韓国の私立大学 経験談
学生を知ることが教案づくりの第一歩
日本語教師歴 | 6.5年 (2007年~2013年) *他業種に転職 |
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資格・課程 |
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韓国の私立大学 経験詳細 |
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海外で日本語教師の経験を積みたいと思い、日本語オンラインなどのサイトを通じて求職活動を行いました。韓国は3月から新年度が始まりますが、2月下旬ごろ突然国際電話がかかり、3月中旬から働くことが決まりました。
私が勤務していた大学の学生は、それほど勉強熱心ではありませんでしたが、とても人懐っこくて、授業後や休み時間に研究室まで訪ねてきてくれることもよくありました。最初は、学生との距離の近さにとまどうこともありましたが、「言葉も何もわからない先生を助けてあげたい」という気持ちが伝わってきたので、誘いに応じ、一緒に街へ出かけたり食事をしたりしているうちに、現地での生活にも慣れることができました。その点では非常に助けられたと思います。
学生たちは「勉強」することが苦手な上、クラスは学年別で、さまざまなレベルの学生が混在していたので、教案づくりには苦労しました。学校から指定された教科書を使用していましたが、当然ながら、レベルの高い学生には簡単すぎる、低い学生には難しすぎるものでした。そのため、自作の副教材を多用しました。学生たちとの日々のかかわりの中で、興味対象をリサーチし、日本の何が好きなのかを知ることで、それを副教材に活用しました。学生たちが知っている日本語の歌を聞き取りに使用した後で精読してみたり、ドラマのワンシーンをロールプレイに使用したりすると、学生たちも喜んで授業に参加していました。
休日を授業準備に費やすこともありましたが、50分の授業を週12コマ担当だったので、教案や副教材の作成は、平日の空き時間で終わることも多かったです。学生たちは、休日でも全く遠慮なく、突然の電話で食事に誘ってくれるので、できる限り応じるようにしていました。学生たちとのかかわりの中で、こちらも楽しみながら授業のヒントを得ることができました。学生を知ることは教師をしていく上で非常に大切であると実感しました。
Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?
最も大変だったのは評価です。相対評価だったので、1点の差が成績に大きく影響します。実力的にはAをつけたい学生でも、人数の上限があるためBをつけざるを得ないという状況が毎回ありました。そのため、点数を一つ一つシステマチックにつけていくことで、評価に対する質問にはいつでも答えられるように準備していました。
また、4年生は就職活動があるため授業に出なくてもよいという考えがあるようで、非常に出席率が悪かったです。それでも成績をつけないわけにはいかなかったので、個別に電話をしてレポートを提出させるなどの対応をしていました。
Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?
韓国に赴任する時点で既婚者だったので、家族と相談して、長くて2年間ということを最初から決めていました。1年ごとの契約更新だったため、1度更新して2年間働きました。大学側も、基本的に契約更新は1回までという方針だったので、円満に退職しました。
給与・待遇
月収 | 月収:20万円 |
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月収内訳 |
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基本労働時間 | 1日8時間 週5日勤務 |
残業(時間外労働) | 残業なし |
待遇 | 保険(医療保険) |
教育機関が 用意してくれたもの |
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クラスの長期休暇 |
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クラスの長期休暇中の 給与保証 |
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勤務していたのが大学だったので、生活していくには十分なレベルでした。住居が学生と同じ寮だったため、住居費も光熱費等も必要ありませんでした。税金・年金・健康保険料が天引きされていましたが、それでも余裕で生活できました。
帰国後、健康保険料の計算が間違っていたので差額を支払ってほしいという連絡が入りましたが、あくまで学校側の手違いで起こったことで、差額自体は支払うが、振り込みの手数料等は学校で何とかしてほしいということで相談したところ、差額は全て学校側で支払ってくれることになりました。この一件で、自分の考えを率直に述べることの大切さを学びました。
Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?
大学で働けるのであれば、お勧めは絶対に大学です。日本語学校で働いている知り合いの先生は、とても生活に苦労しているようでした。
給与面ではもちろんですが、かなり身分が保証されていると感じました。行政上の手続をする際にも、必ず学生が何人か付き添ってくれていました。現地の方と接するときも、大学の先生ということで、手厚い歓迎を受けたように思います。
授業形態・勤務スケジュール
授業形態 | クラス授業:1クラス10~30人 |
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学習者の年代 | 大学生 |
1日の時間割 |
月曜日
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休日 | 土日 |
Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?
