元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

台湾の日本語学校 経験談

やる気があり、教えがいのある生徒さん達ばかりです

公開:2017/11/17
ふくちゃん(女性・31歳) 
日本語教師歴 3年 (2013年~2016年)
*出産のため離職
資格・課程 日本語教師養成講座420時間(The World Japanese Language Centre)
台湾の日本語学校
経験詳細
  • 地域:台中
  • 月収:45,000円(15,000台湾ドル)
    それだけでは生活は難しい
  • 非常勤講師(コマ/時間勤務)
  • 3年(2013年~2016年)
    *現在は退職

私が今回紹介している教育機関で働き始めたのは約5年前で、以後3年ほどそこでパートタイムの日本語教師として働きました。この機関は台湾大手の学習塾で、分校が全国にあり、台中の自宅から歩いて通える距離にあったのがここを志望した理由です。

私はすでに台湾の方と結婚して現地の居留書を保持していたので、ビザの問題はありませんでした。面接も、特に資格などを求められることもなく、日本人であればOKということでした。

台湾の物価は日本の約3分の1程なので、家賃や食費、光熱費など節約すれば月に5万円くらいで生活できると思いますが、その分給料も安いので、私の様にパートタイムで働く場合はその収入だけでは生活は厳しいと思います。

この機関は、成人向けの塾で、生徒さんはは年会費を払えば、どの先生のどの授業にでてもいいというシステムです。それは毎回違った生徒さんとの出会いが楽しめる反面、当日来ている生徒さんの性格やレベルに応じた授業をその場で考えていかなければいけないという難しさもありました。

私の担当していた上級クラスの生徒さん達は、日本語を勉強してきてある程度のレベルに達しているが、使う機会がない、日本語を使って会話したい!という人が多かったように思います。そのため、授業中は、私よりも生徒さんに話してもらう機会を多くとり、もし文法的な間違いや、言い回しが不自然な場合は、説明するようにしていました。

ある生徒さんは、話し出すと止まらなくなり、他の大人しい生徒さんの話す機会がなくなってしまわないよう、「○○さんはどう思いますか。」とこちらから話しかけるようにしていました。台湾の方は、とにかく日本の文化が好きな方が多く、授業はとても楽しく進められました。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

台湾の方は漢字にとても強いのですが、中国語の言い回しに引っ張られて日本語を話してしまう傾向があるように思います。例えば、「大きい雨が降っている」という表現は中国語の「下大雨」という表現を直訳したものですが、流暢に日本語を話されている生徒さんでも間違えてしまうことがあります。

これは現地の言葉を理解していれば納得できる間違いです。私も、日本語教師として日本語を教える一方で、中国語を勉強していましたが、それが日本語教師の仕事でも生かされていたと思います。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

この機関では、たくさんのすばらしい生徒さん達に恵まれ、楽しく仕事をしていましたが、出産をきっかけに離職しました。しかし、とても働きやすい現場だったので、妊娠8か月までは出勤していました。

給与・待遇

月収 月収:45,000円
月収内訳 1コマ120分:3,000円
基本労働時間 1日1コマ 週3~4日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
なし
クラスの長期休暇 長期休暇なし  

私は上記の通り、パートタイム労働でしたので、この収入だけでは生活は厳しかったです。正規雇用であれば生活していくには十分の収入が得られると思います。しかし、分校が多いため、授業をたくさん持っている先生は色々な分校に授業に行くことが多く、移動が大変のようでした。移動の手当てのようなものはありませんでした。

台湾では、スクーターでの移動が便利ですが、市内だとバスもたくさん走っているのでそれを利用していた先生もいたようです。私は最初はスクーターが怖くて、バスで移動していましたが、スクーターを買って乗り始めるとなれてしまい、とても便利で「はやく買えばよかったと思いました。」中古だと比較的安く売っています。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

他の塾と比べると、この塾は日本語教師育成の体制があまり整っていないと思います。特に研修期間がなく、自分の授業の時間に塾に行き、授業が終わったら帰るという感じなので、自主的に他の先生の授業を見学に行くなどしなければ、ほかの日本語の先生との交流もあまりありません。

日本語教師経験のない人や、向上心のない人であれば、なかなかいい授業をすることが難しく、生徒さんもついてきてくれないという状況になりかねません。もし日本語教師の経験がなく、ベテランの先生について勉強したいと思っている方であれば、規模の小さい個人経営の塾のほうがいいと思います。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス10人
学習者の年代 社会人
1日の時間割 月曜日
  • 15:00~17:00  
    上級クラスを1コマ
水曜日
  • 15:00~17:00  
    上級クラスを1コマ
金曜日
  • 15:00~17:00  
    上級クラスを1コマ
土曜日
  • 9:00~11:00  
    上級クラスを1コマ
休日 祝日
塾自体は祝日のみが休みでした。

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

スケジュール管理にかんしては、私がパートタイムで働いていたこともあり、とくに困ったことはありません。私は午前中は中国語の学校で中国語を勉強し、午後、日本語の授業をしていました。授業の準備に大体1時間くらいかけていたので、毎日1コマずつの授業しか入れていませんでした。しかし、フルタイムで働いている先生は授業の準備を移動中にしたり、食事中にテキストを読むなどしていたようです。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
  • 日本語教師の教案
    台湾で使用されている教科書「みんなの日本語」の教案づくりに重宝します。
  • みんなの教材サイト
    先生方のアイディアの詰まった様々な教材を利用することができます。生徒さんのレベルに合わせて選択できます。
  • エリンが挑戦!にほんごできます
    色々な言語に対応しており、ビデオもあるので授業によっては利用できると思います。
参考になる書籍
  • すぐに使える実践日本語シリーズ 4 広がる 深まる 副詞 (上級)    
    対象者:上級
    副詞の説明ははなかなか難しいですが、この本は、似たような意味の副詞をいくつか並べて、例文を用いて違いを紹介しているので、授業で質問があった時にとても重宝しました。助詞や助動詞の解説本もでていますが、それらも役に立ちました。
  • みんなの日本語 教師用指導書    
    対象者:初級・中級
    日本のアマゾンには売っていませんでした。私も現地で購入したので、日本では売っていないかもしれません。これは台湾でたくさんの生徒さんに使用されているみんなの日本語の教師用解説書で、各課での説明の仕方などを参考にすることができます。

