元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

介護、看護で日本へ行く候補者向けの予備教育機関 経験談

楽しみながら学ぶフィリピン人

公開:2018/08/20

Coco(女性・31歳) 
日本語教師歴 6.5年 (2010年~2016年)
*結婚、出産のため退職、お休み中
資格・課程 大学 日本語教育副専攻
フィリピンの介護、看護で日本へ行く候補者向けの予備教育機関
経験詳細
  • 地域:マニラ首都圏
  • 月収:12万円(5万5000ペソ)
    現地で生活をするのに十分
  • 常勤講師(非正規雇用・フルタイム)
  • 約2.5年(2011年~2015年)
    *1年のうち約6ヶ月程勤務、間に別の国、機関で就労も。
    *現在は退職

フィリピンで約2年半日本語教育に携わっていましたが、とにかくみんな楽しんで日本語を学んでくれるので、こちらも教えていて楽しかったです。特にフィリピン人はダンスや歌が得意なので、語彙や文型を覚える際に歌で覚えたり、振りをつけて身体で覚えたりと工夫して日本語を覚えていました。

また、性格も明るく素直な学習者ばかりで、講師のことを慕ってくれる学習者が多く、授業は非常にやりやすかったです。逆にその素直で親切な性格ゆえ、試験中にお互いに答案用紙を見せて手助けし合うというようなことも度々起こってしまいました。

私の勤務先の学校は設備が想像以上に整っており、プロジェクターでパワーポイントのスライドや動画を見せながら授業を行うことが出来ました。ただ、全体的に古かったため、授業に支障はありませんでしたが、エアコンが壊れたり、教室のドアが壊れて開かなくなったりというハプニングもありました。

スケジュール面では、短期集中コースだったため、月の半分は土曜日も出勤して授業をしていましたが、年末やイースター等の長期休みはきちんと確保されており、日曜日は必ずお休みだったので、忙し過ぎて辛いと思ったことはありませんでした。

苦労した点は、日本人講師、現地人講師とチームティーチングだったため、授業のやり方や、宿題などの擦り合わせに多少時間がかかったことです。最初は慣れない国で大変なことも多かったですが、日本語を教えるだけではなく、現地人講師や学習者に現地の色々なことを教えてもらい、公私共に充実した生活を送れたと思います。

Q:現地で苦労した事、戸惑った事はありますか?

私が現地で日本語を教えるにあたって苦労した点は、日本語を教えると同時に日本でのマナーや、働く上で守らなければいけないことも短期で教えていかなければならなかったことです。例えば授業中は勝手に教室から出て行かない、授業に遅刻しない、遅刻してしまったら遅刻の理由をきちんと告げるといった日本では小学校で習うようなこともひとつひとつ教えなければなりませんでした。

また、あまり悪いことだと言う意識がないのか、試験中のカンニングも多く見られたので、それらを改善するのに苦労しました。

Q:なぜこの教育機関を退職しましたか?

私がこの教育機関をやめた理由は、任期が満了したからでした。希望があればそのまま契約を更新することも出来たのですが、既に何度か契約更新をして働いたので、次は他の国でも教えてみたいと思い、その当時オファーがあった別の国の日本語学校へと勤務先を移しました。

給与・待遇

月収 月収:12万円
月収内訳 基本給:12万円
基本労働時間 1日8時間 週5~6日勤務
残業(時間外労働) 残業なし
待遇 なし
教育機関が
用意してくれたもの
  • 住居提供
  • 住居費用負担
  • ビザ申請費用
  • 日本との往復航空券
  • 赴任手当
  • 帰任手当
  • 毎日の送迎有り
クラスの長期休暇
  • 年末年始:約10日
  • イースター:4日
クラスの長期休暇中の
給与保証
仕事はないが、給料は支給される

私が勤務していたところは、物価も安く、住居が提供されるため少々低めの給与ではありましたが、生活するのに特に問題ありませんでした。また、住居も富裕層が多く住むと言われる場所にある清潔かつ安全な住居があてがわれていたので、安心して生活することができました。

待遇面でも特に問題はなく、赴任手当、帰任手当、往復航空券などを教育機関で負担して頂けました。ただ、1年以内の短期集中コースということで、特別な事情のない限り日本への一時帰国は認められませんでした。

Q:現地における他の日本語学校と比較し、違いは感じますか?

