元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

国内の日本語学校 経験談

苦労もやりがいも可能性も大きい仕事

公開:2018/08/23

bonitareiko(女性・46歳) 
日本語教師歴 3年 (2015年~2018年) 
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程 日本語教育能力検定試験
日本語学校での
経験詳細
  • 月収:15万円
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 3年(2015年~2018年)

日本語教師は、授業の下調べ、教案づくり、クラス授業など大変ですが、とても可能性のある仕事です。

私が勤務している日本語学校は地方にあるので、学生数は多くないと思いますが、それでもアジアを中心に10カ国以上の国から学生が来ています。年齢も10代から40代まで。そんな多様な背景をもつ学生をクラス授業で教えるのは、大変です。

学生は先生をよく見ています。教え方、クラスコントロールなどで「この先生はダメだ」と思ったら、相手にしてくれません。そうならないように、授業準備をしなければなりません。そのため図書館に通ったり、本を読んだり。必然的に家に本が増えます。

例えば、初級文法では「日本で働けるように勉強しています」と「日本で働くために勉強しています」は何が同じで、何が違うか。また漢字では「軟らかい」と「柔らかい」の使い分けなど、まず自分が理解し、さらにどう教えれば学生に通じるか。そんなことを毎日考え、講師同士で話し合ったりしています。

ですから、JLPTにはできるだけ多くの学生に合格してほしいと思います。でも、せっかく日本に来て勉強しているのだから、試験対策ばかりでなくもっと興味を広げてほしいという思いもあります。教科書に「仙台」「大阪」などの地名が出てきても、それが日本のどこにあるか分からない学生が多いのです。

また、日本では大きく報じられた米朝首脳会談のようなニュースを知らない学生もいます。学生にとっては海外で勉強しているのに、興味が母国の外から出ないのはもったいないと感じます。

テスト、授業、教科書だけでなく、もっと社会に広く興味をもって日本語を勉強して、卒業後は日本と母国の架け橋になれるくらい活躍してほしい。そんな大きな可能性に関われる仕事が日本語教師だと思います。

Q:他の教育機関と比較・検討しましたか?

検討しませんでした。現在勤務している日本語学校が、有資格者を対象に「みんなの日本語」を使った実践講座を実施し、私はそれを受講しました。講座終了後、非常勤講師を募集している、という話をいただき、そのまま採用となったので、他の日本語学校を検討することは考えませんでした。

Q:日本語教師として苦労した事、戸惑った事はありますか?

最初に苦労したことは、学習者の名前を覚えることです。慣れないうちは、授業でやるべきことをやるのに精一杯で、学習者の顔と名前を覚える余裕がありませんでした。

しかし、学習者の名前を覚えていないと、授業でも変な遠慮がでてしまい、気持ち的に学習者との距離が縮められない気がしました。学習者からも「先生、名前おぼえてる?」と聞かれ、学習者は教師のこういうところも見ているのか、と驚かされました。

学習者の名前と顔を覚えるのは、信頼関係の基本だと気づかされました。

給与・待遇

月収 15万円
月収内訳 1コマ45分:2,300円
基本労働時間 1日4コマ 週5日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 交通費
クラスの長期休暇中の
給与保証
給与保証がない
仕事のかけもち かけもちしていない

私が勤務している日本語学校は、4期制で、4月、7月、10月、1月に新入生が入ってきますが、卒業は3月だけなので、4月期は学生が少ないです。となると、非常勤講師は担当する授業数が少ないので、給料も少なくなります。

7月、10月と学生が入ってくると、クラスも増え、担当する授業数も多くなり、給料も増えます。非常勤講師なので、クラス数によって担当する授業の数も変わり、それに応じて給料が変動します。この給料だけで生活するとなると、安定しないので、非常勤講師は主婦だったり、他の仕事とかけもちしている人が多いです。

授業準備やテストの採点も含めてのコマ給なので、自宅でも準備する、授業後に残って採点することに、特に不満はありません。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス20人
学習者の年代
  • 大学生
  • 社会人
主な学生の出身地
  • ベトナム
  • ネパール
1日の時間割 月曜日
  • 13:00~16:35  
    初級4コマ
火曜日
  • 13:00~16:35  
    初級4コマ
水曜日
  • 9:00~12:35  
    中級4コマ
木曜日
  • 13:00~16:35  
    初級4コマ
金曜日
  • 13:00~16:35  
    初級4コマ
休日 土日
休日に取り組んだ仕事:日曜日は、ほぼ毎週、翌週の授業準備

Q:クラス運営(授業形態)で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

クラス授業で大変なことは、クラスコントロールです。クラスは約20人の学生がいるので、どうしてもレベル差がでてきます。やる気もあって授業について来られる学生はいいのですが、ついて来られなくなっている学生の対応に困ります。

ケータイでSNSやゲームをしているような明らかに授業に参加していない学生を放っておくわけにもいかない、でも、その注意に時間をとられると、やる気のある学生の気持ちがダレる、注意している分の授業の勉強時間が減り、やるべきことができなくなる、というジレンマに悩まされています。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

