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海外日本語教師経験談

韓国 ソウル アカデミー(2018年) 学生たちのやる気とレベルアップのおかげで頑張れた1年間

👩 こうさぎさん・ 39歳

総評

  • 韓国 ソウル アカデミー
  • 雇用形態:非常勤講師
  • 期間:1年 (2017~2018年) *退職
  • 月収:12万円 (120万ウォン) *それだけでは生活は難しい
  • 勤務時間:1日5~6時間 週5日勤務   *残業:1ヶ月合計30時間
  • 日本語教師養成講座420時間修了  ヒューマンアカデミー

韓国は10年以上前からアニメなどをきっかけに日本の文化に興味があって日本語を勉強する人が多かったのですが、最近は中国人が韓国をたくさん行き来することから中国語ブームがあり、中国語を勉強する人がかなり増えました。

そのせいで、私たち日本語教師の職も減りつつあったのですが、最近日本語で注目されているのが日本の大学へ進学することと、日本の企業に就職することです。

なぜなら、今韓国の就職率は非常に悪く、いい大学へ進んでもいい就職先が見込めないのでEJUを受けて日本の大学へ進み、そのまま就職することやIT技術と日本語を学んで日本のIT企業に就職するという塾やアカデミーが増えています。

私が働いたところは韓国人の若者を日本のIT企業へ就職させるアカデミーです。基本的に4年生大学を卒業して、男性なら軍隊も出てから来るので歳は25歳~30歳前後が多いです。日本語をどこかで勉強してきた学生もいますが半数以上はほぼ初めてという中で、私は主に初級を担当しました。

教材は「みんなの日本語(独学用)」(写真あり)を仕様するのですが、アカデミーの課程はほぼ1年。その中で後半になると日本企業へ履歴書を書いたり面接の準備をしなければならないので半年ちょっとでみんなの日本語を50課まで終わらせ、それから中級の読解教材までやりきらなければなりません。

みんなの日本語も最初は少しゆとりをもって進みますが、最後は1日1課のペース。もう教える方も学ぶ方も必死です。このアカデミーは、他の教室で学ぶ学生たちとの公平さを考え基本的に教材は教科書と練習Cの会話のイラストのみでした。

なので教材において準備することはほとんどありませんでしたが、週に1回の週末のテストや1~2ヶ月に1回の実力テストは私たちが交代で作りました。

それ以外の仕事は、週1で提出する宿題チェック、生徒の出席管理と評価(韓国語でコメントを入れる)。それに、日本語で書いた履歴書のチェックや企業との面接での質問応答にどう答えるかを担当の学生の分を全てチェック。忙しいときは家に帰っても仕事があり、週末も休めないということもありました。

そんな過酷な現場でしたが、ひとつ救われたのは学生たちのやる気です。もう日本への就職はすぐそこという追い込まれた状況ということも影響したとは思いますが、みんな教えただけちゃんと実力を伸ばしていってくれたし、歳も比較的上なので学生たちも礼儀をわきまえているというか落ち着いているので、学生の態度などで困ったことはなかったし、頑張っている学生からいつも元気とやりがいを与えてもらっていました。

日本語教師として苦労したこと、戸惑ったことはありますか?

半年後には日本語が口からスラスラ出るように、企業の人とも日本語で話せるようにという初級から始めた学生には、かなりハードルの高いことを求められていただけに、本当にひらがなから始めた学生が話せるようになるのかということが常に不安でした。

趣味で勉強する人たちに教えるような少しリラックスしたようなムードではなく、上の先生からは「厳しくお願いします!」と何度も言われたし、ここは日本の会社だと思って、態度も注意してくださいとも言われていて、他の学校との違いに最初はとまどいました。

なぜこのアカデミーを退職しましたか?

時給に比べて仕事量がとてつもなく多いことが理由です。それに対して、何度か会社の人と交渉しましたが結果的にお互いに条件が合わないという形で、私を含めたそのとき全員のパート講師が切られました。

給与

月収:12万円 (120万ウォン)
それだけでは生活は難しい

生活していけるかという点は私の場合は時間講師だったし、まずこれだけで生活していこうという前提ではないので答えにならないと思いますが、この時給と仕事量なら生活していくことはかなり厳しいと言わざるを得ません。

同じ職場には専任の社員の先生もいらっしゃったので、その先生方の給与などは正確にはわかりませんが、生活できるくらいのレベルの待遇があったと思われます。

基本的に1週間以上の長期休暇はなかったですが、韓国の旧正月と旧盆は長くて5日間くらい休みになります。韓国は陰暦で行うので日本のお正月やお盆とは重ならないので注意です。

給与の詳細を読む...

給与

  • 月収:12万円

月収の内訳

  • 時給:1,800円

待遇

  • なし

雇用形態

  • 非常勤講師

勤務時間

  • 1日5~6時間 週5日勤務   *残業 1ヶ月合計30時間

長期休暇中の給与保証

  • 長期休暇がない

授業形態・勤務スケジュール

スケジュール管理で大変だったことは?

やはり、スケジュールで大変なのは朝の出勤です。朝9時からの授業の場合は30分前には学校に到着していないといけなかったので(これは時給には入りません)8時半までに行くとなると、私の場合バスも利用したので通勤ラッシュにあたると、いつもの倍以上時間がかかることがあり、特に月曜日は渋滞がひどいので朝6時半くらいに家を出ていました。

朝はとにかく時間との戦いなので、着る服は前日に選んで準備しておくとか朝ごはんはなるべく簡単なものをとか、なるべく睡眠に時間が取れるよう工夫しました。

授業形態やスケジュールの詳細を読む...

