元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

韓国の日本語学校 経験談

学習熱高し・多忙・上下関係もあり

公開:2017/11/24

TACHIBANASHI(女性・33歳) 
日本語教師歴 7.6年 (2009年~2016年)
*育児休業中
資格・課程
韓国の日本語学校
経験詳細
  • 地域:ソウル
  • 月収:18万円(180万ウォン)
    なんとか生活できる
  • 専任講師(正規雇用)
  • 5年(2009年~2014年)
    *現在は退職

日本語学習熱がとても高い韓国では学生のレベルも基本的に高く、初学者は韓国人に習い、中級になるとネイティブ講師の授業になることが多いです(もちろん初級担当の場合もあります)。民間学校は高校生以上~社会人まで学生の幅が広く、時間帯も午前中から夜遅くまで授業があります。

韓国で働いてみようと思ったきっかけは、当時の韓流ブームもあり、韓国という国に興味をもったこともありますが、学習熱の高さと、レベルの高さなど、なんとなくですが仕事しやすいかなと思ったことです。

授業は基本的に月~土(午前)で一日50分×6コマですが、午前2時間、午後2時間、夜2時間という時間割で、間の休憩時間はひたすら授業準備などであまり自由だと思える時間はありません。

日曜日や休日は授業は基本的にないので、休むことができます。基本的にはカレンダー通りで、大学や高校などと違い、決まった長期休暇はありません。

一日6コマで、それぞれの担当科目がレベルが違うので授業準備も大変ですが、韓国ならではの大変さといえば、学生同士の年齢による上下関係があったり、教師と学生の年齢による上下関係などでときどきやりにくさを感じることが挙げられると思います。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

民間の語学学校ということもあり、年齢層や学習背景が多様でした。その割には開講クラスが「中級会話」「上級会話」のようなレベルでのみ分かれている授業が多かったので、授業トピックを選ぶのが難しい面もありました。

また、学生同士で人間関係に気を使うようなこともありました。会社の重役クラスの人と高校生と子育てが一段落した専業主婦が同じクラスにいることもあるので、専業主婦が会社重役に気を使いながら高校生の面倒を見たりとか、発言時間が長すぎる会社重役に対して高校生が置いていかれることもあったりしました。

クラスのメンバーの序列が年齢や背景で決まってしまうという印象が強かったです。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

長く働いたので他のところでも働いてみたかったというのもあります。また、語学学校が乱立する中で、経営がうまくいかず給料の支払いが遅れることもありました。

そして、経験を積み、資格取得などでスキルアップをしているにもかかわらず給料が上がることもなく、日本語教育界全体が陰りをみせはじめたころから、私生活での転機などもあり、総合的にやめるときが来たかなという感じでした。

給与・待遇

月収 月収:18万円
月収内訳
  • 基本給:15万円
  • コマ数オーバー分:3万円
基本労働時間 1日6時間 週6日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇
  • 保険(健康保険・雇用保険)
  • ビザ支給
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇 長期休暇なし  

日本への帰省など長期休暇を取りたい時は他の先生に代講を頼む必要がありました。最初の頃はなかなか人脈も少なく頼める先生がいなかったので実質長期休暇はとれなかったです。

お給料はソウルではわりと高いほうでしたが、それでも週6日働いて18万円だと、家賃5万、ワンルームの管理費(光熱費・水道代・インターネット代)で1万、食費3万、携帯代6千円、と固定費だけで10万円近くになりました。そのため、その他の衣服や旅行や交際などに使えるお金はそんなにありませんでした。

韓国では外食というとまず一般的な食堂に行き、そのあとカフェなどに行くことも多いのですが、カフェ代が食事代と同じくらい高いので外食費がかさむことも多かったです。

生活に困ってしまうほどではありませんでしたが、貯金ができるような給料ではありませんでした。それでも語学学校の日本語教師の中ではもらえているほうだったと思います。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

