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海外日本語教師経験談
ベトナム ハノイ 技能実習生送出機関(2017年) 学生は日本での生活を楽しみにしています
👩 かばさん・ 30歳
総評
- ベトナム ハノイ 技能実習生送出機関
- 雇用形態:常勤講師 *非正規雇用・フルタイム
- 期間:1年 (2016~2017年) *退職
- 月収:18万円 (1,600USD) *現地で生活をするのに十分
- 勤務時間:1日8時間 週5.5日勤務 *残業:残業なし
私が日本語を教えていたのは、ベトナムのハノイにある技能実習生送出機関です。技能実習生制度が注目され、ベトナム人を雇いたいという日本の企業と、日本で働きたいというベトナム人の若者が急激に増えた時期でした。その時、「ベトナムで日本語教師をやらないか」と声がかかりました。
学生は日本語を勉強した後、日本で3年間実習生として働きます。年齢は大体10代から40代までで、最初は日本語を全く知らない学生がほとんどです。
初め、会社には私以外日本人がひとりもいませんでした。そのため10クラス以上ある全てのクラスを1コマごとに移動して会話を中心に日本語を教えていました。1クラス30人程のクラスもあり、皆が飽きないような努力が必要でした。机の前に座ってばかりの勉強だけではなく、たまにゲームや歌を混ぜて学生が眠くならないよう楽しく授業に参加できるよう工夫しました。
また、数ヶ月後には日本で生活する学生ばかりのため、日本のお菓子の袋やペットボトルなどを用いて、ゴミの分別の習慣を教えたりもしました。
しかし、細かいニュアンスなど教えたいことが伝わらないなど、うまくいかないことも多々ありました。そのような時には、ひとりで悩まず現地の先生に相談し力を借してもらいました。
また、学生たちとはよく誕生日会や送別会などのパーティーをしました。交流を深めると同時に、積極的に話を聞き、日本語を話す機会を増やすように心がけました。日本の習慣や文化などについて興味津々の彼らの目はとてもキラキラしていました。
普段の生活は、物価がとても安いのもあり、お金に困ることはありませんでした。ただ言葉が通じないことが多かったので、最低限のベトナム語は覚えるようにしていました。
仕事は月曜日から土曜日の午前中までだったので、土曜日の午後からよく飲みに出かけました。ローカルビールであれば1杯20円から飲めてしまいます。
もちろん、文化や習慣、働き方などの違いで戸惑うこともありました。簡単に授業を休む先生や学生が多かったり、社員に当たり前に嘘をつかれたり。しかし、このような経験も含め、海外で生活しなければわからないことがたくさんあり、多くのことを学ぶことができたと思っています。
日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?
会社都合で学生たちのクラスが何度も変わり、レベルの違う学生が同じクラスになってしまうことがよくありました。既に学習したことをもう一度学習しなければならず、やる気がなくなってしまう学生もいました。そういった学生を巻き込みながらの授業はとても難しかったです。
また、学生は日本に行くまでの限られた時間で勉強しなければならないのに、「家族と買い物に行くから」と授業を休む学生がいたり、「学生のテストの結果が悪いから」という理由で2日間休む先生もいたりしました。意識を高めるため、日本で危険を伴う仕事をする上で、日本語を勉強することがどれだけ大切なことか話す機会をつくるようにしました。
なぜこの技能実習生送出機関を退職しましたか?
私が退職を考えたのは、勤めて1年が経つころでした。その頃には、日本人の先生も増え、環境にも慣れ、不満がないわけではありませんが、楽しく仕事をすることができていました。
しかし、以前からアフリカへ行きたいと思っており、その気持ちが抑えきれず、身勝手ではありますが、退職をすることにしました。社長も「あなたの人生だから」と私の今後を応援してくださいました。
給与
現地で生活をするのに十分
現地の物価はとても安く、生活するには十分で、貯金もできました。ただ私は現地で出会った日本語教師の方と比べても給料は多い方だったと思います。
部屋は現地で探して契約したのですが、週に2回の掃除付きでした。外国人が借りる部屋は週に2、3回掃除をしてくれるところが多いようでした。たまに冷蔵庫を勝手に使われたりしていましたが、盗難などは全くありませんでした。一人暮らしだと300〜700USDと物価に比べて家賃は少し高めですが、広い部屋が多いです。
また日本では、給料日がきちんと決まっていますが、給料日がおおよそしか決まっていませんでした。
給与の詳細を読む...
給与
- 月収:18万円
月収の内訳
- 基本給:16万円
- 家賃補助:2万円
待遇
- 家賃補助
雇用形態
- 常勤講師 *非正規雇用・フルタイム
勤務時間
- 1日8時間 週5.5日勤務 *残業 残業なし
長期休暇中の給与保証
- 長期休暇がない
授業形態・勤務スケジュール
スケジュール管理で大変だったことは?
