元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

台湾の日本語学校 経験談

台湾がもっと好きになる仕事!だが、薄給…

公開:2017/02/17
美香老師(女性・30歳) 
日本語教師歴 2.1年 (2014年~2016年)
*現在も日本語教師として就労中
台湾の日本語学校
経験詳細
  • 地域:台北
  • 月収:93,000円(28,000台湾ドル)
    なんとか生活できる
  • 非常勤講師(非正規雇用・コマ/時間勤務)
  • 2年(2014年~2016年)
    *現在も就労中

私は、異業種から「資格なし」で、日本語教師に転身しました。

私の経歴は、以下の通りです。

2009年 日本の大学(経済学部)を卒業後、金融機関に3年勤務
2012年 台湾の語学学校に1年留学
2013年 現地の旅行会社に就職
2014年 日本語教師に転職、現職

旅行会社では、日本人クライアントとのやり取りばかり。「もっと台湾人と深く関わる仕事がしたい!」と望んでいました。友人のアドバイスがきっかけで、この道に進むことになりました。

台湾における日本語学習熱は、今も昔も高いです。私の勤務する学校には、子どもからお年寄りまで、幅広い年齢層の生徒さんがいます。

とくに「哈日族(ハーリーズー)」と呼ばれる日本びいきな若者は、驚くほど熱心。教え甲斐がありますが、私より日本に詳しく、なかなか手強いです。

公用語は中国語ですが、台湾語には「かばん」や「りんご」など、日本語由来の単語がたくさんあります。日本語を教えることを通して、日本と台湾の関係の深さを感じ、台湾がもっと好きになりました。

私の学校のモットーは「楽しく日本語を学ぶ」です。他の学校と違い、成績評価やテスト、宿題がありません。事務作業に時間を使わず、日本語を教えることだけに集中できます。

授業は週に10コマ(22時間)と少なく、長期休暇も気軽に取れます。1年に1度、20日ほど一時帰国しています。「台湾に来てすぐ、始めればよかった!」と思うほど、この仕事が好きです。

しかし…。

仕事の量からすれば文句は言えない金額ですが、お給料は時給制で低く、貯金が少ししかできないのが悩みです。

仕事の時間を増やしたくても、なかなか希望が通りません。

私の勤める学校だけでなく、日本語教育業界の平均給与は低い。30歳という年齢を考えると、いつまでもこの仕事を続けていくのは厳しいです。

本当に残念なのですが…。すぐにではありませんが、帰国して、他業種への転職を考えています。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

授業態度が大きく違います。

平気で授業に30分以上遅れてきたり、スマートフォンをいじったり、大きな声で電話に出たりなどです。堂々とお弁当を食べ始めた生徒には、正直、閉口しました。

日本式に厳しく指導する先生もいますが、私は「台湾人のスタイル」として尊重しています。しかし、知っていてやるのと、知らないでやるのは違う。

「ここは台湾だからそのままでいいけれど、日本ではダメなんですよ~」と優しく教えるようにしています。

注意しているのは、台湾人の「メンツ」を傷つけないこと。

大勢の前で、特定の生徒を怒鳴ったり、注意したりすると「馬鹿にされた」と心を閉ざされてしまいます。「習慣の違いっておもしろいですね!」というように、叱っているのではないと強調するのが大事です。

給与・待遇

月収 月収:93,000円
月収内訳
  • 時給:1000円
  • 夜間手当:1時間につきプラス200円
現地の月収事情
  • 市民の平均月収
    110,000円(33,000台湾ドル)
  • 最低限必要な月収
    86,000円(26,000台湾ドル)
基本労働時間 1日4.4時間 週5日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇 長期休暇なし  

慎ましく、なんとか生活しています。

台湾は物価が安いと思われがちですが、そうではありません。台湾の安いお給料で、日本の田舎で生活しているような感じです。

とくに日用品が高く、台湾・日本製問わず、日本と同じか1.5倍以上の値段がします。

私は少食かつ、間食の習慣がないので、すべて外食となる食費が低く抑えられています。男性やローカルフードが苦手な方は、倍以上かかると思ってください。

以下、私の生活費内訳です。

家賃  10,000元(約33,000円)
食費  6,200元(約20,500円)
電気代 500元(約1,700円)
水道代 無料
ガス代 なし(ガスをひいていない)
日用品 500元(約1,800円)
美容費 500元(約1,800円)
交通費 1,000元(約3,300円)
通信費 200元(約650円 ガラケー使用。自宅のネットは無料)
雑費  3,800元(約12,600円 一時帰国費用などの平均)

支出   約23,000元(約76,000円)
平均月収 28,000元(約93,000円)
貯金   5,000元(約17,000円)

