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海外日本語教師経験談
フィリピン マニラ 公的機関(2018年) 明るいフィリピンマインドだから頑張れる!
👩 mkkoさん・ 27歳
総評
- フィリピン マニラ 公的機関
- 雇用形態:常勤講師 *非正規雇用・フルタイム
- 期間:1年 (2017~2018年) *退職
- 月収:24万円 (11万ペソ) *かなり生活に余裕がある
- 勤務時間:1日7時間 週5日勤務 *残業:残業なし
- 日本語教師養成講座420時間修了 ECC日本語学院
日本で就労することを目的とした、公的機関の実施する日本語研修で教えていました。このプログラムは出稼ぎをしたいフィリピン人に非常に人気で、何年もチャレンジし続けてやっと入ることができた人もいます。
そのため日本語を身に着けたい思いは強く、加えてフィリピン人は明るくポジティブな人が多いので、授業は活気があります。先生も生徒も情熱的です。学習者が本気な分、こちらも本気で応えたいという相互の思いが重なって、教室内はガッツで溢れています。
またフィリピン人のコミュニケーション能力とホスピタリティの高さのおかげで、クラスは全員で日本語上手になろう!という雰囲気です。遅れている人がいれば、皆でフォローする。テストの前は、先生役を立てたりして協力して皆で勉強する。そんな温かい雰囲気で、楽しく明るく毎日を送ることができました。
反面、お給料を一日で使い切ってしまう程、計画性が無いフィリピン人もいます…、もちろん彼らに「計画的に自習する」ことは大変難しく、学習習慣を付けることには頭を抱えました。
でも、学習者が本気で取り組んでくれるので、私たちも勉強に熱が入り、自然にがんばろう!という気持ちが湧いてきます。お互いを尊重し合うような雰囲気があって、とても気持ちよく働くことが出来ました。
公的機関への所属と言うこともあり、民間日本語学校と比べると待遇は非常に良く、生活面に不安なくストレスフリーに生活することができます。その分仕事に集中できるので、仕事を楽しむ余裕がありました。帰宅後や休日もゆっくりと休めていたので、事務へ行ったりマッサージへ行ったりと、のんびり過ごしていました。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
学習者はゼロスタートのカリキュラム修了後、日本で専門職として働くことが決まっている人たちでした。そのため来日後も専門用語や仕事で必要な日本語などを、継続して自主学習することが不可欠です。
ですがフィリピン人には計画性の無い人が多く、開講まで2ヶ月あったにも関わらず、ひらがなを覚えて来ない人が非常に多くいました。彼らを自律的に、自分で計画を立てて学習できるよう習慣づけることが、一番大変でした。
なぜこの公的機関を退職しましたか?
有期契約だったので、任期を満了して帰国しました。現在は帰国して日本語学校に勤めていますが、非常に良い経験をしたと感じています。現在も実施されているプログラムなので、近年にまた参加したいと思っています。
給与
かなり生活に余裕がある
給与は額面で見ると、日本の日本語学校と変わらないか少し低いぐらいですが、住居費がゼロな点や物価を考えると、かなり余裕のある生活が出来ます。
毎晩食事はデリバリーを頼み、週2で飲みに行っていましたが、月10万くらいは貯金もできました。渡航前と帰国後にまとまった手当も支給されるので、生活に不安はありませんでした。
渡航前のワクチン接種が補助され、基本的な傷病は保険でカバーされるので、医療費の心配もありません。残業も無く、授業準備を除くと休日に仕事が発生することはありません。
給与の詳細を読む...
給与
- 月収:24万円
月収の内訳
- 基本給:24万円
待遇
- 健康診断
- 保険(歯科治療含む傷病保険)
- ワクチン接種費用
- 支度準備金
- 着任・帰任手当
雇用形態
- 常勤講師 *非正規雇用・フルタイム
勤務時間
- 1日7時間 週5日勤務 *残業 残業なし
学校が定める学生の長期休暇の有無
- 年末年始:15日
長期休暇中の給与保証
- 仕事はないが、給料は支給される
授業形態・勤務スケジュール
スケジュール管理で大変だったことは?
慣れない外国の地で、絶対に体調を崩したくなかったので、睡眠時間は削らないと決めていました。
そのために、帰宅後・土日は基本的に仕事をしないことにしていましたが、成績不振者への面談や宿題フィードバック、個人指導など、不定期に発生する業務をこなしながら就業時間中に授業準備を終えることが大変でした。
授業準備も、自分の勉強を含め掘り下げようとすると延々と時間が掛かってしまうので、制限時間を決め、翌日に作業を持ち越さないよう集中して取り組むようにしていました。私は性格的にのんびりしている方ですが、作業を自宅へ持ち帰ることは月に2、3回で、それも欠勤の先生のフォローなどイレギュラーな事態が発生したときぐらいでした。
授業形態やスケジュールの詳細を読む...
