元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

モンゴルの日本語学校 経験談

夢いっぱいの若者たちとの交流は楽しい

公開:2018/11/20
豆柴マロン(女性・35歳) 
日本語教師歴 1.5年 (2015年~2017年)
*現在求職活動中
資格・課程 日本語教師養成講座(アルク)
モンゴルの日本語学校
経験詳細
  • 地域:ウランバートル
  • 月収:2万円(4万5,000トゥグルク)
    それだけでは生活は難しい
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 1年(2016年~2017年)
    *現在は退職

日本語教師をしていてやりがいを感じるのは、生徒が今日学んだことを生かそう、伸ばそうとして努力し、そこから喜びを得ている瞬間です。

たとえばモンゴル語で、先生のことを「バクシ」といいます。生徒が日本語を勉強する際に、「バクシャー、バクシャー」と呼んで、「これはどうですか?あっていますか?」と聞かれるのは、とてもうれしかったです。何気ない瞬間ですが、一生懸命日本語を学ぼうと努力し、慣れない漢字と奮闘する生徒を見るのは、心洗われる気がしました。

大変だった点は、教育環境(幼少期)や文化の違いです。「3歳まで王様のように育てよ」という格言がある国なので、学校を卒業しても授業態度の悪い生徒もいます。時間にルーズな人も多いです。

日本と違い、やさしく指導するとうまくいかないことも多く、叱るのに瞬発力と追い詰める論理、それに大きな声が必要です。(モンゴル人の先生たちはかなり大きな声で叱るので、聞いているこちらも怖いことがあります)そうした厳しさを見せることで、生徒たちに真摯に向き合っている良い教師と評価されます。

実際、マナーの悪い生徒でも、そのように向き合って初めて、本気で努力し始め、向上していった生徒も見られました。厳しさの中に愛を感じさせるそんな強いパーソナリティとメンタリティが求められると思います。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

資本主義が長い(=実力主義)日本と、旧共産主義(楽して乗り切ろう感は否めない)のモンゴルとの違いと推測しているのですが、楽して試験を通過しようとする学生が日本より多く、カンニングをバレバレで行ったり、テストを自己採点にすると不正し、宿題をサボることがあるので、そういったところの管理が求められてきました。

それに加えて実力のない生徒を、出来る生徒の隣に座らせるので、余計にカンニングしやすい環境とも思いました。(実力じゃないのですぐわかります)

これは、実力がないとあとで日本で苦労するのは自分であることを教え込むために、徹底的に戦うしかないかと思います。彼らの修了証書に先生として名前を書く以上、こちらにも責任が生じますので。(ただし疲れます)

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

体調を崩したためです。もともとそんなに体が強いほうではありませんでしたが、モンゴルでの食事のせいか消化器官系の調子が悪くなったため帰国しました。モンゴル料理も嫌いではないのですが、どこかしら何かをもらって来てしまうようで...完全自炊できたらいいんですけど、そうもいかず。外食で生野菜を避けているだけでは難しいのかもしれません。

給与・待遇

月収 月収:2万円
月収内訳
  • 時給:400円
  • 夜手当て:50円
  • 通勤手当 :50円
基本労働時間 1日8時間 週2.5日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇
  • 交通費
  • 保険(国民保険、年金加入)
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇
  • 夏季休暇(ナーダム):3日
  • 冬季休暇(ツァガーンサル):7日
クラスの長期休暇中の
給与保証
  • 給与保証がない
  • 長期休暇中は仕事をしていない

モンゴルはやはり後進国だけに、給料の安さは否めません。言語学校だと、週5日働いても、2万5千円から3万円くらいの給料なので、家賃(マンションタイプ)を自分で借りるには足りず、お給料は食費(自炊)、光熱費、光熱費、そしておこづかいに使えるくらいかと思います。

ただ、学校が住居を提供してくれる場合、もうすこし楽かもしれませんが、学校と寮との往復だけだと気持ちが煮詰まって、ストレスに感じることも多いかもしれません。

ただ大卒で、学位を持っていれば短時間でも高自給なので、生活していけると思います。また学校によっては月に15万円と、日本で働くのと同じくらいもらえるので、学校によって待遇はさまざまです。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

