元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

日本語教師経験談 : 中国の民間日本語学校

情報公開日:2014/12/02

海外での日本語教育経験に関する全般の質問

ちー坊さん(32歳・女性) 
国名 中国
期間 4.5年 (2006年7月~2011年2月)
派遣先 民間日本語学校
給料 月 2,500 元
日本円に換算して 月 42,500 円
*なんとか生活ができる。
滞在中、派遣先が負担したもの ・住居提供
・家具、電化製品
・インターネット代
・ビザ申請費用
・日本との往復航空券
派遣先での日々のスケジュール 平日8:30~16:30/土・日・祝 休み
授業形態 クラス授業 1クラス 4~15 人ぐらい

Q:中国での日本語教師経験について総合的な感想

日本語教師経験を積むということを考えると、国内よりも海外のほうが「教える」ということに集中できると感じました。

というのは、例えば日本で「専任講師」として働いている場合は授業の他にも教務の仕事もこなさなければなりません。なので、まずは授業力を養い、経験値を上げるという点では海外で教えることはとても合っていると思います。

また、現地の中国人学習者は限られた環境で日本語を習得するために非常に積極的に学んでいる人が多かったように思います。現地で生活することで中国の習慣や考え方、タブーなことを知り、それが学生への理解やスムーズな教室活動にもつながりました。

そして、それは帰国後日本語を教えていた時にも役に立ちました。例えば、中国大陸本土の人々は「台湾」は中国の一部だと考えています。しかし、台湾の大部分の人は台湾は一つの国であるという考えをもっています。

初級の授業では「あなたのお国はどちらですか。」という質問がありますが、一つの教室の中に「中国人」と「台湾人」がいた場合、台湾の人にその質問は避けたほうがいいと判断できます。そのような知識も中国での日本語教師経験で得ることができました。

Q:どのような経緯で中国で勤務することになりましたか?

日本語教師の需要について調べた結果、その当時(2005年頃)東南アジアの中で日本語教師として需要が高かったのは韓国、中国でした。

韓国は学歴が大卒以上という条件がほとんどで、短大卒の私はその時点ではじかれることが多く断念しました。

中国はというと、大学で教える場合は「学士」以上が必要ですが、民間日本語学校などでは短大卒でも日本語教育能力試験合格や420時間修了の資格を持っていれば雇ってもらえるところもあります。

また、中国は今後の経済発展の見込みがあり、隣国である日本との関わりもより密になれば日本語を勉強したいという需要も増えるだろう考え、中国で働くことを決めました。

そこで、日本語教師求人サイトで条件にあてはまった3社に履歴書を送り、日本にも会社があるという中国の日本語学校に履歴書を送り、面接と模擬授業をさせていただき、採用が決まりました。

Q:中国の日本語教育事情をお聞かせください。

私は中国の民間の日本語学校しか経験がありませんが、求人情報や同僚の話などから考えると、中国国内で需要が最も多いと感じたのは「中国の大学」です。

大学で教える場合、平均週14~18コマ程度(50分授業の場合)で、日本人講師には会話や作文を任せるという学校が多いようです。また、ほとんどの大学には講師専用の寮があるので、住居費も大学側が負担してくれます。

給料面は中国の平均月収より少し上という程度ですが、夏休み、旧正月休みなど長期休暇が取れるのは大きいメリットだと思います。ただ、最近では以前よりも日本語学科が減っているのも実状のようです。

Q:現地でどのような日本語教師が求められると思いますか?

どの国でも同じだと思いますが、中国には中国の考え方、文化、価値観がありました。
特に作文などでひとつのテーマについて文章を書くときなど、日本語を通してその国の考え方や思考傾向のようなものを垣間見ることができます。

それは日本の考え方や常識や当てはめれば、理解できないという場合もあると思います。ですが、生徒の考えを尊重し、いい悪いの判断をすることなく受け入れていくという柔軟な対応が日本語教師にとって必要不可欠だと感じました。

Q:現地で苦労したことは?

私が勤務していたのは2年制の日本語学校だったのですが、漢字圏であるという助けもあり、1年半ほどで日本語能力試験N2に合格できる能力が身についてきます。

ただ、最も授業で苦労したのは発話力を上げるということです。環境上、生徒は学校の外では日本語を使うチャンスはほぼありませんでした。

いろいろ語彙を知っていても、使う機会がなければさらに学ぼうという意欲も湧かないでしょうし、使われず消えていく可能性もあります。授業中は受け身ではなく、できるだけ生徒が主体で能動的に日本語を学べる授業を考える必要がありました。

同僚達と試行錯誤した結果、たとえば中国の年中行事、自分の出身地の有名な食べ物など毎回テーマを決めて、それについて調べ、発表してはどうかということになりました。

学生は自分の国、自分のことを知ってもらいたい、そしてそれを「日本語で伝える」ということに対して、とても意欲的に取り組むことができたと思います。

Q:現地に行く前にもっと準備すべきだったことはありますか?

何と言っても第一は基礎的な中国語を勉強しておくべきでした。

私が勤務していた学校は「直説法」といって媒介語を使わず、日本語を日本語で教えるという方針だったのですが、入門クラスなどでは生徒が質問したくても使える日本語が限られているので言いたいことを上手く伝えられないということがありました。

聞きたくても日本語に自信がないから聞けないという状況は本人も消化不良ですし、勉強の意欲も削がれるか可能性もあります。そんなとき、聞いて大体の意味を理解できるだけの中国語能力があればよかったと思いました。

Q:中国の求人情報はどこで得ることができますか?

