元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

タイの高等専門学校 経験談

タイの子どもたちと交流できる楽しさ

公開:2018/2/20

Karohiko(男性・35歳) 
日本語教師歴 6年 (2010年~2018年)
2015年5月から2年のブランクがあります。
*現在も日本語教師として就労中
資格・課程 なし
タイの高等専門学校
経験詳細
  • 地域:東北部
  • 月収:4万円(1万6,000バーツ)
    現地で生活をするのに十分
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 5年(2010年~2015年)
    *現在は退職

私のタイでの生活は、日本語教師としての仕事に加え、現地での生活を楽しむことも目的としています。それで、時間給にして約1,000円と日本と変わらない時給で、それ以外の時間は拘束されないこの仕事はとても条件の良いものでした。また、この時給は一般のタイ人の日給に相当する額で、生活にも十分な額でした。

タイでは、言語学習に対する興味が高い傾向があり、あいさつ程度の日本語を話せる方にもたまにお会いします。ただ、日本企業で勤めていたり日本で仕事をするという明確な目標がない限り、あいさつと少しの会話程度で満足するようです。

それで、教師としても、「絶対に日本語を上達させてやる」というスタンスではなく、肩の力を抜いて日本の文化に親しんでもらおうという気持ちで教えるようにしていました。またその分、生徒の興味を持続させる、ということが大きな課題でもありました。

純粋な子が多く、よく笑い、気持ちを素直に表現する生徒たちからもたくさんのことを教えてもらえる仕事でした。日本語の歌を一緒に歌ったり、書道に挑戦してみたり、苦労も喜びも何倍もある体験でした。

現在は幼稚園で教えていますが、みんなが日本のように恵まれた状態で育っているわけではなく、いろんな子がいることに驚かされています。日本語教師は、教えると同時に教えてもらうことが多い、貴重な仕事だと思います。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

一番驚いたのは、教育に対する意識の違いでした。県に1つしか無い公立の高等専門学校なのですが、真剣に学んでいる子は一握りです。ゲームセンターなどで遊んでいて授業に出てこないのは日常茶飯事で、雨が降りそうになれば帰宅しますし、恋人ができたり妊娠して学校に来なくなる子も多くいます。夕方の最後の授業だと、クラス全員が授業に出席しない場合もあります。

先生にもノルマがあるので、それでも留年する子はわずかです。こうした状況に気持ちを合わせるのが大変でした。

現在は幼稚園で教えていますが、家庭環境も日本とは大きくますので、やはり日本と同じ感覚で教えるのではなく、子供に合わせることが大切だと実感します。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

書類が揃わなかったというのが理由です。私は日本の高等専門学校を卒業しており、大学卒ではないため、学士号を持っていません。

2013年あたりから文部省の方針が変わり、教員免許には学士号が必須の条件になりました。その後1年経って、労働許可証が出なくなり、退職する運びとなりました。

給与・待遇

月収 月収:4万円
月収内訳 1コマ60分:1,000円
基本労働時間 1日6コマ 週2日勤務
残業(時間外労働) 学校の催し物がある時の手伝いが少し。
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇
  • 中間休み:30日
  • 年度休み(夏休み):75日
クラスの長期休暇中の
給与保証
長期休暇中は仕事をしていない

タイの田舎では、無駄遣いしなければ約3万円で生活ができます。それで、月に4-5万円もらっていましたので、金銭的な心配はありませんでした。ただ、実際に授業がある月が、1年のうち約8ヶ月ですので、残りの4ヶ月の生活費は授業のある月に貯金しておく必要があります。

また、ビザ代や労働許可証代を自腹で払っていたので、それも年に2-3万円ほどかかりました。毎年日本に帰省しようと思うとその費用もかかります。ただ、休みが長い分、日本で少し働いたりするなどできるので、問題はありません。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

給与は良かったですし、空いた日を自由に使えるというのが魅力的でした。また、全てのクラスに教える内容が一緒でしたので、準備の時間も短縮できました。

ただ、教育機関に紹介してもらった方の多くは、ビザ代や書類の費用を学校に負担してもらっていました。教育機関については、JICAの方にお会いすることが多いように感じます。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス30人
学習者の年代
  • 高校生
  • 短大生
1日の時間割 月曜日
  • 9:00~17:00 初級クラスを6時間(大抵は2時間単位)
火曜日
  • 9:00~17:00 初級クラスを6時間(大抵は2時間単位)
休日 水~日曜日

