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海外日本語教師経験談

中国 マカオ 日本語学校(2015年) 楽しいですが努力が必要とされます

👩 椿さん・ 38歳

総評

  • 中国 マカオ 日本語学校
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間:1年 (2014~2015年) *退職
  • 月収:3〜11万円 (2,000〜8,000パタカ) *それだけでは生活は難しい
  • 勤務時間:1日1〜3コマ+80~120分 週4日勤務   *残業:職場で残業はしませんが、持ち帰りの教案作りやテスト採点にかなり時間を割きました。

以前から日本語を教えることに興味があったので、骨折して外回りの仕事を休んでいるときに時間の有効活用として独学で勉強を始めました。

学生さんは小学生から社会人まで幅広く、レベルも五十音からスタートの基礎から上級クラスまで担当しました。日本の文化や日本旅行、アイドルや歌手、アニメ、漫画が好きな学生さんも多く、趣味について話してもらうのもいい学習になりますし、聞いていて面白いものです。

初めの一歩となる初級、基礎クラスが一番需要があるのですが、当然ながら日本語が全くわからない学生さんが相手なので骨が折れます。わたしは現地の言葉が出来るネイティブ講師として重宝されましたが、上級クラスの方がお給料が高いので、初級クラスは大変さの割に実にならないというのが正直な感想です。

レッスンの時間以外は学校に行くことはほとんどなく、休日も確保出来ていました。ただ、持ち帰りの教案作りとテスト採点にかなり時間を割く必要がありました。

先輩講師の授業を見せてもらったり、日本人講師同士で情報交換したりするのも有意義でためになりました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

五十音を覚えてもらうことに、とにかく苦労しました。

学生さんにはハングルのような記号に見えるようなので、ひらがなとカタカナの書き取りを集めてチェックし、次の授業のときによくある間違いを板書して注意喚起しました。

また、初級クラスではローマ字を併記して板書して、早く読み方も覚えてもらえるようにしていました。

マカオは政府の補助金があり、初級クラスは無料で受講する人も多いです。

基本的には真面目な学生さんばかりですが、社会人が多いクラスだと2回目以降出席率がグッと下がることもあります。

これはもう文化の違いということで割り切って、常に自分に出来る最善の授業に努めました。

なぜこの日本語学校を退職しましたか?

日本語教師の仕事は授業の時間だけではなく、教案作りやテストの採点など授業以外にもかなり時間を割くことを必要とされるので、復帰したい気持ちはありますが子どもが生まれてからはどうしても難しくなってしまいました。

給与

月収:3〜11万円 (2,000〜8,000パタカ)
それだけでは生活は難しい

給与は正直あまり高くありませんが、年2回ボーナスが出る点はとても嬉しかったです。

授業は夕方から夜にかけての時間が多いので、私は3時までに観光を終えられるツアーガイドの仕事と掛け持ちをしていました。日本語教師だけで得られる収入ならば、ギリギリ最低ラインの生活レベルだと思います。

夏休みや春休みなどの長期休暇中は、小学生から大学生まで多くの学生さんが受講に来られるので忙しいです。稼働時間が長ければその分給与も増えますが、逆にそれ以外の時期はたくさん仕事をしたくても予定していたレッスンが開講しない場合もあります。

またマカオならではですが、台風が上陸すると教育機関は全て休校になります。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:3〜11万円

月収の内訳

  • 時給:1,000円
  • 中、上級クラス手当:レベルによって60〜300円

待遇

  • 賞与(年間6万〜10万円)

雇用形態

  • 非常勤講師

勤務時間

  • 1日1〜3コマ+80~120分 週4日勤務   *残業 職場で残業はしませんが、持ち帰りの教案作りやテスト採点にかなり時間を割きました。

長期休暇中の給与保証

  • 長期休暇がない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

授業は夕方から夜にかけての時間が多いので、それ以外の時間は自由に使えるのも魅力です。

休日は学校へ行く必要はないですが、教案の提出を義務づけられていたので、持ち帰りで次の授業の準備とテストの採点にかなりの時間を割きました。

教案は自分の予習にもなりますので、余裕を持って作っておくことをお勧めします。

スイスイ進んだときに準備が出来ていないと焦るので、少し前倒しして作っておく習慣がつくといいと思います。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス5〜30人

学習者層

  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人

スケジュール

  • 月:16:45〜18:45 初級クラス1コマ
    19:00〜20:20 中級クラス1コマ
    20:30〜21:50 上級クラス1コマ
  • 水:16:45〜18:45 初級クラス1コマ
  • 木:19:00〜20:20 中級クラス1コマ
    20:30〜21:50 上級クラス1コマ
  • 金:16:45〜18:45 初級クラス1コマ
  • 土・日:一日休めていました

教案作りで参考にしているサイトは?