1.NIHON MURA(日本村)
私が中国で働く際に利用したサイトです。日本語教師の求人サイトとして一番詳しく、見やすいと感じました。求人が国別に分かれているので、行きたい国が決まっている方は検索しやすいと思います。

また、過去の求人も見ることができるので、頻繁に求人が出ていたり、人の入れ替わりが激しそうな雇用先を避けることができました。

2.日本語教育学会
大学関係の求人が多く掲載されています。

3. 日本語教師の集い
求人情報だけでなく、機関名をクリックすると雇用先についての詳細を見ることもできます。

Q:中国で今後日本語教師として働きたい人へ、
 どんなアドバイスをしますか?

日本語教師として仕事する際に、私はあまり深く考えずに、当時韓国に次いで日本語学習者が多かった「中国」を選びました。

日本国内ではなく、現地で教えるということは日本語教師の経験を積むことだけではなく、そこで生活し、様々なことを見聞きし、身をもって体感することができます。その経験は国内で教える際にとても生かされました。

現在の中国と日本の関係を考えると、中国で働くということを躊躇してしまう方も多くいらっしゃると思います。ですが、実際に現地で働いていて感じたことは、中国人は対国家ではなく対個人で接すると非常に情が深く、外国から来た私たちをとても大切にしてくれ、困ったときはいつも助けてくれました。

彼らは一度心を開いたら、よっほどのことがない限りその信頼関係は揺らぐことはありません。

ですので、人種の垣根を意識することなく、その国に積極的に溶け込んでいこうという気持ちで、海外での日本語教師生活を満喫していただければと思います。

日本語教師に関する全般の質問

日本語教師歴 7.5年 (2006年7月~2014年3月)
*現在は日本語教師ではありません。
その他の海外教師経験 なし
資格・課程 日本語教育能力検定試験合格
日本語教師へ転職前の職 新卒で日本語教師をしたため、前職はなし。

Q: もともとはどのような経緯で日本語教師を目指しましたか?

以前カナダへ留学していた際、「Conversation exchange」というお互いの言語を教えあうという活動をしたときのことです。実際教えてみると、相手の質問に答えられない、分からないことだらけで、「話せることと教えられるということは別なんだ」と衝撃を受けました。

そんな時現地の日本人向けの新聞に掲載されていた「日本語教師養成コース」の広告が目に入り、日本語教師という職業があることを初めて知りました。

将来、海外で働きたいという気持ちもあったので、日本語教師なら英語圏または東南アジアで職を探す際に生かせると考え、日本語教師を本格的に目指すことに決めました。

Q:日本語教師をやってよかった!と、どんな時に実感しますか?

何と言っても、新しく勉強した語彙や文法が使えたときです。

たとえば、「~ていただけませんか。」という文法の授業をしたときのことです。聴解のCDなど聞き取れない部分を再度流してほしいという場合、生徒は「先生、もう一度。」や「もう一度聞きたい。」と言うことが多かったのですが、ある生徒が考えながら、たどたどしく「もう一度、聞く…聞か…聞かせていただけませんか。」と勉強した文法を使って発話してくれました。

このように実際に使えたときの喜びは教師冥利に尽きると思います。

それに文法は実場面で使ってみてはじめて、言語として定着していくので、文法を教える際はより場面に即した内容で授業を組み立てるということを再認識しました。

Q:日本語教師を辞めたいと思ったことはありますか?

授業時間数が多いときは休日も授業準備に追われ、休めない日が続くこともありました。そんな状態のときは例えば朝起きられず遅刻したり、授業中ずっとおしゃべりをしている生徒を見ると、何のためにプリントを作ったり、寝る間も惜しんで授業準備しているのだろうと無力感に襲われました。

また、日本語教師は収入面で考えると海外では十分生活していくことができますが、日本国内では決して待遇がいいわけではありません。

それを知った上でこの仕事を選んだとしても、実際に生活面で窮地にたつ職業を変えたほうがいいと思ってしまうことも多々ありました。

Q:今後どのような日本語教師を目指したいですか?

青年海外協力隊として発展途上国へ行き、日本語を教えたいと考えています。青年海外協力隊は日本語を教えるということ以外にも現地の人との交流にも重きを置いています。現地の日本語教師と連携してその国のその限られた環境で日本語の授業を作っていく。そのような活動をしてみたいです。

また、最近日本への留学生が増えているベトナムやミャンマーなどでも働くチャンスがあれば挑戦してみたいです。

経済的に留学はできる人は限られていますが、将来日系企業で働くために勉強している現地の学生達との交流をもち、その国の事情をよく理解し、授業に生かせる日本語教師になりたいです。

Q:教案作りで参考にしている、重宝しているサイトや書籍はありますか?

日本語教師の教案
国内外の日本語学校でよく使われているのが「みんなの日本語」というテキストです。こちらのサイトは各課の文型ごとの導入→練習の例があり、導入のネタに困った時などはこちらでヒントを得ていました。また、文型の入れ替え練習などの例文を探すときも重宝していました。

日本語教材図書館
同じく「みんなの日本語」の応用教材としてよく使用していました。左上の「教材配布室」をクリックすると各課の応用練習をダウンロードすることができます。学んだ文型を使ったコミュニケーションの手段として使えるサイトだと思います。

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