元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

中国の日本語学校 経験談

「教える」苦労は大きいが収穫も大きい

公開:2018/05/23
にゃんすけさん(女性・38歳) 
日本語教師歴 3.8年 (2012年~2015年)
*他業種に転職
資格・課程 特になし
中国の日本語学校
経験詳細
  • 地域:広州
  • 月収:5万円(3,000元)
    現地で生活をするのに十分
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 3年(2012年~2015年)
    *現在は退職

ほとんどの外国でそうであるように中国でも日本のアニメは人気があります。私の働いてた日本語学校でもアニメ風のポスターを使用した宣伝のおかげかその地域では一番人気の日本語学校でした。

学生は様々で、アニメおたくの、趣味で勉強しているちょっとお金持ちの家の子や、日本企業で働いていて必要に迫られてる又は会社から派遣されて終業後学びに来ているような社会人などです。どちらの場合もまじめに勉強する学生もいれば、やらされてる感満載の学生も。

前者の場合、積極的に授業に参加(発言や質問など)してくれるので教える側としては授業が盛り上がり大助かり。でも後者の場合は…全く逆のなんとも煮え切らない、私だけが必死になってる感じで終わる時もありました。

この学校のシステムもあって毎回メンバーが変わるので毎回の授業がどんな感じになるかわからないというのがスリルというかストレスというか。それでもうまく文法を説明できたり、板書がわかりやすくかけたりして学生が納得してる様子を見ると本当に嬉しくて「教える」ということの充実感を味わうことができました。

「教える」ために時間もたくさん取る必要がありました。日本語教師としての経験や資格がなかったため、教えながら自分も学ぶ感じ。教材が持ち出し禁止のため、学校で予習をする必要があり、給料は一コマ70元のやったコマ数分ですが、アルバイトなのにはじめはその倍くらい学校にいたように思います。

それでなんか割に合わないなと思ってたのですが、勉強しながら給料をもらってるんだと気持ちを切り替えて取り組みました。のちに家庭教師で日本語を教える時にその知識が役に立ったのでよかったなと思っています。例えば、動詞のグループ分けの仕組みがあり、動詞の接続変化はそのグループごとに違うこと、「そうだ」と「ようだ」などにでる言葉の微妙な違いをどう説明するかなど数えられないくらいの事をその時に勉強しました。

授業のスケジュールとしては、アルバイトなので授業の多い平日の5時以降〜と週末がほとんどでした。アルバイトの先生も多く、もし都合が悪ければ交代してもらうこともでき、長期帰国の際も日本人教師同士、お互い様という感じで、心置きなく休暇を取ることができ、その点も働きやすかったと思います。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

中国では教科書を暗記するという勉強方法が主流です。そのため学生の多くは自由に発言したり、自分の意見を述べたりするのが苦手です。日本語学校の授業の際も会話をするのが苦手な生徒がたくさんいました。特に大人数のクラス(12人)になると、話す学生と話さない学生の差が明らかになってしまい、積極的な学生との一対一のような雰囲気になることもありました。

それで授業の際にはわざとらしいくらいに一人一人に同じ質問をし、順番に答えてもらうようにする事で少しづつですがみんなに授業に加わってもらう事ができるようになりました。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

アルバイトなので給料が安定せず、かといって専任の教師になることにも魅力を感じなかったからです。アルバイトなら時間に来て時間に帰るということが許されますが、専任ともなると、他の先生方との付き合い、学生との授業後の付き合い(食事となると学生におごってあげることが多いそうです)など自分の時間、お金を確保するのが難しいなと思ったからです。

給与・待遇

月収 月収:5万円
月収内訳 1コマ55分:70元
基本労働時間 1日3~5コマ 週3~4日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇 長期休暇なし  

