元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

国内の日本語学校 経験談

学生も教師も成長できる。それが魅力です

公開:2017/08/09
Junko0105(女性・30歳・福岡県) 
日本語教師歴 3.8年 (2013年~2017年) 
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程 日本語教師養成講座420時間(ヒューマンアカデミー)
日本語学校での
経験詳細
  • 月収:150,000円
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 3.8年(2013年~2017年)

私は、日本語教師をはじめて約4年になりますが、この仕事を選んでよかったと心から思います。これまで、東南アジア人のクラスや、欧米や南米の学生が入り混じったクラスなど、さまざまなクラスを担当してきましたが、そのどれもに新しい発見があり、日々が充実しているからです。
                    
日本語教師というと、日本語を教えるのが仕事だと思われがちですが、実はそれだけではありません。国が違えば、考え方や習慣も違います。たとえば、ある国では上下関係という概念が存在しません。先生に対しても友達のように接し、目上の人に対する話し方を知らないという学生もいます。

そういう学生に対しては、日本のルールを教えなければ、彼らが今後日本で生活していくうえで、必ず障害になります。そういった考え方を教えるのも私達の仕事です。日本のあり方を指導しつつも、さまざまな考え方があることに驚き、おもしろいと思う毎日です。

もちろん大変なこともあります。新人のころは、私が教えた文法が学生に伝わっていなかったらしく、私の次に授業に入った先生に、「本当に教えた?」といわれたことがありました。自分が教えたと思っていても、学生が理解していなければ意味がありません。日々試行錯誤しながら、反省と訂正を繰り返し、授業に臨んでいます。

そのため、ほかの職種に比べて拘束時間がかなり長いと思います。非常勤講師の場合、給料はコマ給というところが多いです。自分のコマ以外は給料は発生しませんから、せっかく日本語教師になったのに、割に合わないということで、すぐにやめてしまう先生もいらっしゃいます。

ですが、やはり、学生の日本語力が目に見えて伸びていく様子が見られたり、以前は自分に甘かった学生があきらめずに試験に向かっている様子などを目の当たりにすると、感動しますし、私もがんばらなければと力をもらったりします。これが日本語教師の最大の魅力であり、続けていく理由だと思います。

Q:他の教育機関と比較・検討しましたか?

現在の学校と同じく民間の日本語学校を1校検討しました。ただ、そちらは交通の便が悪く、通勤に時間がかかってしまうため、最終的には現在の学校を選びました。

Q:日本語教師として苦労した事、戸惑った事はありますか?

授業面で言えば、漢字の指導で苦労しました。特に非漢字圏の学生にとって漢字はただのイラストに見えるらしく、「親」「新」など似た漢字などは区別がつかない人もいるようです。ノートに漢字を書かせても、部首と全体のバランスが悪く、それぞれの漢字のパーツは正しくても何を書いているか、分からないものもありました。

そのうえ、非漢字圏の学生たちは、同じクラスの中国人と自分たちを比較して、「わたしたちは中国人じゃないから、漢字が書けません。」とあきらめる人もおり、モチベーションをあげてもらうことに苦労しました。日本で生活するうえで、いかに漢字が大切かを話し、小学生が使うマス目のノートにとめ、はね、はらいなどを意識した指導法で漢字をおぼえてもらえるよう、工夫しました。

生活面では、国の違う学生同士のトラブルで戸惑うことがありました。暑い国からきた学生と寒い国から来た学生とでは、寮の同じ部屋にいても体感温度が違うため、どちらかが我慢を強いられる羽目になり、結果、トラブルが発生してしまうこともありました。

そこで先生が介入すべきかどうかも、また悩みの種のひとつでしたが、今後の生活も考え、学生同士で解決するよう指導するなど、指導の方法も各々の学生に合わせた指導をしました。

給与・待遇

月収 150,000円
月収内訳
  • 1コマ90分:4,000円
  • 担任手当:30,000円
  • 交通費:9,000円
残業(時間外労働) 1ヶ月合計80時間:授業の準備/事務作業/その他(担任の仕事)
待遇
  • 交通費
  • レントゲン
クラスの長期休暇
  • 夏休み:17日
  • 秋休み:8日
  • 冬休み:17日
クラスの長期休暇中の
給与保証
給与保証がない
仕事のかけもち かけもちはしていない

私は非常勤講師でクラス担任をしておりますが、担任手当が30,000円というのは妥当な金額だと思います。出席率の管理、授業態度指導や進路指導、進度表の作成など授業以外の業務が多く、朝から来て、夜8時くらいまで働く毎日の残業は当たり前ですが、長期休暇中にも担任手当が支給されるのは担任のメリットだと思います。

扶養内で働いていらっしゃる先生でなければ、実際、この仕事は金銭的に厳しい仕事です。かけもちをされている先生も多くいらっしゃいますが、経験の浅い私はまだ、そこまでの余裕はありません。ですので、担任手当はとても大きい収入だと思います。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス15人
学習者の年代 社会人
1日の時間割
  • 10:30~13:30  
    授業準備
  • 13:30~16:30  
    初級クラスを2コマ 休憩各10分
  • 16:30~18:30  
    宿題添削/連絡簿記入/次回授業準備
休日 木、土、日
休日に取り組んだ仕事:たまに宿題の添削等で数十分、時間を費やすことがあります。

