元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

イタリアの語学学校での日本語担当 経験談

「日本大好き!」な生徒ばかりでみんな積極的で熱心です

公開:2017/11/24

高木さおり(女性・35歳) 
日本語教師歴 9.5年 (2008年~2017年)
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程 イギリスの教育機関にて資格取得
イタリアの語学学校での日本語担当
経験詳細
  • 地域:ヴェニス近郊
  • 月収:24,000円(180ユーロ)
    それだけでは生活は難しい
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 7年(2010年~2017年)
    *現在も就労中

イタリアは全ての進行がとてもゆっくりなので、履歴書を送ってから、面接に至るまで1ヶ月経つのも普通です。私の場合はインターネットで語学学校を探す事から始め、そこから市内にある2つの学校に履歴書を提出しました。

面接後、すぐ1校目の学校より連絡があり、プライベートレッスンでの希望者がいた為、履歴書提出より2ヶ月でレッスンを始めました。プライベートレッスンは、基本的には週1回1時間で、毎週生徒と希望日・時間を決めて行きます。長期休暇なども生徒と相談して決めることが出来るので自由にとれます。
レッスンの内容も、会話中心、旅行用の日本語、JLPT用など生徒の希望に沿って考えます。

もう一校では、グループレッスンを行っています。週2回2時間で計40時間のコースです。曜日は決まっていますが、3分の2の生徒が都合が悪い場合は日程を変えたりとコースですがフレキシブルにできます。コースの場合は、1コースを約3ヶ月の間に終了するものなので、その間で長期休暇を取る事は不可能です。

コースの利点はグループアクティビティが出来る事や、文化体験をみんなで一緒に出来る事です。生徒たちの希望で、書道体験を企画した事もあります。

プライベートでもコースでもイタリアで日本語を勉強したい人は、仕事の為に日本語が必要な人ではなく、日本の文化に興味がある人、日本旅行したい人、将来日本で働きたい人など個人が希望して勉強している場合が多いので、とても熱心で、積極的です。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

お国柄か、最初は時間通りに生徒が来ない事も多いです。今は最初の数回のレッスンでは10分位の遅刻は普通に考えています。しかし、日本の文化ではそれが通用しない事を教えて、生徒には時間通り、可能ならレッスン開始前には着席するようにしてもらっています。

また教科書をこちらで購入するのは若干難しいです。今ではアマゾンや大学がある大きな街などで購入も可能ですが、少し前は帰国時に必要分購入して持ってきていました。

給与・待遇

月収 月収:24,000円
月収内訳 時給:2,000円
基本労働時間 1日2コマ+60分 週5日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇 長期休暇なし  

大学での日本語学科の専任教師ならまだ可能かもしれませんが、私のように小さな街の語学学校で日本語教師をするだけでは生活するとなると厳しいかと思います。幸い既婚者ですし、物価が高いわけではありませんので、生活に困るという事はありません。

休暇ですが、プライベートレッスンの場合は生徒と話し合って決めるので、基本的には自由にとれます。日本のように福利厚生はありませんが、女性は妊娠しても出産間近まで働くのが普通ですので、女性には優しい環境かと思います。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

私が住んでいる街は小さいので他の教育機関がないのが現実です。一番近くても電車で2時間程かかる大学です。その大学の日本語学科で非常勤で働いた場合でもそこまで給与はよくないようでし、物価や家賃ももちろん若干高くなりますのでやはり日本語教師だけで生活するとなると難しいのが現状かと思います。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 プライベートレッスン
学習者の年代
  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人
1日の時間割 月曜日
  • 午前中  
    授業の準備
  • 15:00~16:00  
    初級レッスン
火曜日
  • 午前中  
    授業の準備
  • 15:00~17:00  
    初級レッスンを2コマ
水曜日
  • 午前中  
    授業の準備
  • 14:00~15:00  
    初級レッスンを1コマ
  • 17:00~18:00  
    初級レッスンを1コマ
木曜日
  • 午前中  
    授業の準備
  • 16:00~17:00  
    中級レッスンを1コマ
  • 17:00~18:00  
    初級レッスンを1コマ
金曜日
  • 午前中  
    授業の準備
  • 16:00~17:00  
    中級レッスンを1コマ
  • 17:00~18:00  
    初級レッスンを1コマ
休日 土・日
一日休めていました

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

コースは生徒が3人以上集まらないと開催されません。小さい街ですので、同じ時期に同じレベルの生徒が集まるというのが難しく、継続的に開催されないというのが問題です。

プライベートレッスンは生徒がいれば継続的にレッスンができるので、スケジュール管理するのは簡単かと思います。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
  • みんなの教材サイト
    初級・中級用の長文・読解用、日本で旬な話題がテーマになっている事が多いので生徒が興味がもてます。また世界中の日本語教師が実際に作った教材シェアされているので参考になります。食べ物、電車など日本の写真もあるので日本の文化を紹介する時にも便利です。
  • NEWS WEB EASY
    中級・上級用に簡単に書かれたニュースと実際のニュースを比較してもらいます。ニュースを読んだ後、それをテーマにディスカッションしたり、意見を書いてもらったります。
  • エリンが挑戦にほんごできます
    初級用で使いますが、ビデオなどは実際の学校生活が見られるので中級でも日本の学校生活をイメージしてもらえるので使います。
参考になる書籍
  • Japanese for Busy People I    
    対象者:初級
    毎回授業で問題の部分を使います。会話部分は一緒に読みます。
  • Japanese for Busy People    
    対象者:初級・中級
    毎回授業で問題の部分を使います。会話は一緒に読みます。漢字は宿題にする事が多いです。
  • Japanese for Busy People III    
    対象者:中級・上級
    毎回授業で問題の部分を使います。
  • 初級日本語 げんき I [第2版]    
    対象者:初級
    毎回授業で問題の部分を使います。教科書後半部分のひらがな・カタカナなどは宿題にします。長文は一緒に読んでいきます。
  • 初級日本語 げんき II [第2版]    
    対象者:初級・中級
    毎回授業で問題の部分を使います。教科書の後半部分の長文は一緒に読んでいきます。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

