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日本国内 日本語教師経験談

国内 小・中学校 学校に適応していく児童の姿を見るのが一番の幸せ

さのこいさん・ 45歳・ 女性 👩 ・ 日本語教師歴 4年

総評

  • 国内の小・中学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間: 4年(2009~2013年) 現在も勤務中
  • 月収:1.6万円

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

私がかかわる子供たちは、親の都合で来日した子ばかり。 英語でのコミュニケーションが可能とのことでフィリピンからの児童生徒を受け持つことがほとんどだが、お国柄か、あまりマイナスナことを口にする子がいないのが特徴のような気がしている。

とはいえ、最初の頃は、毎日の学校生活で言葉が通じないストレスというのは大きいようで、「日本語を覚えたい」という気持ちと、英語でもコミュニケーションが取れるのが嬉しいらしく、週一回の来訪をとても楽しみにしてくれている。

児童生徒一人当たりに指導できるコマ数は50コマと限られており、児童生徒の年代特有の自然習得のフォローの為に、敢えて時間をかけて50コマを消化しているが、約半年ほどで規定時数が終わった頃には、ほとんどの児童が日常生活には支障のない日本語力をつけている。(授業で不自由が無いかという点では児童生徒の適性、能力によるが、本来は更なるフォローが必要となる)

規定時数の最後には「思い出」ということでいろいろな質問に答えてもらう。その一部で「日本に来て大変だったことつらかったこと」を聞いているが、これまでの中で一度も本当に辛かったことを書いた児童生徒がいなかった。

忘れてしまったのか、隠しているのかわからないが、深刻な悩みがないことを意味しているのだろうと思う。

また、規定時数が終わる頃には「日本語はカンタン。」という児童生徒がほとんどだ。こちらとしては必死に教えているので、とほほ、、、と思うが、カンタンと思ってもらえる位になったのだと思うと、なんだか嬉しく誇らしく思える。

児童生徒が学校生活に徐々に適応できるようになっている姿を見られるのが、一番の幸せだと思う。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

児童に教えるという意味では、やはり、授業に対応できない児童がいるという事。(中学生は授業への対応は問題ないことがほとんど)

特に最初の頃、言葉による意思疎通が難しい場合は、子どもに興味がもてる内容を提示するのが難しく、また、担当児童によっては、本国での教育状況によって、45分間机に座っているのが難しい児童もいる。

ほとんどがマンツーマン授業のため、一人の児童が45分間(通常2コマ続きで授業をする)飽きずに身になる内容を詰め込むのは大変な場合もある。

内容は児童生徒がどの程度の内容で進められるか、どのくらいの時間集中できるかを重点的に観察して進めていくのだが、特に小学校の児童の場合は教材の種類を増やし、一つの内容の時間を短めにすることで、飽きさせずに色んな方向から学習内容をフォローできるようにしている。

また、学習内容に合わせて、カードゲームやビンゴゲーム、すごろくなど盛り込んで、日本でのゲームの遊び方を体感しながら学習する事も多い。更に、保健室での会話を実際に保健室に行って養護教諭の協力の下、実際の場面での会話を体感するなどの方法を試みたこともある。

私の場合は生活を支えるなどの目的がないので、児童生徒の日本語の習得と学校への適応を一番と考えて、授業を行う時数なども調整してかなりゆっくりのスピードで進めているが、収入はその分低くなる。仕事も来日児童生徒がいなければあるかないかわからない状態なので、通常の職業としては適さないのだろうなあと我ながら思っている。

就職活動

仕事の探し方としてどのような方法をおすすめしますか?

私の場合は、前職からの流れで仕事の打診を受けた形なので、自分から求職していたわけではないが、友人から以前、下記のHPを紹介されたことがある。 http://job.nihonmura.jp/

こちらに近隣の大学での日本語教師の求人があり、一度面接に行った事がある。
面接と模擬授業を経て就職にいたるらしいが、私の場合は育児中だったため、時間等の折り合いがつかずに就職には至らなかったけれど、良い経験だったと思う。

就職活動

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

海外で生活した経験があり、外国人とのかかわることが多かった。帰国後英語を教える仕事に就いたが、日本で外国人とかかわる機会という事で、ボランティアで大学の留学生などに日本語を教える仕事をしていた。

その後、再度英語を教える仕事に就いたが、その流れで外国人児童生徒に日本語を教える仕事をしないかとの打診を受け、現在に至っている。

仕事をするにあたって、大人に指導するのとは違ういろいろと難しい点もあると感じ、アルクのNAFL日本語教師養成プログラムを受講し修了。

これから日本語教師を目指したい方たちにアドバイスをお願いします。

私の仕事は、日本語教師というのにふさわしいかどうかはわからないが、どのような形であっても、日本語教師の役割というのは「指導する相手の目的を達成するために、媒体である『言葉』を理解できるようにしてあげる」という事だろうと思う。

その為には、相手の目的を明確にする事が一番大切だと思うし、常に相手が何を望んでいるか、その人(達)には、どういう方法が一番適しているのかを模索することが大切だと思っている。

日本語を学ぶ人というのはそれまで日本以外の国で生活をしてきた人たちなので、習慣が違うし常識やモラルといった部分も違うことが多いだろうと思う。

時にはびっくりしてしまう事も起きるだろう。それを簡単に否定してしまうことなく、お互いをわかりあうこと、そして、相手が日本で目的を達成しやすいようなアドバイスをしてあげることが大切だと思う。

日本語教師は言葉を教えるだけの存在ではなく、異文化を理解した上で「日本」というもの全てを伝える仕事なのだろうと思う。

今後どのような日本語教師になりたいですか?

今は日本語の指導という事だけでなく、外国人児童生徒とそれを担当する先生方のカウンセリング機能のようなことも含めた仕事になっている。

初めて日本に来た児童生徒、また、そういう児童生徒と初めて会う先生も少なくないため、最初は児童生徒よりも学校や担当教師があわてているような様子を見る事も多い。

これまで大きな問題なくここまで来たのだが、これからも細く長く、いろんな問題に対応できるようになりたいと思う。また、指導技術も更に磨いていきたいと思っている。

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