語学学校はとにかく夜の授業(22時近くまで)が必ずあることと、長期休暇が基本的にはないことが特徴だと思います。

大学などで勤めている先生は、長期休暇にまとまって日本に帰省する人も多く、その点はいいなと思いました。しかし、大学などでは日曜日に学会や学生のスピーチコンテストや合宿など授業以外のイベントも多く、毎月1~2度は日曜も休みなしということもあるようです。

お給料は年俸制をとるところが多いと思います。経歴や資格なども関係するとは思いますが、どういった働き方を希望するかで選択肢は変わると思います。中には大学で働くより民間の語学学校で働くほうが授業の自由度が高いという理由で、スキルがありながらも語学学校を選ぶ先生もいます。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス10人
学習者の年代
  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人
1日の時間割
  • 9時出勤
  • 10:00~12:00  
    中級と上級を一コマずつ
  • 14:00~16:00  
    中級と上級を一コマずつ
  • 19:30~21:30  
    中級と上級を一コマずつ
  • その間は自由時間ですが、基本的に授業準備に追われます
  • 9時出勤
  • 10:00~12:00  
    中級と上級を一コマずつ
  • 14:00~16:00  
    中級と上級を一コマずつ
  • 19:30~21:30  
    中級と上級を一コマずつ
  • 9時出勤
  • 10:00~12:00  
    中級と上級を一コマずつ
  • 14:00~16:00  
    中級と上級を一コマずつ
  • 19:30~21:30  
    中級と上級を一コマずつ
  • 9時出勤
  • 10:00~12:00  
    中級と上級を一コマずつ
  • 14:00~16:00  
    中級と上級を一コマずつ
  • 19:30~21:30  
    中級と上級を一コマずつ
  • 9時出勤
  • 10:00~12:00  
    中級と上級を一コマずつ
  • 14:00~16:00  
    中級と上級を一コマずつ
  • 19:30~21:30  
    中級と上級を一コマずつ
  • 9時出勤
  • 10:00~12:00  
    2コマ
休日 日曜日
一日休めていました

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

次の授業準備はすぐにしておかないとコマ数に追われます。当初は、授業の直前に次の授業の準備をしていましたが、毎回焦りと不安で授業のクオリティも低くなっていました。そのため、その授業がおわったらすぐにその担当科目の次回の授業を準備しておくことで、授業の雰囲気や感触を忘れないうちに準備ができ、結果的に効率よくできるようになりました。一度体調を崩したり、雑用が入ってしまうと仕事も持ち帰りになりました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
yahoo!toppage
最新のニュースなど話題選びによく利用しています。
参考になる書籍
日本語総まとめ N2 語彙 (「日本語能力試験」対策)    
対象者:中級・上級
トピックに関連する語彙を選びプリントにして配布するときの参考になりました。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

日本のスーパーのチラシや旅行案内パンフレットなどがあればよかったなと思うこともありました。ですが、基本的には最近ではネットのPDF版も出ているのでそこまで困ることはありませんでした。ネットで入手しにくいのは、フードチェーンや居酒屋などのメニューなどです。日本でも入手できるかどうかわかりませんが、あればよかったなと思ったことはあります。

レアリア以外でいえば、絵の練習や、歌やドラマ・アニメなどの知識(見たことがある,読んだことがある)のレパートリーが日本にいる頃からもっとあればよかったなと思うことはありました。が、それも現地のネットである程度、挽回はできます。

教科書や参考書などは現地のものも大変数多く流通していて、クオリティも高いので、日本からもっていくものは教師向けの指南書だけでも大丈夫だと思います。(写真は現地で出版されている一般向けの日本語教科書)

就職活動

国選びで重視した点
  • 治安
  • 日本との距離
  • 学習者のレベル
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 必須資格
  • 通勤時間
応募時に
必要とされた資格
選考方法
  • 書類
  • 面接
面接地 海外 (現地)

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

ある程度日本語教育の需要はあります。が、一時のピークよりはだいぶ下火になり、最近では中国語熱が高まっているため、各地で日本語学校や日本語学科の規模縮小や学部統合などが起きています。一方で教師のスキルや学歴はあがっており、以前よりは競争率が高くなっているように思います。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