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

小学、中学、高校の国語の教科書、便覧、漢文の参考書などは持ってくればよかったと思い、その後帰省した際にもってきました。授業で国語の教科書のなかの文章などを生徒さんと読んだり、便覧に紹介されている文豪のリサーチをする授業をしたりしました。実際に日本の学校で使われているテキストを使って授業するというのは生徒さんのモチベーションをあげるいい方法だと思います。

就職活動

国選びで重視した点
  • 治安
  • 物価の安さ
  • 気候
現地における
日本語教師の需要
強い人気があり、多くの学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
通勤時間
応募時に
必要とされた資格
なし
選考方法 面接
面接地 海外 (現地)

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

台湾はとても親日で、日本語は英語の次に学ばれている言語だと思います。日本語の塾もたくさんあります。日本が統治していた歴史がありますが、日本に対してはとても良いイメージがあると思います。日本企業などもたくさん進出しているので、日本語の需要はますます増えていくと思います。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

私が受けた面接はとても簡単なものでした。過去の日本語教師の経験(この機関では、日本人であれば過去に日本語教師経験がなくても採用していました。)や、就労ビザの有無、既婚か未婚か、など基本的な質問だけでした。私はすでに台湾の方と結婚していたので、就労ビザも必要ありませんでしたが、未婚の場合はこの機関で就労ビザを発行してもらうこともできると思います。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

私は大学を卒業してすぐに、台湾に渡り、日本語教師になったので、ビジネス会話のクラスを担当した時に、とても苦労をしました。

ビジネス会話の授業をとっている学生は、日本企業への就職希望者がほとんどで、日本語についての質問だけではなく、日本企業での風習、習慣、マナーなどの質問が飛んできた時に、具体性をもって答えられなかったからです。日本で社会人経験があるのはとても強みになると思います。

また、時間に余裕があれば日本各地を旅行するのもいいと思います。実体験をもとにしたエピソードがたくさんあると、それだけ生徒さんを惹きつけられる授業ができると思います。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
その他求人情報
日本語学科のある大学には求人が貼りだされているかもしれませんが、私個人的には見たことがありません。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

この教育機関は、台湾ではとても有名で、分校が全国にたくさんあります。私の住んでいる台中の家から歩いて通える距離に分校があったことがこの機関を志望した理由です。全国展開しており、よく目にする塾なので、信頼できると思ったのもこの機関に決めた理由の一つです。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

私は大学時代に、アメリカに留学しており、そこで日本語を学習しているアメリカの学生に日本語を教えるアルバイトをしていました。

私自身、日本語を他人に教えた経験がなかったので、「学校に行く」と「学校へ行く」はどっちが正しいの?とか、英語のStaplerはどうして「ホッチキス」なの?とか今まで考えたことのない日本語の質問が飛んできて、毎日調べものをして何とか教えていました。

答えに詰まって恥ずかしい思いをしたことがたくさんありましたが、それ以上に自分の日本語を一から見直すことができ、また外国の方に日本の文化を紹介できるとても充実した時間でした。

その経験もあり、大学卒業後もどこか他の国で日本語教師をしてみたいと思い、アメリカ在住中に、オンラインで「日本語教師養成420時間総合講座」を終了しました。中国語を習得したいという希望もあったので、台湾で日本語教師になることを選びました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

70代の男性の学生さんがいたのですが、その人はなんと60歳で定年後日本語を勉強し始めた方で、私の授業に来てくれていた時には、とても流暢な日本語を話されていました。

その方は俳句が趣味で、私はその方がくると必ず一つ俳句を紹介していました。高齢で外国語を学びはじめ、きちんと習得しているその姿は、私に、辛い時でも頑張ろう!というやる気を与えてくれていました。

ある日その学生さんに、「先生の授業は私の日課ですよ。」といっていただいた時は、私も何か力になれているのかなと思い、すごくうれしくて、やっていてよかったと思いました。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

なし

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
今、学生の方で、これから日本語教師になりたいという方は、とにかく日本の本をたくさん読んでほしいと思います。日本語に興味のある学生は、日本の文化や歴史についてもとても興味津々です。その時に、たくさんの知識をもって説明できるようになるには、やはり本を読むことだと思います。漢字の勉強にもなりますし、文学に興味のある学生に自分の好きな本をおすすめすることもできると思います。

【社会人の方へ】
日本での社会人経験はその後日本語教師になり、日本を紹介するうえで、プラスになることばかりなので、今の仕事をきちんとこなしつつ、日本語教育についての知識を広げられるよう、専門書を読んだり、アルバイトで日本語を教えたりと、スキルアップを図られるといいと思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

台湾は、親日国ということもあり、日本通の方がたくさんおられます。そんな生徒さんたちに日本語を教えるのですから、日本語についての知識はもちろん、文化、芸能、旅行など幅広い知識を身に着けておいて損はないと思います。

中国語もある程度できると、生徒さんの混乱しやすい点なども理解できるようになり、より深みのある授業ができるのではないかと思います。

台湾の学生さんは本当にまじめでやる気のある方が多いので、きちんと授業の準備をして指導に当たれば、充実した日本語教師生活を送れると思います。

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