私の給与は、台湾人の平均より低いです。しかし、週10コマ・22時間しか働いていないので、妥当だと思っています。

時給制のため、祝日や一時帰国のための休みは、無給なのでつらいですが…。

待遇も悪いですが、学校への貢献度からすれば、こんなものだと思ってます。

夕方5時以降の授業は「夜間手当」が出て、時給が60元(約200円)だけアップします。ボーナス、一時帰国のための航空券代の補助はありません。

1年に1回のビザ更新にかかる費用は、自己負担です。更新費と、更新のために必要な健康診断費は、合計2,500元(約8,300円)です。

台湾では、通勤手当が支給されないのが普通です。

それだけでなく、私の勤務先では、1日のうち、昼と夜で異なる分校で教える曜日があります。分校間の移動に伴う交通費も、自己負担です。

たった1コマの授業のために、交通費を払うのは、ちょっと痛いです。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

他の学校で働いたら、月5,000~10,000元(約17,000~33,000円)ぐらいお給料が上がると思います。

しかし、生徒の成績評価やテストと宿題の採点など、事務作業を無給で(!)沢山しなければなりません。私の学校では、事務作業をする必要はないです。

他校にいた知り合いは、「割に合わなくてつらい」と異業種に転職しました。たった33,000円ほど高いお給料のために、他の学校で教える気はないです。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス10人ぐらい
学習者の年代 社会人
1日の時間割 月曜日
  • 10:00~11:30  
    初級クラスを1コマ
  • 17:00~18:00  
    授業の準備
  • 19:00~21:00  
    中級クラスを1コマ
火曜日
  • 10:00~11:30  
    50音クラスを1コマ
  • 12:45~13:15  
    他の分校へ移動
  • 13:30~15:00  
    中級クラスを1コマ
  • 19:00~21:00  
    入門クラスを1コマ
水曜日
  • 10:00~11:30  
    初級クラスを1コマ
  • 17:00~18:00  
    授業の準備
  • 19:00~21:00  
    中級クラスを1コマ
木曜日
  • 10:00~11:30  
    50音クラスを1コマ
  • 12:45~13:15  
    他の分校へ移動
  • 13:30~15:00  
    中級クラスを1コマ
  • 19:00~21:00  
    入門クラスを1コマ
金曜日
  • 17:00~18:30  
    入門クラスを1コマ
  • 19:00~21:00  
    ビジネス会話クラスを1コマ
休日
  • 土曜日:1日休みです
  • 日曜日:1日休みです

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

1年目は教授法も文法も知識がゼロだったため、1コマの準備に3時間ぐらいかかったり、授業見学で忙しかったりした時もありました。

しかし、授業の時間が週10コマ・22時間とかなり少ないので、スケジュール管理が大変だったことはないです。

1年目で教え方の軸がしっかりできたため、今は中級クラスの授業のみ、1時間の準備をしています。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
Atsushiの日本語教室   
日本語を学ぶ台湾人向けのサイト。
学習者から寄せられた、日本語や日本文化に関するQ&Aが、日本語と中国語で書かれている。
よくある質問が記事になっていて、便利。
50音と入門クラスで、中国語でどう答えればいいのか困ったときに、参考にしている。
HJディクショナリー(簡体字中国語)   
日中辞典。
「最新熱詞」には、最近よく検索された日本語の単語が載っており、学習者がどんなことに興味を持っているのか知ることができる。
また、例文が豊富なので、初・中級クラスで使用している。
参考になる書籍
日本語の教え方ABC:アルク   
対象者:全レベル
経験の浅い教師向けに、教授法が丁寧に書かれている。教え方に迷ったときに読むと、ヒントがもらえる。
日本語文法演習:スリーエーネットワーク   
対象者:全レベル
助詞に関する質問で一番多いのが、「は」と「が」について。
この本の内容を抑えておけば、そんな質問も怖くない。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

もっと日本旅行をしておけばよかったと思いました。最近は北海道や東京、大阪、福岡などのメジャーな都市に飽き足らず、ほかの都市に興味を持っている生徒さんが多いです。

とくに岐阜県の「飛騨高山」は大人気!よく感想を聞かれます。「行ったことがない」と返すと、残念そうな顔をされてしまうので、悔しいです!一時帰国の時は、なにかと忙しいので、まだ行けていません。

準備していたわけではないですが、日本で社会人経験があってよかったと思います。実践的なビジネスマナーや日本の企業文化などを教えるのに役立ちました。

就職活動

国選びで重視した点
  • その国の母国語が得意(中国語)
  • 渡航経験があった
  • 現地に友人がいた
現地における
日本語教師の需要
強い人気があり、多くの学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 必須資格
  • 使用されている教授法
  • 通勤時間
応募時に
必要とされた資格
なし
選考方法 書類

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

日本語教師の需要はかなり高く、常にどこかの学校で募集があります。

言うまでもないですが、台湾はかなりの親日国です。

大好きな日本のアニメやドラマを字幕なしで観たい、旅行のときに便利だからと、単なる「趣味」として学習している方も多いです。

しかし、一番多い理由は…。台湾は、九州とほぼ同じの面積の小さな国なので、海外とのビジネスなくして国が成り立ちません。

高い給与を得るために、日本以上に外国語の習得が必須とされているからです。

台湾には、たくさんの日本企業が進出しており、台湾企業以上に給与も待遇もいいです。表向きは「趣味」としている方でも、台湾人はとても合理的。

「せっかくお金と時間を費やしたんだから、日本語でお金を稼ぎたい!」という気持ちが透けて見えます(笑)。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