日本ではアルバイトでも有給や、賞与などありますが、この学校にはそんなものはなく(他の学校、職種はわかりませんが)本当にやったコマ分の給料しかありませんでした。公立の学校が夏休み、冬休みの時期は学生も多く授業もたくさんあり、その月のお給料はもちろん多かったのですが、そうでない月は、その半分、もしくはそれ以下になることもあり、なんとなく余裕がありませんでした。多い月になるべく貯金する事でなんとか乗り切りました。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

もう一つ小規模の塾的な感じでやってるところで同時期に働いたのですが、そこは一コマ45分60元で授業は通常二コマ一気にやります。なので給与的にはどっちもどっちという感じですが、前者の方は規模が小さいので日本人教師も少なく、希少価値があり、授業の流れを任せてくれたりしてみんなよくしてくれたのでストレスもほとんどなく働けました。でも待遇は同じく給与はやったコマ数分の給料です。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態
  • クラス授業:1クラス4~12人
  • プライベートレッスン
学習者の年代
  • 小学生
  • 中学生
  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人
1日の時間割 月曜日
  • 17:00~21:00  
    初級1コマ中級1コマ 1時間休憩 授業準備 高級1コマ
火曜日
  • 15:00~21:00  
    文化のクラス 2時間休憩兼授業の準備、食事。初級1コマ中級1コマ高級1コマ
金曜日
  • 18:00~21:00  
    初級1コマ中級1コマ高級1コマ
土曜日
  • 10:00~19:00  
    初級3コマ 休憩3時間(授業準備) 中級2コマ高級1コマ
休日 火 木 日
一日休み

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

毎回の授業内容、時間が毎週違うので、学校のホームページで1、2週間先の授業予定が発表されてから初めてその週の予定を立てることができます。いつ休めるかなどは前もって申請した休日以外はそれからでないと予定が立てられません。

とはいってもホームページで確認できるのはあくまで予定。本確定はなんと前日です。前日まで学生は授業を入れたりキャンセルできたりするので、前日の夜にメールが送られて来て初めて本確定です。しかも当日キャンセルなんてのもあるので授業のために学校に行って、時間になり教室に行っても誰もいないなんてことも多くはないですが度々ありました。そんな時はスケジュール管理が難しいなと思いました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
  • JYL Projectこどもの日本語ライブラリ
    自己紹介や、家族のこと、学校での一日などをテーマごとに分けた会話練習を中心とした教材です。学生が成人の場合、使わないトピックもありますが一週間のスケジュールなどを話すトピックでは「ドラマを見る」「仕事をする」などの会話もあり、そこから個人の趣味に話などにも繋げていけます。
  • 日本語教育コンテンツ共有システム
    日本で働く外国人を対象にした日本での生活を助ける教材です。日常生活に沿ったさまざまな場面(ゴミ出し、交通、アルバイト、部屋探しなど)でどのように自然に会話できるか、またその分野での知識を教えるのに役立ちます。日本への留学を準備している学生には特におススメです。
参考になる書籍
  • 初級日本語文法と教え方のポイント    
    対象者:初級
    初級で出てくる文法について解説してあります。「これだけは」のセクションでは基本的なわかりやすい解説があり、「もう少し」「もう一歩進んでみると」の内容は授業の時間がまだある時に豆知識的な感覚で学生が混乱しない程度にシェアしてました。
  • 中上級を教える人のための日本語文法ハンドブック    
    対象者:中級・上級
    学校のベテラン先生のおすすめでした。中上級ともなると込み入った質問をする学生もいるので、備われば憂いなしで授業前には熟読していた本です。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

日本語教育試験を受けていればよかったなと思います。日本でしか受けられない試験ですし、現地で授業をしながらですと、目の前の授業の準備に追われて試験の勉強にまで手が回りません。言語学にまで及ぶ試験の内容は直接日本語の授業には関係ありませんが、知っていれば教師としてもっと自信が持てたのではないかと思います。