全てのクラスを1コマずつ、数日に分けて全クラスをまわり授業をしていました。はじめのうちは、現地の先生の授業の進め具合に合わせていたので、教えるクラスが当日決まっていました。
準備の時間が少なく、授業に支障が出ていたので、遅くても前日までに担当するクラスを決めるようにしてもらいましたが、急に休む先生がいたり、予定通りにいかないことも多く大変でした。
授業形態やスケジュールの詳細を読む...
主なクラスの授業形態
- クラス授業 1クラス15~35人
学習者層
- 社会人
スケジュール
- 7:45~ 朝礼
- 8:00~12:30 2コマ 休憩30分
- 12:30~13:30 昼休憩
- 13:30~17:00 2コマ 休憩30分
- 7:45~ 朝礼
- 8:00~12:30 2コマ 休憩30分
- 土曜日:午後から休みでした
- 日曜日:休んだり、授業の準備をしたりしていました
ベトナムで日本語を教える前に準備すべきだったことは?
準備すべきだったと思うものは、授業に使う小物類です。例えば、お金。現地で急いで準備したりしていたので、余裕を持って準備しておくべきたったと思いました。
準備しておいてよかったものは、ゴミの分別を教えていた時に必要だった、日本のゴミです。「プラ」のマークや「紙」のマークなど、学生に実際に見せることができました。
就職活動
この技能実習生送出機関で働くきっかけ・決め手は?
技能実習生を受け入れている会社の社長から、ベトナムの送出機関の日本語教師をしないかと話をいただいたのがきっかけです。話をいただいてすぐ、給料など詳細は全く確認しないまま、ベトナムで日本語教師をすることに決め、数日後には送出機関の社長に挨拶しにベトナムへ行きました。
現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?
ベトナムは親日国であるということに加え、2016年には日本語が第1外国語になりました。また、日本で働くことを希望する技能実習生も多くいるので、日本語教育の需要は高いと思います。現地の先生だけでなく、日本人の先生がいることは企業や学校にとって大きなアピールポイントにもなります。
この技能実習生送出機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?
私には、強みになる資格や職歴はないので、何が強みになるかはわかりません。ただ、外国で日本語教師をする場合は、その国の人を知ろうとする気持ち、文化を学ぼうという姿勢、そして環境に適応する力は最低限必要だと思います。
就職活動で参考にしたウェブサイトは?
-
『RVIETNAM』
ベトナムの求人情報。
国選びで重視した点
- 治安
現地における日本語教師の需要・将来性
- 人気があり、一定数の学校で求められている
就職 教育機関選びで特に重視した点
- 知り合いの紹介・誘い
応募時に必要とされた資格
- なし
就職 選考方法
- 紹介のため試験なし
日本語教師全般に関する質問
どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
中学生の頃、アフリカを舞台にした映画を見たことがきっかけでした。普段過ごしていた田舎の平和な日常からは全く想像できない世界がこの世にあることを知りました。
それから、世界をもっと知りたいという気持ちから、外国で働く方法を考えたところ、日本語教師がありました。そして、私は運よく、日本語教師になることができました。
「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?
日本語を求めているところであれば、世界のどこでも活躍できるチャンスがあることが日本語教師の魅力だと思います。最近ではマダガスカルにある日本語クラブに参加して、マダガスカルの学生に日本語や日本の文化を教える機会がありました。
日本人に会ったこともなく、日本へ行ったことがなくても、日本を好きで日本語を勉強している学生がいます。そういった学生や先生の力に少しでもなれた時、日本語教師をやっていてよかったと思います。
日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?
日本語教師をやめたいと思ったことはないですが、日本語教師になった理由が途上国で生活をしてみたいという思いからだったので、特に日本語に興味があったわけではありません。そのため、日本語教師として問題がありますが、「どうして日本語なんか教えているんだろう」と思うことは何度かありました。
学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。
(学生・社会人問わず)私は国際経済学部の4年大学は卒業しましたが、特に日本語教師に関する資格や経験等があるわけではありません。一般的に言われている資格等をとる他、多くの人に会ったり、色々な場所へ行き、日本語教師になりたいということや外国へ行きたいという話をすることも大事だと思います。チャンスはどこに転がっているかわかりません。
ベトナムで日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。
ベトナムは親日国です。空気が悪かったり、ぼったくりやひったくりにあうこともあると思いますが、多くの人はとても親切です。物価も安く、過ごしやすい国で、週末には近くにある他の国へ旅行へ行くこともできます。
日本語教師の方も多いので、力になってもらえると思います。もし、迷っているなら、ぜひ働いてみてください。きっとこの国を気に入るはずです。
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