主なクラスの授業形態
- クラス授業 1クラス20人
学習者層
- 社会人
スケジュール
- 7:40~ 朝ミーティング
- 8:00~10:00 宿題チェック
- 10:00~11:00 授業準備
- 11:15~12:10 自習監督
- 12:00~13:00 ランチ
- 13:00~16:00 授業準備や勉強など
- 7:40~ 朝ミーティング
- 8:00~10:00 宿題チェック
- 10:00~11:00 授業準備
- 11:15~12:10 自習監督
- 12:00~13:00 ランチ
- 13:00~16:00 初級クラスを3コマ
- 7:40~ 朝ミーティング
- 8:00~10:00 宿題チェック
- 10:00~11:00 授業準備
- 11:15~12:10 自習監督
- 12:00~13:00 ランチ
- 13:00~16:00 授業準備や勉強など
- 7:40~ 朝ミーティング
- 8:00~10:00 宿題チェック
- 10:00~11:00 授業準備
- 11:15~12:10 自習監督
- 12:00~13:00 ランチ
- 13:00~16:00 初級クラスを3コマ
- 7:40~ 朝ミーティング
- 8:00~10:00 宿題チェック
- 10:00~11:00 授業準備
- 11:15~12:10 自習監督
- 12:00~13:00 ランチ
- 13:00~16:00 文化授業への出席や運営
休み (授業準備が間に合っていない場合は作業することもあり)
フィリピンで日本語を教える前に準備すべきだったことは?
使用教材の文法分析と導入を軽く考えておいたことは、非常に役に立ちました。
時間がある時に、文法分析シートと普遍的に使える人物や会社などの絵カードなどを作りためて、ポートフォリオ化して持って行きました。
おりがみ、シール、スタンプ、日本文化を感じる写真など、日本らしい物は大変喜ばれたので、日ごろから集めておくと役に立つと思います。特に名刺や急須などイメージがわきにくいものの実物は、語彙導入の際に現物があると記憶にも残りやすく、とても興味を持ってくれました。
教案作りで参考にしているサイトは?
- 『日本語教師のN1Net』
JLPTのレベル別に整理されているので、特に初級を終えたクラスの授業準備をするときに活用している。教材を問わず使いやすい。 - 『日本語教師の教案』
導入がどうしても浮かばないときなど、参考にしています。文型ごとにわかれていて、解説ポイントもあってわかりやすい。 - 『【虹色日本語教室】』
スパイス効いたゲーム・教材・活動集 活動例が豊富に提案されているので参考にしています。
教案作りで参考にしている書籍は?
- 『音声DL付 聴解授業の作り方編 (日本語教師の7つ道具シリーズ 6)』
対象:
全レベル
聴解授業がワンパターンにならないよう、また効果別に対策を立てたい時に使っています。具体的な方法があって実践しやすいです。 - 『おたすけタスク初級日本語クラスのための文型別タスク集』
対象:
初級
活動によく使っています。この本を見て、活動で達成目標を定め、逆算して導入や基本練習を作ることもあります。 - 『くらべてわかる日本語表現文型辞典』
対象:
全レベル
類似文型のチェックや開設準備に使います。例文もあるので、自分の理解を深めるのにも役立ちます。
就職活動
この公的機関で働くきっかけ・決め手は?
この教育機関に応募したのは、まだ養成講座に通っている時で、初心者でも応募できる海外の日本語教師職を探していました。初心者へのフォローアップが厚い点や、外国勤務でも安心できる生活環境を提供してもらえる点に魅力を感じ、この機関に決めました。
また決め手となったのは、ここではチームティーチングの体制がとられており、一般的な担任の方針に従って授業をするのではなく、チーム全員で話し合って物事を決めていくという点です。
初心者でも、他の先生の考えを吸収しながら、一人の教師として積極的に携わっていける環境は、自分を成長させることが出来ると思いました。
面接ではどのようなことを聞かれましたか?
チームで業務を行う体制だったので、コミュニケーション能力・協調性が重視されています。
自分はチーム業務にどう貢献できると思うか、性格的に合わない人とチームになったらどうするか、今までそういう経験があったかなど、面接でもその点についての具体的なエピソードなどを聞かれました。
現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?
