元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

中国の日本語学校 経験談

楽しいですが努力が必要とされます

公開:2018/08/21

椿(女性・38歳) 
日本語教師歴 1年 (2014年~2015年)
*他業種に転職
資格・課程 日本語教育能力検定試験
中国の日本語学校
経験詳細
  • 地域:マカオ
  • 月収:3万〜11万円(2,000〜8,000パタカ)
    それだけでは生活は難しい
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 1年(2014年~2015年)
    *現在は退職

以前から日本語を教えることに興味があったので、骨折して外回りの仕事を休んでいるときに時間の有効活用として独学で勉強を始めました。

学生さんは小学生から社会人まで幅広く、レベルも五十音からスタートの基礎から上級クラスまで担当しました。日本の文化や日本旅行、アイドルや歌手、アニメ、漫画が好きな学生さんも多く、趣味について話してもらうのもいい学習になりますし、聞いていて面白いものです。

初めの一歩となる初級、基礎クラスが一番需要があるのですが、当然ながら日本語が全くわからない学生さんが相手なので骨が折れます。わたしは現地の言葉が出来るネイティブ講師として重宝されましたが、上級クラスの方がお給料が高いので、初級クラスは大変さの割に実にならないというのが正直な感想です。

レッスンの時間以外は学校に行くことはほとんどなく、休日も確保出来ていました。ただ、持ち帰りの教案作りとテスト採点にかなり時間を割く必要がありました。

先輩講師の授業を見せてもらったり、日本人講師同士で情報交換したりするのも有意義でためになりました。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

五十音を覚えてもらうことに、とにかく苦労しました。

学生さんにはハングルのような記号に見えるようなので、ひらがなとカタカナの書き取りを集めてチェックし、次の授業のときによくある間違いを板書して注意喚起しました。

また、初級クラスではローマ字を併記して板書して、早く読み方も覚えてもらえるようにしていました。

マカオは政府の補助金があり、初級クラスは無料で受講する人も多いです。

基本的には真面目な学生さんばかりですが、社会人が多いクラスだと2回目以降出席率がグッと下がることもあります。

これはもう文化の違いということで割り切って、常に自分に出来る最善の授業に努めました。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

日本語教師の仕事は授業の時間だけではなく、教案作りやテストの採点など授業以外にもかなり時間を割くことを必要とされるので、復帰したい気持ちはありますが子どもが生まれてからはどうしても難しくなってしまいました。

給与・待遇

月収 月収:3万〜11万円
月収内訳
  • 時給:1,000円
  • 中、上級クラス手当:レベルによって60〜300円
基本労働時間 1日1〜3コマ+80~120分 週4日勤務
残業(時間外労働) 職場で残業はしませんが、持ち帰りの教案作りやテスト採点にかなり時間を割きました。
待遇 賞与(年間6万〜10万円)
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇 長期休暇なし  

給与は正直あまり高くありませんが、年2回ボーナスが出る点はとても嬉しかったです。

授業は夕方から夜にかけての時間が多いので、私は3時までに観光を終えられるツアーガイドの仕事と掛け持ちをしていました。日本語教師だけで得られる収入ならば、ギリギリ最低ラインの生活レベルだと思います。

夏休みや春休みなどの長期休暇中は、小学生から大学生まで多くの学生さんが受講に来られるので忙しいです。稼働時間が長ければその分給与も増えますが、逆にそれ以外の時期はたくさん仕事をしたくても予定していたレッスンが開講しない場合もあります。

またマカオならではですが、台風が上陸すると教育機関は全て休校になります。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

大学でお仕事が出来ると、給与が民間の日本語教師の倍を超えるので、充分余裕がある生活が出来ます。

マカオ大学では度々アシスタントの募集をしていますが、大学の採用には大学院を出ていること、教育が専攻であることなどの厳しい条件があります。

私は社会人になってしまったので、今から修学するのは難しく諦めましたが、もしまだ学生で日本語教師を目指す方は、頑張って勉強する価値があると思います。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス5〜30人
学習者の年代
  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人
1日の時間割 月曜日
  • 16:45〜18:45  
    初級クラス1コマ
  • 19:00〜20:20  
    中級クラス1コマ
  • 20:30〜21:50  
    上級クラス1コマ
水曜日
  • 16:45〜18:45  
    初級クラス1コマ
木曜日
  • 19:00〜20:20  
    中級クラス1コマ
  • 20:30〜21:50  
    上級クラス1コマ
金曜日
  • 16:45〜18:45  
    初級クラス1コマ
休日 土日
一日休めていました

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

授業は夕方から夜にかけての時間が多いので、それ以外の時間は自由に使えるのも魅力です。

休日は学校へ行く必要はないですが、教案の提出を義務づけられていたので、持ち帰りで次の授業の準備とテストの採点にかなりの時間を割きました。

教案は自分の予習にもなりますので、余裕を持って作っておくことをお勧めします。

スイスイ進んだときに準備が出来ていないと焦るので、少し前倒しして作っておく習慣がつくといいと思います。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
  • CosCom
    例文や教材も豊富なので、ここから抜き出して授業に役立てることが出来ます。ひらがなやカタカナの学習方法や学習例についても参考になりますし、ゲームのように学ぶ方法も紹介してあります。どんな例文がわかりやすいのか、どんな内容が学生さんの興味を引くのかがわかります。
  • 日本語教育 教案の広場みんなの日本語版
    どこでも「みんなの日本語」というテキストを使うことが多いので、よく読んで参考にしていました。カンニングが出来るサイトです。実際の授業は対面で、生ものならでは苦労がありますが、家で教案を作る苦労は少ないほどいいと思います。
  • 日本語教師の教案
    授業の流れから目指す目標、応用練習に最適なアクティビティの紹介や学生さんに配布する教材の資料もあるので、実際の授業の様子をイメージしやすく使いやすいです。この通りにレジュメを組むだけで、学生さんの成長がわかるので重宝していました。日本語でこんなことが出来るという喜びを感じることが出来ます。
参考になる書籍

