元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

アメリカの日本語学校 経験談

慣れればできる「英語で日本語を教える」

公開:2016/11/18
めぐみ(女性・29歳) 
日本語教師歴 1.5年 (2013年~2015年)
*他業種に転職
資格・課程 なし
アメリカの日本語学校
経験詳細
  • 地域:ハワイ
  • 月収:90,000円(900ドル)
    それだけでは生活は難しい
  • 専任講師(正規雇用)
  • 1.5年(2013年~2015年)
    *現在は退職

アメリカ人の夫と結婚し、ハワイ州のある小さな島に住んで数ヶ月がたったころ、日本語教師を探しているという話が私に届きました。

英語が十分にできなかった当時の私にとって、それ以上の最適なお仕事に出会えないだろうと思って応募したのがきっかけです。

私が日本語教師として勤めた場所は、島にあるお寺の中でした。日系人が多く住むハワイ州には、各島にいくつものお寺があり、周辺に住む日系の子どものために日本語の授業を提供していることが多いです。

でも、ワイキキのあるオアフ島のような、日本人観光客がたくさん訪れる大きな島ではなかったので、現地生まれの子どもたちはほぼ99%英語のライフスタイル。

そうなると「日本語で日本語を教える」ことは不可能で、「英語で日本語を教える」方法をとるしかありませんでした。

これは自分にとって大変成長できる経験でしたが、当時は必死で、毎日たった3時間の勤務でしたが朝から晩までせっせと働いたかのように疲労しました。

私が担任した生徒は全40名ほど。生徒の中には、日系の家庭育ちである程度日本語を理解できる子、日系ではないが勉強を楽しんで取り組む子もいれば、文化の違いから楽しさを見出せず、やる気のない子もいました。

そういった子どもでも日本の独特な文化に慣れてもらうために、「日本式の挨拶」を徹底して教えました。

お互いを尊重する日本の挨拶スタイルは、子どもたちにとって新鮮だったようで、また一度覚えると自然とできるものです。やる気のない子も次第にイキイキとしていきました。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

アメリカの小中学生は、昼間の学校から出される宿題がとても多く、生徒たちは毎日宿題に追われています。隙を見つけては日本語学校の授業中に宿題を広げてやり出す子もいます。

また、学校で体育の授業がないため、放課後に水泳や体操、サッカーなどのスポーツクラブを掛け持ちしている子も多く、とにかく毎日へとへとに疲れた状態で日本語学校へやってきて授業を受けるので、集中させることがとても大変でした。

苦労している私を見て校長先生が「10分集中させることができれば十分!」と言ってくれたので、それを元に毎日のカリキュラムを作りました。

最初の10分は必ず教科書やドリルを使った授業をし、その日の子どもたちの疲労具合ややる気を見て続けるか、残りの時間はカルタなどのゲームをしてにぎやかに過ごすことが多かったです。

おかげで自分自身もがんばって無理しすぎないで、ストレスなく教師生活を送れました。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

夫の転勤のため島を離れなければなりませんでした。

学期の途中で退職することになり、懐いてくれていた子どもたちにとても申し訳ない気持ちでいっぱいでしたが、夫なくしては一人で生活できるはずもないので、泣く泣く辞めました。

引越しした先の新しい島でも日本語教師の仕事を探しましたが、家庭の将来を考えもっと良い給与がもらえるフルタイムの仕事に就職しました。

給与・待遇

月収 月収:90,000円
月収内訳 時給:1,500円
現地の月収事情
  • 市民の平均月収
    250,000円(2,500ドル)
  • 最低限必要な月収
    150,000円(1,500ドル)
基本労働時間 1日3時間 週5日勤務
残業(時間外労働) 1ヶ月合計10時間
授業の準備 / 事務作業
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇
  • 夏休み:60日
  • 冬休み:10日
クラスの長期休暇中の
給与保証
  • 給与保証がない
  • 長期休暇中は仕事をしていない

一人暮らしだったら、全く生活できません。家賃だけですべて消えます。貯金を切り崩しながら生活するしかありません。

また、田舎のため公共交通機関が十分でなく、日本語学校へ行くまでの交通手段がありませんでした。車も買えない経済状況だったので、毎日1時間歩いて通っていました。

ただ、学期末やクリスマスが近くなると生徒からプレゼントをたくさんもらいます。アメリカの習慣のようで、もちろん親が用意するのですが、スーパーで使えるギフトカードなど、お金の代わりになるものをいただきました。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

給与に関しては、金額はだいたい同じくらいですが、経験が長い人ほど高いです。また、他校では残業代や交通費も支給してくれるところもあるようです。

しかしハワイにおいてはそれでも生活できるレベルではないので、結婚していてご主人がきちんとしたお仕事をされている上で、パートタイムとして日本語教師をしている方がほとんどです。

ハワイの現地ではどこもこんな環境なので、自分の成長のためと思って身を削る思いでやっていける人なら、どこの勤務先もお勧めです。

子どもたちは素直でとてもかわいく、非常にやりがいを感じられます。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス10人ぐらい
学習者の年代
  • 小学生
  • 中学生
1日の時間割
  • 14:00〜17:00  
    低学年・中学年・高学年・中学生それぞれのクラスを1コマずつ
  • 17:00〜17:30  
    ドリルの赤ペン入れや、事務作業(月謝の集計など)
休日 土曜日・日曜日

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

1年で教科書やドリルを1冊勉強しおえなければなりませんでした。生徒によって進み具合が全くバラバラで、あっという間に終えてしまう生徒もいれば、まったく進まない生徒もいます。