給与面では、現地採用ではなかったため現地の物価から考えると余裕のある生活ができるだけ支払われていたと思います。しかし物価が安いため、現地採用で教える際、フィリピン基準の給与しか支払われない教育機関もあるので注意が必要です。また、治安の悪い地域もあるので、住居もインフラが整った治安の良い地域に用意して頂けてとても恵まれた環境だったと思います。

現地でお勧めする勤務先ですが、こちらには日系企業がたくさんあり、社内で日本語のクラスを開講している企業も多くあります。もちろん一概には言えませんが、そういった企業で募集している日本語のクラスで教えると、給与面でも待遇面でも安心かもしれません。

授業形態・勤務スケジュール

授業形態 クラス授業:1クラス20人
学習者の年代 社会人
1日の時間割 月・金曜日
  • 8:30〜11:30  
    ミーティング・授業準備
  • 12:30〜16:35  
    初級Aクラスを4コマ
火・水曜日
  • 8:30〜15:30  
    授業準備・試験作成・その他業務
  • 15:45〜16:35  
    初級Aクラスを1コマ
木曜日
  • 8:30〜11:30  
    初級Bクラスを3コマ
  • 12:30-16:35  
    ミーティング・授業準備
土曜日
  • 8:30〜11:30  
    日本での生活に関する講義(1ヶ月に2、3回)
休日
  • 土日:一日休めていました
  • 長期休暇:学習者が休みの日にミーティングや研修が数日ありましたが、その他はお休みでした

Q:日々のスケジュール管理で、ここは大変だった!と感じた点はどこですか?

授業はチームティーチングだったため、ミーティングや引き継ぎの時間に時間を多く費やさなければならなかったのが大変でした。そのため、なるべくミーティング時間を短くできるよう、事前に引き継ぎ事項や対策を簡単にまとめておいたり、他業務でで忙しい講師がいれば比較的手の空いている講師でできることをしておくなど協力し合ってお互い負担が軽くなるようにしていました。

Q:教案作りで参考にしているサイトや書籍があれば、ぜひお聞かせください。

参考になるサイト
  • みんなの教材サイト
    授業のアイデアが欲しい時にのぞいてみます。写真やイラスト、またタスクシートもたくさんあるので、いつもとは違う授業をしたいときに参考にします。
  • エリンが挑戦!にほんごできます。
    文法面での活用ではないのですが、日本事情を学ぶ際に「これは何」や「見てみよう」を活用しています
参考になる書籍

Q:現地に行く前に、準備しておくと良いものについて教えて下さい。

教材がたくさん用意されている恵まれた環境だったため、現地に行く前にもっと準備すべきだったと思ったものは、特にありませんでした。

逆に準備していって良かったものは日本のチラシや広告、ファッション雑誌や漫画等の書籍です。学習者は皆日本で働くことが決定していたので、日本のチラシや広告を使いながら授業をすることで日本の物価や生活についてイメージしながら学ぶことができました。また、ファッション雑誌や漫画等を置いておくことで、モチベーションの維持に繋がったと思います。

就職活動

国選びで重視した点
  • 物価の安さ
  • 気候
現地における
日本語教師の需要
強い人気があり、多くの学校で求められている
教育機関選びで
重視した点
  • 給与(待遇)
  • 学習者が社会人
応募時に
必要とされた資格
上記3つのうちいずれか
選考方法
  • 書類
  • 面接
  • 模擬授業
面接地 日本国内:東京都

Q:現地で、日本語教育の需要はありますか?

フィリピンには日系企業も多く、日系企業と取引のある現地企業も多いため、日本語の需要はあると思います。元々フィリピンでは、外国に出稼ぎに行く人が多いので、今後日本側が農業や介護等の分野でも外国人労働者を受け入れを始めると、ますます日本語教育の需要は増えると思います。

Q:面接ではどのようなことを聞かれましたか?

面接では志望動機の他に日本語教授経験等を聞かれました。また、その他にその場で10分程度の模擬授業をする機会があり、授業後にどの日本語レベルの学習者を想定した授業か、またその理由等、模擬授業に関する質問をいくつか聞かれました。

Q:強みになる資格や職歴、資質や語学レベルはありますか?

