元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

ベトナムの日本語学校 経験談

日本語を学ぶ楽しさを教えています

公開:2018/05/21

タム(女性・28歳) 
日本語教師歴 4年 (2014年~2018年)
*休職中
資格・課程
ベトナムの日本語学校
経験詳細
  • 地域:Binh Duong県
  • 月収:9万7000円(910ドル)
    現地で生活をするのに十分
  • 常勤講師(非正規雇用・フルタイム)
  • 1年(2017年~2018年)
    *現在は退職

海外と日本とでは求められるものが違います。学校ではなくセンターにいたので、習い事として教えることが多かったです。日本では出席率や成績をあげなければなりませんでしたが、ここではいかに日本や日本語を楽しく知ってもらえるか、好きになってもらえるかということを意識していました。日本にいた時のように絶対に大学に受からせなければというプレッシャーがなく、気は楽でしたが、やりがいは日本でのほうが感じました。ベトナム人は素直な人が多く、日本語を勉強したいという人ばかりだったので授業はしやすかったです。

国内とは違い現地の先生方とも連携して教えるのも面白かったです。しかし、時々教えた内容に間違いがあり、それをベトナム人の先生に伝えるのに苦労しました。ベトナム人はプライドが高いので、とても気を使います。

またベトナム語と比較することで、ベトナム人はどこでつまずきやすいのかということが分かってきたことも、こちらに来て勉強になったことの一つです。たとえば「~に対して」と「~にとって」はどちらも「đối với」です。この使い分けはベトナム人にとって難しいので、片方の文型が出てきたときに両方提示するなど、新しい工夫ができるようになりました。

センター外でイベントをすることもあり、このときはカタカナで自分の名前を書くというプログラムを実施しました。私は字があまりうまくないのですが、お手本を書かなければならず恥ずかしいやら申し訳ないやらでした。こちらでは「おりがみ」「着付け」「日本料理」「書道」「茶道」などのスキルがあるとイベントで喜ばれます。私はけん玉とお手玉ができるので少し披露しました。

住居はホテルで、備え付けのキッチンがありましたが外食もよくしました。ビールたくさん飲んでも月3万円ほどですむので、生活には困りません。週10コマ(90分)ほどでしたので時間的にも多少余裕がありました。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

私のつとめていたところは学校ではなく、センターだったので習い事感覚で来ている学習者が多かったのが悩みです。90分を週に3回だけでしたので、なかなか上達しません。(みんな日本語終了までに2年半かかります)そんな中でもできる喜びを味わってもらうことに苦労しました。

初級は教室の中でしか日本語を使わない学習者が多いので、「昨日どこへ行きましたか」など簡単な会話でもいいので学習者同士で話す時間をとりました。ベトナムの学習者は「話したい」という思いが強いので、この時間はとても喜んでもらえました。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

1年契約だったので、更新をしませんでした。本当は更新するつもりだったのですが、

4月からは今まで外資系の保険だったものが現地の保険に切り替えらる。また今まで週10コマ以上担当した場合についた手当がなくなり、教師一人当たりのコマ数も増やす。

という条件になるとのことだったので辞めました。
契約更新月ではない他の先生方も4月からこの条件になったそうなのでとても理不尽さを感じますが、これもベトナムです。

給与・待遇

月収 月収:9万7000円
月収内訳 基本給:9万7000円
基本労働時間 1日8時間 週5日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇
  • 有給
  • 保険(外資系の保険)
  • 健康診断
  • 週10コマ以上の場合は超過勤務手当
教育機関が
用意してくれたもの
  • 住居提供
  • 住居費用負担
  • ビザ申請費用
  • 日本との往復航空券
クラスの長期休暇 テト(旧正月):2週間  
クラスの長期休暇中の
給与保証
仕事はないが、給料は支給される

私が契約した当初は外資系の保険に学校側の負担で加入していました。しかし、学校のトップが日本人からベトナム人に代わり、現地の保険に無断で切り替えられてしまいました。

住居は学校の系列会社が経営しているホテルだったので快適に過ごせました。プールやジムもついていたのでこれはなかなかない待遇だと思います。ただ洗濯機がなく多少苦労した面もありました。

わたしのいる県は都会ではないので3万円もあれば十分に生活していけるのでお金には困りません。ビールが一本80円ぐらいで飲めるので毎晩飲んでもこの値段です。

長期休暇はテト(旧正月)のみで帰国できるチャンスがすくないというのが不満点です。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

私の勤めていたところは会社系列のホテルが提供されていたのがいいところでした。給与面は一般的だと思います。

ホーチミンよりハノイのほうが求人が多いです。ホーチミンの学校は募集時の給与がこの学校よりすくない学校も多いようです。ホーチミン市では生活費もここよりかかりますから、それではちょっと生活が辛いと思います。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態
  • クラス授業
  • プライベートレッスン
  • 企業研修
学習者の年代
  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人
1日の時間割 月曜日
  • 10:45~12:15  
    留学・就職者向けクラスを1コマ (90分)
  • 17:45~19:15  
    JLPT対策N2のクラスを1コマ
火曜日
  • 17:45~19:15  
    初級クラスを2コマ
水曜日
  • 17:45~19:15  
    初級クラスを2コマ
木曜日
  • 17:45~19:15  
    初級クラスと中級クラスを1コマずつ
金曜日
  • 10:45~12:15  
    留学・就職者向けクラスを1コマ
  • 17:45~19:15  
    初級クラスを1コマ
休日 土日
イベントがなければ週2日休めました。
私はあまり仕事を持ち帰りませんでしたが、休日も授業準備をしている先生がいらっしゃいました