主なクラスの授業形態

  • クラス授業  1クラス20人

学習者層

  • 社会人

スケジュール

月~金曜日
  • 9:00~11:00 初級クラスを2コマ
  • 14:00~16:00 初級クラスを2コマ
週末
  • 休日に取り組んだ仕事:試験作りの担当なら週末作ったり、採点したり。月末などは評価で自宅で作業。

韓国で日本語を教える前に準備すべきだったことは?

海外で買うとやはり日本の本は多少高めなので、他の国と比べて韓国は教材を揃えやすいのかもしれませんがやはり教材やそれに関連する本、教室活動の本など日本で買っておけばよかったと思いました。

クラスの教室活動に行き詰ったとき、参考になる本を買いに行きましたが欲しい本がありませんでした。

教案作りで参考にしている書籍は?

  • みんなの日本語初級1 教え方の手引き 対象: 初級
    まずは授業で出てくる新出単語や新しい文法をチェックできます。ある程度授業の組み立てや、指導方法は頭に入っているので手引きにある注意事項を見て、基本で教えること以外に注意点や追加で教えた方がよさそうなことを調べるときによく使います。

就職活動

このアカデミーで働くきっかけ・決め手は?

たまたま職を探していたときに載っていたというタイミングもありましたが、場所がとても有名な建物の中にあり、駅からすぐだし、家からも通いやすいというのが決め手となりました。

面接ではどのようなことを聞かれましたか?

まずは、資格は何を持っているかと今まで経験してきた日本語教師の経歴です。もし、経歴があった場合はどんな学生に教えてきたのか、初級中心だったのか、高級中心だったのかなど専門性を聞かれました。それと通勤にはどれくらい時間がかかるかと、どのくらいの時間働けるかということ。

現地で日本語教師の需要はどのくらいありますか?

これから韓国の経済がどういう風になっていくかにも寄りますが、このまま就職率が上がらなかった場合は日本の大学に行こうと考える人や、日本企業に就職しようとする人がこれから益々増えると思うので、需要は伸びていくんじゃないかと期待しています。

このアカデミーで求められる資質や資格、経歴や語学レベルは?

やはり一番は日本語教師養成講座420時間修了という資格だと思います。私は日本語教育能力試験には受かっていません。

しかし、今まで何度も面接などしましたが試験に合格してないということを咎められたことは一度もありませんでした。試験に合格しているよりも、養成講座で教授法を学んでいたり、実際に模擬授業などの経験があったりする方が採用者側も安心するんじゃないかと思います。

就職活動で参考にしたウェブサイトは?

  • 韓国旅行「コネスト」
    文化と生活の中の「韓国生活」のページに韓国の求人情報があります。アルバイトがほとんどですが、時々日本語教師の募集もあります。

就職活動で有効な手段は?

  • 『韓国の求人サイト「ジョブ・コリア」など』
    日本語バージョンがあるかはわかりませんが、私は韓国語で書いてあるものを時々チェックします。

国選びで重視した点

  • 治安
  • 日本との距離
  • 渡航経験があった

現地における日本語教師の需要・将来性

  • 人気があり、一定数の学校で求められている

就職 教育機関選びで特に重視した点

  • 必須資格
  • 学校の規模
  • 通勤時間

応募時に必要とされた資格

  • 日本語教師養成講座420時間修了

就職 選考方法

  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業

面接方法

  • 現地にて実施

日本語教師全般に関する質問

どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

大学は、理系でした。4年生では主に実験室で研究の日々。この道に進むのかどうか、自分には合わないんじゃないかと思っていたときに大学の生協で「日本語教師」のパンフレットを見ました。

何気なく手に取ったのですが、よく見るととても面白そうな仕事内容だったので、日本で社会人経験を数年間積んだあとに養成講座を受けて海外で教えてみようと思い、実行にうつしました。

「日本語教師をやってよかった!」どのような時に実感しますか?

ひらがなから始めた学生が、数ヶ月後には簡単な日本語を話せるようになっている時には喜びを感じます。

そこで「先生のおかげです」なんて言葉を聞いたりしたら、本当にやってて良かったなぁと感じますし、昔教えた学生から連絡をもらったりして成長が見られると、また嬉しさを感じます。

学生のみなさんへ 進路についてアドバイス。

まず、4年生大学卒業というのが一つの最低条件になっているところがほとんどなので、大学を卒業することと、日本語教師養成講座420時間を終えることです。最低、アルバイトでもいいので日本で働いた経験があるといいですし、日本旅行など日本をたくさん知ることをお勧めします。

社会人のみなさんへ 進路についてアドバイス。

大学は卒業されているということなら、日本語教師養成講座420時間を是非受けてください。私も社会人経験をして420時間を受けましたが、今からでも遅くはないです。

韓国で日本語教師を目指す方へ心構え・アドバイス。

韓国は反日国家というイメージもあるかと思いますが、実際は違います。かなり、日本の文化が浸透していますし、数年前から韓国から日本に旅行に行く人もぐんと増えました。

日本人だからと言って嫌な顔されたりなんてことはほとんどないと思ってもいいと思います。韓国語は日本語と同じ文法だし、似たような言葉もたくさんあります。言語に共通点が多いので初級はとくに教えやすいです。

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