先に終わってしまった生徒は、遅れている生徒に教えてあげる役として任命すると、やる気をだしてくれました。

また遅れている生徒はクラスメイトに教えてもらうことが恥ずかしいと思うようで、そうならないために努力して自分で終わらせようとする姿勢が見られました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
  • ちびむすドリル   
    ひらがな・カタカナ表をプリントして、一人一人の生徒へラミネートして使わせたり、文字1枚ずつ切り離してカードゲームに使用しました。また塗り絵や教材プリントもあるので、毎日使っていました。
  • おりがみくらぶ   
    生徒はおりがみが大好きだったので、たとえば金曜日の授業の最後の10分はおりがみの時間とし、作り方を教えました。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

勤務を初めて少し経った頃、自分が小学生だった頃は先生が宿題の採点などに押してくれる「ハンコ」がうれしかったのを思い出しました。

現地で日本のようなかわいいハンコを見つけることができず、諦めた思い出があります。

あとはおりがみ。現地でも日系のスーパーに行けば売っていますが、割高で買えませんでした。日本からたくさん持っていけばよかったと思いました。

就職活動

国選びで重視した点
  • 治安
  • 親日国
  • 渡航経験があった
現地における
日本語教師の需要
一部に人気があり、数は少ないが求められている
教育機関選びで
重視した点
必須資格
応募時に
必要とされた資格
ないが、大学で教育学を学んでいたことが採用の決め手となった
選考方法
  • 書類
  • 面接
面接地 海外(現地)

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

ハワイの経済はほとんどが日本人観光客によって支えられています。現地育ちで、日本語が話せると仕事も探しやすくなるし、給与も格段に良いそうです。

日系の家庭生まれでない子どもも、幼い頃から日本語教育を受けさせる保護者が多いです。そのためハワイには小規模なものから、大規模なものまでさまざまな日本語学校があります。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

大学ではどんなことを学んだか、また実際の授業ではどんなことを生徒に教えたいか、生徒同士のケンカにはどう対処するかなど。

生徒とのコミュニケーションに不可欠な英語力を試すために、すべて英語で行われました。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

特に資格は持っていませんでしたが、大学で教育学を学んでいたことが採用の決め手となりました。

現地では日本語の常識さえ知っていれば、資格は重視されません。英語が苦手でも我慢強く、前向きな姿勢でいると、生徒や保護者からも認めてもらえます。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
craigslist   
学期末から学期始めの6月前後に、日本語学校の教師の求人があることが多い。
その他求人情報
現地フリーペーパー(日刊サンやライトハウス):ハワイ州オアフ島の求人情報が掲載されている。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

夫の会社の同僚が、日本語学校のPTAメンバーでした。私が日本人だと知ると、真っ先に声をかけてくれたことがきっかけです。

紹介ではありましたが、履歴書の提出から面接まできちんとしました。英語はあまりできませんでしたが、やる気と忍耐力があればOKということで、自分でもできそうだなと思ったのが決め手です。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

夫が仕事中の昼間、子どももいなかったため家事以外にすることがなく、また国際結婚をしたばかりで現地に友人もいなく、毎日張り合いのなさを感じていました。

外に出て仕事をするにも、英語が話せない私に働ける場所なんかないだろう…と思っていたところへ、声がかかりました。

未経験でしたが、 資格は必要ないということと、もともと子どもが好きだったので、当時の年齢の若さもあって思い切ってチャレンジしてみようと思いました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

毎日必死にがんばっていましたが、思うようにいかないことがあったり、失敗してしまったと気がつくと、しばらくクヨクヨ悩んでいました。

そんな時、同僚の先生や校長先生が励ましてくれたことが、すごく心の支えになり、日本語教師をやっていなかったら経験できなかった気持ちだろうと思います。

また、私が退職する日、生徒たちから手書きの日本語のメッセージをプレゼントされ、拙い日本語の文字を一生懸命書いてくれたんだなと思うと、今でもうれしくて涙が出てきます。

たとえ給与や待遇が良くなくても、人生の中でとてつもなく大きな存在感のある、大切な経験をした時間でした。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

あります。日本と同じように、いわゆる「モンスターペアレンツ」がいました。例に漏れずその保護者の子どもはヤンチャで、ことあるごとに問題を起こすことで有名でした。

でも、生徒よりも保護者の扱いにひどく苦労し、自信も失わされました。次第に、その保護者が教室へくると、私の手が震えてしまうほど恐怖を感じるようになってしまいました。

その後、事態を重く見た校長先生の計らいで、その保護者が教室までくることは滅多になくなりました。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
第三者に物事を教えるという「教育学」が役に立ちます。もちろん、実際には勉強した通りには事は動きませんが、大きな支えとなってくれます。

あとは少なくとも英語を、また英語が全く通じない国であれば現地の言葉で挨拶や自己紹介、数字などを言えるようになるだけでも十分です。

【社会人の方へ】
現地の言葉がある程度わからないと、意思疎通ができないだけでなく、日本語を教えることもできません。

片言で十分なので、現地入りする前に勉強したほうが良いです。あとは日本語的な常識や文化を知っていれば十分です!

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

お給料も少ないし、変にアメリカナイズドされた日本人のやっかいな保護者もたくさんいます。でも、生徒たちは日本語を学ぶ姿勢のある子ばかりです。

大変で辛いことがあっても、絶対にうれしいこともあります。日本語教師として生きた時間は、人生の中できっと大きな経験と思い出になるはずです。教えるだけでなく、自分も勉強するつもりで、現地へ来てください。

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