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

授業は学生や、勤めている人向けだったため昼の授業がなく、授業時間が朝9時~12時15分と夜17時45分~21時の2つの時間帯でした。。朝早い時間と夜遅い時間の授業が一日に入っているときは辛かったです。その分お昼休憩を長くもらえたのでしっかりリフレッシュして次の授業に集中できるようにしていました。

学生が集まらなければ講座が開講しないのですが、学生たちはぎりぎりに申し込むことが多く、学期の始まりは、どこのレベルが開講するのか直前までわかりませんでした。ですからなかなかシフトが組めないので、予定表の作成期間が短く大変でした。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
日本語教育のためのイラスト教材
分かりやすいシチュエーションのイラストがたくさんあるので、プロジェクターで学生に見せています。
参考になる書籍

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

ネットや映像はベトナムでも見られるので、手に取れる雑誌などを持っていけばよかったと思いました。特に日本の旅行雑誌など、せっかく日本に興味をもってくれた学習者なので、もっと日本文化を身近にかんじてもらうために持っていけばよかったと思いました。

持って行ってよかったものは赤ペンです。こちらのペンはあまり質が良くないので、たくさん買っていきました。フリクションも重宝しています。

就職活動

国選びで重視した点
  • 治安
  • 食べ物が口に合うかどうか
現地における
日本語教師の需要
強い人気があり、多くの学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 知り合いがいたため
応募時に
必要とされた資格
上記のいずれか
選考方法 紹介のため試験なし

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

ベトナムでは日本語の人気が高まっています。わたしの住んでいる町はそこまで大きくありませんが、日本語学校が15くらいあるそうです。しかし、ほとんどの学校はベトナム人講師のみが授業をしているので、日本人がいる学校は人気があります。

イオンやヤクルトなど日系企業で働いている学習者も多くいました。N3レベルがあると就職に有利なようで、学生たちは一生懸命目指しています。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

柔軟に対応する能力が必要だと思います。ベトナムと日本では仕事に対する姿勢がちがうので、そのあたりを柔軟に受け止める必要があります。

私は今ベトナム語を勉強していますが、同僚の先生方は全く勉強していませんでした。ベトナム語は発音という面においてとりかかかる難易度が非常に高く、頑張って覚えてもあまり通じないため挫折する人が多いです。つまり言葉はできなくても何とかなります。

逆に考えるとベトナム語ができる日本人はすくないので、本気で勉強する覚悟がある方はチャンスかもしれません。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
nihon mura
ここに求人を出していました。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

以前日本で勤めていた日本語学校で、一緒に働いていた方からお誘いを受けてここで勤務することになりました。

一度旅行としてその方の所へ遊びに行った際にベトナムの日本語学校も見学させてもらったのが決め手です。日本ではアルバイトにつかれて勉強のやる気をなくしがちなベトナム人の学習者が、きらきらとした表情で授業を受けていたことにびっくりしました。また、ベトナム料理が口にあったというのも理由の一つです。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

20代前半のころ大学を休学して将来に迷っていました。その時大学で受講した「日本語の音声」という講義がおもしろかったことを思い出して、日本語教師養成講座に通い始めました。

その後、大学を卒業して私の大学の専攻の職業と、日本語教師としばらく2足のわらじでやっていましたが、日本語教師の仕事がおもしろくなって、教師一本でやっていくことにしました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

以前ひらがなの書き方から教えていた学生から「N1に合格しました!」というメッセージや、大学の入学式の写真が送られてきたりすると、本当に嬉しくなります。

もちろん今教えている学生が試験に合格するのは嬉しいのですが、それ以上に以前教えていた学生の成長後の姿はジーンと来るものがあります。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
日本語教育が専門でなくても、総合大学に通っているのなら、日本語教育系の授業をとってみるのはどうでしょうか。

わたしも専攻は日本語教育ではありませんでしたが、「日本語の音声」という授業がおもしろかったことで日本語教師という職業に興味を持ちました。ぜひ色々な授業を受けてみてください。

また自分の専攻も大切にしてください。私の学校には美大を出た同僚や中国語が堪能な同僚がいました。今勉強している学部へ進みたい学生に教えるかもしれません。わたしも大学時代の技術が今の授業に生きていると思います。

【社会人の方へ】
日本語教師養成講座には仕事をしながら通っている方もいらっしゃいました。まずは日本語教師養成講座を終了するのがいいかと思います。半年まじめに頑張れば試験も合格できるので、勉強に自信のある方は、直接日本語教育能力試験にチャレンジするのもいいかもしれません。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

実は日本にいた時はあまりベトナム人にいい印象がなかったのですが、こちらに来て印象が変わりました。まじめですなおに話を聞く学習者が多いです。

ただ、ベトナム人にはあまりスケジュールという概念がないので、予定をしっかり立てて行動する方にはストレスが多いかもしれません。柔軟に対応する心と、異国に行く熱意があればきっといい体験になります。ぜひ頑張ってください!

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