元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

日本語学校・他 経験談

順序立った授業を好むため準備に気を遣う

公開:2016/05/24
ミカ(女性・38歳) 
日本語教師歴 13年1ヶ月 (2003年1月~2016年3月)
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程
  • 教育情報研究所日本語教師養成講座(渡航前)
  • Kids Japanese language Teacher Certificate(MIKA KADOI & ASSOCIATES PTY. LTD)(渡航後)
ドイツの日本語学校・他
経験詳細
  • 地域:北ドイツ
  • 月収:120,000円(1,000ユーロ)
    なんとか生活できる
  • 非常勤講師(非正規雇用・コマ/時間勤務)
  • 1年(2015年~2016年)
    *現在も就労中

ヨーロッパにて語学学校日本語講師12年、現在はドイツを拠点にオンライン教師をしております。

以前は、ドイツのアジア言語専門の語学学校にて非常勤講師をしておりましたが、生徒が集まらない、コマ数が少なく生活をしていけないなどの理由で退職。

その後、時間の融通が利き、レッスンを工夫することによって多くの生徒を獲得することが出来るオンラインスクールに登録、仕事を始めました。

以前の勤務先である語学学校は、ドイツ人の大学生から定年を迎えた方まで生徒層は様々でした。グループレッスンでは、生徒の理解するスピードや自主勉強の仕方の違いで、同じレベルのクラスの中で開きがどんどん出てきてしまいます。

要領よく理解する生徒にとっては、進みの遅さがイライラする要因になりますし、逆の生徒にとっては、簡単に理解できないことがレッスンから遠ざかってしまう要因になります。これは、残念ながら、グループレッスンでは、どうしても避けられない事です。

そして、ドイツ人は順序立てた授業を好みます。完璧に理解しないと先に進めない傾向にあるので、授業の準備には大変気を遣います。

「日本語講師で生活ができるのか」とよく聞かれますが、海外の語学スクールは非常勤が多く、収入も期待できない為、それだけでは生活は困難です。また、私が教えていた学校では、日本語に関係のないアンケートの集計やコピー取りなどの雑用も多く、憤りを感じました。

こんな中で嬉しかったことといえば、JLPTの合格率の高さでしょうか。私はJLPTの指導を得意としているので、意欲あるJLPT合格を目指す生徒が集まります。昨年のJLPTの試験では、見事に全員が合格して、多くの喜びの声を頂きました。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

ドイツの語学学校では日本語のクラスに限らず、飲食は禁止されていません。ただ、授業中に朝食をとっていた生徒がいたのにはかなり驚きました。

困ったのは、生徒からの授業内容とは関係ない質問です。手を挙げることもなく生徒が急に質問を始めるので、授業が中断します。

こういう生徒はクラスに一人とは限らないので、何度となく授業が中断します。文化の違いは大きく、こんなものかと妥協するまでに時間がかかりました。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

レッスンの他に雑用も多く、その割には給与が良くない為

給与・待遇

月収 月収:120,000円
月収内訳 時給:2,500円
現地の月収事情
  • 市民の平均月収
    230,000円(1,800ユーロ)
  • 最低限必要な月収
    120,000円(1,000ユーロ)
基本労働時間 1日3時間 週4日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 交通費
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇 自分で自由に設定できる

ドイツの家賃・食費等は割と安く、オンライン講師で月1500ユーロぐらいの収入は確保できるので、生活に困ることはありません。

ドイツの家賃相場は、ワンルーム、2Kぐらいのアパートで300〜500ユーロです。ルームシェアの場合はもう少し安く済むと思います。食費も安く済むので、ドイツはとても住みやすく感じます。

また、アジア食品、日本食品を売っているお店もたくさんありますし、最近は普通のスーパーで、もやし、とうふ、しいたけ、白菜などを買う事ができて、食習慣を変えずに過ごす事ができます。

私の場合、家賃(2K)・食費で700ユーロぐらいです。語学学校に勤めていた時は、ルームシェアをして家賃を浮かせていましたが、オンライン講師になって収入が増え、1人でアパートを借りられるようになりました。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

語学学校講師の時は、生徒が1クラス5人で週4コマと生徒登録、募集などの雑用をしていました。週8時間程度の勤務でしたから、収入も低く、他の仕事も掛け持ちしていました。

ドイツの他の語学学校を知らないのですが、日本語は趣味で習う方がほとんどです。ですから、授業料は安く設定されています。「アジア言語の講座は値段が安い」というのが一般的な見方です。

大学の日本語講師は、待遇がいいと聞いたことがあります。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 プライベートレッスン
学習者の年代
  • 大学生
  • 社会人
1日の時間割 17:00~20:00  
初級から上級までのクラス / 1時間半を2コマ
* 空いた時間は授業の準備をすることもある

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

授業中にレッスン内容と関係のない質問が多く、それに時間が取られ、レッスンプランに沿って授業するのが大変でした。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
日本語教育『教案の広場』 「みんなの日本語」版   

