元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

カナダの日本語補習校 経験談

カナダの日本語教師は需要が少ない

公開:2017/11/22
Shirley(女性・27歳) 
日本語教師歴 2年 (2014年~2016年)
*他業種に転職
資格・課程 日本語教師養成講座420時間(ニューヨークアカデミー)
カナダの日本語補習校
経験詳細
  • 地域:バンクーバー
  • 月収:26,000円(260カナダドル)
    それだけでは生活は難しい
  • 専任講師ですが週1勤務のため時間勤務扱いでした
  • 2年(2014年~2016年)
    *現在は退職

カナダのカレッジを卒業し、卒業後に申請できる3年間の就労ビザを取得していましたが、カナダか日本で働くか迷っていたので、とりあえず帰国しました。その時に、日本でもカナダでも使える資格はないかと考え日本語教師を思いつきました。

そして地元福岡にあった日本語教師養成所で資格を取りました。その後カナダに戻る決意をし、日本から日本語教師の仕事を探しました。学校に直接問い合わせをしたりしましたが募集していないところが多く、結果日本語教師とは全く関係のない仕事を見つけカナダに渡りました。

その後、カナダの日本人向け求人サイトに日本語教師募集の求人があったので、応募をして日本語教師になりました。

学校は、日系カナダ人や両親の片方がカナダ人の幼稚園生から高校生が通う日本語補習校で、私が教えていた基礎科は毎週土曜日だけ開校していて、授業時間は午前13時から午後15時までです。ですので、月〜金曜日は本職をしながら、土曜日に日本語教師をするというスケジュールでした。給与は時給日本円で約2000円で、本業がないと生活していくのは厳しいです。宿題とテスト作りと、その採点は時間外にやっていました。

学校のスケジュールは最初の30分間日本文化のクラス(そろばん・毛筆・硬筆・漢字)で、あとの1時間半が基礎日本語クラスです。私は文化クラスの硬筆と日本語クラスは2年連続で中学1年生を担当していました。

学校で使用する教科書は日本の小学校で実際に使われている光村図書のもので、中1のクラスは小4と5の教科書を使います。実際に日本の小学生に教えるのを少し簡単にした感じで自己流に教えるので日本語教師養成所で習ったことは全く活用しませんでした。

ほとんどの子が幼稚園から始めて途中で辞めたりするので、中学生までやっているのは積極的に日本語を学びたいとても勉強熱心な子ばかりだったので教えやすかったです。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

校長先生から「先生に全てお任せします」と言われ、自由な教育方針の学校でした。

そのため教案・宿題・テストは全て自分で考えなければならないので、最初のうちは大変で就労時間以外の授業準備時間がとても多かったです。教科書と過去の先生の教案を渡されただけで、それを見ながらやりましたが、同じ中1でも年度ごとに生徒のレベルがかなり違うので、過去の先生の教案はあまり役に立たず毎回クラスの進み具合を見ながらクラス内容を考えていました。年度の最初は大変でしたが中盤くらいから生徒のペースやレベルがわかってくると楽になりました。

また、2年目は既に漢字テストや宿題のストックがあったので、生徒の進み具合に合わせて教案を考えるだけだったのでかなり楽になりました。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

私情で2016年の年末に日本に帰ることになったので、区切りのいい学年末に退職をすることにしました。1年契約(9月始まりの6月終わりで8月まで夏休み)なので契約を更新しないという形で離職しました。毎年学年末には数名先生が辞められるので、私の時も他に離職される先生方がいらっしゃいました。

給与・待遇

月収 月収:26,000円
月収内訳 時給:2,000円
基本労働時間 1日2時間 週1日勤務
残業(時間外労働) 教案・宿題・テストの作成・採点は時間外
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇
  • 冬休み:3週間
  • 夏休み:2ヶ月
クラスの長期休暇中の
給与保証
給与保証がない

私は月曜日から金曜日までは本業で正社員として働きながら、土曜日に2時間日本語教師として働いていました。他の先生方も正社員としての本業がある方、もしくは主婦をされている方ばかりでした。

本業か扶養がなければ生活できないので、副業程度、また時間外に準備などあるのでほとんどボランティア感覚で考えたほうがいいと思います。

運動会や発表会、文化祭、ミーティングなどがあった場合はその時間分給与が発生します。写真は学年末の発表会兼卒業式の様子です。教会を借りて式をします。

通常は2時間の授業分の時給で給与が発生しますが、実際は30分ほど早めに行って印刷をして準備をしたり、クラス後片付けをしたり、宿題・テスト・教案作り、保護者のメール対応などがあるので時間外にもやることがたくさんあります。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