フィリピンは出稼ぎ大国で、日本へ出稼ぎに出る若者も年々上昇しています。現地の日本語教育実施機関は出稼ぎを目的とした機関がとても多く、特に社会人向けに実践的な授業ができる教師が求められていると思います。
この公的機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
日本語教師としてのキャリアは重要視されておらず、私も全く未経験で入りました。その代わりに、チームで業務を進めていくので、チームで動いた経験は最重要視されました。
フィリピンは英語が公用語ですが、片言でも十分通じますし、基本的にのんびりしていてコミュニケーションが上手な人が多いので、ボディーランゲージなどで汲み取ってくれることが多く、ことばの心配はそこまでしなくてもいいと思います。
就職活動で参考にしたウェブサイトは?
-
『NIHON MURA』
常勤・非常勤どちらも幅広く掲載されており、有名なサイト。 -
『国際交流基金』
国際交流基金から派遣される日本語教師職が掲載されている。 -
『JEGS』
新着や常勤限定などソートしやすく、サイトが見やすい。
国選びで重視した点
- 治安
- 物価の安さ
- その国の母国語が得意
現地における日本語教師の需要・将来性
- 需要はあるが業界全体でセカンドキャリア層が多く、将来的に見ると若手が非常に求められていると思います。
就職 教育機関選びで特に重視した点
- 使用されている教授法
- 給与・待遇
- 赴任国
応募時に必要とされた資格
- 日本語教育能力検定試験合格
就職 選考方法
- 書類
- 面接
- グループワーク
面接方法
- 日本国内にて実施
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
私は学生時代からなんとなく海外で働いてみたい気持ちがあり、そのために日本語教師の資格を取得するために養成講座に通い始めました。受講中も進路についてはまだ迷っていて、修了後は一般企業で働くか日本語業界で働くか、決められずにいました。
そんな時、養成講座で行った模擬授業で実際の学生を前に授業をしました。本来ならそこで学生との関係は終わりなのですが、休み時間に学生が「先生はどこで教えている?」「楽しかった!」と声を書けてくれました。そこで日本語教師の楽しさに出会い、本格的に目指すことになりました。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
私はまだまだ経験が浅く、授業がうまく進まないことが多々あります。学生には本当に申し訳なく思いますし、授業中だと焦ってしまい、投げだしたい!と思うこともあります。
そんな時、学生たちがなんとか私の言いたいこと・やりたいことを汲み取ろうとがんばってくれる姿を見ると、ものすごい気合が湧いてきます。私は元々面倒臭がりで熱血タイプではないのですが、心の底から「この人達のためにがんばりたい」と思います。
お互いの試行錯誤と努力で築かれてきた信頼関係があるからこそ、卒業式は泣けてしまうし、何年たっても学生の顔と名前を忘れることはありません。学生との信頼関係を感じられる感動の瞬間があるからこそ、この仕事は辞められません。
日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?
最近ではコロナの影響で来日外国人が激減し、転職が非常に困難な状況にあります。また、非常勤教師はコマ数(=お給料)が大幅に減ったり、小さい学校だと勤務自体難しいこともあり、かなり不安定な状況です。
今回のコロナや、反日感情が高まるような事態が起こると、日本語学校は直に影響を受けるので、大変です。またそれが予測できないことがほとんどなので、そういった面では不安定な業界かもしれません。
社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。
地域にもよりますが、日本語学校が集まる就職フェアが定期的に開催されているので、参加してみるといいと思います。
この業界は狭いと皆さん口を揃えて言われているので、積極的に知り合いを作ることも重要です。実際に現役教師も口コミで学校の評判を得たり、紹介してもらったりする機会がとても多いです。
フィリピンで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。
フィリピンはとにかく明るく楽観的な人が多く、自然と自分も明るくなります!
落ち込んでいる時は、学生たちが真っ先に心配してくれたり、元気づけようとしてくれたりします。
また町でも、困っているときは見知らぬ人が声を掛けてくれたり、レストランで誕生日祝いをしていれば、隣の席の人が一緒に歌ってくれたりします。
また、家族を大切にするマインドが非常に強く、自分自身の家族観も大きく変わりました。働く意味・生きる意味を見直す機会になったと感じています。
これまで仕事を効率的にこなすために一生懸命走ってきました。ビジネススキルやパソコンスキルが上がった代償に、人の温かさや生きることの幸せを感じることに、蓋ができ冷たい人間になってしまっていたことに気づかされました。
フィリピンへ来ていい意味で肩の力が抜け、毎日を幸せに暮らすためのあたたかい心を分けてもらえたと、心から感謝しています。それもフィリピン人と近い距離で、お互いを尊重し合って日々を過ごしていく、日本語教師だからこそできた経験だと思っています。
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