元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

国内の日本語学校 経験談

充実感が得られ、自分も成長できます

公開:2015/12/18
佐藤(女性・31歳・関東)
日本語教師歴 7.5年(2008年~2015年) 
*現在も日本語教師
資格・課程
日本語学校での
経験詳細
  • 月収:50,000円
  • 非常勤講師(非正規雇用・コマ/時間勤務)

学生の年齢や学習目的は様々です。国籍はベトナムやタイ、中国などのアジア圏が多く、最近ではネパールやスリランカの学生も増えてきました。しかし、日本語が上手になりたいという気持ちは同じです。そのため、学生の意欲は高く、教師に対しても尊敬の念を持って接してくれます。

自分自身の成長を感じるのは、学生の成長を感じた時ですね。一緒に成長していく仕事だと思っています。日本語の能力は成長度合いがわかりやすいです。

「あいうえお」も分からなかった学生がひらがなもカタカナも漢字も覚え、三か月後には簡単な会話ができるようになっているんです。そんな時は他のどんな仕事よりもやりがいを感じます。

学生から質問をされた時、うまく答えられず落ち込むこともあります。しかし、調べて考えてを繰り返し、上手に説明できなかったこともわかりやすく説明できるようになるんです。学生から「先生の説明はすごくわかりやすい」と言われると自分の成長を感じます。

日本語教師はやりがい重視の仕事だと思います。給与面では企業に比べ、待遇は良い方ではないと思いますが、充実した生活を送ることができます。

非常勤講師と専任講師ではスケジュールは全く異なります。専任講師は毎日の授業に事務作業も含まれてきます。私自身はどちらも経験しておりますが、授業だけではなく事務作業を行うことで様々な知識や経験を得られました。

例えば、進路について相談され、あらゆる学校を調べたことで留学生の進学や就職の現状を知ることができました。

またテストの作成や特別クラスのスケジュール作成など全体を把握できるようになります。その分、忙しいとは思いますね。学生一人一人に割く時間があまりなく、申し訳ないという気持ちにもなります。

ただ、一緒に進学に向けて頑張っていた学生が志望校に合格した時は、自分のことのように嬉しい気持ちになります。そういう授業外の充実感は専任講師の方が感じることが多いと思います。

非常勤講師は専任講師よりも生活にゆとりがあると思います。ただ、正社員ではないので時間の余裕はできても金銭的には厳しいです。しかし、子どもができてからなどは授業も調整しやすいですし、一般的なパートの仕事よりは時給は高いので良いと思います。

私の学校は定年がないので、ずっと生涯続けていける仕事だというのも非常に魅力的ですね。

Q:他の教育機関と比較・検討しましたか?

他の教育機関と比べるほど、日本語教育振興協会で認められている日本語学校がありませんでした。きちんと認可のある日本語学校で仕事をしたいと思い、現在の学校を選びました。

現在の学校以外で、研修生を教えている日本語学校がありましたが、就労目的の学生が多く、やはり進学希望の学生とは質・学習意欲が異なりました。

その学校の研修生は最終的に日本企業で働くということではなく、日本で研修をし、また母国へ戻るシステムでした。日本語力が伸びなくてもペナルティはありません。仕事もかなり分量が多かったようで、勉強まで手が回らないという印象でした。

進学希望の学生が多い学校の方が学生全体の学習意欲が高いと感じました。

Q:日本語教師として苦労した事、戸惑った事はありますか?

学習者の作業スピードの違いです。

作文の授業でのことです。作業スピードの速い学生は作文を20分で書き上げてしまいます。しかし、非漢字圏などの学生は書くスピードも遅く、非常に時間がかかりました。授業内に終わらない学生も多かったです。

そうなると、いつまでたっても作文が完成しないので、授業時間外でのチェックも増えます。授業外でのチェックは本当に大変ですね。千文字の作文を十人分チェック・校正、理解できないところは再度聞き、一緒に行う。