チラシ、新聞、雑誌、コミックなど日本でしか手に入らないものがあるといいです。私はチラシを準備して持って行きましたがとても重宝しています。値段の勉強の時も役立ちますし、食べ物でもイタリアにない物もたくさんあるので、日本文化を導入する時にも写真があるととてもいいです。また、デザインも全く違うので生徒には大変興味深いものです。

マンガやアニメ、日本のファッションもイタリアでは人気があるものです。前もって準備はして行きませんでしたが、女性・男性ファッション雑誌、ゲーム関係の雑誌やコミックも何冊かあるといいと思います。

上級レッスンの時には比較的簡単な記事を読んでみたり、イタリアの雑誌との違いなどをディスカッションできると思います。

就職活動

国選びで重視した点 結婚して移住
現地における
日本語教師の需要
一部に人気があり、数は少ないが求められている
教育機関選びで
重視した点
通勤時間
応募時に
必要とされた資格
日本語教師資格
選考方法
  • 書類
  • 面接
面接地 海外 (現地)

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

私の住んでいるのは都会ではないので、需要がかなり高いという訳ではありませんが、人口の割りには日本語を勉強したい人が多いと思います。しかし、イタリアでは子供の時から日本のアニメを見ている人が多かったり、日本食が好きだったりと日本文化に興味がある人がたくさんいますので、親日家が多いと言えます。

実際、私の生徒はマンガを通して日本に興味を持ち始めた人、健康を考えて日本食を食べるようになって言葉も興味を持ち始めた人、日本映画が好きな人、書道を勉強している人など、文化に興味を持ちそれがきっかけで日本語を勉強したいと思うようになった人ばかりです。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

まず始めに聞かれるのは、イタリア語がどれくらい話せるかです。日本語を勉強したい生徒はほとんど英語が話せますので、イタリア語ができなくても教えられない事はありませんが、やはりその国の言語がわかったほうが上手く説明できる時もあります。その他に今までどこで、どんなレベルを教えていた事があるか、どの時間帯で教える事が可能なのかなどです。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

面接で始めに聞かれたことなのですが、やはりイタリア語ができるというのが重要になってくると思います。上級レベルでは日本語だけで教えますが、初級ですとイタリア語で説明を入れた方が生徒にもわかりやすいです。もちろん、ほとんどの生徒が英語がわかるので英語で説明しても問題はないですが、要所要所で日本語にぴったりあったイタリア語で伝えると生徒の頭にも入りやすいですし、イメージもつきやすいです。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
INDEED
日系企業の求人も時々ありますが、まれに日本語教師の求人も掲載されます。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

私の住んでいる街は小さいので、語学学校が2校しかありません。2校ともに履歴書を送り、面接後採用となりました。採用されたのは、日本語教師の資格を持った日本人が居なかった事が大きいとは思いますが、ロンドンでの日本語教師経験とイタリア語が話せる事そしてプライベートレッスンでは生徒の希望時間にフレキシブルに対応できたという点だと思います。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

ロンドンでのワーキングホリデー期間に、私が日本人として日本人だけが出来る事はないかなぁと思い始めた時に、日本語教師のコースを見つけました。コースではどうやって外国人に日本語を教えるのか、日本語とはどんな言語かなど、一から日本語について勉強するというのは興味深いもので、普段使っている日本語でも知らない事ばかりで毎回発見ばかりでした。

日本語教師資格取得には、コース終了前のテスト合格と数回の教育実習の評価も含まれていました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

プライベートでは各生徒の希望やレベルに沿ってレッスンを考えます。生徒の好みや得意な分野・苦手な分野を発見するには少し時間がかかりますが、辛抱強く生徒の個性を理解して、それに合わせてレッスンをする事を心がけています。

映画が好きな生徒には、日本の最近の映画についてディスカッションしたり、料理が好きな生徒には日本の料理本を見て、イタリア料理と日本に料理の違いについてまとめてみたり、初級生徒にも、読解用に好きなマンガをテーマにしたりといつも教科書だけを使うレッスンをしないようにしています。

生徒の為に考えたレッスンをして、生徒に「いつも面白いレッスンありがとう」「本当の日本について勉強できて面白い」と言われるとレッスン構成の為にいっぱい調べて、考えて本当によかったなと思います。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

今まで日本語教師を辞めたいと思ったことはありません。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
大学入学前に日本語教師になりたい方は、日本語教師になれる学部に入るのがいいのかと思います。

【社会人の方へ】
日本語教師になりたい気持ちがあれば、「もう遅いかも」と諦めずに養成講座に通うのがいいかと思います。私のようにワーキングホリデーや留学でコースがあれば挑戦してもいいと思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

ビザ取得の問題があるので、イタリアで日本語を教えるのは大変難しいかと思います。

また、求人情報も簡単には得られないのでイタリアで日本語を教えたい人には苦労が多いかと思いますが、諦めずにインターネットで探してみてください。イタリアに行く機会があれば、事前に学校を調べて履歴書を直接持って行くというのも一つの手だと思います。

イタリアには「日本大好き!」と言ってくれる生徒がたくさんいます。日本とは全く違う文化の中、日本語を教えるのはとても楽しいものです!

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