学校が設定した面接はありませんでしたが、受付の方と、中国語で30分ほど世間話をしました。今思えば、それで語学力や人間性を試されていたのかもしれません。

受付や事務の方には、いろいろとお世話になるので、仲良くなっておいたほうがいいです。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

台湾人は、日本のアニメやドラマなどポップカルチャーには詳しいのですが、ビジネス文化には明るくありません。

仕事のために学習している方も多いので、日本での社会人経験は大きな強みになります。

中華圏の方は、自己主張が強いイメージがあるかもしれません。台湾は島国のせいか、意外にも、シャイな方が多いです。

威圧的な感じだと心を閉ざされてしまうので、優しく相手に寄り添える方が向いています。

中国語はできるに越したことはありません。日常会話レベルでいいので、やってみてください。

日本語と中国語のギャップを知っていると、生徒がなぜそういう間違いをするのか理解できます。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
  • 日商ウィズ人材派遣センターグループ   
    日本語教師の求人に強い。
    求人情報は、サイト上では非公開。
    メールで履歴書を送ると、情報がもらえる。
  • 104人力銀行(中国語)   
    台湾で一番大きな求人情報サイト。
    ホーム画面上部にある「関鍵字(意味:キーワード)」に「日文老師(意味:日本語教師)」と入力。「工作(意味:仕事)」と書かれた黄色いボタンをクリックすると、求人情報がたくさん出てくる。
その他求人情報
  • 国立師範大学・博愛楼7Fの掲示板:MRT古亭駅から徒歩8分。たまに求人情報が貼られている。学生でなくてもビルに入れる。
  • 学校に飛び込む:興味のある語学学校に直接行って、求人がないか聞く。そのときはだめでも、欠員が出たときに、連絡が来る可能性もある。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

台湾の自宅から一番近く、身近な学校だったからです。

「日本語教師になりたいんですが、面接していただけますか?」とアポなしで、学校へ突撃。受付の方から、詳しい仕事内容や給与・待遇の説明を受け、その場で学校指定の履歴書を書きました。

それから1週間後に採用通知を受けたので、ほかの学校は受けませんでした。

決め手になったのは、成績評価や宿題のチェックなどの事務作業が全くないこと。日本語教授経験ゼロで、教えることに集中したかった私には、ぴったりでした。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

台湾で中国語を1年勉強した後、現地の旅行会社で働いていました。

日本人クライアントとのやり取りばかりで、日本で仕事しているのとあまり変わらない。「台湾人ともっと深くかかわる仕事がしたい!」と思うようになりました。

そんな時、台湾人の友人から「日本語教師になれば?」とアドバイスが。

その友人は日本語を勉強しており、私によく質問をしてきました。説明の仕方が的確で上手なので、日本語教師に向いていると考えたそうです。

友達に背中を押されて、この道を目指すことになりました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

台湾人の「日本愛」を感じた時です。

台湾は昔、日本に統治されていました。現在の共通語は中国語ですが、台湾語には日本語由来の言葉がたくさんあります。

例えば、「オートバイ」「カバン」「運ちゃん(運転手)」「おばさん」「りんご」など…。

新しい単語を紹介していると、生徒が「それ、台湾語と同じだ!」と目を輝かせます。台湾と日本の関係は、深いです。

「哈日族(ハーリーズー)」と呼ばれる、日本びいきな若者も多くいます。たくさんある国の中から、日本を選んでくれて、とても嬉しいです。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

今、まさに思っています。

もともと「お金は二の次」でこの仕事を始め、慎ましい生活も楽しんでいます。しかし、今年30歳になり、「もっと貯金を増やしたほうがいいな」と考えが変わってきました。

どんなに優秀な教師でも、生涯賃金はたかが知れているので、ずっと続けるのは難しいです。

結婚していたらダブルインカムなので、迷わず続けていたと思います。実際、同僚の先生方も既婚者ばかりです。

すぐにではないですが、帰国して異業種へ転職するつもりです。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
まずは、日本で一般企業に就職して、3年ぐらい社会人経験を積んでください。日本語教師になるのは、それからでも遅くないです。

日本のビジネス文化は独特で、生徒さんからの質問も多いです。社会人経験があれば、仕事の幅が広がりますよ!

【社会人の方へ】
資格がなくてもやってみてください。

日本語教師の資格を取るための費用は高く、教師の低い給与ではすぐに回収できません。台湾には、日本語教師の資格がなくても採用してくれる学校がたくさんあります。

「この道で行こう!」という覚悟ができたら、資格取得を目指せばいいと思います。そういう同僚も、少なくありません。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

台湾が好きなら、ぜひ日本語教師になってみてください!台湾のことをたくさん知ることができるので、もっと好きになります。

しかし、お給料は本当に安いので、覚悟してください。たくさんの同僚が「給料さえよければ、いい仕事なんだけど…」と言い残し、帰国していきました。

好きなことで、いいお給料を得られる人は一握り。頭ではわかっていても、低いお給料で、仕事への情熱を持ち続けるのは難しいです。

「お金は二の次」で、期間を限定してやるのがおすすめです。

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