前もって時間割変更等の情報が入ってきませんでした。ある日、いつも通り授業開始時間に教室に行くと、学生が誰もいない…ということが何度かありました。同僚の韓国人の先生に聞いてみると、研修に行っているとのこと。「学生には伝えておくように言っていたのですが…」と、平謝りされました。
直前にスケジュール変更というのはよくあることなので、最終的にはこちらが慣れて対応できるようになりました。
Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。
参考になるサイト |
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参考になる書籍 |
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Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。
準備すべき「もの」ではないのですが、日本の芸能事情やアニメ等について、もっと知っておけばよかったと感じました。特に女子学生は日本のドラマや映画、アニメが大好きで、ジャニーズのことにも非常に詳しいです。私は芸能事情に疎かったので、学生からの質問に答えられないことも多々ありました。
就職活動
国選びで重視した点 | 日本との距離 |
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現地における 日本語教師の需要 |
人気があり、一定数の学校で求められている |
教育機関選びで 重視した点 |
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応募時に 必要とされた資格 |
修士号 |
選考方法 | 書類 |
Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?
距離的に近いためか、日本語教育の需要はあるように感じました。高校生から学校で日本語が勉強できるということも関係しているのかもしれませんが、日本語が多少なりとも話せるという人も多かったように思います。
日本での就職を希望している学生も多く、インターンシップで日本のホテルや旅館で働いたり、ワーキングホリデーで日本に行ったりする学生もいました。
Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?
韓国の大学で働くなら、ビザの関係で修士号が必要となります。それ以外にも、検定合格などが求められる場合もあります。
私が所属していた大学では、諸々の行政的手続等は必ず学生が付き添ってくれていたため、韓国語が話せなくても全く問題ありませんでしたが、挨拶程度でも話せると、周囲の人に喜ばれる上、生活の幅が広がります。
現地で求められる日本語教師の資質としては、やはり適応力だと思います。韓国は日本と似ていますが、ちょっとしたルールが日本と異なっていて、その違いの積み重ねが結構なストレスになります。予定が変更されることは当たり前で、直前になってみてもどうなるかわからないということが日常的に起こりえます。それに対応していくには、ある程度鈍感であったほうが楽なこともあります。そういう意味では鈍感力が必要と言ったほうがいいのかもしれません。
Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?
求人情報のサイト名 |
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Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。
求人サイトで求人が出ているのを見たのがきっかけです。既婚だったこともあり、私は、修士号を取得してすぐには就職できなかったので、同期の友人が海外でバリバリ働いているのを見てうらやましく思っていました。
とにかく海外で日本語教師になりたかったので、距離が近く、一時帰国が比較的容易な韓国に絞って求人を探しました。
日本語教師に関する全般の質問
Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?
日本語教師という職業の存在は、大学生になって初めて知りました。大学に入って留学生の友達ができ、仲良くなっていくうちに、何か留学生の役に立てるような職業はないかと考えるようになりました。
そんなとき、ふと目に留まったのが、学内に置いてあったヒューマンアカデミーの日本語教師養成講座のパンフレットでした。それを見て、日本語教師という職業があることを知り、日本語教師になろうと目標を定めました。
当時は法学部に通っていましたが、卒業した後に、日本語教育の副専攻がある大学に編入し、本格的に日本語教育に関する勉強を始めました。
Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?
卒業式の、学生の晴れやかな顔を見たときに、やってよかったなと実感します。韓国では学生が気軽に研究室におしゃべりに来ていたので、卒業式後にも訪問してくれました。卒業式の帽子をかぶり、うれしそうに卒業証書を見せてくれた学生たちの笑顔は、今でも忘れることができません。本当にいい思い出です。(写真)
Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。
【学生の方へ】
日本語教師になるなら、大学院で勉強するのが一番いいと思います。修士号を持っているだけでも就職の幅が広がります。大学で働きたければ、博士号も持っていたほうが断然有利です。日本語教育だけで生活を成り立たせたいと思ったら、やはり、修士号取得は必須だと思います。
【社会人の方へ】
社会人として仕事をしながら、日本語教育の勉強をして日本語教師に転職するのであれば、養成講座がいいと思います。仕事の後や土日でも通えます。その上で、検定を取得して日本語学校に就職するのが最も近道だと思います。
さらに勉強がしたければ、非常勤をしながら大学院で勉強することも可能です。実際、大学院で勉強しながら非常勤で日本語を教えている方はたくさんいます。金銭的にも時間的にもかなり厳しいものになると思いますが、苦しい思いをした分だけ、仕事のチャンスもふえると思います。
Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。
韓国は、少し昔の日本に来たような印象で、とても生活がしやすかったです。週末には学生たちと食事をしたり飲みに行ったりして夜遅くなることもありましたが、身の危険を感じることは全くありませんでした。
政治上でいろいろな問題があったりもしますが、学生や同僚の先生方との個人の付き合いは全く別物です。国の問題は国の問題として切り離して考え、純粋に学生自身に興味を持って接することができれば、とても良好な関係性を築くことができると思います。
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