この作業には労力も時間も必要で、自宅で仕事なんて当たり前です。

早く終わってしまった学生には遊んでいなさいというわけにもいきません。さらに作文を良くするアドバイスをしたり、他の題で書かせたりしました。それでも時間が余る学生は余るんですね。

作業スピードはこちらでなかなかコントロールできないので、苦労するところですね。学習者の作業スピードを把握すれば、各々にあったテーマや文字数を与え、多少は調節することができます。

学習者の得意不得意などを把握するまでが大変です。

給与・待遇

月収 50,000円
月収内訳
  • 1コマ45分:1,400円
  • 担任手当:3,000円
  • テスト作成:1,000~3,500円
残業(時間外労働) 残業なし
待遇
  • 交通費
  • 年間昇給30円
仕事のかけもち 日本語教師以外の副業に就いている 

専任講師であれば、給与は安定しています。固定給ですから。しかし、決して高いとは言えないと思います。残業代もきっちり出る学校は少ないのではないでしょうか。

非常勤講師ですと、必ず○コマ入れるといった保障がありません。学生数によってコマ数は変動します。日本語学校もお客様商売ではありますので、留学生が入学しなければクラスも減り、教師の授業数も減ります。そのまま給料に反映されるので、安定性はほぼありません。

また、授業時間外での採点や準備にも時間がかかりますが、給与はでません。私は、1日1時間以上は自宅で何らかの作業をしています。

現在の日本語学校では学期末テストの作成を依頼されることがありますが、給与は発生します。しかし、授業内で行うような小テストなどは給与はでません。なので、扶養内労働でない非常勤講師はダブルワークをしている教師が多いです。

Q:給与や待遇面でお勧めできる、国内のその他教育機関を教えて下さい。

なし

授業形態・勤務スケジュール

授業形態
  • クラス授業:1クラス15人ぐらい
  • プライベートレッスン
  • 企業研修
学習者の年代 15~60歳
1日の時間割 12:30~16:30  
初級クラスを4コマ(10分休憩3回)
休日 毎週日曜日
休日に取り組んだ仕事:採点が多い時は、2時間ほど行います。

Q:クラス運営(授業形態)で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

何度も同じレベルを受ける学生のみのクラスは非常に大変でした。3か月毎にテストがあります。そのテストに合格しなければ、上のレベルへ上がることはできません。

そのテストに合格できず、同じレベルを2回3回と受ける学生がいるのです。教える側として合格させてあげたいのですが、やはり吸収力や吸収スピードがあまりない場合はなかなか上達しません。他のクラスとはカリキュラムや教科書を変えて取り組みましたね。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

1つのクラスだけを担当しているわけではないので、テストなどが各クラスで重なると採点が非常に大変です。さらに、作文の授業の担当が増えると、休日はほぼ作文チェックとテスト採点に時間を費やさなければなりません。

初級のクラスを担当すると宿題が非常に多いです。なので、宿題チェックにも時間がかかります。しかし、教える項目が変わることが少ないので、経験があれば初級クラスは準備が少ないですね。教科書も同じなので、進度等の管理はしやすいです。

上級の担当になると宿題等はほぼないのでチェックするものは少ないですが、準備に時間がかかります。上級は決まった教科書というのがあまりなく、学期ごと・クラスごとに異なったりします。教えるレベルも高いので、調べたりすることが多く、準備は大変です。

準備も採点等も致し方ないことですが、初級の採点は授業の休み時間に行い、少しでも授業時間外の負担を減らすようにしています。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
日本語教材図書館   
対象者:全レベル 
ゲームなどのアクティビティに活用します。
参考になる書籍
みんなの日本語教え方の手引き    
対象者:初級
現在、みんなの日本語は改訂されたため、こちらの手引きは(改訂前のものと)少し内容が異なりますが、文法のポイントや教え方のポイントがあるので、参考にしています。

就職活動

教育機関選びで
重視した点
  • 学校の規模
  • 使用されている教授法
  • 認可であること
応募時に
必要とされた資格
特になし
選考方法
  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業
Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

・どのようなレベルを担当したことがあるのか。

・どのような教科書を使ったことがあるのか。

・以前の学校での学習者はどのような学生だったか。

・(年齢やニーズなど)JLPT対策などは担当していたか。

・どれくらい授業に入れるか。

Q:模擬授業では、どのような課題が与えられましたか?

