国内 技能実習生研修センター 技能実習生と私～多様化する日本語教育～

私は元々海外で日本語教師をしていたので、帰国して国内の日本語教育機関で働くのは現在教えている実習生研修センターが初めてでした。研修センターでは入国後の技能実習生が１か月間日本語や日本のマナー、挨拶、集団生活を通して生活習慣などを学んで各配属先へ配属されます。

勤務先は親会社が大きいということもあり設備もよく、非常勤の身分で残業代、有給も出してもらっています。また、交通費が全額支給という点もかなり待遇がよいかと思います。

現在教えているのは配属後に農業や建設の仕事をする予定の一般実習生のクラスと、介護士として施設などで働く予定の介護実習生のクラスです。１日８コマという長丁場でへとへとになるときもありますが実習生たちはモチベーションが高く、元気いっぱいの子たちばかりなので毎日楽しく教えることができています。

日本語教師＝日本語学校で留学生に日本語を教える
というのが少し前まで一般的な考えでしたが、今は外国人人材の活用が積極的になってきたので日本語教師の働き方も日本語学校一択からさまざまな選択ができるようになりました。

いい学校か悪い学校かの見極めは難しいですが、自分がどんな人に何を教えたいのかをこのレポートで考えてもらえたら幸いです。

近くの日本語学校も比較・検討しましたが、在籍している学生が１００パーセント同じ国籍だったので選びませんでした。同じ国の学生が多いとどうしても母国語で話してしまい、日本語が伸びませんしクラスに入ったときに教師の方がアウェイになってしまいクラス管理をしずらい状況になる場合が多いからです。

イスラム教の学生はお祈りの時間がありますが、教室にお祈りする場所がないと階段の踊り場や廊下でお祈りを始めてしまうということがありました。また、お祈りをする前に手や足を洗うのでトイレの床がびしょびしょになっていることもありました。

私はイスラム教のルールをあまり知らなかったのではじめはびっくりしましたが、上司にお祈りの部屋を作ってもらい、手や足を洗ったら必ず床をモップで拭くように学生に指導して対応しました。

私は非常勤講師なので基本的に会社からの手当やボーナスなどはありませんが、企業研修レッスンも掛け持ちでやっているので一か月の生活レベルは一般的な会社員と同じ程度だと思います。貯金も少しはできますし、年に何回かは国内外に旅行に行く余裕もあります。

ただ、入国してくる学生が少ないとクラスが減って持ちコマが少なくなったり、逆に学生が多くなると上限いっぱいまでコマ数が増えたりして収入は流動的なので非常勤として働きたいのであれば１つの学校に勤めるよりは掛け持ちをして学校の状況によってうまくコマ数と収入のバランスをとることをお勧めします。

また、非常勤講師は働き方を選べるところが最大の利点です。
経験や実績によって時給も変わりますし、能力があればもっと待遇の良い学校から声がかかる場合もあります。

経験の浅い人が就職しやすいのは民間の日本語学校です。しかし、正直ブラックな日本語学校の方が多いのが現状です。サービス残業や出稼ぎ目的の学生を受け入れる粗悪なところもあります。

ある程度経験を積んだら専門学校や企業研修がおすすめです。日本語学校に比べてすこし給与面が良いですし、そこで良い結果を残せば口コミで新しい仕事をもらえたり、リピートしてもらえるので次の仕事にもつながります。

企業研修はレッスンのカリキュラム作成からテキストの選定、生徒さんへのアフターフォローなども行うのでトータルでレッスンをプロデュースできる力や、ビジネス経験があると有利かと思います。

研修センターの一般クラスは１クラスにいる実習生のレベルの差がかなり激しいです。
日本語学習歴２か月、ひらがな・カタカナも怪しい子から、日本語能力試験Ｎ２を目指している子まで全員がひとつの教室で同じ日本語の勉強をしなくてはなりません。

なので基本もしっかりやりつつ、レベルの高い実習生用に少し難しい問題も用意し、どちらにも対応できるようにバランスをとりながら授業をすすめていくのが毎日とても大変です。

ただ、レベルの高い実習生は積極的にできない子に教えてあげたりして授業に協力してくれるので、
「もう嫌だ！」と思ったことは一度もありません。

思い切ってできる子に先生役をお願いするのもストレスなく授業できている理由かもしれません。