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海外日本語教師経験談
アメリカ 大学(2013年) 学生達と関わる毎日は非常に刺激的で楽しいの一言に尽きる
👩 真智子さん・ 36歳
総評
- アメリカ 大学
- 期間:5年 (2008~2013年) *現在も勤務中
- 月収:25~35万 ($2,500~3,500) *現地で生活をするのに十分
- 日本語教師養成講座420時間修了
日本語教師は、非常に遣り甲斐のある仕事だと強く感じます。アメリカは移民の国ということもあり、日本語を学ぶ学生はアメリカ人のみならず、中国人、ベトナム人、ドイツ人と様々です。
色々な価値観や異なる文化背景を持った学生達を一つにまとめていかなくてはならない大変さもありますが、彼らと関わる毎日は非常に刺激的で楽しいの一言に尽きます。
金銭面では、前職と比べると年収は半分に減りましたが、その分、プライベートに費やせる時間は数倍に増えました。
夏は3ヶ月、冬は1ヶ月の休暇があるので、日本の社会人時代にできなかった海外旅行を自由気ままにできるのも魅力です。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
今現在も苦労しているのは、学生のカンニングです。アメリカの大学では、カンニングは非常に深刻な行為で、見つかると、最悪の場合、大学を追放されることさえあります。
とある国の学生は、驚くほどカンニングが多く、この行為を防ぐために試験を複数作成するなど四苦八苦しています。
カンニングを現行犯で捕まえたこともありますが、その後、大学の「裁判所」のようなところで事情聴取されたりと精神的にも肉体的にも本当に疲れました。
新学期が始まる際に、カンニングについては耳にタコができるほど「絶対にしないように」と説明するのですが、カンニングをカンニングと認識しない学生が後を絶たず、これには神経をすり減らしています。
アメリカで日本語を教える前に準備すべきだったことは?
私の場合、日本語教師養成420時間で基礎知識を身につけましたが、私が受けた講座はどちらかというと直説法で教えることを前提とした内容が中心になっていたため、媒介語を使用しての日本語教育に関する知識や、学生の上達に合わせて間接方から直説法へと徐々に切り替えていくテクニック、そして日英の比較研究に関する知識が不十分だったと感じます。
これらの知識もっと事前につけておいたら、日本語教師一年目の試行錯誤を、もう少し建設的にできていたかもしれないと感じます。
就職活動
この大学で働くきっかけ・決め手は?
元々は、アメリカの大学院で教育学を学ぶために、会社を退職して渡米しました。
日本語教師として勤務する予定など全くありませんでしたが、大学院卒業間近になった頃、同大学の日本語学科で講師が急遽必要になったので、手伝ってもらえないかと声をかけられたのが、日本語教師として勤務することになったきっかけです。
最初は一年間限定のつもりで、軽い気持ちで引き受けたのですが、日本語教師という職業にすっかり魅了されてしまい、現在に至ります。
現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?
アメリカの大都市では、日本語教師の需要は飽和状態にあると感じます。例えば西海岸のカリフォルニア等は日本人に人気の土地ですので、一つの求人にも応募者が殺到し、狭き門となっています。
また、大学レベルで日本語教師として勤務するには、日本語教育や言語学、日本文学等の分野で博士号(Ph.D)が必要となる場合が大半です。
一方で、田舎では日本語教師が足りていないという話も多く耳にします。私が住んでいる土地も日本人が少なく、高校レベルでは、日本語もろくに話せないようなアメリカ人が、日本語のクラスを担当しています。
給与は、地域や教育機関によってかなり異なると思いますが、自分一人が食べていくには十分な場合がほとんどではないかと思います。
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
アメリカに留学中、留学先大学の日本語学科で日本語講師が必要になり、授業を手伝うことになったのが、日本語教育に興味を持つきっかけとなりました。
授業では、学生から矢継ぎ早に飛んでくる日本語や日本文化に関する質問に、今まで体験したことの無い、日本人としての「使命」を感じました。
その後、本格的に日本語教師を目指そうと決心し、日本で日本語教師養成講座420時間のトレーニングを受けた後、アメリカの同じ大学に戻り、日本語教師として働き始めました。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
一番嬉しく感じるのは、教え子から「日本語を勉強して本当によかったです。先生ありがとうございました。」という言葉をもらった時です。
卒業後も、メールやFacebookを通して近況を知らせてくれる教え子がたくさんいます。彼らからの近況報告は、「もっと頑張ろう」というモチベーションの源になっています。
また、教え子が卒業後に、日本企業に就職したり、日本に留学したりする話を聞いた時にも、やっていてよかったと思います。
海外で日本語を教えるというのは、「日本との架け橋を築く」というのも使命の一つだと思いますので、教え子がその使命を引き継いで、「日本」を世界へ広めて行ってくれる姿を見ると、日本語教師をやってよかったと強く実感します。
日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?
辞めたいと思ったことは一度もありませんが、「辞めなくてはならないかもしれない」と思ったことはあります。
大学の予算の関係で、日本語学科を縮小しなくてはならない可能性が出てきた時期があり、そうなった場合、日本語教師の人数も減らさなくてはならず、コマ数を削られるか、最悪の場合はリストラされるのかもしれないと、腹をくくっていた時期がありました。
現時点でその心配はありませんが、こればかりは将来どうなるのかわかりません。このところ、アメリカでは中国語教育が注目されており、日本語への予算が削られる方向にあります。
アメリカで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。
日本語教師が、非常に遣り甲斐のある、ワクワクするような仕事であることは言うまでもありません。
この仕事を通して得られる満足感や達成感は、実際に体験してみて初めて理解できるものだと思います。
そんな素晴らしい職業ですが、給与面では、決して恵まれた業種とは言えません。特に都会は、薄給の求人にも応募者が殺到し、博士号を持った就職浪人が溢れています。
一方で、田舎では日本語教師が足りていない地域がまだまだ存在すると思います。「田舎でもどこでも、日本語を広めていきたい!」という好奇心旺盛で、日本食があまり手に入らないような土地でも生きていけるようなタフな人材が必要とされていると思います。
今後どのような日本語教師になりたいですか?
アメリカで日本語を教えて5年になりますが、アメリカナイズされないよう、常に日本人のアイデンティティーを持った日本語教師でいたいと思っています。
例えば服装でも、日本の流行に気を配り、決してTシャツ・ジーンズ・ビーチサンダルでクラスへ行くことは無いようにしています。
私自身も、学生達にとっては文化の一部ですので、色々な面において「浦島太郎」にならぬよう気をつけています。また、多くの学生が興味を示す日本のポップカルチャーには、アンテナを常に張り巡らせ、できる限り授業に取り入れて行きたいと思っています。
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