担当する授業が多い時期の授業準備が大変です。経験が浅いうちは、やるところすべてが初めて、という状態なので、準備が大変です。ただでさえ、授業が多いと体力を使い疲れ切ってしまうのに、その状態から翌日の準備をしなければならず、体力的にも時間的にもつらいです。しかし、授業が多いと、体が授業のリズムに慣れ、学生とのやりとりも自然にできるというメリットもあります。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
goo辞書
語彙の授業の下調べ。国語辞典や類語辞典など複数の辞書が一度に調べられるので便利。
参考になる書籍

就職活動

教育機関選びで
重視した点
  • 通勤時間
  • 学校主催の養成講座を終了後、そのまま採用となったので、あまり条件を考慮しませんでしたが、学校や先生方の雰囲気がよかったことが決め手でした
応募時に
必要とされた資格
日本語教育能力検定試験
選考方法 養成講座を受講後の採用だったので、試験なし
Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

この学校が、日本語教師の資格をもっている人を対象に、「みんなの日本語」と使った養成講座を開催していました。そのころ私はボランティアで、地域の日本語教室で日本語を教えていました。「みんなの日本語」での教え方に迷っていたこともあって、受講しました。半年の講座終了後、非常勤講師を募集してします、という話をいただいたので、応募し、採用となりました。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

半年の講座の間で、模擬授業を何度もしていたので、採用の際に模擬授業をすることはありませんでした。面接で聞かれたことは、スケジュール的なことです。希望する曜日と時間帯を聞かれました。あとは、聞かれたというより、待遇面の説明を受けました。

Q:この教育機関で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

日本語学校に勉強に来る学生は、国籍も年齢も背景も幅広いので、どんな経験も役に立つと思います。新卒よりも社会人経験のある人の方が向いているかもしれません。授業は直接法なので、日本語のみですが、授業以外の部分で学生とやりとりする際に、学生の母語が話せると便利かと思います。

Q:日本語教師(国内)の求人情報は、どこで得ましたか?
求人情報のサイト
日本語教師求人ガイド
求人情報を掲載しているサイトが複数紹介されている
その他求人情報
  • 日本語学校が開催する教師対象の講座:学校やそこで働いている先生方の雰囲気がわかる。
  • 日本語学校で働いている人からの紹介:日本語学校で教師が不足すると、いきなり公募するのではなく、講師たちに「いい先生知りませんか」と聞いている。コネは有力。

日本語教師全般に関する質問

Q:もともとはどのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

最初はボランティアで地域の日本語教室で教えていました。日本人と結婚して来日した女性や、ご主人の仕事の都合で数年間日本に滞在する人など、留学以外で来日する人も多いです。

そんな人たちが、日本に滞在している間「日本はいい所」と思ってくれたらいいな、と思いました。そのためにも言葉はできた方がいいだろう、そのお手伝いができたらと思い、ボランティアの養成講座に行きました。

そして講座が終わって、ボランティアとして活動しました。その間に、日本語教育能力検定を受け、合格しました。

ボランティアとして活動しているときに、書店のチラシコーナーを見て、日本語学校が「みんなの日本語」を使って養成講座を開催し、受講生を募集していることを知りました。地域の教室では初級を教えることが多いので、「日本語学校で初級の教え方をみっちり勉強したい」と思い、受講しました。

その養成講座が終わるころ、教務担当の先生から「非常勤講師を募集してます」という話をいただいたので、応募し採用となりました。先生方の雰囲気もよく、ここで働けたらいい経験になると思いました。今は地域の教室では活動しておらず、日本語学校だけで日本語を教えています。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

日本語学校を卒業し、専門学校や大学へ進学した学生が、学校へ顔を出してくれたとき、学生の成長を感じられます。

日本語学校で勉強しているときは、まだ子どもっぽさが残っていたのに、立派な大人になった姿を見ると、うれしくなります。日本語学校での経験をもとに日本で一人前の社会人になった姿は、日本語教師として励みになります。

日々の授業では、勉強時間は学生にとって長く感じるようですが、授業終了時間に「え?もう終わり?短かった」と学生が言ったとき、うれしいです。でも、こういうことはあまりありませんが。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

【学生の方へ】
日本語教育についてみっちり勉強できる時期は学生のとき以外にないので、しっかり勉強してください。日本語学校の学生は、国籍や経歴も多様なので、人生経験では新卒の人より上のことが多いです。その点で学生からなめられないように、ボランティアやアルバイトなど、いろいろな経験をしておいたほうがいいと思います。

【社会人の方へ】
日本語学校の学生は、国籍や経歴も多様なので、どんな社会経験も生きると思います。学生の時に日本語教育を専攻していない場合は、資格がないと応募できないことが多いので、日本語教育能力検定を受けたり日本語教師養成講座に通わなければなりません。資格をとったら、新卒の人にはない強みをアピールして採用をめざしてください。

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