元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

中国の大学 / 中学校 経験談

やりがいのある仕事、平均的な生活レベル

公開:2017/02/17

岡田(男性・42歳) 
日本語教師歴 1.3年 (2015年~2016年)
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程 T.E.S.O.L及びS.L.A.M(Japanese)
中国の大学/中学校
経験詳細
  • 地域:西南地方
  • 月収:70,000円(4,600元)
    現地で生活をするのに十分
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 1.3年(2015年~2016年)
    *現在も就労中

きっかけは、日本でまず自分が中国語の勉強を始めたことです。さらに日本で生活している多くの中国人と知り合い、彼らに日本語を教えたりしてきました。その過程で日本語教師に興味を持ち、勉強を始めました。

中国に来てから、知り合いの紹介で大学で教えています。生徒の質は、大学では専門科目ということもあり、一応真面目に勉強しています。

ただ、大学3年生ぐらいになると、基礎はすでにできているので、そこで満足し興味が薄れてしまう人とさらに上を目指す人とに別れてしまうように感じます。

それで興味を保つために、視覚教材を多用しています。幸い大学では、必要な機器が整備されています。

教室には、プロジェクターが天井に設置されており、前面にある教師用のパソコンと接続されています。パソコンを操作して画像を出したり、映像を流したり、単語などの表を映し出すことができます。


教室にプロジェクターが設置されている


スクリーンで視覚教材を多用出来る


映像を流すなど設備が整っていて便利

言語学習には明確な目標が必要だと思います。明確な目標がある人は熱心で、欠かさず出席し、授業態度も模範的です。

現在中学校でも教えていますが、中学生は言語の内容よりも楽しく学べるよう助ける必要があります。

大学生と違って中学生は、日本語を勉強する価値について十分に理解していません。それで、五十音なども絵やカードを使って楽しく学べるように工夫しています。

やりがいは生徒の言語の分野での進歩を、間近で見ることができることです。

もともと日本の文化に興味がある生徒にさらに、日本の言語、文化、習慣を伝えられるのはとても誇らしい仕事だと思います。

日本語教師の生活レベルは、現地の平均的な生活レベルとほぼ同じです。私は臨時講師ですから、コマ数が多くないのですが、正式に採用されている方なら、平均以上の生活をすることができます。

臨時講師のため、十分の休日があります。さらに夏休みと、こちらでいう春節(冬休み)の休みはとても長く、十分の休息を取ることができます。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

授業を受け持ってしばらくすると、クラスが分かれてくるように感じました。

熱心な子は前に座り授業によくついてきて、質問すると当てられていないのにすぐ答えます。後ろの生徒はそうではなく、聞いていない生徒もいます。

なので、熱心な子も授業から益を得て、さらに後ろの生徒も落ちこぼれていかないようにするのが苦労したところです。

後ろの子にも答えさせたり、実演や発表をさせたりして、緊張感を保つことができるようにしました。

授業は日本語で説明しますが、現地の言葉で補足するなら、全ての生徒が授業についていきやすくなります。フラッシュカード、動画、歌などを使い、興味を持続できるようにしました。

給与・待遇

月収 月収:70,000円
月収内訳
  • 1コマ45分:2,000円
  • 交通費:400円
現地の月収事情
  • 市民の平均月収
    62,000円(4,000元)
  • 最低限必要な月収
    45,000円(3,000元)
基本労働時間 1日4コマ 週3日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 交通費
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇
  • 夏休み:50日
  • 冬休み:50日
クラスの長期休暇中の
給与保証
長期休暇中は別の仕事をしている  

給料の面では満足しています。週に3日ほど、臨時講師の仕事をして平均的な生活レベルを維持できるからです。

日本では、授業の前に細かい打ち合わせをしたりすると思います。ですが今の学校は大学側が指定するのは教科書のみで、進め方、内容など、ほぼ全て日本語教師に任されています。

授業内容について、事前の説明がありませんでした。使う教科書も分からず、生徒の日本語レベルも知らずに教壇に立ったのを覚えています。

自由度が大きいのでやりやすいのですが、始めた時は幾らか戸惑いました。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

民間の日本語学校の日本語教師の給与は、さまざまです。1コマの給与が大学の半分ぐらいのところもあります。

ただ、正式に大学に採用されている人たちは、住居が備えられていたり、一年一回日本に帰国する費用が出るなど待遇面で大きな差があります。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス35人ぐらい
学習者の年代
  • 中学生
  • 大学生
1日の時間割 水曜日
  • 8:30-12:00  
    中級クラス2コマ、ビジネス日本語クラス2コマ
木曜日
  • 15:35-17:05  
    初級クラス2コマ
金曜日
  • 8:30-10:05  
    ビジネス日本語2コマ
  • 13:40-15:15  
    初級クラス2コマ
休日
  • 月曜日:休み
  • 火曜日:休み

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

半日だけなのですが、4コマ連続で授業がある日があります。ずっと話していると声がかすれるように感じました。それで、携帯できるマイクを使うようにしました。

さらに生徒にたくさん発言させたり、課題をさせたりして、授業中でも自分が休めるように工夫しました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
日本語教師の応援サイト   
イラスト画像を無償でダウンロードすることができます。絵が分かりやすく、文法を理解させたり、基本単語を覚えさせたりするのに有用です。
参考になる書籍
みんなの日本語 初級1 中国語版   
対象者:初級
そのまま用いることはしませんが、例文を作る時に参考にさせてもらっています。また、この教科書は挿絵が多く、場面設定も自然で、そのまま日常生活で用いることができます。
新版中日標準日本語中級上下冊   
対象者:中級
みんなの日本語中国語版とこの標準日本語は中国人が使っている2大日本語教科書といえます。こちらは、説明が豊富で、文法を細かく解説しています。そのため日本語能力試験向きです。例文や説明文などを参考にさせてもらっています。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