フィリピンではタガログ語と英語が話されていますが、日常に困らない程度の英語力があれば問題なく生活できます。タガログ語は特に必要ではありませんでした。フィリピン人はダンスや歌が大好きなので、淡々と授業を進める人よりも、一緒に歌やダンスを楽しんだり、授業に取り入れられる明るい人が求められると思います。

Q:その国の日本語教師に関する求人情報は、どこで得ましたか?

求人情報のサイト名
  • 日本村
    地域ごとに日本語講師の求人が確認できる
  • そうがくしゃ
    国内採用と海外採用でページが分かれている
その他求人情報
紹介:一緒に働いた教師仲間のつながりを大切にしていると、時々日本語教師のオファーがくることがあります。

Q:この教育機関で勤務すると決めた決め手、きっかけを教えて下さい。

この教育機関で働くことになったのは、元々この教育機関を通して別の国で勤務していた際に、こちらの求人オファーがきたことがきっかけでした。初めて行く国だったので多少の不安はありましたが、以前働いていた際にきちんとフォローしていただけたので、次も大丈夫だと思い行くことにしました。

日本語教師に関する全般の質問

Q:どのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

私が日本語教師になろうと思ったのは、高校でオーストラリアに留学した際、現地の友達からされたたくさんの質問がきっかけでした。自分は日本人なのに、日本語や日本の文化について上手く答えられないことが悔しくて、日本語や日本を勉強し直している時に日本語教師という職業を知り、目指すようになりました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

日本語教師をやっていて良かったと思うのは、日本語が全く話せなかった学習者と日本語でコミュニケーションがとれるようになった時です。最近も教え子に再会する機会がありましたが、取得を目指していた国家試験に合格したという報告をしてくれたのが本当に嬉しかったです。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

日本語教師になりたてでいきなり国外で教えた時は、授業もうまくいかず、現地人講師ともうまくいかずとても悩み日本語教師を辞めようかと思いました。特に大学を卒業してすぐ日本語教師として働き始めて当初は若かったため、なかなか意見を言っても聞いてもらえないことも多かったです。

Q:日本語教師になる為の進路についてアドバイスをください。

【学生の方へ】
学生のうちは時間にも余裕があるので、日本語教育に関すること以外にも色々な経験を積んでおくのがいいです。私はずっと同じ場所で生まれ育ったので、学習者から他県について色々質問をされると答えるのに苦労することもあるので、もっと日本中を旅行してみれば良かったなと思っています。

外部の日本語教師養成講座でもいいですが、大学で主専攻、もしくは副専攻で日本語教員過程を履修できるのであれば、大学で専攻する方が金額的負担は少ないと思います。

【社会人の方へ】
今までたくさんの方と一緒に働く機会がありましたが、社会人経験のある方はパソコンに詳しかったり、ビジネスマナーが得意だったりと色々なスキルを持っている方が多く、社会人経験のない私は色々学ばせてもらうことが出来ました。また、技能実習生に日本語を教える際などは、社会人経験のある先生方の経験談が非常に役立つので、何歳になってからでもぜひ日本語教師の道へ飛び込んで欲しいです。

社会人の方であれば、仕事をしながら日本語教師養成講座に通うのが、一番早いと思います。その他に、日本語を教えるボランティアグループなどが地域で発足されている場合もあるので、そう言った場所で実践してみるのも良いと思います。

Q:日本語教師を目指す方へ、アドバイスをください。

フィリピンでは、年々日本語学校が次々と開校されていたり、社内で日本語研修を行う企業も増えています。そのため、日本語教師の需要もありますが、給与が現地で生活できる程度しか支払われなかったりする場合もありますし、フィリピン国内には治安の良くない地域の場合もあるので、勤務先の見極めは大切です。勤務条件や勤務地をきちんと確認してから働くようにしてください。

ただ、明るくて素直な性格をしているので、フィリピン人を相手に日本語を教えるのは本当に楽しく、毎日こちらが逆に元気をもらえるくらいです。どんな授業にもきちんとついてきてくれるので授業もやりやすいですし、初心者の方にもおすすめしたいです。

その分、気候、衛生面など現地生活では大変なことが多いので、体調管理などには気を使ってぜひ楽しく日本語を教えてください。

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