元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

イギリスの日本語学校 経験談

日本文化の知識は必須

公開:2015/12/19
シャーリー(女性・28歳) 
資格・課程
  • 英検 準1級
  • TOEIC 900点
  • 専門学校
イギリスの日本語学校
経験詳細
  • 地域:南西部
  • 月収:18,000円(90ポンド)
    それだけでは生活は難しい
  • 非常勤講師(非正規雇用・コマ)
  • 2年(2013年~2015年)
    *現在も就労中

日本語教師は、パートタイムで行っています。この職で、フルタイムで働いている人は、イギリスでは、本当に少ないのではないでしょうか。

フルタイムで働く場合は、住む場所、食べ物には困らない、普通の生活はできると思いますが、最初の数年は贅沢はできません。また、パートタイムでの収入では家賃を払うのも難しいです。

学生たちは日本が好きだったり、ハーフの日本人の子供だったりと様々で日本語を習得するのにやる気があります。こちらとしても、とてもやりがいがあり、教えがいのある仕事ですが、需要はほとんどありません。

需要がない中でも、生徒たちは、日本の文化についてかなり知っていますから、教える方側としてもあたらしい知識をどんどんと取り入れ、また文化や風習は別に学んでおいた方がいいと思います。

あとは、若い子に教えるのであれば、若者ことばも知りたがる生徒が大変多いので、アニメやマンガの情報もあると更にいいですね。

たまたま友人のクラスのレッスンに顔を出した時ですが、その先生は50歳以上のベテラン先生。レッスンもスムーズで、学生達もひところも聞き逃すまいと聞いています。

しかしレッスン後にはその先生のところではなく、私のところに多くの生徒が来て、「ワンピース知ってる?」「ナルト知ってる?」などと日本のアニメやコミックの話をしてきました。

また、年齢を聞かれたので伝えると、更に日本で流行っている言葉を知っているか、などの質問攻めでした。しまいには、来週も来るのか?もっと若い人と話したい!実は、先生は若い人の事を何も知らないから…などととにかく学生は今の事を知りたがっていました。話し方もそうですね。

ある程度日本語の知識がある学生だからこそではありますね。

給与は、ごく一部の人(大学の教授など)以外は、この仕事のみで生活するのは少々難しいと思います。特別出勤などはありませんが、レッスンプランを立てたりすることに関しては、お金は発生しません。

講師の仕事一本に絞らず、融通のきく、レストランやカフェでのアルバイトと掛け持ちして、生計を立てている人が多いのが現状です。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

日本では、質問は授業中に手をあげて、「質問のある人」などとよく言われましたが、イギリスでは、授業の後に個人的に聞きに来る人がたくさんいます。

ですから、レッスンが終わっていて、もう給与が発生しない時間にも質問に対応しなくてはいけません。これには最初戸惑いました。

というのも、どの講師もレッスンを時間通りにきっかり終わらせます。この国の人は特に、無賃労働などはありえませんから、決まった時間にはもう教室を出られるようにマネージメントしています。

時間やお金の事が日本とは全く違うので戸惑いましたし、まずはレッスンを時間少し前に終わらせて、質問をしに来る人の事も考えてタイムマネージメントするのが大変でした。

給与・待遇

月収 月収:18,000円
月収内訳 1コマ60分:4,000円
現地の月収事情
  • 市民の平均月収
    240,000円(1,200ポンド)
  • 最低限必要な月収
    240,000円(1,200ポンド)
基本労働時間 1日1~2コマ
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 有給
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇 イースターホリデー:30日弱
サマーホリデー:30日強
クリスマスホリデー:30日弱
クラスの長期休暇中の
給与保証
有給を使用  

有休は契約書を結べば、パートタイムでの仕事であっても貰うことができます。ただし、この有給休暇の中から、 長期休暇分も使用されます。

パートタイムで働くだけではこの国では食べていけません。これで生活していけるかといえば、ハッキリ言って無理だと言えます。他になにか仕事をしていたり、配偶者があれば別ですが、家賃も光熱費もこの金額では難しいですね。

フルタイムで働いていれば、平均月収より良い金額を貰える場合が多いので、生活も問題なく、むしろ他の人より時間にも休暇にも余裕がある良い生活が出来ると思います。

また、現在は、1ポンドが200円程なので、全てが高く感じられると思います。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

大学での勤務がおすすめです。フルタイム・パートタイムと大体の場合が共に募集がありますし、自分に合った働き方が出来ると思います。

給与や待遇面は、どの学校もあまり変わらないと思います。そこまで日本語教育に需要がないので、フルタイムで働く仕事をお探しであれば、大体の場所がほぼ同じ金額を提示してくるでしょう。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態
  • クラス授業:1クラス約5~10人
  • プライベートレッスン
1日の時間割
  • 11:00~12:00  
    初級クラス/1コマ
  • 13:00~14:00  
    プライベートレッスン
休日 金曜日
休日に取り組んだ仕事:レッスンプランの作成と前回レッスンの見直し
その他
  • 3/20~4/15:イースターホリデー
  • 7/20~8/30:サマーホリデー
  • 12/20~1/15:クリスマスホリデー

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

やはりテスト前になると模擬テスト等もするので、採点に時間がかかります。1人1人にコメントなどを残し始めると、なかなか仕事が終わらないこともあり、数日に渡って採点しなくてはいけないことがあります。

こういった突発的なものは、スケジュールに組み込むのも管理するのも難しいことがあります。年間スケジュールは常に持ち歩き、大体どの時期にテストがあるなどは把握しておいた方がいいと思います。

