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海外日本語教師経験談

フランス パリ 語学学校(2021年) 熱意で日本の素晴らしさを伝える事

👩 成美さん・ 48歳

総評

  • フランス パリ 語学学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間:7年 (2014~2021年) *現在も勤務中
  • 月収:10万円 (800ユーロ) *それだけでは生活は難しい
  • 勤務時間:1日4時間 週5日勤務   *残業:残業なし

学生時代より英語が好きで、国際文化や交流に興味があり、社会人になっても、その探求心だけは強く、広い視野で国際的に生きたいという願望を持っておりました。そして、2006年にフランスへ渡りました。

渡仏後、数年間は会社員でしたが、現地の通勤事情の困難や、異文化の中で、もっと日本人として自身を活かせる職業に就きたい、という思いが強くなりました。

その中で、日本語教師という職業に惹かれ、資格を取得する決意をしました。養成学校やコースは豊富にありますが、私は敢えて厳しい養成課程のコースで学びました。資格取得後は、フランスの語学学校に属し、ビジネスパーソンから子供まで、企業研修から個人授業まで、各種授業を行っています。

現在は、コロナ禍により、グループレッスンを含めて、全てオンライン上での授業を行っております。

日々、生徒からの反応が即座に返って来るので、喜びや楽しみを感じられる事が大きく、自身の成長にも結びつけられるような、満足度が高い仕事だと自負しております。

しかし、生徒の日本語学習への動機や背景、学習時間も様々ですので、そのニーズに対応すべく、授業や準備に追われ、都度自分なりに創意と工夫をしながら進んで参りました。

フランスの場合ですが、日本文化や漫画への興味から、日本語を学びたいという方が多い傾向にあります。

初級において、ひらかな・カタカナを習得するには、大変な労力と時間を要します。ビジネスパーソンの場合、仕事での会話が必要とされるので、文字には焦点をおかずに、アルファベット表記をしたり、フランス語や英語で媒介しながら、間接法で伝授しています。

やはり、文字をある程度習得している方は、学習進捗度も高く、日本語を学ぶ面白さを早く発見し理解に通じるので、そうなると、ますます発話も楽しくなるのだと思います。日本語を学ぶことで、コミュニケーションが楽しくなり、文化や日本の素晴らしさ、新しい価値観に触れていただきたいと、願っています。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

やはり初心者にとって文字の読み書きが、大変苦労をされます。それに加えて漢字は困難であり、決まって苦痛だと聞きます。そして教科書選びですが、海外では、日本の書店で並んでいる教科書の一部の書籍しか販売されていないので、選択肢が少なく、生徒の目的や興味に見合った教科書選びに苦労する点があります。

また、初級の後半からは、アルファベット併記がなくなるため、生徒がそれまでに習得出来ればいいのですが、学習に時間が掛かる生徒の場合、思うように進まず、途中からテキストを変更したり、または、オリジナル作成を行いますので、準備に大変な時間を要します。

給与

月収:10万円 (800ユーロ)
それだけでは生活は難しい

授業の準備時間は時給が出ませんが、授業よりも準備時間に労力を要するので、時々割りに合わないと、待遇面で不満に思うことがあります。

また昇給や賞与も一切ないので、厳しい現実です。非常勤の場合、複数校で掛け持ちしたり、他の仕事を持っていたりで、やりくりされる方が多いと思います。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:10万円

月収の内訳

  • 時給:1,800円

待遇

  • 交通費

雇用形態

  • 非常勤講師

勤務時間

  • 1日4時間 週5日勤務   *残業 残業なし

長期休暇中の給与保証

  • 長期休暇がない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

当初、授業と次の授業の間が5分間しかなく、なかなかピッタリとは終了する事が出来ない時に、次の授業では、慌ててしまい、慣れない間は大変でした。

現在は、自分でスケジュール作成、管理が可能ですので、少なくとも15分間は空ける様に組んでいます。時間的余裕がないと、バタバタしたまま焦って顔に出てしまうので、常にあるべき教師の姿を客観的に反省しながら、笑顔で質の良い授業に望めるよう、現在はスケジュールは無理せずに作成しています。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス6人
  • プライベートレッスン
  • 企業研修

学習者層

  • 社会人

スケジュール

月曜日
  • 10:30~12:30  初級クラス 1~2コマ
  • 15:00~19:00  初級クラス 1~5コマ
火曜日
  • 10:30~12:30  初級クラス 1~2コマ
  • 15:00~19:00  初級クラス 1~5コマ
水曜日
  • 10:30~12:30  初級クラス 2コマ
  • 午後:準備など
木曜日
  • 10:00~11:30  初級クラス 1~2コマ
  • 16:00~19:00  初級クラス 1~3コマ
金曜日
  • 10:30~12:30  初級クラス 1~2コマ
  • 15:00~19:00  初級クラス 1~5コマ
休日 土日:一日休み

フランスで日本語を教える前に準備すべきだったことは?

