元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

カンボジアの日本語学校 経験談

日本語教師で成功の近道は国民性を知ること

公開:2018/2/20
takachi(女性・35歳) 
日本語教師歴 1.5年 (2015年~2016年)
*他業種に転職
資格・課程 日本語教育能力検定試験
カンボジアの日本語学校
経験詳細
  • 地域:シェムリアップ
  • 月収:10,000円(350,000リエル)
    それだけでは生活は難しい
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 1年(2015年~2016年)
    *現在は退職

初めて訪れた旅行先のカンボジアの魅力に取り付かれ、帰国後日本で、日本語検定試験を受験したり、カンボジアで日本語教師の就業先をずっと調べたりしていました。

その後あるとき、何度目かのカンボジア旅行の際、現地で知り合った日本人の方から、シェムリアップで日本語教師を募集している旨のお誘いを受け、旅行期間を延長してまずはボランティアで1日、日本語教師の真似事みたいなことを体験させて頂きました。たった1日でしたがそのとき感じた、現地の子どもたちの勉学に関する熱心さに感動を受け、一方で、熱意だけではどうしようもない施設の劣悪な環境などを目の当たりにし、なんだか使命感みたいなものが沸いてきてしまい、一旦帰国後、すぐに荷物をまとめ移住をすることにしました。

働き出したのが、2015年4月からです。給与は月1万円強という現地採用レベルの低水準でしたが、受け入れる予定のない時期に私から押しかけて雇って頂くことをお願いしたため、報酬面での不満等はまったくありませんでした。平日の毎日午前中のみの1コマを担当し、午後は他の一般企業でアルバイト、土日は完全オフという生活の流れで、約1年半過ごしてきました。

最初のころは使命感と希望感に溢れていたため、何事もポジティブに考えることができていましたが、現地で大きな病気にかかってしまったことがきっかけで、熱意ややる気だけではどうしようもないこともあるんだと感じることが多くなりました。例えば私たち日本語教師や日本人スタッフが「遅刻はしないように」と何度言っても、家庭の事情や雨季の交通事情等の理由で、いつも遅刻してきた子どもがいます。当初は「生活スタイルを変えてあげるのも私の使命」と思っていましたが、その病気を経験した時を境に、「国民性だから仕方ない」と思うようにしたら、私自身の肩の力が抜け、気張らずに日々のカンボジアの生活も楽しむことが出来ました。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

生徒の勉学の熱意はありましたが、それに付随する設備や備品の不備に関して、大きな苦労をしました。最初は可愛そうになったため、自腹で鉛筆やノートなど購入してクラスで配っていました。そうでなければ、まず授業を開始することが出来ないからです。

あと、カンボジア特有の国民性ですが、とにかく様々な理由で遅刻が多かったです。遅刻は厳禁と教えるのではなく、仕方ないから次から気をつけよう、程度で注意しなければ、その子は二度と学校に来てくれません。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

仕事量と給与のバランスを考え、約1年半で退職しました。働き出した当初は待遇面で不安はありませんでしたが、一生涯この国で、この給与で働くことは出来ないため、一旦帰国し、再度自分自身の将来設計を見直してみたくなったことが、退職した理由です。

給与・待遇

月収 月収:10,000円
月収内訳 1コマ80分:500円
基本労働時間 1日1コマ+60分 週5日勤務
残業(時間外労働) 1ヶ月合計20時間
待遇
  • 交通費
  • 健康診断
教育機関が
用意してくれたもの
  • ビザ申請費用
  • 通勤に利用する際のスクーター
クラスの長期休暇 長期休暇なし  

私の場合は、自ら志願してこの学校で働かせてもらったので、カンボジア国内の一般の日本語教師の平均給与と比較して若干低く、月々約1万円でした。別途で、通勤や生活に使うバイクとガソリン代が貸与されていました。正直、この給与だけで生活するのは日本人ならば難しいです。家賃は知人の日本人の方とシェアし、食事はストリートの屋台飯、かつ、現地ではダブルワークで就労していましたが、毎月2万円ほど貯金を切り崩していたのが実情です。

一番困ったのは病気で長期入院していたときです。私は日本で加入した旅行保険がありましたので金銭的に大きな負担はなかったのですが、日本で言う労災みたいなものはないため、保険だけは何らかの形で加入しておいたほうがいいと体感しました。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

現地で知り合った方々の話を総合すると、現地採用として従事している場合は月々約2万円、駐在のような形で日本から派遣されてきている場合は約10万円前後と、大きな違いがあるようです。また、駐在の場合は日本同様の福利厚生(保険や各種手当て)が別途で付帯されます。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス10人
学習者の年代 小学生
1日の時間割 月曜日
  • 8:00~11:00の間で80分、1コマを担当。
火曜日
  • 8:00~11:00の間で80分、1コマを担当。
水曜日
  • 8:00~11:00の間で80分、1コマを担当。
木曜日
  • 8:00~11:00の間で80分、1コマを担当。
金曜日
  • 8:00~11:00の間で80分、1コマを担当。
休日
  • 土曜日:基本は休日ですが、次の週の授業の資料作りをしていました
  • 日曜日:基本は休日ですが、次の週の授業の資料作りをしていました

