元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

ケニアの外国語学校 経験談

生徒との積極的な交流とタフな精神が必須

公開:2017/08/09
しまうま(女性・31歳) 
日本語教師歴 4年 (2009年~2013年)
*他業種に転職
資格・課程 日本語教師養成講座420時間(THE WORLD JAPANESE LANGUAGE CENTRE)
ケニアの外国語学校
経験詳細
  • 地域:ナイロビ
  • 月収:60,000円(50,000ケニアシリング)
    なんとか生活できる
  • 常勤講師(非正規雇用・フルタイム)
  • 4年(2009年~2013年)
    *現在は退職

私が日本語教師という仕事を始めたきっかけは、「ケニアに住みたい」という思いからでした。アフリカ専攻だった大学時代に、ボランティアで訪れたケニア。ぜひまた戻ってきて、今度はここで生活をすることで、この国の人たちのことをもっと理解したい。そう思っていたところに、日本語教師を探しているというお話を頂いたのです。

ケニアの生徒たちは、基本的には単に「日本に興味がある」というのではなく、日本語を学ぶことで将来良い職に就きたいと願う高校卒業後の子達が主でした。学ぶ姿勢は積極的で、習ったばかりの日本語を使ってみるのもためらわないので、教えがいがありました。

しかし、日常生活では、彼らに日本人と関わったり日本語を試すような機会はほとんどなく、私が唯一知っている日本人、日本語を試せる相手。そんな中、私が一番に努めていた事は、彼らの「友人」となり、少しでも多く日本語での会話を楽しんでもらうことでした。休日に家に招いて日本食パーティーをしたこと数知れず。他の日本人と交流しつつ日本文化を学んでもらう、よい機会になったと思います。

大変だったのは、教えることよりも就労ビザや給与の面でした。経営者は、プッシュしないと自分に不都合なことは後回しという性格。

ケニアではとても高額な外国人就労ビザの取得にまず時間がかかりましたし、毎月の給与が遅れることも多々あり、少しのことでは驚かない、何度でもめげずにプッシュする、そんなタフな精神が養われました。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

学習環境で驚いたことは、ケニアの専門学校などでは、教科書をまるまるコピーして生徒に渡しているということでした。そもそもオリジナルの教科書が輸入されていないので、改めて考えるとやむをえないことだと思いますが、最初はかなり抵抗がありました。

職場の環境としては、給与支払いの遅延が多々あり、少し離れたオフィスにいる経営者に毎回会いに行ったり、電話やメールで交渉したりと、本来しなくてもよいはずのことに労力を奪われるのはストレスでした。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

生徒は一定数いて軌道に乗っている頃でしたが、給与の支払いなどの面での不満がありましたし、ビザの更新がまた大変だろうという思いがありました。ちょうどその更新時期に結婚が決まって引っ越すことになったので、退職することを選びました。

給与・待遇

月収 月収:60,000円
月収内訳 基本給:60,000円
現地の月収事情
  • 市民の平均月収
    20,000円(15,000ケニアシリング)
  • 最低限必要な月収
    80,000円(70,000ケニアシリング)
基本労働時間 1日5コマ+60分 週5日勤務
残業(時間外労働) 1ヶ月合計20時間
授業の準備
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
ビザ申請費用
クラスの長期休暇 クリスマス:2週間
クラスの長期休暇中の
給与保証
  • 給与保証がない
  • 長期休暇中は仕事をしていない

私がもらっていた給与は、ケニア人の一般的な給与からしたら良い額ではありますが、外国人がそれだけでケニアで暮らすには少し厳しい額でした。

その理由は、貯金する余裕がないことです。外国人がある程度セキュリティーを確保できるようなアパートは家賃が高く、私はシェアして借りていました。それでも生活費として残るのは半分ほどです。外食は最低限に抑え、普段は自炊して節約していました。

生活はそれでも私には十分でしたが、貯金ができなくて困るのは、なかなか一時帰国できないことです。学校は日本との往復航空券等も保障していないので、一時帰国では完全に日本の貯金に頼ることになり、この学校で長く続けることはできないと感じていました。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

外国人を継続して雇っているようなところでなければ、就労ビザの費用の負担についてはかなり交渉が必要でしょう。私はその交渉がうまくいかなかったために断念した大学があります。私が教えていた学校は日本人を継続して雇っていたので、そのへんの理解はあり助かりました。

また給与の支払いに関しては、私の場合は経営者の判断一つだったので、毎回のプッシュが大変でした。その点、公立大学で短期講座を受け持ったときは、給与システムが固まっているので、プロセスにやはり時間はかかりましたが、まだ気が楽でした。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態
  • クラス授業:1クラス4人
  • プライベートレッスン
学習者の年代
  • 大学生
  • 社会人
1日の時間割 月、水、金
  •  9:00~10:30  
    初級クラスを1コマ
  • 10:30~12:00  
    初級クラスを1コマ
  • 13:00~14:30  
    初級クラスを1コマ
  • 14:30~16:00  
    初級クラスを1コマ
  • 16:00~17:30  
    初級クラスを1コマ
火、木
  •  8:30~10:30  
    中級クラスを1コマ
  • 10:30~12:00  
    初級クラスを1コマ
  • 13:00~15:00  
    中級クラスを1コマ
  • 15:00~17:00  
    中級クラスを1コマ
  • 17:30~19:00  
    初級クラスを1コマ
休日 土日
一日休めていました