各種教科書や教え方の手引き的参考本など、海外都市の書店で入手可能であっても、1.5倍の料金はするため、やはり日本で購入しておく方が経済的です。

また全ての教科書は手に入らないので、やはり日本の書店で入手してから、海外へ持参するのが便利かと思います。

私は何度も知人へ書籍類の国際郵便を依頼した事があり、都度海外ならではの不便さと申し訳ない思いでおります。そして、児童用のひらかな、カタカナ練習帳は、イラスト入りなのでわかりやすく、大人の練習時にも使用出来るため、あれば便利です。

その他、活動時に使えそうなスーパーのチラシや子供向け新聞、絵本やカタログなどもあれば便利です。また、日本のアニメも大人気なので、DVDなどもあれば時には視聴するのも良いかと思います。

夏休みなど休暇中の授業では、折り紙を行いました。大人でも楽しめるので、折り紙を一緒に折って楽しむのも好評でした。その他、日本の童謡、料理レシピや簡単なものを作ってみたこともあります。

このように、教科書の日本語文法のみならず、時には文化授業を一緒に楽しむアイディアがあると面白いかと思います。

教案作りで参考にしているサイトは?

  • まるごとPlus(A1)
    新しいトピックに入る際に会話練習のフレーズ、文字の書き順や読みのクイズに活用する。
  • 日本語NET
    みんなの日本語の教案作りの際に、よりよい文法説明や例を参考にする。

教案作りで参考にしている書籍は?

就職活動

この語学学校で働くきっかけ・決め手は?

日本語教師資格取得後、求人サイト(ジモモパリ)にて、タイミングよく日本語教師の急募を目にしたのがきっかけです。すぐに学校へ履歴書を送ったところ、採用が決定となりました。とにかく、早く仕事をしたかったので、飛び込みました。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

フランスは若者を中心としてアニメや日本文化熱が高い国の一つです。一部の高校や大学の日本語学コースもあります。また私立の日本語学校や企業も存在しており、日本語教師の求人は年度末など募集を目にする時期もありました。

現在はコロナ禍により、授業はオンラインで行われています。曜日や時間が定まった学校のコース授業よりも、個人単位で生徒ご自身の都合で自由に好きな場所で受講する、オンラインプライベートレッスンの需要が高いです。

この語学学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

日本語教師としての研修や課程に加え、現地語を日常会話程度はマスター出来ていることが必須です。

やはり中級程度の現地語でのコミュニケーションがあると望ましいと思います。その他、日本文化を現地語で補足説明出来ることが必要になります。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • OVNI オヴニー
    フランスのパリ発日本語新聞で、日本人向けの求人欄にて、時々日本語学校での募集が有り。
  • ジモモパリ
    日本人コミュニティー掲示板サイト。求人欄に、時々日本語教師の求人有り。

国選びで重視した点

  • 親日国
  • 渡航経験があった
  • その国の母国語が得意

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 一部に人気があり、数は少ないが求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 必須資格
  • 学習者が社会人
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • なし

就職 選考方法

  • 書類

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

以前は会社員として通勤時間に追われる日々でしたが、仕事への充足感や満足度を得られる日々を過ごしたい、もっと日本人を活かして誇れる仕事をしたい、そんな思いが強まり、模索していたところ、日本語教師という職業が私に当てはまりました。

会社員時代よりも、一個人としての私生活の時間を充実させたい思いが強くなり、以前から興味のあった日本語教師になる決意を致しました。

そこからは、教師養成の学校やコースなど徹底的に調べて、学校選択、学習を無事終了し資格取得し、その後求人探し、就職と事が運び、現在に至ります。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

授業では、即生徒の反応が自分自身に返ってくるので、日々小さな喜びや嬉しさの積み重ねです。

また、生徒より「JLPT試験に合格した」、「先生のお陰で就職面接に通過し、転職出来ました」などの嬉しい報告を受けた際には、一生懸命教えた甲斐があったと、私も喜びを感じて幸せを共有する思いです。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

まずは今自身の専攻学科をしっかり修了されることです。マニュアルに沿った教科書の日本語文法だけを淡々と教える先生よりも、人間性が豊かで面白い先生、情熱を持った先生こそが、本来の教育のあり方だと考えます。

自分自身がそういう引き出しをどのくらい持っていられるか、そのためには、日本を旅行する、趣味を楽しむ、読書をする、自分を揺るがすような事を体験してみること、学生時代だからこそ、様々なことに挑戦すること、それが大切だと私は思います。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

働きながらでも、オンラインや通信教育課程、通学など豊富な学校やコースがあります。ご自身のご都合に合わせた選択がよろしいと思います。

極端に話すと、海外では資格がなくても日本人でしたら誰でも日本語を教えることが可能です。ボランティアから大学の教壇に立つ、研究所に勤めるなど、条件や問われる資質、授業形式も様々です。

もし問題が生じて困った場合、全て自分ですので、それを想像して、自分はどのようなポジションに就きたいのか、そのためには、どこまで勉強すればよいのか、イメージしながら決められるのがベストでしょう。

フランスで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

フランスは、多民族国家ですが、人種問わず親日家の方も多く、アニメや日本文化への人気や評価が高く、以前は文化イベントも盛んに開催していました。

異文化への興味が高い国ですので、それを利点として喜びと誇りを感じながら自身も成長できる仕事、それが日本語教師です。

現在はオンラインで世界中の生徒へレッスンが可能な時代です。現場では汗をかきながら、上手く出来るまで経験を重ねる事しかありませんが、身に付けたことは一生の財産ですので、自分の自信へとなります。

世界中の日本語を学びたい方々へ、日本語文化を教えることは、素晴らしいことです。ピンときたら迷わず進んでください。応援しています。

そして世界中で笑顔が溢れるよう、願っております。

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