Q:クラス運営(授業形態)で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

時間にルーズで約束を守らない、授業中にガムをかむなど、日本で当たり前のルールを知らない学生が多い時は大変でした。まず、日本での基本的なルールを教えることから始めました。学生に話す時は、留学生の先輩の過去の失敗談などを交えて分かりやすく話しました。

他に、勉強に対するモチベーションが下がると、連鎖して全体の士気も下がるので、常日頃から学生と会話し、学生の気持ちを理解できるようにしています。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

よかれと思って、たくさん出した宿題の添削が終わらず、家に帰ってきてからも仕事に追われていることが多々あります。自分で制限時間を決め、集中して仕事を終わらせるように工夫しています。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
  • みんなの教材サイト   
    文型の応用練習などに役立てています。このサイトからアイデアをもらい、プリントの作成などを行っています。
  • 日本語教材図書館   
    文型の練習問題を考えるのに使っています。「みんなの日本語」に沿うサイトなので、該当箇所が探しやすく便利です。
  • ニュースWEB EASY   
    NHKの簡単な日本語で書かれたニュースが読めるサイトです。中級以降で、読解の授業や文章要約の授業で利用しています。
参考になる書籍

就職活動

教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 通勤時間
応募時に
必要とされた資格
日本語教師養成講座420時間終了
選考方法
  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業
Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

授業は1週間で何コマまで入れるか、午前がいいか、午後がいいかなど条件に関することを中心に聞かれました。それ以外では、どのような日本語教師を目指しているか、日本語教師になったきっかけは何なのかも聞かれました。

Q:模擬授業では、どのような課題が与えられましたか?

福岡の日本語学校でも代表的な教材である「みんなの日本語Ⅰ」19課の「Vたことがあります。」と「Vたり、Vたりします。」の二つの文型の導入部分をしました。

教案を提出しなければならなかったので、教師と学生の発話例の部分の色を変えたり、フォントを教科書体にして、模擬授業を見てくださる先生方にわかりやすいように努めました。

また、とにかく笑顔で明るく、はきはきとした印象を与えられるように気をつけました。

Q:この教育機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

外国語が話せるかどうかはさして重要ではないと思います。もちろん外国語に対する知識があるのは授業を組み立てる際に役に立つと思いますが、むしろ、先生が外国語ができないことを強みに学生に日本語を話させることもできます。

この仕事で重要なことは、柔軟性と受け入れる心です。偏った考えを持たず、さまざまな学生の考えを受け入れること、周りの先生の意見を受け入れて活かすことが重要だと思います。

Q:日本語教師(国内)の求人情報は、どこで得ましたか?
求人情報のサイト

日本語教師全般に関する質問

Q:もともとはどのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

私が日本語教師を目指したきっかけは、大学時代のアメリカでのホームステイ経験でした。あまり英語が話せなかった私は、ホストファミリーとうまくコミュニケーションがとれずに、悔しい思いをしました。「もっとその国の言葉が分かれば、自分の感じたことが共有できるし、自分から話しかけることで世界も広がるし、ホストファミリーに対する感謝の気持ちを上手に伝えられたのに…」と後悔ばかり残ってしまいました。

そして、いざ、大学卒業後の自分を考えたときに、私と同じように他言語を使って、活躍したいと考える人の手助けができれば…と思い、この仕事を選びました。実際に学生の日本語が上手になって、日本で生き生きと生活する様子を見られるのは、非常にうれしいものがあります。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

自分のクラスの卒業生から、数年後に連絡があり、「あの時、先生が日本語や、日本のルールを教えてくれたから、今専門学校が楽しいです!」や「日本での就職が決まりました。」などの報告をしてくれたときに、日本語教師をやっていてよかったと思います。

自分が学生と正面から向き合ってきたことが無駄じゃなかったと分かる瞬間に、やりがいを感じます。

また、さまざまな国の考えを知ることができるのも、この仕事の醍醐味だと思います。特に日本国内でクラスを受け持つ場合は、クラスにいろいろな国の学生がおり、1つの事例をとっても、日本では考えられないような常識が各国にあります。そういった考えを知り、自分の固定観念がくつがえされたときに、日本語教師の面白さを感じることができます。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

この仕事を始めてすぐ、いわゆる「荒れたクラス」に配属され、やめたいと思うことがありました。学生も、私が新米教師だったことに気づいていたのだと思いますが、指示をしても言うことを聞かず、騒いだり、携帯を触ったりとやりたい放題でした。

今であれば、臆せず厳しくすることができますが、当時はあまり言えず、ただ落ち込む毎日でした。指示が通らないせいで、任された範囲の授業が終わらず、他の先生に対する申し訳なさと自分のふがいなさに涙したことも多々ありました。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

【学生の方へ】
学校に行っている間に、養成講座に通うべきだと思います。特に社会人になってからは、時間がなくなります。私は、1年間、仕事のあとに養成講座に通っていましたが、あまりの忙しさに、その両方がおろそかになってしまう時期があり、今思えば、残念だったと思うことがありました。ですから、時間がある今、養成講座に通うべきだと思います。

【社会人の方へ】
はじめるならば、ある程度の貯蓄をしてから、仕事をやめるなりして養成講座に通ったらいいと思います。そして、できるだけ短期間で養成講座を修了し、早めに教壇に立つべきです。私のように、時間をかけて養成講座にだらだらと通うよりも、何よりも実践でつかむほうが早いからです。ただし、この仕事は金銭的にも肉体的にも厳しい仕事です。始める前にもう一度、本当にやる覚悟があるか確かめてからチャレンジしてください。

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