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

教案作りやより良い授業をするための、参考書籍や教材は現地ではなかなかすぐに手に入りません。

日本にいる間に自分に合った良いものを準備しておくと、本当に役に立ちますし、どこに勤める場合にも財産になります。

就職活動

国選びで重視した点
  • 治安
  • 日本との距離
  • 日本語教師になる前から、観光客の増加で景気が良く旅行会社の仕事がすぐに決まったため、現地に在住していました。
現地における
日本語教師の需要
一部に人気があり、数は少ないが求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 必須資格
  • 通勤時間
  • 知り合いに紹介してもらいました
応募時に
必要とされた資格
日本語教育能力検定試験
選考方法
  • 書類
  • 面接
面接地 海外:現地

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

マカオで日本語を使う機会は少ないですが、日本食のレストランも増えていますし、日本旅行や芸能人、コスプレやアニメなどは一定の人気がありますので、伸び代のある分野だと思います。

1番需要があるのは、0を1にする基礎と初級のコースで、1番大変ですのでガッツが必要です。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

中国語で履歴書を作りメールで送った後、代表から連絡があり、面接の日時を決めました。

面接では、日本語を教えられるための資格と大学の卒業証書の提示が出来るか確認されました。後は、週何時間稼働出来るか、お給料に関する案内などでした。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

日本語教師になるための資格はどこでも同じですが、日本語教育が専攻で4年制大学に通ったか、日本語教育能力検定試験に合格するか、日本語教師養成講座を420時間修了するかの3つです。

簡単な言い回しでいいので、現地の言葉か英語で授業が出来ると受け持てる学生さんの幅が広がりますし、学校側からも重宝されます。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報
旅行会社勤務の同僚が日本語教師と掛け持ちで働いていたので、働いている学校を紹介してもらいました。紹介を頼んだりと自分で具体的にアクションを起こすか、たまたまスカウトされたという方が日本人講師では多いようです。大学でのお仕事は、日本の大学とインターンのやり取りもあるようです

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

旅行会社を辞めたときに、その会社の元同僚で日本語教師をしている方に、日本語教師として働きたいんだけど勤めている学校を紹介してもらえないかとお願いしたところ、すぐに代表から連絡がありました。

中国語で履歴書を作るのが少し面倒でしたが複雑なものではなく、面接は日本語で行われました。学校を訪ねてみると、家からも近く、他の同僚など顔見知りも何人かいたので安心出来ました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

母国語である日本語が武器になり、日本文化を海外に伝えられるということで、以前から日本語教師には興味がありました。

足を骨折して1ヶ月ツアーガイドの仕事をお休みしなければならなかったときに、時間があったので有効に使おうということで独学で日本語教育能力検定試験の勉強を始めたことがきっかけです。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

普通に暮らしていても知り合うことのない、マカオの社会人や学生さんの興味や暮らしを知ることが出来るのは、異文化交流の醍醐味です。

好きなアイドルの舞台を観に東京に行く方や好きな歌手のライブを観に地方まで行く方のような、動機付けが強い学生さんたちは、上級クラスに進むことが多くよく日本に行くので、旅行の話を尋ねると日本人との文化や習慣の違いが浮き彫りになるので面白いです。何より、いきいきと出来事を伝えようとしてくれる姿に嬉しくなります。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

収入と労力の折り合いがつかないときに、生活のことも考えて辞めたいと思ったことがあります。

授業をしている時間だけでなく教案作りやテスト採点にかなりの時間が取られることと、日本語が全くわからない相手に五十音から教えていくことは、苦労に収入が見合わないな、続けられるかなと悩みました。

逆に上級クラスの授業は、教えやすい割に給与の単価が高いです。1日中、授業のために学校で過ごすくらい稼働するようになると、ほとんど動かずにある程度の収入が得られるので楽になります。慣れるまでが大変です。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
今から興味があるのなら、日本語教育を専攻して大学院まで出るのが一番です。大学で働けますから。給与も平均の倍近くある上、尊敬されるやりがいのある仕事です。

【社会人の方へ】
日本語教育能力検定試験は、合格率が23%ですから自分で計画的に、合格すると確信出来るまで勉強に打ち込める方には向いています。日本語教師養成420時間コースは、日本語教育能力を即戦力となるまで高めるコースで、現場に1番近い場所で仲間と一緒に学べるので、日本語教師として働いている自分を想像しやすいと思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

学生さんは真面目で熱意がある方が多いです。親日で、教師は尊敬されます。少しシャイですが素朴でのんびりした国民性で、働きやすい環境です。

一方マカオで日本語を話せる人はすごく少ないので、五十音を教えることは大変ですが、これから学習人口を拡大出来る伸び代のあるビジネスです。

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