?」と考えてみます。

また、教え方があまり上手ではない先生がいたら、「なぜこの先生の教え方には引き付けられないのか?」など、自分なりに分析してみると、将来自身が教える立場になった時に参考になると思います。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

日本語教師になるためには、知識や技術も関係してきますが、それよりも大切なのは生徒と上手にコミュニケーションを取ることだと思います。

より良く教えるためにはまず生徒は何が分からないのか、どこが問題になっているのかを理解する必要があります。そのように相手をよく知り、気持ちをくみ上げるための努力が、結果として生徒からの信頼を勝ち得ることにつながっていき、教える楽しさをより味わう助けになると思います。

中国で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

中国の、特に若い年齢層には日本の文化に好感や 憧れを持っている人がたくさんいます。意欲的に学ぶ人のストイックさや進歩の速さには本当に驚かされます。教えていながら、自分も頑張らなければと励まされることが多々あります。

さまざまな生徒との出会いは、貴重な財産になります。人を教える仕事には当然大きな責任も伴いますが、努力に見合った達成感が得られます。そして、教えることによって、これまで当たり前に使ってきた自分の母語に対する理解も深めることができ、新しい発見も楽しむことができます。

そのようにして、日本語教師の仕事は生徒だけでなく、きっとあなた自身も成長させてくれると思います。

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