面接といってもほとんど履歴書と本人の確認と学校の校長やスタッフとの顔合わせ及び今後のスケジュール確認のようなものでした。聞かれたことは、提示した金額での給料でいいか、どのへんに住んでいるのか、日本の出身(と雑談)など、たいした内容ではありませんでした。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

ほとんどの学校で420時間以上の養成講座修了または日本語教育能力検定試験合格があれば優遇、という条件を提示しています。修士以上だとさらに強いです。専門分野以外では、ビジネスマナーに詳しいとか、日本での営業経験やプログラミングスキル、日本語以外の教科の指導経験などがあると、就職の幅がひろがります。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
  • 在韓日本語教師メーリングリスト
    在韓の日本語教育関係者が主に登録していて、色々な求人情報が回ってきます。求人情報以外にも現地で行われるシンポジウムやスピーチ大会などの情報が送信されるので、とても有益な情報源です。
  • saramin
    韓国の求人情報サイトです。韓国語ができれば、登録すると随時情報が更新されます。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

こじんまりとした小規模経営の語学学校だったので、大手とは違い自由度が高かったです。大手は教科書の指定もカリキュラム進行のスケジュールもあり、体系としてはきっちりしていますが、その分授業内容の自由度は低くなります。

私が働いた学校はテキストも自由で学習目標設定なども自由だったこと、学生たちも地元の人が多く、通勤距離も住居から近かったこと、給料も高くはないが安くもなかったことなどの理由が決め手となりました。長く働けたので、結果的によい選択だったのだと思います。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

教えることが好きだったこと、海外生活に興味があったこと、などが最初の動機です。英語圏も憧れがありましたが、色々な英語圏にいくうちに、なんとなく生活文化が日本と違いすぎて私には合わないということを肌で感じるようになり、韓国ならもう少し共通点も多そうだなとおもったのが韓国での日本語教師をめざすスタートとなりました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

授業は毎学期(3ヶ月ごと)で更新ですが、学生さんが「また先生の授業を取りたい」といってくれるときはとても嬉しいです。

また、留学などを目指して語学学校に通っていた学生が、留学を終えて帰国したときにまた連絡をくれたときもうれしかったです。

授業以外の食事の交流がときどきあり、そういうときに授業ではなかなか見られない学生さんの素顔が見れたり、こちらもそういう面を見せることで親しくなれる機会が多いのもいい点です。

韓国の学生さんはわりとすぐにメッセンジャーなどで先生と個人番号交換をもとめてくるので、気が合えばそこから長年普通の友人のような関係になることもあります。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

なし

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
時間と金銭面の余裕があれば420時間養成講座を修了しておくと、知識と授業スキルを両方最低限みにつけることができます。最低でも知識面で検定合格をめざしておくと、多くの学校で求められる最低条件はクリアできるのではないかと思います。

【社会人の方へ】
社会人経験を求める学校もわりと多いです。とくに日本のビジネスマナーに関するレクチャーを求める企業や学校も多く、学生にはない強みとなるので、今の社会人経験も日本語の授業の大事な資源になっていると思っていいと思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

同じような立場で働く日本人講師が多く、人的ネットワークはすぐにできると思います。食べ物や気候などで困ることはあまりなく、生活面でのストレスは日本とそんなに変わらないと思います。

ただし、日本にはない儒教的な年功序列の感覚や、組織内政治などの力は感じることがあり、ある程度そんなものかという諦めのような感覚も必要かもしれません。

いってなんぼの国民性もあり、不満があるのにいわれたことをそのままやるよりは、こうしてほしい、といった要望は言うだけ言ったほうがいいのですが、なかなか年功序列の部分と相容れない面もあるので、複雑なところでもあります。

とはいっても基本的には、先生は尊敬される国で、学生も勉強熱心でレベルも高く、総じて働きやすい環境ではないかと思います。

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