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

基本は平日午前中の1コマでしたが、10名前後のクラスで当日何名も来なかったということが一度や二度ではありませんでした。その際の振替の授業の日を設けるのがとても大変でした。ですので宿題という形で生徒に課題を持ち帰ってもらうことで、何とか授業の進むペースを乱さないようにしていました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
JAYAランゲージセンター
日本にいたときカンボジア語の勉強をしていた学校です。そのときの先生が用意してくれたテキストが、イラスト入りのものもあったりと非常に手が混んでいて使いやすかったため、かなり参考にしていました。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

生徒用の鉛筆、消しゴム、ノートなどは、百円ショップのものでもいいので日本から持って行けばよかったと後悔しています。本来は先生の負担で用意するものではないのですが、まずは授業に出てもらうという意味では、変な言い方ですが「新しい勉強道具をあげる」というだけで生徒たちはとても喜んでくれるからです。

就職活動

国選びで重視した点 渡航経験があった
現地における
日本語教師の需要
一部に人気があり、数は少ないが求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 学習者数
  • 知人の紹介
応募時に
必要とされた資格
なし
選考方法 紹介のため試験なし

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

需要は間違いなくあります。日本語を習得して現地観光ガイドなどに従事する場合、日本語が使えるというだけで給与が2倍ほどになるためです。

また、一般企業で働いている方が転職して日本語ガイドになるため、日本語学校に通っているという方も多いです。幅広い年代で日本語を学びたいと思っているカンボジア人は多い印象です。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

日本語教師に関わる一切の資格は、持っているにこしたことはありません。特に採用制度がしっかりした駐在タイプの日本語教師の求人は、日本語検定の点数や大学で取得した資格など、より具体的な強みが求められます。ただ、私のように民間の、小さな日本語学校では、資格等より、現地の生活レベルに合わせられるかとか現地の言葉を不自由なく使えるかといった、実務的な能力の方が求められると実感しました。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
カモメアジア転職 カンボジアだけでなくアジア各国の日本語教師の求人が掲載されています。アジアの求人に関して言えば、ボリューム的には一番のサイトだと思います。
その他求人情報
現地ゲストハウスや旅行会社等:日本人専用のゲストハウスや旅行会社では、時に求人の張り紙が出ていたりします。ある程度その国に行き慣れている方は、現地で探す手もあると思います。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

何度目かのカンボジア旅行の際、首都プノンペンの日本人専用のホテルで知り合った、その日本語学校を運営している方からのお誘いがきっかけです。旅行中に一度授業に参加させて頂き感銘を受け、帰国後すぐに荷物をまとめて再度この学校を訪れました。当時は新規で日本語教師を募集しているわけではなかったのですが、そんなに高額待遇ではなく、かつ、初級者クラス(日本でいう小学生くらいの年齢)でしたらお任せするとの了承を頂き、約1年半勤務した経緯です。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

日本では中学校美術の教員をしていたのもあり、「教師」という職業で海外で働きたいという志向が強かったためです。初めての一人旅で訪れたカンボジアという国のあたたかさ、雰囲気、そしてあまり設備等が揃っていない学校の環境に逆に魅力を感じてしまい、いつしか「カンボジアで日本語教師を目指す」ことを目標に、日本で暮らしていた形です。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

目に見えて日本語レベルが上達した生徒を見たときは、やはり感動して涙が出ました。また、既述の通り、まずは「学校に来てもらう」ことが重要になる国ですので、授業開始時に全員が着席して待っていてくれた日はその授業にも気合が入りました。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

特にありませんが、現地で感染症にかかり入院してしまったときは心が弱くなってしまい、金銭面や将来のことも考えた上で、帰国が頭によぎったことはあります。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
社会人になる前の学生の時期は、人生の中で一番、自由になる時間が多いです。まずは日本語教師で働きたい国のことを、とことん好きになってください。旅行でもいいので現地に遊びに行って、現地の食べ物を食べる、現地のアパートに暮らす、現地の人と仲良くなるなど、その国のことを大好きになった上で、日本語教師として働くことが本当に出来るのかを今一度考えてみて下さい。

【社会人の方へ】
社会人の方は、おそらく即戦力としての日本語教師の能力が求められると思います。もしくは家族を築いている方は、待遇の面でもこだわらなければならない状況になると思います。ですので、最低でも日本語教師420時間講座と検定試験は両方取っておいて下さい。日本語教師は資格がなくても出来る職種ですが、より好待遇を求めるならば、両者の取得は必須です。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

今、カンボジアは日本ブームです。日本食レストランが出来れば今なら間違いなく繁盛していますし、街中には日本の中古車で溢れ、テレビCMでは日本人の役者さんが登場することもあります。そういう意味では日本語教師を目指す国としてはうってつけのところだと思いますが、先進国での就業とは違い、発展途上国で働くということは、思った以上に上手くいかないことが多々あります。

日本語教師としての能力の取得はもちろんですが、多少のカンボジア語の取得や、カンボジア料理を好きになることなど、「働く」以上に「暮らす」ことを念頭に入れて、実りあるカンボジアでの日本語教師としての成功を実現させて下さい。

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