元日本語教師による
日本語教師の実態レポート

日本語教師になるにはどうすればいいの?資格はいるの?どんな風に教えるの?
具体的な経験を交えながら、教師の仕事について
"元教師"が実態をお伝えします。

こんな風に授業をしていました

写真:日本語の教室みなさんの気になるところは「じゃあ、どんな風に実際に授業をするの?」ということもあるでしょう。私も、特に日本語の理論を勉強していた時はどのようにこの知識を役立て、授業を組み立てるのか知りたくて、養成講座の先生に「実際の授業を見せてもらえないか」と頼んだものでした(断られましたが・・(笑))。

10年近く前のことなので、思い出しながら書きました。
授業の流れをざっくりですが、記載しましたので、一つの例としてイメージの助けとしてみてください(教え方は本当にさまざまですが、基本は下記のような流れです)。

前日からバトル!

まず、重要なのが、自分の授業で実際、教える範囲をできるだけ早く確定することでした。(この連絡が遅いと本当にイライラしました(笑))

例えば、水曜日の午前中に授業を受け持っている場合、 火曜日の午前の授業が終わった後に、実際に次の日の午前中に教える範囲が確定します。

ただ、あまりのんびりやっていると、間に合わないので、だいたいみんな「ここら辺を教えることになるだろう」とめぼしを付けて、連絡の前から準備していたりします(笑)。

もちろん、授業のカリキュラムやスケジュールというのは事前に決まっているものですが、微妙にずれたりするんです(笑)。

なので、前日の先生ができるだけ早い時間に、次の日の先生に「今日どこまで進んだか伝えてあげる」ことがその日授業をした先生の一番のミッションと言っても過言ではありません(笑)。

授業の申し送り

その日に授業をした先生からは「今日はどこからどこまで進んだ」「●●の部分がみんな苦手だったから、念入りに復習して欲しい」 とか申し送りがあります。

その電話があったら、もう次の日の準備に一直線です(笑)!

ちなみに、ちょっと先まで進んでしまったことも考え、予定より少し先のところまで準備をしました。 時間配分にはいつも苦労してしまってました。

どのように授業の準備をしていたか、ややウル覚えではありますが、

まず、
1.大体の範囲の全体像を認識
2.大まかな授業の構成を考える
3.実際に教案というのを作成し、どのような手順で授業を進めるか詳細を書きます。

これに非常に時間がかかります。

教案とは、授業のシナリオ、脚本のようなものと考えればわかりやすいと思います(教案の書き方なども養成講座でちゃんと習います)。

経験がないときは、この教案にできるだけ細かく落とし込んで、どのように授業を組み立てるか考えることが大切です。

ここで手間を省いて、なんとなくで、やってしまうと、絶対に失敗します。人に教えるということは、200%理解していないと教えられませんから。それに準備不足はすぐ生徒さんに気付かれます。

準備をできるだけ時間をかけたからといって、授業がスムーズに進むとも限りません。というか、思ったとおりにいかないことの方が多いわけです。だからといって、準備をしっかりとしなければ120%授業はうまくいかないのです。

実際にどのくらい細かく書いていたかというと、私は基本的に自分の説明する言葉は全て書いていましたし、ここで生徒さんに何回ぐらいリピートさせるかなども細かく書きました(もちろん実際は現場の様子を見て、臨機応変に変更します)。

授業当日

授業のある当日は、もちろんですが、朝早く行きます。
早く行かないと、コピー機の取り合いですから・・・(笑)。

授業は朝9時から。だいたいクラスの人数は15人ぐらいいました。就学生のためのクラスは比較的人数が多いことが多いようです(クラスのレベルなどにもよったり、入管の審査の状況などにもより生徒の数は上下します)。

1.出席を取る

まず、出席を取ります。この出席は特に就学生クラスでは重要です。就学生の場合、ここの出席率が低いと日本にいることができなくなってしまったりします。

キムさんがクラスに3人いたりするので、もちろん苗字はフルネームで呼びます(韓国では、キムさん、イさん、パクさん、チェさん、チョンさんで全人口の5割以上を占めているようで。たいていキムさんなんかはクラスに3名ぐらいいました)。