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

しっかりとした学期制はなく、希望者がいればいつでも入れる学校だったので、ほぼ毎月クラスが増えることになってしまって、タイムテーブルを組むのが大変でした。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
みんなの教材サイト   
教室活動案、イラスト、読解用素材まで何でもあるので、困ったときはいつもこのサイトを参考にしていました。
参考になる書籍
初級日本語 ドリルとしてのゲーム教材50(アルクの日本語テキスト)   
対象者:初級・中級
ユニークなゲームがたくさんあって、とても重宝しました。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

日本語教師養成講座について、通信で学ぶのは非常に便利でしたが、通学していたらもっと自信が持てていただろうと思います。友人たちと一緒に教案を練る経験、模擬授業の経験、それらがなかった私は、現地でその重要性を痛感しました。

唯一の救いは、自分自身が外国語大学で外国語を専門に勉強していたため、生徒の立場になって考えることができたことでした。

就職活動

国選びで重視した点
  • その国の母国語が得意(スワヒリ語)
  • 渡航経験があった
現地における
日本語教師の需要
一部に人気があり、数は少ないが求められている
教育機関選びで
重視した点
他になかった
応募時に
必要とされた資格
日本語教師としての資格を証明するもの
選考方法 紹介のため試験なし

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

学生には3パターンいて、一番多いのが、これから日本への留学や日本関連企業への就職を夢見て学ぶ大学生。次に、キャリアアップのために日本語を習得したい観光ガイド。最後に、家族や友人が日本にいたり、アニメ等の日本文化に興味があったりする大学生もしくは社会人でした。

近年では、中国企業の進出により中国語を学んで仕事に活かしたいという人が増えていますが、「日本」のブランド的イメージはまだまだ強く、募集すれば必ず学生は集まるでしょう。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

就労ビザの審査が厳しいので、日本語教師としての資格を証明する書類が必ず必要になります。私の場合は日本語教師養成講座の終了証でした。

私は入学希望者との面接も自分でしていたので、英語、もしくは現地語(スワヒリ語)が日常会話程度は話せないと大変だったと思います。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報
紹介:実際に現地に赴くか、現地に住む日本人などに直接あたってみる。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

大学時代、ケニアにボランティアで訪れていた際に、日本語教師を探している人がいると、学校の経営者を紹介してもらいました。

卒業したら戻ってくると話したものの、初めは口約束だったので、日本に帰ってからも定期的にメールを送ってアピールを続け、最終的に経営者から国際電話で改めてオファーをもらいました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

初めは日本語教師という職に絞っていたわけではありませんでしたが、ケニアで日本語教師を探しているというお話を頂いたので、そこから日本語教師養成講座を通信で学び始めました。

もともと外国語大学で、日本語専攻の友人や日本語教育能力検定を受ける友人などもいたので、日本語教師という職自体はすんなり受け入れられました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

私がケニア人と接する中で気づかされて、一番ショックだったことは、自分が日本のことを何も知らない、ということでした。

ケニア人はたいていみんな愛国心が強く、子どもの頃から政治について詳しく知っていますし、各部族の特徴や伝統なんかも一通り言えます。

それに対し、ケニア人に日本について質問されても答えられないことが多かった私。いろいろと調べて答えていくうちに、自分自身が日本についての理解を深めることとなり、それが日本語教師時代で一番の収穫だったと思います。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
大学の日本語専攻に入れば、日本語教育についてはもちろん、日本についての予備知識がたくさん得られるでしょうから、それが一番の道かもしれません。そうでなければ、日本語教師養成講座を受講するのが良いでしょう。

【社会人の方へ】
まずは、夜間通学できる養成講座や大学の日本語専攻などを探してみるのはどうでしょうか。もしくは、通信で勉強して、その後インターンというかたちで、実際に授業を受け持ちながら学べるシステムがある学校もあります。実践的に学べるものを選ばれることをお勧めします。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

日本人の中にアフリカは一つの国と思っている人がいるように、ケニア人の中には日本や中国、韓国を混同している人がたくさんいます。お互いの情報が知れ渡っていない、それくらい距離が離れている国で、日本語、そして日本文化について、あなたが情報源となって発信していくというのはとても価値のあることですよね。

治安や生活面の不安はあるでしょうが、助け合い精神の強いケニアでは、たくさんの人があなたの味方となってくれるでしょう。ぜひあなたもケニアでしかできない経験をしに行ってみてください。

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