カナダ日本語クラスの需要から、週1で2時間だけの勤務になってしまうのは仕方ないので基本的なところは現地の他の教育機関と比べられないと思います。短い勤務時間なので待遇は全くないですが給与はカナダの教職員の時給では妥当な数字だと思います。

日本人学校や、大学の日本語教師として正社員で働き待遇を受けることもできますが、どこも先任があり、あまり募集がされていないことや、日本語教師の資格があるだけでは難しく、日本語教師経験やカナダで取得した学位や日本の教員免許が必要なところがあるのでカナダで日本語教師だけでやっていくのはとても難しいでしょう。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス8人
学習者の年代
  • 小学生
  • 中学生
1日の時間割 土曜日
  • 13:00~13:30  
    文化クラス・硬筆
  • 13:40~15:10  
    日本語クラス
休日
  • 月〜金
    日中は本職で勤務、毎日帰宅後少しずつか1~2日で教案・宿題作りや採点
  • 日曜日
    1日休めていました

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

授業が週1だったので特にスケジュール管理で大変だったと感じたことはありません。

授業内容など全て自分で考えなければいけないのと、宿題やテストの採点があるので本職の仕事から帰宅後に少しずつ作業して、授業がある土曜日には終わらせるようにしていました。

授業翌日の日曜日は何もしたくなかったので月〜金曜日に終わらせるようスケジュールを組みました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

学校で毎回教案を保存するため、他の先生が過去に作成した教案を参考にしていました。

形式は日本語教師能力検定で習ったものと同じで、見慣れていました。時間・教える内容・必要な教材・メモを書く欄がありました。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

生徒が宿題にシールをつけてあげると喜びましたので、日本語が書かれたシールや「よくできました」など書いたスタンプを日本で買っておけばよかったと思いました。

ことわざについて学ぶ時があり、犬棒かるたを日本から送ってもらいましたが、かるた自体で遊ぶのがカナダで育った子供たちにとって新鮮だったようでとても盛り上がっていました。

硬筆では学校にあった見本がとても古いもので、何年も変わってないようで高学年の子達はみたことがあってつまらなそうにしていたので、日本から大人向けのペン字の本を送ってもらって、それを印刷して高学年の子達にやらせていました。

就職活動

国選びで重視した点
  • 治安
  • 日本語教師としては、既にビザがあったので
現地における
日本語教師の需要
ほとんど求められていない
教育機関選びで
重視した点
選べるほどの選択肢がなかった
応募時に
必要とされた資格
なし
選考方法
  • 書類
  • 面接
面接地 海外 (現地)

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

カナダでの日本語教育の需要はとても低いです。

私が教えていた日本語学校に来る子供たちは日系や両親の片方が日本人という子達ばかりでした。
日本語を勉強している理由の多くは「親・祖父母と日本語で話したい」で、親の希望でさせている場合が多く、高学年になってくると他の部活や習い事に専念したかったり、日本語を話すことの重要性を見出せなかったりと自分の意思で辞めたいと思うようになるようです。

一般人向けの日本語のクラスもありますが数は多くないです。
大学やカレッジでは日本語のクラスがあるところが多く、JLPT受験の指定校になっているところもあります。そしてほとんどの生徒が日本への興味からクラスを受講しています。

私が住んでいたバンクーバーには日本人も多く住んでいるので、友達から教わるという人も多く、私も個人的に教えていたこともあったので日本語クラスに行くまでもないという人が多いのかもしれません。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

今まで大人に教えた経験しかなかったので、子供相手になるが大丈夫か聞かれました。子供に教えるのには保護者との関係性も必要になってくると言われました。

また、本職との掛け持ちが大丈夫かも聞かれました。日本語教師としてというよりは子どもと関わるのが大丈夫かということを重点的に聞かれました。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

日本の教科書を使った日本の小学校のような授業だったので、日本語教師養成講座で習った内容は全く活用せず、就職時にも必要ない資格でしたが、あとから校長先生に聞いた話によると日本語教師の資格があることは採用する上で高ポイントだったようでした。