私が行っていた学校は、かなりしっかりしていたので、ビザの手続きや給料の支払いが滞ることがなく、また現地の先生たちも日本での生活を経験していたので、日本人にあわせた対応をしていてくれたのが良かったです。

他の教育機関だと、まずビザの手続きからしていい加減で、ビザの手続きが難航しストレスを感じ、なおかつビザの手続きのお金もふんだくられるということが起こります。給料もきちんと支払われないということが起こりえます。

私が選んだ基準は、授業の準備にあまり時間が取られないことでしたので、そういう意味では現地の日本語の先生がすべてカリキュラム管理をしてくれていたので、残業や準備に時間をとられることは少なかったです。(その代わり隙間時間に採点や使う資料のコピーをしていました)

また大人相手の日本語の授業でしたので、しつけまでしなければいけない初等教育の日本語の授業にくらべるとストレスは少ないように思います。

ただもし他の教育機関で、給料をメインに考えて選ぶとしたら、日本語のサイトで出ている日本語教師はとても給料の待遇が良いようです。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態
  • クラス授業:1クラス5~20人
  • プライベートレッスン
学習者の年代
  • 高校生
  • 大学生
  • 社会人
  • 日本語大使館主催の留学生試験面接者のためのプライベートレッスンや面接練習などもありました
1日の時間割 火曜日
  • 11:00~12:00  
    初級クラス1コマ
  • 12:00~13:30  
    留学生のための会話クラス
  • 30分休憩 昼食・授業準備・採点
  • 14:00~15:00  
    初級クラス1コマ
  • 15:00~16:00  
    中級クラス
  • 1時間 休憩・夕食・採点
  • 18:00~20:00  
    初級クラス2コマ
木曜日
  • 18:00~20:00  
    初級クラス2コマ
金曜日
  • 11:00~12:00  
    初級クラス1コマ
  • 12:00~13:30  
    留学生のための会話クラス
  • 30分休憩 昼食・授業準備・採点
  • 14:00~15:00  
    初級クラス1コマ
  • 15:00~16:00  
    中級クラス
休日
  • 月曜日:体調管理のため休みや買い出し(結構遠い市場まで)に行っていました。
  • 水・土曜日:友人に外国語を教えてもらっていました。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

現地の日本語の先生にカリキュラムや、クラスの時間帯を決めていただいていたのですが、日本のように一日に何度も学校へ行かなくてすむように、通しのカリキュラムを組んでいただくのが大変でした。

生徒の来れる時間帯と教える内容が滞りなく進んでいくように3次元で考えていただくので、現地の先生も大変だったと思います。しかも3ヶ月にいっぺんクラスが終了して新しい編成になるので、そのたびに話し合って決めていくというスタイルになるまでが、学校側からの圧を感じました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になる書籍
  • みんなの日本語 初級I    
    対象者:初級
    現地の先生が文法を教えるので、それを復習しつつ、応用できるように、一人ひとり文例を考えてもらいながら、会話練習をしていきます。
  • みんなの日本語 初級II 第2版 本冊    
    対象者:初級
    文法が難しくなっていくなかで、どんなシチュエーションで使えるか具体例を挙げながら会話練習していきます。
  • みんなの日本語中級II本冊    
    対象者:中級
    会話練習。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

現地では教本がとても貴重で、教師の本をコピーして用いていくという現場もあります。私が行っていた学校は、生徒の分の教本を用意できましたが、そうでないところはたくさんあり、ぜんぶ教師任せです。(しかもコピー機が教員室になく購買のようなところにある場合もある。その場合コピー機は有料)

また教本もそうですが、教えの手引きも手元に持っていけるよう、日本から買っていけば良かったと思いました。特に、みんなの日本語を使って教えていく中で、文例がおもいつかないときなどもあるので、これを参考にしていくととても良いです。

就職活動

国選びで重視した点
  • 渡航経験があった
  • 現地語を習得していたため
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 学校の規模
  • 使用されている教授法
  • 通勤時間
応募時に
必要とされた資格
日本語教師養成講座終了
選考方法 面接
面接地 海外:現地

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

モンゴルは親日家も多く、日本語で働くことを夢見る若者やモンゴルに帰国した後も、日本で学んだノウハウを生かして社会貢献したいと思っている人は多いです。

またモンゴル語は日本語に文法が似ており、またモンゴル人の発音も非常に綺麗な人が多いので、教え甲斐があります。私立の学校では日本語を売りにしているところもありますし、また言語学校でもまだまだ日本人の先生がいるところはすくないです。それで、十分な需要はあると思います。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