言語学習と直接関係ありませんが、日本の文化を紹介できるものを持っていくといいと思いました。帰国した際に購入し持っていくようにしています。けん玉や折り紙などです。

さらに自分の育った街、実家、両親の写真などを見せるととても親しくなれます。

また、上級クラスでは、ビジネス日本語を教える機会もあります。もし自分が日本のサラリーマンの経験をしていたなら、より具体的に伝えることができると思いました。

就職活動

国選びで重視した点
  • その国の母国語が得意(中国語)
  • 気候
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 学習者が学生
応募時に
必要とされた資格
なし
選考方法 書類

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

中国は親日ではありませんが、経済では深く繋がっており、日本語の学習者の割合は比較的多めです。もちろん英語を学ぶ方が一番多いですが、その次は日本語になります。

現地では、日本の自動車会社、百貨店、コンビニエンスストアなどの企業が進出しており、採用されるのに、日本語が求められる場合があるようです。

日本語学習者に将来の希望を聞くと、日系企業で働く、翻訳家、通訳者になる、教師になる、などの希望を持っています。

日本語が話せると就職の機会が広がるため、日本語教育の需要があります。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

面接はありませんでした。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

今、中国にいますので、現地の中国語のレベルはある程度必要だと思います。

中国語が話せれば、大学側との連絡や要求事項も誤解なく理解できますし、特に日本語初心者はある程度、中国語で説明することが求められます。

相手の日本語レベルが上がるなら、授業はほぼ日本語で行います。ですから現地の言語ができるなら、仕事の幅が広がるものと思われます。

資格については日本語能力検定試験合格、また「四大卒」であること、日本語の専修過程を終了していることなどが重視されています。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
  • 58同城   
    中国の情報サイト、求人情報も含まれる。「招聘」という部分をクリックすると求人情報に飛び、「日本語教師」で検索するとその都市の日本語教師の求人情報を得ることができる。中国語。
  • カモメ中国転職   
    中国への転職情報を掲載している。日本語。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

それまでは知り合いの日本人の方が、大学で日本語を教えていました。その方が帰国することになり、紹介で働き始めました。

大学への行き方や交通費、教科書代など、かかる費用は大学側が負担し、働ける環境を整えてくれたので、ここで働くことに決めました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

もともと、日本にいた時に自分が中国に興味があり、中国語を勉強していました。その関係で日本に住んでいる中国人と友達になり、個人的に日本語を教えていました。

日本では、もちろん自分の力だけではありませんが、教えている生徒が日に日に上達していくのを見てやりがいを感じ、それから本格的に日本語教師の勉強をしました。

後に、中国に渡ってきて、日本語教師の仕事を見つけました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

教える際にいろんな方法を試しています。多くの学生が好きなアニメの一部を流したり、漫画を教材として用いたり、歌、フラッシュカード、聞き取りテストなど、視覚教材をよく用いるようにしています。

生徒が頻繁に発言し、意欲的に学んでいるのを見ていると、やりがいを感じます。また、教えている生徒が、日本語の2級や1級に合格し、お礼を言われた時はとても嬉しく感じました。

事あるごとに、プレゼントやお礼の手紙をもらうと、日本語教師をやってて良かったと感じます。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

生徒が勉強以前に、学ぶ姿勢ができていないと学級崩壊のような状態になり、続けるのを難しく感じました。大学だけでなく、中学校で教えたこともあります。

中学の学級クラブのような扱いで、放課後にそれぞれスポーツや文化クラブを選び、勉強します。日本語もその一つでした。

なかなか静かにならず集中力もないため、50音や数字を教えるだけでもたくさんの時間がかかりました。

やはり、先生という仕事は優しさだけでなく、威厳と強さが必要だと感じました。もし仕事が中学校だけであれば、やめていたかもしれません。

大学生は、専門ということもあり、真面目に勉強しています。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
大学で日本語教育を主専攻または副専攻し、その課程を終了するなら、日本語教師になることができます。日本語教師の応募、採用条件の欄には、「四大卒」と明記してある場合が少なくありません。

また中国でも、大学で教える際には「四大卒」が重視される傾向にあります。

【社会人の方へ】
社会人の方であれば、現在の状況はそれぞれ違いますから、自分に合った方法を選ばれるといいと思います。

年一回開かれる、日本語教育能力検定試験は、合格率毎年20%弱の比較的難しい試験です。

さらに日本語教師養成講座420時間受ける方法もあり、時間とお金がかかりますが、確実で海外でも資格を取ることができます。

自分の今の状況に合っているものを選ばれてください。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

外国で、日本語教師の仕事を続けていくには、現地の人や文化をまず好きになることが大事です。

同時に日本の文化や良いところを改めて認識し、それを生徒に伝えていきます。言葉だけではなくて、いろんな日本の習慣、文化、行動の背後にある理由などを理解し、それを学習者に伝えることができます。

生徒が日本を好きになってくれれば自分でも意欲的に日本語を勉強して、上達していくことでしょう。

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