教える手順に困った時に参考にしている
日本語教育のためのイラスト教材   

イラストを使用している。分かりやすく生徒の理解も早い
参考になる書籍
みんなの日本語初級1   
対象者:初級
日本語を始めたばかりで、英語を母国語しとしない生徒、もしくはJLPTの受験をしたい生徒に使っています。
みんなの日本語初級2   
対象者:初級・中級
日本語既習者で、英語を母国語しとしない生徒、もしくはJLPTの受験をしたい生徒に使ってます。
中級へ行こう   
対象者:中級
初級文法を終えて、さらに上のレベルを目指したい生徒やJLPTを受験する生徒に使ってます。
上級へのとびら   
対象者:中級・上級
特に英語圏の生徒で、読解が好きな生徒に提案しています。
日本語総まとめN3ーN1   
対象者:中級・上級
JLPTを受験する生徒に使っています。
げんき1   
対象者:初級・中級
初心者で英語圏の生徒向けに活用。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

日本の行事や観光地の写真などは用意しておくといいと思います。日本文化を深めるきっかけにもなりますし、授業時間が中途半端に余った時の会話練習のテーマにもなって役立ちます。

そして、日本語を教えるための参考書を一冊持っていくことをお勧めします。思わぬ質問を受けた時や合理的な教え方を探すのに参考になります。

就職活動

国選びで重視した点
  • 治安
  • 物価の安さ
  • 渡航経験があった
現地における
日本語教師の需要
一部に人気があり、数は少ないが求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 必須資格
  • 学習者数
応募時に
必要とされた資格
日本語教師養成講座終了資格
選考方法
  • 書類
  • 面接
面接地 海外(現地)

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

現在、ドイツでオンライン講師しています。ドイツで活躍している日本人サッカー選手も多いので、日本を身近に感じてくれているドイツ人は多いように思います。

オンラインなので生徒は多国籍ですが、ドイツの日本語教育の需要について言えば、まんがやアニメの影響で日本に興味のある人は多く、需要はそこそこ。ほとんどが趣味の方です。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

教師歴、勤務できる時間帯などを聞かれました。待遇の話が出ませんでしたので、最後に私から交渉をしました。遠慮しないで聞くのが一番いいと思います。

はじめに時給や仕事の範囲は話し合っておかないと、後で掛け合っても聞いてもらえないことがあります。

面接の雰囲気は、堅苦しい面接という感じではなく、普段着でもいいようなラフなものでした。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

他の言語を話せるというのは大きな強みでしょう。

私はフランス語・英語・ドイツ語が話せます。私はレッスンを日本語で行いますが、私が外国語を話せるということは、初心者にとっては心強いことのようです。また、キッズジャパニーズの資格も持っていますので、日系児童の指導も行っています。

キッズジャパニーズの資格は何気なく取得しましたが、海外で育児をされている日本人がどんどん増えているので、子供の日本語教育の需要が増えてきました。日本人が多く住まれている地域に行く方、子供に日本語を教えたい方は、キッズジャパニーズの資格はいいかもしれません。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
日本語教師の集い
多くの求人が掲載されている

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

住んでいる町の語学学校を探し、その全てに自ら履歴書を持って行きました。その中から連絡のあった語学学校に面談に行き、具体的に交渉をし、最初に採用を決めて下さった学校に決めました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

怪我をして以前の職を続けられなくなり、その時に目に留まったのが日本語講師資格でした。

その当時は、日本語講師という職業が徐々に広まってきていた時代。私は、外国人に日本語を教えるという事以外は何をするかあまり知りませんでした。

当初は、自分に合わなければ、講座をやめればいいかなと考えていました。勉強を始めてみると、なるほど!という事が多くどんどん夢中になりました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

2015年のJLPTの試験では、見事に全員が合格して、多くの喜びの声を頂きました。生徒が一生懸命努力した結果ですが、それを日本語教師としてお手伝い出来てよかったと感じました。

奥様が日本人で日本に移住された生徒は、転職に有利になるようにとJLPTを受験しました。

育児、仕事をしながらの受験勉強でした。私は、彼の弱点をおさえた効率的なレッスンプランを組み、3ヶ月間お手伝いをしました。合否結果が出た日に「合格しました!ありがとう!!」のメッセージを頂いた時はとても嬉しかったです。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

なし

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
将来、日本語を大学などで教える事を考えるなら、大学、大学院で日本語を専門的に学ぶのがいいと思います。語学学校を考えているのであれば、養成講座がいいかと思います。

【社会人の方へ】
日本語教師はそんなに稼げる仕事ではありませんので、まずは現職と並行しながら養成講座を受ける事をお勧めします。そして、講師となった後も当分は現職を続けるのが、安定した生活を送るためには必要でしょう。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

外国で日本語を教える事は楽しい事もある反面、それと同じぐらい、もしくはそれ以上大変な事もあります。

生徒がレッスンに満足していない様子があったら、「日本語教師は外国人に日本語を教えるサービス業」だと考えた時、もし自分だったらどんなサービス(レッスンプラン・アフターフォロー、対応など)を受けたいかを先ず考えてみましょう。自ずと答えは見えてきます。

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