就職活動

国選びで重視した点
  • その国の母国語が得意
  • 渡航経験があった
  • 気候
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 学校の規模
  • 通勤時間
応募時に
必要とされた資格
なし
選考方法 面接
面接地 海外:現地

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

都市にもよると思いますが中国では日本企業も多く、国同士が比較的近いこともあり日本語教育は需要があると思います。アニメやドラマを見て独学で勉強し話せる人も多くなっていますが、そのような場合やはり日本人が重視する礼儀や言葉遣いなどの点で限界があります。うまく敬語を使えない、さらには罵る言葉を平気で使ってる様子を見るとやはりきちんとした日本語教育が必要だと感じます。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

特に何かを聞かれた記憶はなく、給料や待遇などに納得できるか、そしてその場で教科書を渡され、時間をあげるので15分くらいの授業を準備するように言われました。その後、面接官の先生を相手に授業をしました。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

私の場合、現地語ができたのは強みでした。初級の学生はほとんど日本語が話せないので、現地語で説明するとわかってもらえ、コミュニケーションをとることができました。資格はあるに越したことはないと思うのですが現場では資格云々よりも経験や、明るく授業を面白いものにできるか、またどんな職種にせよ、社会人経験が豊富であれば会話の授業なども盛り上がり、人気の先生になれます。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
カモメアジア転職
主に東南アジアでの求人
その他求人情報
ジャピオン フリーマガジン/ウェネバー フリーマガジン:日本料理店や日本人向けクリニックなどで無料でもらえます

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

私の友人の何人かもその学校で働いていて、紹介ではありませんでしたが、安心できそうだったので自分で連絡して面接を受けに行きました。後でわかったことですが、その学校は日本人教師が多く、というのも比較的条件も厳しくなく、入りやすい学校だったようです。他の学校は資格や学歴を重視しているようでした。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

外国での仕事と考えると母語を使えるのが一番有利だと考えたからです。現地語は仕事ができるほど流暢ではありませんし、日本人の求人の他の職種も経験がありませんでした。日本語こそ教える経験はありませんでしたが何かを「教える」経験はあったので、やってみようと思いました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

日本語教師の経験がない私でも学生にとっては立派な先生。その期待に必死に応えようと準備して授業に臨み、授業中、学生からの質問に答えられた時、又学生から「先生〜」と慕われたり、日本語以外でも色々な相談を受けたりすると「あ〜こんな私でも役に立ってるんだな〜」と充実感に浸ることができました。

過去に教えた学生がその後日本語能力試験に合格したという報告を受けたり、今でも日本語に関する質問を受けたり、引っ越し先に会いにきてくれたりすると、もし日本語教師をしていなかったら出会うことのない人たちだったなーとシンミリしてしまいます。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

やはり準備に時間がかかるのでめんどくさいなと思ったことはあります。準備に取られる時間と給料を比較してしまう割に合わないなという気持ちは拭いきれません。それでもうまくいってる時はまだいいのですが授業で質問にとっさに答えられなかったりすると自信を失って向いてないのかなーと思った時はやめようかなと思いました。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
専攻できるのであれば日本語学科へ進学すれば言語としての日本語の知識を身につけられると思います。就職は日本語教師に限らず、色々やってみるといいと思います。社会人としての経験はとても大切です

【社会人の方へ】
私も試して見たのですが日本語教育試験を自力で合格するのはかなり難しいです。かなりの根気と時間が必要です。なので日本語教師養成の420時間のコースを受講するなどお金を使ってでもプロに助けてもらうのがいいと思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

中国では都市によっては日本人の日本語教師がいないところがあります。そのようなところでもアニメフェスなども開催されておりマーケティングはあると聞いています。資金なども必要になるかもしれませんがやる気があればきっと沢山の仕事があると思います。

大都市であれば、設備の整った綺麗な教室がある学校が沢山あります。そのような場所でまず経験を積むのもいいと思います。日本語を学びたい熱意溢れる学生が待ってます!頑張ってください!

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