他の先生は保育の資格がある人や元日本の子供英会話教室の先生などがいたので、日本語教師の資格よりは保育や子供の教育に関わる職歴があったほうがいいと思いました。

私の働いていた補習校ではなく全日制の日本語学校では教員免許が必要なところや、カナダの大学で日本語を教える場合はカナダで取得した学位が必要でした。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
  • JPCanada
    カナダの日本人向けクラシファイドサイト。日本語教師の求人が時々掲載されている。
  • Craigslist
    各国にあるクラシファイドサイト。時々日本語教師求人が掲載されている
  • indeed
    各国にある求人サイト。アプリもある。時々日本人教師求人が掲載されている。
その他求人情報
Douglas College:学校のウェブサイトの求人に日本語教師アシスタントが載せられていたことがあった。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

もともと日本にいる間からカナダの日本語教師の仕事を探していましたが、募集しているところがなかなかなく、結局カナダで全く関係ない仕事で働いていたところ、ネットの募集を見つけ、応募しました。ボランティア以外の日本語教師の募集自体がなかなかないので、チャンスだと思いました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

カナダのカレッジを卒業した後、3年間の就労ビザが出たので日本に帰って就職するかカナダに残るか迷っていました。そのときに、日本にいてもカナダにいてもできそうな仕事を考えた結果、日本語教師を思いつきました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

2年目に教えた生徒さんのお母様から学年末に頂いたお手紙に書いてあったのですが、文化クラスは全てのクラスに硬筆を教えるので、前年から「この硬筆の先生が私の来年の担任の先生になればいいな」と言ってくれていたそうで、実際に私になってとても喜んでいてくれたそうです。私のクラスが楽しく学校からフェリーに乗って2時間の登校でしたが毎回日本語学校に行くことを楽しみにしてくれていたと書いてあってとても感動しました。

また、私が教えていた中学1年生は、勉強や部活との両立が難しかったり、日本語への興味自体が薄れてしまって辞めてしまう子が多くなる年齢でした。

担当クラスにサッカーとの両立に悩んでいた子とご両親の離婚により日本語の興味が薄れてしまっていた子がいて、続けるか迷っていましたが次年度も続けていて、上の学年に上がっても私に挨拶に来てくれた時は嬉しかったです。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

なし

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
学生のうちに日本語教師養成講座を受講したり検定試験を受けておくことはメリットしかないと思います。ボランティアやアルバイトや個人レッスンで、日本語でなくてもいいので教える経験をたくさん積んでおくと就職するときに役立つと思います。

【社会人の方へ】
検定試験の合格率はかなり低いので、仕事などで勉強する時間がない場合は日本語教師養成講座を受けて資格を取ることをお勧めします。

私が行った日本語教師養成講座は全員社会人で当時23歳の私が最年少でした。

年齢層が様々でしたが、歳は関係なく同じ目標に向かって勉強して、今でも講座のクラスメイトと仲良くしていて、日本語教師情報を共有しています。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

まず初めに、カナダで働きたい場合はワーキングホリデービザを使うか、就労ビザを得なければいけません。私が持っていた就労ビザは、カナダのカレッジ(または大学)で2年以上勉強して得られるものです。

その他の就労ビザは、カナダの企業にスポンサーになってもらったりしなければなりません。日本語教師の正社員の仕事はなかなかないので、スポンサーになってもらうことは難しく、日本から就労ビザがない状態で仕事を探すのはとても難しいと思います。

また、どこの学校もできるだけ長期で働ける先生を探していることが多いので、1年間のワーキングホリデービザで先生を目指すのはボランティア以外では少し難しいかもしれません。

私が働いていた学校も他の先生たちもカナダに移住されている人、正社員の本職がある人ばかりで、ワーキングホリデーの人はボランティアとしてお手伝いに来てもらっていました。

カナダで日本語教師になる場合、日本語教師の資格の有無はあまり関係ないですが、取っておいて損はありません。実際に働いていた日本語学校の校長先生から資格を持っていたのも採用のポイントになったと言われました。

カナダの日本語学校の数は一般人向けの語学学校よりも私が働いていたような日系や日本人の親がいる子供向けの学校が多いので、幼児・児童教育の勉強をしたりして資格を取っておくと役に立つと思います。

それから、カナダの就職は日本語教師以外であっても経験重視のところがあるので日本語教師のボランティアをしたり、塾講師やプライベートレッスンなどアルバイトでもできるものがあれば人に教えるという経験をしておいたほうがいいと思います。

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