元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

こんな風に授業をしていました

日本語教師になったら、どのように授業を行うのか、気になる方も多いのではないでしょうか。

私も420時間養成講座で学んでいた頃は、この知識をどのように役立てながら授業を組み立てるのか、教案はどのように作るのかなど、養成講座の先生にたくさん質問をしたものです。

そこで、準備から授業終了までの流れについて、私の経験を例にご紹介します。

授業準備・教案作成は念入りに

授業の準備は、教案の作成が中心となります。

教案とは授業のシナリオのようなもので、特に経験が浅いときは、授業の流れを出来るだけ細かく落とし込むことが大切です。

最初に、授業で教える範囲を確定させます。そのため出来るだけ早く、今日の授業がどこまで進んだかを確認することが、教案作成には欠かせません。

ひとつのクラスを複数の教師で受け持つ場合、「△△まで進んだ」「〇〇の箇所は念入りに復習を」 等の申し送りを受けて授業準備を始めます。そのため、この申し送りが遅くなると本当に大変でした。

さて申し送りを受けたら、いよいよ教案の作成に取り掛かります。流れは、以下の通りです。

  1. 授業範囲の全体像を確認
  2. 授業の構成を大まかに考える
  3. 授業内容を出来るだけ詳細に書く

もし「こんな感じでいいか」と手間を省けば、失敗するのがオチです。準備不足は学習者からすぐに見抜かれてしまいます。

私は、授業内で説明する言葉については「全て」書き出しましたし、このフレーズは何回リピートさせるかというところまで、細かく決めていました。

日本語教師にとって教案は、授業の成功に欠かせません。学習者の理解が深まる授業となるように、しっかりと準備を行います。 

授業当日・大切な出席確認

まず始めに出席をとります。就学生クラスの学習者は、出席率が低いと日本にいる事が出来なくなるので、特に出席確認は重要です。

また出席を取る際は、必ずフルネームで確認することもポイントになります。1クラスに同じ苗字をもつ学習者が2名以上いる事が多いためです。

例えば、韓国の場合「キム、イ、パク、チェ、チョン」さんが、全人口の5割以上を占めているそうなのですが、確かに、大抵クラスに3名程キムさんがいました。

授業開始・ウォーミングアップ

出席確認が終わったらウォーミングアップをかねて、よく漢字の練習を行いました。また漢字の練習の際に、発音やアクセントの練習も併せて行います。

日本語は「箸/橋」「雨/飴」のように、音の高さと低さを使い分けて発話する言語なので、抑揚を体で表現するよう意識したものです。

例えば、”箸”は第1音の「は」を高く発音しますが、”橋”は第2音の「し」を高く発音しますので、手を上下させるなど「高低」のリズムをつかめるようにします。

さらに声を大きく出して、活気ある雰囲気となるよう心がけました。

授業は、全て日本語を使って教える直接教授法で行いました。授業中に使う日本語は、基本的に教科書で習った言葉や文法のみとなります。

これを一般的に「語彙のコントロール」と言いますが、なかなか難しいです。やはり教え方をしっかり学び、経験を積むことが大切だと思います。

ウォーミングアップが終わったら、いよいよメインの授業です。「導入」「展開」「まとめ」の3つで構成されます。

メインの授業1・導入

導入とは、今日授業で取り組む、新しい文型の意味と使い方を理解させるステップです。事前にイラストや写真を用意して臨みます。

(例)「私は○○が好きです」の導入

「みかんです」
「私は今朝、みかんを食べました」
「私は昨日、みかんを食べました」
「私はおとといもみかんを食べました」
「明日もみかんを食べます」
「私はみかんが好きです。」

私はみかんが好きなのよ!と若干オーバーに言います。時には演技派になることも必要です。

導入は非常に重要で、ここで理解させることが出来なければ、その後の授業は厳しいものがあります。

ここで「あー!わかった」という生徒の顔を見ると、ガッツポーズをしたくなるほど嬉しいもの。やりがいを感じる瞬間です。

メインの授業2・展開、まとめ

展開とは、新しく習った文型などを、自分なりに使いこなせるようにするステップです。

「助詞」には「が」を使う、などの文法的なルールは、文章を繰り返し言わせて慣れさせます。短い文章から少しずつ始めました。

(例)「私は○○が好きです」の展開

日本語教師:みかん
学習者:みかん

日本語教師:みかんが好きです
学習者:みかんが好きです

日本語教師:私はみかんが好きです
学習者:私はみかんが好きです

(2・3回様子を見て繰り返させる)

スムーズに言えるようになったら、 バナナのイラストを見せて 「私はバナナが好きです」など、対象を変えて練習します。

このようにアレンジしたものを、まとめとして発表させ、今日の学習内容が身に付いたかを確認し、この日の授業は終了です。もちろんすぐに、次の先生へ申し送りを行います!

日本語教師としてのやりがいを感じられるのは、学習者の反応をダイレクトに感じた時です。

そのためにも、大変ですが教案はしっかり作りこみ、授業を成功に導けるよう、準備を万端にして臨みました。

授業が進むと似たような言葉が増えていきますし、微妙なニュアンスの違いを教える事も難しくなってきますが、420時間養成講座で学んだことを思い出し、試行錯誤しながら授業を進めていました。

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