また、レッスンとレッスンの合間は、20分の休憩があったほうがうまくまわります。10分ではちょっと難しいこともありますよ。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
日本語能力試験JLPT   
ここから問題を出題しています。
参考になる書籍
三省堂こどもことば絵じてん   
対象者:初級
言葉をこの辞典の中から選んでもらい、説明してなんの言葉を選んだか他の生徒に当ててもらう。
日本語能力検定試験 読むN5 UNICOM   
対象者:初級
練習問題をやらせています。読解の問題はこの本から出題しています。
ゲンキ   
対象者:初級・中級
基本の勉強はここからさせています。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

教材は準備して持って行った方がいいですね。海外配送をしていない会社もありますし、ここでテキストを買うとなると倍以上の値段がとられます。

日本のマンガや本は生徒たちの勉強にもなりますし、自分が読み終わった本を生徒たちに課すことが出来るので、マンガや単行本などは持っていて良かったと思っています。

就職活動

国選びで重視した点
  • 渡航経験があった
  • 結婚して居住している為
現地における
日本語教師の需要
ほとんど求められていない
教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 通勤時間
選考方法
  • 書類
  • 面接
  • 紹介
面接地 海外:現地

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

マンガやアニメが好きな学生が、日本語を勉強します。それ以外の人は、ほぼ日本語には興味がない為、日本語教育には、イギリス全土としてほとんど需要がないと言っていいと思います。

全体的に親日ではありますが、日系企業もロンドンへ行くか、すごく田舎の方へ行けばありますが、そういった企業を就職先として選ぶ学生は少なく日本語の勉強も趣味の程度で来ている人が多いですね。

子供に教える補習校も他の国に比べると少なく、教える機会は少ないと思います。

生徒の一人は、日本の大学に編入し、その後一度帰国。また日本の企業に就職し日本で働いていますが、そういった子は稀です。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

日本語を教える経験と、とにかく何かを教える経験があるかというところを重視して聞かれました。英語力も聞かれましたね。また、面接自体が英語でした。

日本との文化の違いや、自分の強みをアピールしなくてはいけませんでした。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

日本語講師の資格があるのがもちろんいいと思います。証明になります。

それ以外に、特にイギリスでは経験を重視されますから、資格があっても経験がなければ採用してくれる確率がぐんと下がります。プライベートでも、何かしらの経験があったほうがいいと思います。

日本語以外には、英語は支障がない程度に話せる必要があると思います。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
  • reed
  • ウェブサイト:各大学

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

元々英会話講師だったこともあり、講師の仕事を探していました。イギリス国内、北東部から引っ越してきて、南西部ではすぐには見つからなかったのですが、たまたま日本人に遭遇し、そこで日本語クラスがあるという話を聞き、まず足を運んでみました。

そこからトントン拍子に話が進み、フレキシブルに働ける日本人が今必要だと言われ、すぐに勤務し始めました。 ほぼ紹介の様な感じでしたね。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

日本では英会話講師として仕事をしており、元々教育に興味がありました。イギリス人の夫と結婚し、イギリスに住むことが決まり、日本の文化を広めたいと思ったのがきっかけです。

それに加えて、3年日本にいた夫は、ほとんど日本語が喋れずに苦労したので、日本ではいかに日本語が必要かということに気付かされましたし、日本に旅行に行くにしても英語が通じない場所もあるので、ある程度の日本語は旅行に行くにしても知っておいてもっと楽しんでほしいと思いました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

やはり、生徒がテストに受かった時などは生徒と共に喜びを感じます。また、自分のおススメのマンガやアニメを生徒達が見て、楽しかったという感想をくれたりするのも、この仕事でよかったなと思えるひと時ですね。

また、日本に行って、これが楽しかった。あれが楽しかった。日本語がこんな風に使えたという報告をもらえると日本語教師をやっていて良かったと思います。

日本に行った生徒達がお土産を買ってきてくれるので、なかなか日本に帰ることのない私にとっては貴重な食料になりますし。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

大学や学校で教えるとなると、やはり他のスタッフとの兼ね合いもあります。もう一人いた日本語講師はとてもいい人でしたが、大学の事務員として働いている日本人の女性がとても意地悪だったので、入ってからすぐに仕事を辞めたいと思い始めました。

言葉一つ一つもキツく、事務関係で話さなくてはいけないのでとても苦痛でした。馬鹿にするような言い方も時々あり、不愉快に思うこともありました。

結局、その方が理由で何人も辞めていったことをあとから知ったのですが、私も同様の理由で最終的には退職しました。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
日本語教師を希望しているのであれば、卒業後に日本語教師の資格をとるのがいいと思います。大学では教育学やそれに似合ったものを勉強してみてはいかがでしょう。

学校を卒業してから日本語教師の資格をとる人が多いですし、大学のうちは教育に関わる勉強をするのもいいと思いますよ。

【社会人の方へ】
仕事をしながら資格をとることもできるようですから、日本語教師の資格をまずはとってみるといいかもしれません。もしくは、パートタイムで、日本語教師として民間学校で教えるのもいいかもしれませんね。

教師という仕事は、思っていたのとちょっと違うかもと思う人も多いので実際にやってみると向き不向きもでてきます。

資格をとったり、パートタイムで働けるところで経験を積んで自分に合うかどうかも判断するのがいいかもしれませんね。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

とにかく、イギリスでは経験のない人はなかなか雇ってもらえません。ボランティアでもプライベートでもいいですから、まずはなにかしらの経験を積んで下さい。

また、新しい言葉・若者言葉、日本の文化やニュースは日本語を教えるのにも役立ちますし、毎日しっかり確認して、いつでも話せるようにしておくといいですよ。

需要はあまりないですが、日本語や日本の人気は高まっていますから、これから雇用が増えればフルタイムでの仕事もあるかもしれませんね。

↑ ホームへ戻る

P C S P