2.ウォーミングアップを兼ねて、漢字の練習(10分くらい)

ウォーミングアップをかねて、プリントを配って漢字の練習をしました。

3.ウォーミングアップを兼ねて、発音やアクセントの練習(10分くらい)

例えば、
雨(あめ)  飴(あめ)のような日本語は高いか低いかの高低アクセントなので、いくつかの単語を出し、アクセントの練習をします。(英語は強弱アクセントです)

アクセントの練習をする時は、できるだけ体で「高低」のリズムをつかめるように、手を上下させ、アクセントを体で表現しました。長音が苦手が人が多いのですが、長音を表現するときは、手を左から右にサーーっと流したりすると、結構わかりやすかったみたいです。

この時は、できるだけ大きな声を出し、クラスの雰囲気を活気ある雰囲気にするよう心がけました。

4.メインの授業

発音やアクセントの練習が終わると、メインの授業になります。

もちろん、授業は全て日本語で行いますが、厳密に言うと使用していた新日本語の基礎などには、新しい単語の訳が書かれた本があり、生徒さんはそれを持っていたので、その単語を改めて認識させることはもちろんですが、文法的なことやニュアンスなどを伝え、最終的にその言葉を使って自分の言いたい事を伝えられるようにするのが目標になります。

ちなみに、説明の日本語も基本的に教科書で習った言葉や文法のみで行うので、これもまた難しいところです。このことを「語彙のコントロール」と一般的に言います。

また授業は大きく分けると「導入」「展開」「まとめ」の3つで構成されます。

導入部分

(導入とは:日本語教育に限らず、英語の教育実習でも同じでしたが、最初に今日授業でやる新しい文型の意味と使い方を理解させることです。この導入というのは非常に重要で、ここでわからせることができないとその後の授業で厳しいものがあります。逆にここで「あー!わかった」という生徒の顔を見るとガッツポーズをしたくなります ( ^ ^ ) )

例)「私は●●が好きです」を教える場合

教師:
みかんのイラストなどを用意します。本物でもいいですが。
写真:みかん

「みかんです」
「私は今朝、みかんを食べました」
「私は昨日、みかんを食べました」
「私はおとといもみかんを食べました」
「明日もみかんを食べます」
「私はみかんが好きです。」(私はみかんが好きなのよ!とオーバーな感じに言います。時には演技派になることも必要です(笑))

展開部分

展開とはここでは例えば「助詞」には「が」を使うことなどの文法的なルールや言葉を繰り返して言わせて、その言葉に慣れさせます。

突然「私はみかんが好きです」と繰り返し言わせようとしてもみんなシドロモドロになってしまうので、短い分から少しずつ慣れさせていきます。

最初は忠実に繰り返して言わせるような方になり、だんたんリズムをつけて、変化を与えていきます。

例)
教師:「みかん」
生徒:「みかん」(繰り返す)
教師:みかんが好きです。
生徒:みかんが好きです。

教師:私はみかんが好きです
生徒:私はみかんが好きです

(2・3回様子を見て繰り返させる)
※今度は「りんご」で口慣らしする。

教師:「りんご」
生徒:「りんご」(繰り返す)

教師:りんごが好きです。
生徒:りんごが好きです。

教師:私はりんごが好きです
生徒:私はりんごが好きです
(2・3回様子を見て繰り返させる)

ここまでスムーズに言えるようになったら、 バナナのイラストを見せて 「私はバナナが好きです」 ビールのイラストを見せて 「私はビールが好きです」 などと対象を変えたりします

「Aさんはキムチが好きです」と人を変えたりして、テンポよく言えるようにします。

まとめ部分

まとめでは、授業でやったことがしっかり身についているか、会話などを練習し、アレンジしたものを発表してもらったりします。

結構生徒の個性が光るおもしろい例文が出てきたりして、クラスが盛り上がります。

今回はかなりわかりやすい例でしたが、 だんだん進んでいくにつれ、似たような言葉が増えたり・・どのようにニュアンスを伝えるかが非常に難しくなります。私はいつも試行錯誤していました。

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