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

タイの学校はイベントが多く、授業そっちのけでみんながイベントに参加します。外国人の先生はそれを知らずに、待っていても生徒が来ないので初めて知ることもあります。学校に行って、急に今日は授業が無くなったと知らされることもあります。そうした時に臨機応変に対応するのに、慣れる必要がありました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
  • ぷりんとキッズ
    かわいいイラスト付きのプリントを印刷することができるので、重宝しています。
  • ようこそJAPAN!
    日本語を紹介する質の高い動画がたくさんあります。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

最近はインターネットでイラストや写真、動画が見れるので、海外に住んでいても特に困ったことはありません。生徒の意欲を高めるためにも、質が良くてかわいいイラストやクールな日本の紹介の動画などをストックしておけば役立つと思います。

クラスの人数にもよりますが、折り紙とかなら全員に配れるかと思います。

就職活動

国選びで重視した点
  • 物価の安さ
  • 友人がいた
現地における
日本語教師の需要
人気があり、一定数の学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 友人の紹介と強い勧めにより
応募時に
必要とされた資格
なし
選考方法 紹介のため試験なし

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

タイは親日国で、大抵の人の日本人に対するイメージは、良いものです。また、タイに支社や工場を持つ日本企業も多く、また観光先としても日本は人気です。

それで、タイ人が語学を重視する傾向とも相まって、日本語の需要は一定量存在します。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

バンコクやチェンマイを除くタイの田舎では日本人があまりおらず、需要の高さから資格はあまり必要ではないように感じます。ただ、公立の学校で教えようと思うと、教員免許を取るために大学卒の資格は必須です。

学生のレベルにもよりますが、あまり高度な文法を教える機会も少なく、技術的な面からも資格が必須というわけではないと思います。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
Ajarn.com
英語教師の求人が多いが、日本語教師の求人も載ることがあります。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

きっかけは、友人の紹介でした。自分の勤めている学校で日本人の先生が足りないから助けてほしい、とのことでした。

その学校では日本語を教え始めたところで、学年を問わずすべてのクラスに初級の同じ内容を教えればいいとのことだったこともあり、仕事を始めることにしました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

海外に移住したいという希望はあり、貯金をためてタイに引っ越してきました。しばらくいるうちに、現地で仕事をしたいという気になりましたが、タイでは外国人のできる職種には限りがあり、一番有力候補が日本語教師でした。

タイの田舎に住む日本人で仕事をしている方は、大抵日本語教師です。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

自分の考えた授業プランやゲームを使って、また生徒からのリクエストに応えて楽しく授業ができた時に、実感します。

タイでは、坂本九の「上を向いて歩こう」や谷村新司の「昴」が有名で、それを教えてほしいと頼まれたことがありました。それで、歌詞をプリントして持っていって、カラオケぐらいでしか歌ったことがなかったのに独唱をさせられたり、でもその後みんなで合唱したりと、気持ちが通じた時に本当に楽しく感じます。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

公立高校で、日本語科目が選択ではなく必須科目だったため学ぶ気のない学生もおり、そうした学生に楽しく学んでもらうのが大変でした。特に、クラス分けが、成績順に1組、2組、、、となっていましたので、10組以降になると成績が悪く学習意欲のない学生が多く、モチベーションが少し下がってしまうこともありました。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
日本語についての知識は、教えている側の自信につながります。簡単な例で言えば「○○は好き」と「◯◯が好き」の違いは何かとか、体系的に学んでおけば役立つだろうなと思うことがあります。我流でもスクールでも、学ぶ態度が大切だと思います。

【社会人の方へ】
一番の近道は、「経験を積む」ことだと思います。東南アジアは物価も安く、初期費用もあまりかかりません。現地で教える機会を見つけたら、短期間でもいいのでまず行ってみると良いと思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

日本語を教えて文化や言語の架け橋になろうとしておられることは、素晴らしいことだと思います。一口に日本語教師といっても、学校や生徒によってニーズや要望は様々ですし、言語だけではなくて文化も教えていくので、それぞれ教える形は異なると思います。

自分の見方にとらわれず、柔軟に教えることが大切だと思います。違う国の人たちや子どもたちと触れ合えることはきっと大きな財産になります。お互いに頑張っていきましょう!

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