どうしてこの学校を知ったのか、また誰の紹介か、などを聞かれました。後はこの国のことをどう思うのか、どんなところに行ったことがあるか、今まで日本語を教えたことがあるか、など経歴や文化に対する理解なども質問されました。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

日本とは違い、言語学校で日本語教師をするのに、大卒(学位)や日本語教師検定試験などの資格はいりませんが、やはり証明書というのは大事です。修了証明書があれば、就業ビザを取ることは可能です。ただし、大学で教える際には、大卒である必要があります。

また現地での日本語教師をしていく中で、やはり現地の言葉を話せると良いです。マナーの悪い生徒もいます。そういった生徒を日本語で叱ったところで、本人は理解せず改善は難しいでしょう。

また日本と違い、やさしく指導するとうまくいかないことも多く、叱るのに瞬発力と大きな声、追い詰める論理が必要です。(モンゴル人の先生たちはかなり大きな声で叱るので、聞いているこちらも怖いことがあります)そうした厳しさを見せることで、生徒たちに真摯に向き合っている良い教師と評価されます。

実際、マナーの悪い生徒でも、そのように向き合って初めて、本気で努力し始め、向上していった生徒も見られました。厳しさの中に愛を感じさせるそんな強いパーソナリティが求められると思います。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
unegui.mn
求人から賃貸、売買まで手広く無料で探せるサイトです。この中で教育といった分野のページを探すと、教職の求人が見つかります。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

モンゴルのことが好きだったので、もうしばらく滞在したいと願っていたときに、学生ビザが切れ、次はぜひ仕事をしたいと思っていたところで、以前そちらで働いていた知人に紹介してもらいました。

前にも大学で3ヶ月ほど働いた経験がありましたが、そちらでは私の学歴ではビザがおりず、それに関してもいい加減な対応でした。またカリキュラムもぐずぐずで、生徒たちのやる気もなく、とてもストレスを感じました。

私が勤めた学校はビザの面でもしっかりした対応ができ、またカリキュラムもしっかり三ヶ月間決まっていて、自分はその中で会話担当という明確さ、また生徒たちは義務教育を終えた若者や、社会人が多く、やる気にあふれた良い生徒たちが多かったのも決め手になりました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

モンゴルに滞在するにあたって、就業ビザは狭き門でした。(外国人労働者に対する税金があまりに高いので、日本人が就業するには日本語教師しかないというのが実情です。)本当だったら日本でしていた仕事を生かす方向で医療関係などで、仕事に就くことも考えたのですが、それも実例がなく、無理でした。それで、日本語教師に進みました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

モンゴル語で、先生のことを「バクシ」といいます。生徒が日本語を勉強する際に、「バクシャー、バクシャー」と呼んで、「これはどうですか?あっていますか?」と聞かれるのは、とてもうれしかったです。何気ない瞬間ですが、一生懸命日本語を学ぼうと努力し、慣れない漢字と奮闘する生徒を見るのは、心洗われる気がしました。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
大学在籍中にとれるのであれば、日本語教師の検定を受けて合格するのが一番良いと思います。

【社会人の方へ】
日本で日本語教師として働くのであれば、やはり検定合格を目指すのが良いと思います。

日本語教師の検定に向けて準備する講座(通信)もありますが、それだけでは検定合格には難しいように感じました。検定合格に必要な情報が、通信教育の養成講座で勉強する量に比べて、本の中に少ないです。検定の過去問を沢山解いて、合格ラインに達するまでよく準備する必要があるかと思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

もし日本語しか知らず、それでいて日本語を教えようと思うと、いろいろな壁があると思います。特に外国人が日本語を勉強するときにどれほどの努力を要するのか、また文化、また自国語との相違による壁も感じる生徒さんを理解してあげることは難しいと思います。

それで、英語以外(英語は義務教育で学ぶ分、難しさを感じないので)のどんな言語でも良いので外国語を学んでみるというのはいいことだと思います。同じ立ち位置(外国人として外国語を学ぶ)に立ってはじめて、助けられることも多いと思います。そうした思いやり、知識、それに愛情が人を育てると思います。ぜひトライしてみてください。

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