事前にみんなの日本語初級Ⅰの7課を導入からするようにと言われました。教案はほぼ覚えて、教材を豊富に使い行いました。未習語彙を使用しないように、気を付けました。

Q:この教育機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

大学での日本語教育専攻か日本語教師養成講座420時間は必要かと思います。専任希望であれば、大学は日本語教育専攻でなくてもレベルの高い大学の方が良いです。

また、日本語教師関係の資格がなくても、中学・高校での教員資格・国語教員経験をお持ちであれば有利かと思います。

日本の民間日本語学校は学習者の国籍がバラバラなので、外国語レベルはそこまで重要視されません。日本語教育能力検定試験は取得しておいた方が、採用率は上がると思います。

Q:日本語教師(国内)の求人情報は、どこで得ましたか?
求人情報のサイト
その他求人情報
ハローワーク

日本語教師全般に関する質問

Q:もともとはどのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

私が日本語教師を目指したきっかけは、中学一年生の時のホームステイでのことです。小学生の時から、自宅にホームステイ希望の外国の方を招いていました。当時は英語が好きで、少しでもネイティブの方と話したいというのが目的でした。

中学一年生の時に来たアメリカ人の方は日本語にとても興味を持っており、「これは日本語で何?」とよく聞かれました。

最初は物の名前などを聞かれるだけでしたが、途中から「どうしてこれは○○というの?」「どうしてこれとこれは文章が違うの?」などと日本語文法に関する質問をされるようになりました。私は「わからない」と答えることしかできませんでした。

答えられなかった悔しさもあり、私自身の中でも「どうしてだろう」という今まで考えたことのない日本語の不思議というものに興味を持ち始めたのです。

そこからは、日本語について調べると同時に日本語教師という仕事があることを知り、将来の夢へと変化していきました。日本人なのに日本語に関する質問をされても答えられなかったこと、日本語の魅力を外国の方に伝えたいと思ったことが私の日本語教師になろうと思ったきっかけです。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

学生の成長が見えることです。わからなかったことが「先生のおかげでわかった」と言われた時は嬉しいですね。他の仕事と違い「先生のおかげで~」と言われることは多いです。それこそがやりがいです。

大学に合格したり、JLPTに合格したりすると真っ先に報告に来てくれて、お礼を言われます。海外ですと進学に携わることは少ないので、国内だからこそ受験に関わることができると思います。

留学生はなかなか日本国内の受験事情をわかっておらず、ゼロから説明することが多いです。何をやりたいかなど具体的なビジョンがない学生もいます。そんなときは一つ一つ聞いていき、将来に繋がるように様々な大学や専門学校を提示します。

ある学生はやりたいことがないと私に相談をしてきました。日本にはこんな専門があるんだよというところから教え、オープンキャンパスや見学がいついつあるから行きなさいと伝えました。

そして、行ってみて興味を持ったのがデザインの学校でした。学費の低いデザイン学校を探し、説明会へ行くように促し、最終的には目標がその学校になりました。私の一言やアドバイスで学生の将来が変わります。それを実感した出来事でしたね。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

あります。やはり給与面ですね。非常勤講師を辞めて、一般企業の正社員で働こうか迷ったことがあります。しかし、自分のやりたいことは日本語教師ということを授業の度に感じますので、結局ダブルワークをすることで金銭面の安定を図りました。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

【学生の方へ】
大学は日本語教育専攻でなくても大丈夫です。専任希望であれば、大学のレベルは高い方が良いです。通常企業と一緒で学歴はやはり重要視されます。また、学生の時に日本語教育能力検定試験を取得しておけばさらに有利に働くと思います。

【社会人の方へ】
日本語教員養成講座へ通うことです。また、日本語教育能力検定試験を取得することです。資格ゼロでは難しいので、資格取得が日本語教師への第一歩だと思います。

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