  • CosCom
    例文や教材も豊富なので、ここから抜き出して授業に役立てることが出来ます。ひらがなやカタカナの学習方法や学習例についても参考になりますし、ゲームのように学ぶ方法も紹介してあります。どんな例文がわかりやすいのか、どんな内容が学生さんの興味を引くのかがわかります。
  • 日本語教師の教案
    授業の流れから目指す目標、応用練習に最適なアクティビティの紹介や学生さんに配布する教材の資料もあるので、実際の授業の様子をイメージしやすく使いやすいです。この通りにレジュメを組むだけで、学生さんの成長がわかるので重宝していました。日本語でこんなことが出来るという喜びを感じることが出来ます。

教案作りで参考にしている書籍は?

就職活動

この日本語学校で働くきっかけ・決め手は?

旅行会社を辞めたときに、その会社の元同僚で日本語教師をしている方に、日本語教師として働きたいんだけど勤めている学校を紹介してもらえないかとお願いしたところ、すぐに代表から連絡がありました。

中国語で履歴書を作るのが少し面倒でしたが複雑なものではなく、面接は日本語で行われました。学校を訪ねてみると、家からも近く、他の同僚など顔見知りも何人かいたので安心出来ました。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

中国語で履歴書を作りメールで送った後、代表から連絡があり、面接の日時を決めました。

面接では、日本語を教えられるための資格と大学の卒業証書の提示が出来るか確認されました。後は、週何時間稼働出来るか、お給料に関する案内などでした。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

マカオで日本語を使う機会は少ないですが、日本食のレストランも増えていますし、日本旅行や芸能人、コスプレやアニメなどは一定の人気がありますので、伸び代のある分野だと思います。

1番需要があるのは、0を1にする基礎と初級のコースで、1番大変ですのでガッツが必要です。

この日本語学校で求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

日本語教師になるための資格はどこでも同じですが、日本語教育が専攻で4年制大学に通ったか、日本語教育能力検定試験に合格するか、日本語教師養成講座を420時間修了するかの3つです。

簡単な言い回しでいいので、現地の言葉か英語で授業が出来ると受け持てる学生さんの幅が広がりますし、学校側からも重宝されます。

就職活動で有効な手段は?

  • 『紹介』
    旅行会社勤務の同僚が日本語教師と掛け持ちで働いていたので、働いている学校を紹介してもらいました。紹介を頼んだりと自分で具体的にアクションを起こすか、たまたまスカウトされたという方が日本人講師では多いようです。大学でのお仕事は、日本の大学とインターンのやり取りもあるようです

国選びで重視した点

  • 治安
  • 日本との距離
  • その国にもともと住んでいた
  • 日本語教師になる前から、観光客の増加で景気が良く旅行会社の仕事がすぐに決まったため、現地に在住していました。

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 一部に人気があり、数は少ないが求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 知り合いの紹介・誘い
  • 必須資格
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教育能力検定試験合格

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接

面接方法

  • 現地にて実施

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

母国語である日本語が武器になり、日本文化を海外に伝えられるということで、以前から日本語教師には興味がありました。

足を骨折して1ヶ月ツアーガイドの仕事をお休みしなければならなかったときに、時間があったので有効に使おうということで独学で日本語教育能力検定試験の勉強を始めたことがきっかけです。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

普通に暮らしていても知り合うことのない、マカオの社会人や学生さんの興味や暮らしを知ることが出来るのは、異文化交流の醍醐味です。

好きなアイドルの舞台を観に東京に行く方や好きな歌手のライブを観に地方まで行く方のような、動機付けが強い学生さんたちは、上級クラスに進むことが多くよく日本に行くので、旅行の話を尋ねると日本人との文化や習慣の違いが浮き彫りになるので面白いです。何より、いきいきと出来事を伝えようとしてくれる姿に嬉しくなります。

日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?それはどうしてですか?

収入と労力の折り合いがつかないときに、生活のことも考えて辞めたいと思ったことがあります。

授業をしている時間だけでなく教案作りやテスト採点にかなりの時間が取られることと、日本語が全くわからない相手に五十音から教えていくことは、苦労に収入が見合わないな、続けられるかなと悩みました。

逆に上級クラスの授業は、教えやすい割に給与の単価が高いです。1日中、授業のために学校で過ごすくらい稼働するようになると、ほとんど動かずにある程度の収入が得られるので楽になります。慣れるまでが大変です。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

今から興味があるのなら、日本語教育を専攻して大学院まで出るのが一番です。大学で働けますから。給与も平均の倍近くある上、尊敬されるやりがいのある仕事です。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

日本語教育能力検定試験は、合格率が23%ですから自分で計画的に、合格すると確信出来るまで勉強に打ち込める方には向いています。日本語教師養成420時間コースは、日本語教育能力を即戦力となるまで高めるコースで、現場に1番近い場所で仲間と一緒に学べるので、日本語教師として働いている自分を想像しやすいと思います。

中国で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

学生さんは真面目で熱意がある方が多いです。親日で、教師は尊敬されます。少しシャイですが素朴でのんびりした国民性で、働きやすい環境です。

一方マカオで日本語を話せる人はすごく少ないので、五十音を教えることは大変ですが、これから学習人口を拡大出来る伸び代のあるビジネスです。

の国・地域別 経験談

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